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変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。
改正労災保険法が公布されました
「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第60号)が7月10日に成立、17日に公布されました。
【改正の概要】
1 遺族補償年金における支給要件等の見直し
① 特別遺族年金等について、夫にのみ課せられていた支給要件を撤廃する。
② 遺族が1人の場合の年金額を、現行の給付基礎日額の153日分から175日分に改める。
2 労災保険給付請求権等の消滅時効期間の見直し
災害補償の事由に該当するか容易に判断できない疾病として政令で定めるもの(脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病等を想定)は、療養補償給付等の請求権等の消滅時効期間を2年から5年にする。
3 労災保険の適用事業に関する暫定措置の廃止
適用事業に関する暫定措置を廃止し、現在、任意適用とされている農林水産業の小規模な個人経営の事業の一部も労災保険の適用事業とする。
4 特別加入団体の要件の法定化等
① 労災保険に係る業務や業務災害の防止に関する活動を適切に実施すること等の要件を法令に規定する。
② 特別加入団体に対する業務改善命令や当該命令に違反した場合に、当該団体についての保険関係を消滅させることを可能とする。
5 社会復帰促進等事業に関する決定への不服申立てに係る審査請求先等の見直し
社会復帰促進等事業の給付に関する決定への不服申立てについて、労働保険審査官および労働保険審査会法の対象とし、審査請求先および再審査請求先を労災保険給付に関する決定への不服申立てと同様とする。
【施行日】
令和9年4月1日(上記3は、公布の日から起算して5年以内の政令で定める日)
【労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第60号)の概要】
厚生労働省は、令和8年8月1日から、育児休業等給付の申請手続きを行いやすくするため、事務取扱いを見直しています。リーフレットでは、以下の内容が案内されています。
◆出生時育児休業給付金の申請時に申告する賃金
申請時に申告する出生時育児休業中の賃金について、「出生時育児休業期間を対象として支払われた賃金」から「出生時育児休業期間中に支払日のある賃金」へと見直されています。
◆出生後休業支援給付金の配偶者の確認書類
母親が申請する場合の配偶者の確認書類について、父親と同様に、「母子健康手帳の写し(出生済証明のページ。配偶者の氏名・生年月日が記載されたものに限る)」を提出できるようになっています。
◆育児時短就業給付の支給要件の確認
・同一の子について育児休業給付を受給している場合、改めての母子健康手帳の写し等の提出が不要になっています。
・育児休業給付に係る育児休業終了後、同一の子について初回育児時短就業を開始した場合であって、育児休業を開始した後、育児時短就業を開始するまでの間に賃金の支払いがないことを賃金証明書および添付書類で確認できれば、賃金証明書の⑨欄、⑩欄および⑪欄(育児休業開始前の賃金支払状況)の記載を省略することができるようになっています。
・フレックスタイム制、変形労働時間制、シフト制の労働時間制度の適用を受ける被保険者について、週所定労働時間の計算方法が一部見直されています。
詳細は下記案内ページでご確認ください。
【参考】
令和8年8月1日から育児休業等給付の申請手続きを見直します
◆精神障害による労災の増加
厚生労働省が7月15日に公表した令和7年度「過労死等の労災補償状況」によると、精神障害による労災の支給決定件数は1,082件となり、前年度(1,056件)を上回って7年連続で過去最多を更新しました。また、請求件数も4,958件と過去最多となっています。
業種別(中分類)に見ると、支給決定件数が最も多かったのは「社会保険・社会福祉・介護事業」(151件)、次いで「医療業」(139件)、「道路貨物運送業」(68件)、「総合工事業」(51件)、「飲食店」(45件)の順となりました。
精神障害の認定要因としては、対人関係に関する「上司等からのパワーハラスメント」(222件)が最も多く、次いで「顧客や取引先、施設利用者等からの著しい迷惑行為」(127件)と「セクシュアルハラスメント」(127件)が並び、仕事の量・質に関する「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」(40件)を上回っています。
◆ハラスメント対策の徹底が必要
この結果からは、長時間労働のみならず、パワハラ、セクハラ、カスハラといった各種ハラスメントが精神的不調を引き起こしていることが読み取れます。
労働者の人生を守るために、そして貴重な働き手を失わないためにも、企業には、方針の策定・周知、相談体制の整備、職場環境の改善といった、ハラスメント防止措置の徹底がこれまで以上に求められています。10月からは、新たにカスハラ対策と就活セクハラ対策が全企業に義務付けられますので、今一度、自社のハラスメント対策を確認する機会にできるとよいでしょう。
【参考】
令和7年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚生労働省)
https://tomoiku.mhlw.go.jp/seminarevent/company/ryoshingakkyu/
厚労省が7月16日、「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」最新版を公表しました。
事業主の対策が義務となっているパワハラ・セクハラ・マタハラ(妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメント)と、カスタマーハラスメント、求職者等セクシュアルハラスメントについて、ハラスメントに当たる行為を解説するとともに、「事業主の方針の明確化」「相談体制整備」「事後対応」「再発防止」など、事業主が講ずべき措置が具体的に整理され、各種資料も収録されています。
◆10月からの対策義務化に対応した内容
カスタマーハラスメント防止に特有の措置としては、「対応の実効性を確保するために必要な抑止のための措置」を挙げています。具体的には、労働者に対し過度な要求を繰り返すなど特に悪質と考えられるものへの対処方針をあらかじめ定め、管理監督者を含む労働者に周知するとともに、方針において定めた対処を行うことができる体制を整備します。
求職者等セクシュアルハラスメント防止に特有の措置としては、「求職活動等に関するルールの明確化と周知・啓発」を挙げています。具体的には、求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、労働者および求職者等への周知・啓発を行います。
◆活用にあたって
就業規則・ハラスメント規程の規定例や社内掲示・社内周知の文例なども、収録されています。管理職・人事担当者向けの研修資料や相談窓口担当者の対応マニュアルの作成、従業員説明会での周知などに活用するとよいでしょう。
【参考】
「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」
◆労働時間法制の見直し方針
「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」では、「心身の健康維持と従業者の選択を前提に、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等に係る政策対応について、夏以降の労働政策審議会で議論を行う」とされ、同日閣議決定された「日本成長戦略」に、その政策に関する具体的な内容が示されています。
◆裁量労働制・変形労働時間制の見直し
裁量労働制については、健康確保や長時間労働防止、適切な処遇確保などの措置を前提に、対象の在り方について、見直しを検討します。
変形労働時間制については、他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や勤務予定の予見可能性に留意しつつ、見直しを検討します。
◆柔軟で多様な働き方の実現に向けて
さらに、連続勤務規制や勤務間インターバル制度、「つながらない権利」、副業・兼業時の健康確保、テレワークに対応した労働時間管理などについても、労使双方の意見を踏まえながら制度の在り方を検討します。
◆企業は今後の動きに備える必要あり
法改正ではなく、労働時間制度の運用について、時間外労働の実態を踏まえた、36協定の締結や柔軟な労働時間制度の活用について相談支援の充実を速やかに実施するとの方針が示されています。あわせて、労働基準監督署が重大・悪質な事案に対しては厳正に対応しつつ、労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意に則った指導が行われるよう速やかに見直す、とも示されています。情報をチェックしておくとよいでしょう。
【参考】
経済財政運営と改革の基本方針2026
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/public_relations/009/002/
全国労働衛生週間は、労働衛生への意識向上と自主的な健康確保を目的として毎年実施されており、今年度は10月1日~7日です。誰もが安心して健康に働ける職場づくりに向けた取組みとして、下記が求められます。
◆全国労働衛生週間中に実施する事項
ア 事業者または総括安全衛生管理者による職場巡視
イ 労働衛生旗の掲揚およびスローガン等の掲示
ウ 労働衛生に関する優良職場、功績者等の表彰
エ 有害物の漏洩による事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施
オ 労働衛生に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他労働衛生の意識高揚のための行事等の実施
◆準備期間中(9月1日~30日)に実施する事項
・健康保持増進・女性の健康・両立支援
体制・計画策定、健康教育、各種検診の推進、女性特有の健康課題への対応、治療と就業の両立支援体制の整備
・メンタルヘルス・過重労働・熱中症
ストレスチェック・職場環境改善、労働時間把握や医師の面接指導、WBGT値に基づく熱中症予防の徹底
・小規模事業場・個人事業者等
産業保健活動の充実、個人事業者等の安全衛生確保・配慮
・化学物質・石綿対策
ラベル・SDS確認、リスクアセスメント実施、解体等の石綿ばく露防止徹底
・労働衛生3管理・教育
作業環境測定や換気等の改善、作業負担軽減、健康診断後の事後措置、雇入れ時・特別教育等の実施
・作業内容・環境等への対応
転倒・腰痛防止、テレワーク・情報機器作業の管理、粉じん・騒音・受動喫煙・酸素欠乏・一酸化炭素中毒等の防止対策の徹底
【参考】
令和8年度「全国労働衛生週間」を10月に実施
デジタル庁は7月28日、「マイナポータルアプリ」をアップデートして「デジタル認証アプリ」の機能を統合し、8月25日から「マイナアプリ」として提供開始予定であると発表しました。
これまで、マイナンバーカードを使った本人確認が必要な行政手続きや金融機関での口座開設、携帯電話の契約といったシーンでは「デジタル認証アプリ」が必要でしたが、「マイナアプリ」一つで完結できるようになり、利便性が高まります。
これまで、マイナンバーカードを使った本人確認が必要な行政手続きや金融機関での口座開設、携帯電話の契約といったシーンでは「デジタル認証アプリ」が必要でしたが、「マイナアプリ」一つで完結できるようになり、利便性が高まります。
◆何ができるアプリか
マイナアプリは、現行の「デジタル認証アプリ」同様、マイナンバーカード(実物およびスマートフォン)を使った認証や署名、氏名などの情報の連携ができます。
また、現行の「マイナポータルアプリ」同様、マイナポータルなどを利用する際のログインや認証・署名に利用することができ、マイナンバーカードの機能をスマートフォンに入れる「スマートフォンのマイナンバーカードの設定」もすることができます。
◆利用登録のしかた
マイナアプリは、既に「マイナポータルアプリ」をダウンロード済みの場合、アップデートを行うことで利用することができます。
初めて利用する場合には、iPhoneではApp Store、Android端末ではGoogle Playからダウンロードした上で、マイナンバーカードを使っての利用登録が必要です。
一つのアプリに統合され、本人確認や行政の手続きを一括でできるようになった「マイナアプリ」。この機会に利用してみてはいかがでしょうか。
【参考】
デジタル庁「マイナアプリ(8月25日提供予定)」
https://services.digital.go.jp/mynaapp/
デジタル庁「マイナアプリの利用登録の方法」