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変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。
H28年5月 4月から「雇用・労働」「社会保険」はこう変わる!
H28年5月 「通勤手当の非課税限度額引上げ」で必要となる手続き
H28年5月 残業80時間で立入り調査へ! 政府の長時間労働抑制対策
H28年5月 女性活躍推進法「一般事業主行動計画」策定の届出数は?
H28年5月 「配偶者手当」はもう古い? 見直しを促す報告書まとまる
雇用保険料率(失業等給付)は、労働者負担・事業主負担とも1/1000ずつ引き下げられました。また、雇用保険二事業の保険料率も0.5/1000引き下げられました。
これにより、一般の事業の雇用保険料率は11/1000(労働者負担4/1000+事業主負担7/1000)となります(平成27年度は13.5/1000)。
◆障害者に対する差別が禁止されます
すべての事業主を対象に、募集・採用、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、障害者に対する差別が禁止されました。
また、障害者一人ひとりの状態や職場の状況などに応じて合理的配慮の提供が求められることとなりました(ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りではありません)。
◆女性の活躍推進に向けた計画の策定・届出が必要に
常時雇用する労働者の数が301人以上の一般事業主は、女性の活躍推進に向けた一般行動計画の策定・届出や情報公表等が義務付けられました。
常時雇用する労働者の数が300人以下の一般事業主は、努力義務となっています。
◆介護(補償)給付の最高限度額および最低保障額が引上げに
労災保険法に基づく介護(補償)給付の最高限度額及び最低保障額が次のように変更となりました。
・最高限度額:介護を要する程度による区分に応じて→月額104,950円(+380円)、52,480円(+190円)
・最低保障額:介護を要する程度による区分に応じて→月額57,030円(+240円)、28,520円(+120円)。
◆健康保険の標準報酬月額が変更されました
健康保険の標準報酬月額の上限が、47等級(121万円)から50等級(標準報酬月額139万円。報酬月額1,355,000円以上)に引き上げられました。併せて、標準賞与額の年間上限が540万円から573万円に引き上げらました。
◆平成28年度の年金額は据え置き
平成28年度の老齢基礎年金は、昨年度から据え置き、満額月65,008円となります。
平成28年度の国民年金保険料額は月16,260円(平成27年度15,590円)です。
平成28年度の税制改正で通勤手当の非課税限度額の上限額が「10万円」から「15万円」に引き上げられ、4月から施行されました。
今回の改正で新たに非課税の対象となるケース(従業員)はそれほど多くはないと思いますが、いくつか注意が必要な点がありますのでご紹介いたします。
◆年末調整で精算が必要
従業員に支給する通勤手当について課税されない金額は今月から「15万円」となりました。
非課税規定(以下「規定」という)が「平成28年1月1日以後に支払われるべき通勤手当」について適用されることとなったため、改正前の規定を適用して源泉徴収(所得税および復興特別所得税)を行っていたために結果的に過納となってしまった税額を年末調整の際に精算する必要が出てきます。
なお、以下の通勤手当については、改正後の規定は適用されません。
(1)平成27年12月31日以前に支払われたもの
(2)平成27 年12 月31 日以前に支払われるべき通勤手当で、平成28 年1月1日以後に支払われるもの
(3)(1)または(2)の通勤手当の差額として追加支給されるもの
◆課税済みの通勤手当の精算方法
上記の通り、すでに支払われた通勤手当については改正前の規定により源泉徴収が行われていますが、改正後の規定を適用した場合に過納となる税額については今年の年末調整で精算する必要があります。
具体的な手続きは次の通りです。
(1)すでに源泉徴収を行った通勤手当のうち、新たに非課税となった部分の金額を計算する。
(2)平成28年分の源泉徴収簿の「年末調整」欄の余白に「非課税となる通勤手当」と表示し、(1)の計算根拠および今回の改正により新たに非課税となった部分の金額を記入する。
(3)源泉徴収簿の「年末調整」欄の「給料・手当等①」欄に、給料・手当等の総支給金額の合計額から(2)の新たに非課税となった部分の金額を差し引いた後の金額を記入する。
(4)以上により、改正後の規定によって新たに非課税となった部分の金額が、本年の給与総額から一括して差し引かれ、その差引後の給与の総額を基に年末調整を行う。
(5)給与所得の源泉徴収票の「支払金額」欄は、通勤手当のうち非課税となる部分の金額を除いて記入する。
政府は、労働基準監督官による立入り調査について、1カ月の残業時間の基準の引下げ(100時間→80時間)を検討していることを明らかにし、新聞でも大きく報じられました。
長時間労働に歯止めをかけるため指導を強化し、子育て中の女性や高齢者が働きやすい環境を整えることがねらいで、対象者は300万人(2.7倍)に拡大することが予想されています。
なお、法改正による規制強化などは見送る方向のようです。
◆「過重労働撲滅対策班=かとく」を省内に設置
また、厚生労働省は違法な長時間労働に対する監督指導を強化するため、4月1日に全国の労働局との調整を行う「過重労働撲滅特別対策班」(かとく)を省内に設けました。
さらに、「過重労働特別監督監理官」を全国47の労働局に1人ずつ配置し、態勢を強化しています。
同省は、労働基準監督官が不足していることから「悪質性、違法性の高い所を優先して監督指導を行う」方針のようです。
◆長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果
平成27年4月から12月までに8,530事業場に対して実施した、長時間労働が疑われる事業場(月100時間超の残業が疑われるもしくは過労死に関する労災請求があった事業場)に対する労働基準監督署による監督指導の実施結果が取りまとめられ、この結果、監督指導を行った8,530事業場のうち、半数を超える4,790事業場で違法な時間外労働が確認されたため、是正・改善に向けた指導が行われました。
なお、このうち実際に月100時間を超える残業が認められた事業場は、2,860事業場(59.7%)でした。
◆長時間労働のない職場づくりへ
近年、職場では過労死防止や女性の活躍推進に向けた長時間労働の是正、そして柔軟な働き方が求められていますが、小売業など人手不足から長時間労働が常態化している業種は深刻な悩みとなっています。
また、上記のように1カ月の残業時間の基準の引下げが行われることによって、より一層注意して労働時間を適正に管理していかなければならなくなります
企業にとっては今後も引き続き、長時間労働を減らすための体制作りや規定の見直しが必須と言えるでしょう。
4月1日より、女性の能力が十分に発揮できる社会を実現するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(以下「女性活躍推進法」という)が全面施行されています。
常用労働者が301人以上いる企業は、(1)自社の女性の活躍状況の把握・課題分析、(2)行動計画の策定・届出・公表、(3)自社の女性の活躍に関する情報公表などが新たに義務付けられています(労働者300人以下の企業の場合は努力義務)。
このたび、厚生労働省より、平成28年4月1日までに「一般事業主行動計画」を策定した企業の届出件数が発表されました。
◆全国では?
301人以上の企業の届出率は71.5%となっています。
・対象企業数:15,472社
・行動計画届出企業数:11,068社
・届出率:71.5%
◆都道府県別では?
届出率を都道府県別に見てみると秋田県の95.1%が最も高く、次いで大分県の92.5%、埼玉県の90.0%と続きます。最も低かったのは広島県の51.4%で、次いで大阪府の51.9%、沖縄県の53.4%という結果が出ています。
この結果を踏まえ、厚生労働省は、今後、常用労働者301人以上の大企業のうち、「一般事業主行動計画」を策定・届出していない企業に対して個別に強力に働きかける“ローラー大作戦”を実施し、女性活躍推進法の着実な履行確保を図っていくとしています。
「女性活躍推進法」も施行され、女性の就業環境が大きく変わりつつあります。
企業が支給するいわゆる「配偶者手当」(家族手当、扶養手当等名称は様々)も、税制、社会保障制度とともに女性パートタイマー等の就労を抑制しているとの指摘があり、2015 年11 月26 日に決定された「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策-成長と分配の好循環の形成に向けて-」で制度の在り方を検討することが明記されたことを受け、厚生労働省に女性の活躍促進に向けた配偶者手当のあり方に関する検討会が設置されました。
◆検討会報告書の結論
4月11日に公表された同検討会の報告書では、「社会の実情が大きく変化している中、税制・社会保障制度とともに就業調整の要因になっている」として、「配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)は配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれる」と結論付けており、厚生労働省では、今後、「報告書を踏まえ、労使に対し、女性の活躍の更なる促進に向けた配偶者手当の在り方の検討を促していく」としています。
◆「配偶者手当」を支給している企業の割合は?
2014年 8月29日に公表された独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査結果によれば、常用労働者に対する手当では、「通勤手当など」(89.8%)、「役付手当など」(66.2%)に次いで「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」(47.0%)が支給されています。
同調査では配偶者手当の支給条件の有無は明らかにされていませんが、2001年に内閣府の行った委託調査によれば、「家族手当」を支給する企業が83.5%、うち61.5%が配偶者の収入を支給条件としており、その78.4%が税制上の配偶者控除が適用される103万円を基準としているとの結果でした。
◆まずは自社の賃金制度を確認
上記の検討会報告書では、従業員構成や家族構成の変化を受け、手当をめぐる従業員ニーズも変化していると考えられるとしています。
賃金制度は、従業員のモチベーションにも影響することから、人材確保や生産性の向上といった企業が存続するための重要なファクターとも絡んでいます。
若手や女性に活躍してほしいという企業では、そうした層にとって自社の賃金制度が魅力的な制度と言えるかをチェックしてみてはいかがでしょうか。