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変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。
R6年11月 令和7年4月保育所入所申込み分就労証明書記載の留意点
R6年11月 11月1日から自転車の危険運転に罰則が科されます
R6年11月 高齢者就業率の増加「高齢者の活躍に取り組む企業事例」
R6年11月 児童手当制度が変わりました
R6年11月 10月からの厚生労働省関係の主な制度変更
R6年11月 転職理由の真相と企業の対応策
R6年11月 労働者不足の対処方法~厚生労働省の調査より
R6年11月 実質賃金3か月ぶりマイナス 物価高に賃金追いつかず
R6年11月 11月は「過労死等防止啓発月間」です
◆「落選ねらい」問題に対応
9月30日に就労証明書の新様式が定められ、10月1日より申込み受付が順次開始されています。
保育所の4月入所申込みについては、育児休業を延長する目的で競争率の高いところに申し込んだりする「落選ねらい」が問題視され、対応が求められていました。
◆様式の変更点
新様式では、次の5つの記載欄が追加されました。
① 入所内定時育休短縮可否
② 育休延長可否
③ 単身赴任期間(予定を含む)
④ 備考欄
⑤ 保護者記載欄(児童名、生年月日、施設名、利用・申込み状況に関するチェック欄)
また、自治体によっては夜勤に関する状況を別紙で提出することができ、就労証明書と同様に企業に記載を求めているところもあります。
◆育児休業給付金の支給期間延長の要件と手続きも見直し
上記の「落選ねらい」対策として、令和7年4月1日からは育児休業給付金の支給期間の延長手続きも見直され、従業員が記載する申告書と保育所等の利用申込書の写しも、ハローワークに提出することとなります。
また、支給要件として、市区町村に申し込んだ内容が、速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めるものであることも、必要となります。
令和7年4月1日以後に育児休業に係る子が1歳に達する場合または1歳6カ月に達する場合に適用されますので、該当する育児休業取得者に案内しておくとよいでしょう。
【官報(令和6年9月30日号外第227号)「子ども・子育て支援法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和6年内閣府令第84号)」】
https://kanpou.npb.go.jp/20240930/20240930g00227/20240930g002270004f.html
【雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第47号)】
https://laws.e-gov.go.jp/law/350M50002000003/20250401_506M60000100047?tab=compare
◆道路交通法の改正
令和6年11月1日より、自転車の「運転中のながらスマホ」と「酒気帯び運転および幇助」に対して、新しく罰則が適用されます。
◆運転中のながらスマホ
自転車に乗りながら、スマートフォン等を手で保持して通話したり、画面を注視したりする行為が新たに禁止され、罰則の対象になります。
・違反者は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金
・交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金
◆酒気帯び運転および幇助
酒気帯び運転のほか、酒類の提供や同乗・自転車の提供に対して新たに罰則が適用されます。
・違反者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・自転車の提供者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・酒類の提供者・同乗者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金
◆自転車運転者講習制度
上記は、「自転車運転者講習制度」の対象となります。また、交通の危険を生じさせるおそれのある一定の自転車運転の危険行為(信号無視や指定場所一時不停止、通行区分違反や安全運転義務違反等)を反復して行った者も講習制度の対象となります。
*受講命令違反は、5万円以下の罰金
免許なしで誰でも乗れる自転車だからこそ、従業員が通勤や業務で自転車を使用する場合、十分に注意するよう喚起しましょう。
【警察庁「自転車の危険な運転に新しく罰則が整備されました」】
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/law/R6poster/R6_leaflet_jitensya_b.pdf
◆65歳以上の就業者数は914万人で過去最多
総務省が「敬老の日」(9月16日)にちなんで公表した取りまとめによれば、65歳以上の就業者数は20年連続で増加し、914万人と過去最多となっています。就業者総数に占める65歳以上の就業者の割合は13.5%で、およそ7人に1人を65歳以上の就業者が占めています。
◆65歳以上の就業率は25.2%
また、65歳以上人口に占める65歳以上の就業者の割合は25.2%と、10年前と比較すると5.1ポイント増となり、この数字は主要国の中でも高い水準となっています。年齢階級別にみると、65~69歳は52.0%、70~74歳は34.0%、75歳以上は11.4%と、いずも過去最高となっています。
特に、65歳~74歳の就業率は年々顕著に高まっており、元気なうちは働こうという高齢者が増えていることがうかがわれます。
◆厚労省が公表した「高齢者の活躍に取り組む企業の事例」
そのような中で、厚生労働省は先日、「高齢者の活躍に取り組む企業の事例」を公表しています。ここでは、高齢者の人事・給与制度の工夫に取り組む企業(14社)にヒアリングを実施し、年齢にかかわりなく高齢者が活躍できるよう、スキルに応じた処遇を進め、役職定年や定年制の見直し等に取り組む事例を紹介しています。
企業における高齢者の割合が増加していくことが見込まれる中、自社の制度を検討するうえでも、ぜひ参考にしてみてください。
【厚生労働省「高齢者の活躍に取り組む企業の事例を公表します」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43828.html
◆児童手当の変更
令和6年10月1日から児童手当制度が改正されています。今回の改正は、子育て支援の強化を目的としており、子どもを育てる従業員の生活に密接に関わるものです。改正のポイントを押さえ、育児と仕事の両立支援に活かしていきましょう。
◆改正のポイント
1. 支給対象の拡大
これまで児童手当は中学生までが対象でしたが、令和6年10月1日からは高校生年代(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)も支給対象となりました。
2. 所得制限の撤廃
従来の児童手当には所得制限がありましたが、これが撤廃されました。
3. 支給額の増額
第3子以降の児童に対する支給額が月額30,000円に増額されました。なお、カウント方法は、22歳年度末までの上の子について、親等の経済的負担がある場合をカウント対象とすることとなりました。
4. 支給時期の変更
児童手当の支給時期が年3回から隔月(偶数月)の年6回に変更されました。
5. 申請手続の注意点
今回の改正により新たに児童手当の支給対象となる方は、令和7年3月31日までに市区町村へ申請を行うことで、令和6年10月分からの児童手当を受給することができます。申請を忘れたり遅れたりすることのないよう、今回の改正についてお知らせするとともに、早めの手続きを呼びかけるとよいですね。
【こども家庭庁「もっと子育て応援!児童手当」】
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/mottoouen
厚生労働省は、令和6年10月から適用されている制度変更のうち主要なものをまとめ、webページに掲載しています。
◆被用者保険(厚生年金保険・健康保険)の適用拡大
短時間労働者への被用者保険の適用について、企業規模要件が引き下げられ、現在の従業員数100人超から50人超となります。
賃金要件(月額8.8万円以上)、労働時間要件(週労働時間20時間以上)、学生除外要件については現行のままとし、勤務期間要件(現行1年以上)については実務上の取扱いの現状も踏まえて撤廃し、フルタイムの被保険者と同様の2か月超の要件を適用することとします。
◆労働関係 最低賃金額の改定
都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が改定されます。時間額にして50円から84円の引上げで、最も時間額が高いのは東京都の1,163円、最も低いのは秋田県の951円となりました。
全国加重平均は1,004円から1,055円へ上昇します。51円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額です。
◆雇用関係 教育訓練給付の拡充
専門実践教育訓練給付金について、教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合、現行の追加給付に加えて、さらに受講費用の10%(合計80%)を追加で支給します。
特定一般教育訓練給付金について、資格取得し、就職等した場合、受講費用の10%(合計50%)を追加で支給します。
対象となるのは、雇用保険被保険者および離職後1年以内の雇用保険被保険者だった者です。
被用者にかかる手続きや賃金に関わる重要な変更が重なっています。十分な説明を行い、必要に応じて社内規程を見直すなど、従業員に周知しましょう。
【厚生労働省関係の主な制度変更(令和6年10月)について】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43327.html
◆「給与の低さ」が若年層の転職理由トップに
厚生労働省の「若年者雇用実態調査」(令和5年)によると、若年労働者(満15~34歳の労働者)の前職の離職理由として最も多かったのは「給与の低さ」で59.9%でした。特に20~24歳の年齢層では男性64.6%、女性60.3%と高く、若年層の転職動機における給与の重要性が浮き彫りになっています。
◆「やりがい」と「スキルアップ」も重要な転職要因
一方で、「仕事の内容が自分に合わない」(41.9%)や「自分の技能や能力を活かしたい」「責任のある仕事を任されたい」(33.8%)といったキャリアアップ・スキルアップでの理由も上位に来ています。これは、若年労働者が単に給与だけでなく、仕事の質や自己成長の機会も重視していることを示しています。
企業側としては、給与水準の適正化だけでなく、従業員のキャリア開発やスキルアップの機会を提供することが、人材確保と定着率向上につながると言えるでしょう。また、入社時のミスマッチを防ぐために、採用プロセスでの職務内容の明確な説明や、入社後のフォローアップ体制の強化も重要です。
いわゆる「ゆるブラックだ」、「自分が成長できない」ということでの人材流出につながらないよう、効果的な施策を考えていきたいですね。
給与制度の設計から人材育成プログラムの構築、さらには採用戦略の立案など、これらの課題に対応するには、専門的な知識と経験が必要です。企業の競争力を高めるため、見直しを検討してみてはいかがでしょうか。ご検討の際には、お気軽に当事務所にご相談ください。
【厚生労働省「令和5年 若年者雇用実態調査」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/4-21c-jyakunenkoyou-r05.html
厚生労働省の「労働経済動向調査(令和6年8月)の概況」(※)が公表されており、調査項目の1つとして、「労働者不足の対処方法に関する事項」が盛り込まれています。
人手不足に悩む事業者(同調査では労働者が不足している事業所の割合は80%に上る)にとっても参考になるものと思われます。
(※)令和6年8月1日現在の状況について、令和6年8月1日~8月7日に調査。
◆労働者不足の対処方法
過去1年間(令和5年8月~令和6年7月)に行った労働者不足への対処方法について、割合の大きかったものから順から見てみます。また、今後1年間(令和6年8月~令和7年7月)についての結果も見てみましょう。
(いずれも複数回答)
【1位】「正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加」(過去1年間59%、今後1年間60%)。
【2位】「在職者の労働条件の改善(賃金)」(過去1年間55%、今後1年間48%)。
【3位】「臨時、パートタイムの増加」(過去1年間40%、今後1年間41%)
【4位】「派遣労働者の活用」(過去1年間38%、今後1年間35%)
【5位】「求人条件の緩和」(過去1年間36%、今後1年間34%)
求人条件の緩和内容としては、賃金、労働時間、休暇、学歴、必要資格・経験等の緩和が挙げられています。
【6位】「離転職の防止策の強化、又は再雇用制度、定年延長、継続雇用」(過去1年間34%、今後1年間36%)
離転職の防止策としては、労務管理(労働条件以外の福利厚生、労使関係など)の改善や教育訓練の実施などが挙げられています。再雇用制度には定年退職者だけでなく、子育てのためにいったん退職した女性などを再雇用する仕組みも含まれています。
【7位】「在職者の労働条件の改善(賃金以外)」(過去1年間31%、今後1年間31%)
在職者の労働条件の改善内容としては、休暇の取得促進、所定労働時間の削減、育児支援や復帰支援制度の充実などが挙げられています。
【8位】「配置転換・出向者の受入れ」(過去1年間25%、今後1年間24%)
【9位】「省力化投資による生産性の向上・外注化・下請化等」(過去1年間16%、今後1年間19%)
【厚生労働省「労働経済動向調査(令和6年8月)の概況」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2408/
厚生労働省は、物価変動を考慮した8月の実質賃金が3か月ぶりに減少したと発表しました。実質賃金は、5月まで過去最長の26か月連続マイナスを記録していましたが、賞与が給与総額に占める割合が大きい6~7月は、賞与の伸びが好調だったことからプラスを記録しました。8月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)では、1人当たりの実質賃金は前年同月比0.6%減でマイナスに転じました。
◆主な数値
・名目賃金に当たる現金給与総額は、3.0%増の29万6,588円で、32か月連続のプラス。
・統計に用いる消費者物価指数は7月の3.2%を上回る3.5%上昇で、差し引くと実質賃金は減少。
・現金給与総額の内訳は基本給を含む所定内給与が3.0%増の26万4,038円で、31年10か月ぶりの高い伸び。ベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ率が平均5%を超えた2024年の春季労使交渉の結果が反映されている。
・残業代などの所定外給与は2.6%増の1万9,599円。
・現金給与総額のうち、賞与などの「特別に支払われた給与」は2.7%増の1万2,951円で、前月の伸び幅(6.6%)より縮小。
・現金給与総額を就業形態別にみると、一般労働者は2.7%増の37万7,861円、パートタイム労働者は3.9%増の11万33円。
・主要産業別では全産業で上昇。
福岡資麿厚生労働大臣は記者会見で、「名目賃金の内訳を見ると、基本給を含む「所定内給与」の対前年同月比がプラス3.0%ということで、これは31年10か月ぶりの高い伸びとなっており、そうした意味においては賃上げの明るい動きが着実に現われてきていると認識しています。関係大臣と連携し、価格転嫁や生産性向上の支援等により、中小企業等が賃上げできる環境整備に取り組んでいきたいと考えています」と述べました。
賃金は上がる傾向にあるものの、物価はもっと上がったということですが、中小企業や非正規労働者にも効果のある具体的な政策が期待されます。
衆議院が9日に解散し、選挙戦が始まりましたが、賃上げは経済政策の主要な争点になりそうです。
【厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年8月分結果速報」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2408p/2408p.html
毎年11月は、「過労死等防止啓発月間」です。
厚生労働省では、国民への周知・啓発を目的に、各都道府県において「過労死等防止対策推進シンポジウム」を行うほか、「過重労働解消キャンペーン」として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導やセミナーの開催、一般人からの労働に関する相談を無料で受け付ける「過重労働解消相談ダイヤル」などを行います。
「過労死等」とは、①業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡、②業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡、③死亡には至らないが、これらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害をいいます。
◆「過労死等防止対策推進シンポジウム」の実施
47都道府県48会場(東京は2会場)でシンポジウムを開催し、過労死遺族の方の体験談やメンタルヘルスの専門家等による講演などを行います(無料でどなたでも参加できます)。
[参加申込方法]事前に下記ホームページから申込み
https://www.mhlw.go.jp/karoshi-symposium/
また、国民一人ひとりが自身にも関わることとして、過労死等とその防止に対する関心と理解を深められるよう、ポスターの掲示やパンフレット・リーフレットの配布、インターネット広告など多様な媒体を活用した周知・啓発を行います。
◆過重労働解消キャンペーン
過労死等につながる過重労働などへの対応として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導や、全国一斉の無料電話・SNS相談などを行います。
[過重労働解消キャンペーン特設ページ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign_00004.html
キャンペーンの概要は以下のとおりです。
①労使の主体的な取組みの促進、②労働局長によるベストプラクティス企業との意見交換、③重点監督の実施、④過重労働相談受付集中期間の設定、⑤特別労働相談の実施、⑥セミナーの開催
企業には、従業員の過労死等の防止に向け、長時間労働削減など、積極的な取組みが求められます。
【厚生労働省「11月は「過労死等防止啓発月間」です」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43985.html