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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

監督署調査対象の23.7%で労働時間が「過労死基準」超えています               H28年4月

「過重労働解消キャンペーン」重点監督実施結果

厚生労働省が行った「過重労働解消キャンペーン」(昨年11月実施)の重点監督において、監督指導を実施した5,031事業場のうち、73.9%に当たる3,718事業場で労働基準関係法令違反が認められました(223日発表)。

最も多かったのは「違法な時間外労働」で、全体の45.9%に当たる2,311事業場が摘発されています。

 過酷な長時間労働の実態が浮彫りに

違法な時間外労働があった事業場において、時間外・休日労働が最長の者の実績を見ると、80時間超100時間以下が396事業場、100時間超150時間以下が646事業場、150時間超200時間以下が115事業場で、200時間を超えている事業場も38事業場ありました。

厚生労働省が過労死のリスクが高まると位置付ける「過労死ライン」を超えている事業場は、今回の対策対象事業場の23.7%にも上ります。

過酷な長時間労働の実態が浮彫りとなったと言えます。

 ◆過重労働をなくすために

同省は、「今後も、月100時間を超える残業が行われている事業場などに対する監督指導の徹底をはじめ、過重労働の解消に向けた取組みを積極的に行っていく」としています。

過重労働の解消を図るためには、企業において仕事量の調整や適切な労働時間管理、健康障害防止対策などの取組みを進めることが重要です。

改めて自社の状況を確認するとともに、多数公表されている実務面における過重労働改善取組事例なども参考にして、必要な対策を講じていきましょう。

厚労省が指針「長期治療が必要な従業員」への対応ポイント               H28年4月

2月下旬に指針公表

人手不足が深刻化しつつある中、女性や高齢者、障害者など、多様な人材の活用が重要になっています。

また、近年はがんや心臓病、脳卒中など長期にわたる治療が必要な疾病を抱えながら働く従業員も増えてきましたが、これらの方を支援する環境が整っている企業はまだまだ少ないのが現状です。

そんな中、厚生労働省は、がん患者等の離職を防止し、治療を受けながら働き続けられるようにするため、企業が実施する支援策などを示した指針(事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン)を2月下旬に公表しました。

<厚労省 ガイドライン概要>

 指針の特徴は?

この指針では、職場における意識啓発のための研修や治療と職業生活を両立しやすい休暇制度・勤務制度の導入などの環境整備、治療と職業生活の両立支援の進め方に加え、特に「がん」について留意すべき事項をとりまとめています。

 指針のポイント

今回の指針のポイントは以下の通りです。長期治療が必要な従業員に対しても配慮するため、企業には主に以下の内容を参考にした取組みが求められることになります。

(1)治療と職業生活の両立支援を行うための環境整備

・労働者が安心して相談・申出を行える相談窓口を明確化

・時間単位の休暇制度、時差出勤制度などを検討・導入

・主治医に対して業務内容などを提供するための様式等を整備

(2)治療と職業生活の両立支援の進め方

・労働者が事業者に支援を求める申出(主治医による配慮事項などに関する意見書を提出)

・事業者が就業上の措置などを決定・実施(「両立支援プラン」の作成が望ましい)

(3)がんに関する留意事項

・治療の長期化や予期せぬ副作用による影響に応じた対応の必要性

・がんの診断を受けた労働者のメンタルヘルス面へ配慮

職場の理解・協力が不可欠

ある調査では、がん罹患後も離職せず、同じ勤務先で仕事を継続できた最大の理由は「職場の上司や同僚の理解・協力があったため」との結果が出ています。

「有期契約」労働者からの「無期転換」に関する企業動向
H28年4月

再来年4月から本格適用

20134月に施行された、有期契約の労働者でも、契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合に無期契約への転換を求める権利が与えられる労働契約法18条のいわゆる「5年ルール」の規定が、再来年の20184月から順次適用になります。

有期契約が更新されない「雇止め」の不安を解消し、安定して働けるようにするのが目的とされています。

 「無期契約」に変える企業が増加

ここ最近、パート社員や契約社員などの「有期契約」で働く人を「無期契約」に変える企業が増えているようです。背景には「人手不足の中で人材を安定的に確保したい」という考えがあるようです。

労働政策研究・研修機構の調査(201579月)によると、法改正に対応し何らかの方法で「無期にしていく」と回答した企業は6割を超えました。

厚生労働省では、ホームページ上で導入企業の実例(現時点で9社)を紹介しています。

 当初の懸念はあたらず?

法改正時に心配されていたのは、企業が無期転換を避けるために5年より前に「雇止め」にしたり、強引に5年以内の契約上限を設けたりするという動きでした。しかし、今のところそうした動きは少ないようです。

企業側も、無期にするメリットとして「長期勤続が期待できる」「要員を安定的に確保できる」という理由を挙げた割合が増えているようです。

景気の回復基調のなか、人手不足により人材を囲い込むメリットがあると考える企業が増えています。

 経団連も検討を後押し

経団連は、今後は人材獲得が困難になるとして、「無期転換の仕組みを整備することは労働者への大きなアピールとなり、前向きに検討すべきだ」としています。

4月から「不服申立て制度」が大きく変わります
H28年4月

50年ぶりの改正

行政不服審査法が約50年ぶりに改正され4月から施行されることに伴い、労災保険法をはじめ、雇用保険法、労働保険徴収法、健康保険法、厚生年金保険法など、労働・社会保険の不服申立て制度が変わります。

「審査請求期間の延長」や、「不服申立て前置の一部廃止」などにより、国民の利便性が向上することが期待されています。

 「不服申立て」とは?

行政庁の違法不当な処分その他公権力の行使・不行使について、行政庁に対してする救済手段のことです。

労働・社会保険の分野には、不服申立てに関する特別法(労働保険審査官及び労働保険審査会法、社会保険審査官及び社会保険審査会法)があり、労災保険や健康保険法などにも不服申立てについて定めた条文があります。

 主な改正点は?

今回の改正の主なポイントは次の通りです。

(1)不服申立てをすることができる期間が60日から3カ月に延長されます。

(2)不服申立ての手続きを審査請求に一本化し、処分庁に対する異議申立ては廃止されます。

(3)処分取消の訴え(裁判所に提訴)は、審査請求・再審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起することはできないとする「不服申立て前置」が一部廃止され、裁決を経なくても処分の取消しの訴えを提起することができるようになります。

 不服申立ての流れ(労災保険の場合)

例えば、労災保険の「保険給付に関する決定」に不服がある者は、原処分のあったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内に、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をすることができます。

そして、審査請求に対する労働者災害補償保険審査官の決定にさらに不服がある場合には、労働保険審査会に対して再審査請求するか、処分の取消しの訴えを裁判所に提起するか、このどちらかを選ぶことができます。もちろん、処分の取消しの訴えは、これまで通り労働保険審査会の裁決後に提起することもできます。

労災保険の「保険給付に関する決定」の例を挙げましたが、労働保険・社会保険等は、ほぼ同様の仕組みとなっています。

社員の転職理由の「本音」と「建て前」
  H28
年4月

転職市場は盛況

株式会社インテリジェンスが発表した「DODA 転職求人倍率レポート」によると、20162月の転職求人数は前月比104.9%・前年同月比145.3%となり、15カ月連続で、調査開始20081月以来の最高値を更新しているそうです。

転職希望者数も前月比6.5%増、前年同月比56.8%増となり、6カ月連続で最高値を更新しており、転職市場は引き続き盛況なようです。

このような人材の活発な流動化中では、企業にとっては人材確保が大きな問題になります。

 会社に伝える退職理由と本当の理由

転職する場合、当然ながら現在の仕事を辞めなければなりません。社員の退職理由からは、会社の問題点が浮き彫りになることもありますが、会社に退職の意思を伝えてくる際の退職理由が本音ばかりとは限りません。

エン・ジャパン株式会社が行った「退職理由のホンネとタテマエ」についてのアンケート調査(回答1,515名)によると、約半数の人が会社に本当の退職理由を伝えていないことがわかりました。

会社に伝えた退職理由と本当の退職理由は以下のようなものです。

【会社に伝えた退職理由】

(1)結婚、家庭の事情(23%

(2)体調を崩した(18%)

(3)仕事内容(14%)

【本当の理由】

(1)人間関係(25%

(2)評価・人事制度(12%

(3)社風や風土、給与、拘束時間(各11%

 社員の本音から考える

この調査からわかることは、社員が伝える退職理由は本音からは離れていることがままあるということです。

退職者が多い会社というのは、「本当の理由」として挙がっている例から想像される通り、相対的に会社の雰囲気が悪かったり、待遇面で不満を持つ社員が多かったりする会社とも見られてしまうわけですから、求職者も離れていきます。

退職者の本音と建て前を見極めながら対策を講じていくことも必要でしょう。