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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

最低賃金 過去最大の引上げにどう対応する?                                                              R4年9月           

令和4年度最低賃金は過去最大の引上げ

8月2日、厚生労働省が公表した令和4年度地域別最低賃金額改定の目安は、同審議会公益委員の見解として示された3.3%を基準とした結果、3031円という過去最大の引上げとなりました。

 

目安を上回る額の改定を決定するところも

これを踏まえて各都道府県の地方審議会における改正の議論が行われ、8月9日までに、27の都道府県で答申もしくは公示が行われています。

このうち、茨城県、兵庫県、佐賀県、熊本県では、中央最低賃金審議会が答申した額を上回る32円の引上げを決定しています。また、北海道のように目安が30円のところ、31円の引上げを決定したところもあります。

 

中小企業向けの支援策は?

一方、中央最低賃金審議会では、企業物価指数が9%超の水準で推移する中で多くは十分な価格転嫁ができず厳しい状況であること、特に中小企業・小規模事業者の賃金支払能力の点で厳しいものとなったとの受止めはされています。

そのため、答申において、中小企業向けの支援策に関する政府に対する要望も盛り込まれています。

 

業務改善助成金の動向に要注目

具体的には、業務改善助成金について、原材料費等の高騰にも対応したものとするなどより実効性ある支援の拡充、また、最低賃金が相対的に低い地域における重点的な支援の拡充等が挙げられています。

具体的な内容はまだ明らかにされていませんが、昨年度は、最低賃金引上げに対応した業務改善助成金特例コースの受付が、令和4年113日に開始されました。

最低賃金額の改定は令和4年10月以降となります。こうした支援策の動向にも注目しておくとよいでしょう。

【厚生労働省「令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27195.html

半数以上の新入社員が10年以内の退職を考えている!~マイナビ転職「2022年卒新入社員の意識調査」より                                             R4年8月

 株式会社マイナビが、2022年卒の新入社員800人を対象にWEB上で「新入社員の意識調査」を実施し、その結果が公表されました。特に注目すべき項目について取り上げます。

 

今の会社を「3年以内に退職予定」は28.3%、「10年以内」では51.0

 この割合は昨年とほぼ同じですが、ここ数年微増しています。最も多い理由に、男性は「転職でキャリアアップしていきたい」(33.9%)、女性は「ライフステージに合わせて働き方を変えたい」(43.6%)があげられます。

「定年まで」と答えた割合は、18.5%でした。

 

65.0%が現在「働きがい」を感じている

 働きがいを感じる職場としてあげられたのは、「自身の成長を感じる」(55.6%)が最も多く、次いで「誰か(顧客・同僚)の役に立てた」(49.8%)、「褒められる、労われる」(48.0%)と続きます。意外にも、給料の項目「自身の働きに見合う報酬が得られている」は31.1%と低めの結果でした。

 待遇よりも精神面での充実のほうが重要視されているのかもしれません。

 

「テレワークが廃止されても働き続ける」は約半数

2022年の新入社員のテレワーク率は19.1%と減少傾向にありますが、現在テレワークをしている人に、テレワークが廃止されても働き続けるかを聞いたところ、51.3%が「働き続ける」、23%が「テレワークできる会社に転職する」、残りは「分からない」と回答しています。

 一方で、テレワークをしていない人に、テレワークができる環境で働きたいかを尋ねたところ、「働けるならテレワークがいい」(50.0%)、「思わない」(43.7%)と分かれる結果となりました。

2022年度の新入社員は、大学での授業や就職活動など、オンライン上で行うことが通常であった世代なので、完全出社という感覚に慣れていない可能性があります。

 完全出社、テレワークを問わず、上司や先輩からの声掛けにより、コミュニケーションがとりやすくなり、働きがいや職場定着につながるといえそうです。

【マイナビ転職「2022年新入社員の意識調査」】

https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/11

 

女性活躍の状況、採用への影響も?                                                            R4年 7月          

女性管理職の比率

「令和3年度雇用均等基本調査」(厚生労働省)の結果によると、課長相当職以上に占める女性の割合は12.3%(令和2年度は12.4%)で、係長相当職以上では14.5%(同14.6%)と、いずれも0.1ポイント低下したそうです。

また、役職別にみた女性の割合は、次のようになりました。

 役員21.4%(同20.3%)

 部長相当職7.8%(同8.4%)

 課長相当職10.7%(同10.8%)

 係長相当職18.8%(同18.7%)

欧米やシンガポール等のアジア諸国で3040%近い国々があるのと比べると、まだまだ低いようです。

 

女性活躍の状況に関する公表義務が拡大

現在、女性活躍推進法により、労働者数が101名以上の事業主に対し、女性の活躍にかかる「行動計画の策定・公表」が義務化されています。

内容は、女性の活躍に関する状況把握・課題分析、数値目標と取組みを盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表などです。

301名以上のいわゆる大企業については既に義務化されていましたが、今年4月にその適用対象が広がりました。100名以下の企業は、努力義務となっています。

 

いずれは男女の賃金格差の開示義務も拡大?

一方、7月には、従業員が301名以上の企業に対し、男女の賃金格差を開示することが義務付けされました。これもいずれ、適用対象企業の範囲が広げられるかもしれません。

 

採用場面で不利に?

適用対象ではないからといって、自社の状況を把握していないのは今後の人材採用の場面で不利になる可能性が高まります。来るべき適用拡大に備え、検討を始めてみてはいかがでしょうか。

その際には、「短時間正社員制度」、「勤務地限定正社員制度」、「職種・職務限定正社員制度」などの制度や残業削減方法など、働きやすい環境づくりについても併せて考える必要があるでしょう。

【厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」】

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r03.html


外国人技能実習制度見直しへ                                                                           R4年8月

国際的な批判

技術移転による途上国支援を目的に始まった外国人技能実習制度は、外国人を安価な労働力として使っている実態が指摘され、国際的にも批判を浴びています。

7月19日、米国務省は世界各国の人身売買に関する2022年版の報告書を発表し、その中で日本では外国人技能実習制度の参加者が「強制労働」をさせられているとの報告があると指摘。人身売買に関与した悪質な仲介業者や雇用主の責任を日本政府が追及していないと批判し、4段階評価で上から2番目のランクに据え置きました。

 

実際の状況

7月27日、厚生労働省から「外国人技能実習生の実習実施者に対する令和3年の監督指導、送検等の状況」が公表されました。その概要は次のとおりです。

・労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した9,036事業場(実習実施者)のうち6,556事業場(72.6%)。

・主な違反事項は、(1)使用する機械等の安全基準(24.4%)、(2)割増賃金の支払(16.0%)、(3)労働時間(14.9%)の順に多かった。

・重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは25件。

 

制度見直しの表明

古川法務大臣は7月29日、技能実習制度の見直しに向けた論点を発表しました。年内にも政府の関係閣僚会議の下に有識者会議を設置し、この論点をたたき台にした具体的な見直しの議論に着手する方針です。政府は抜本的な制度の見直しを急ぎます。

発表された論点には、「実習生の日本語能力が不足し、意思疎通が困難」「不当に高額な借金を負って来日する実習生の存在」「技能実習生の保護と、受け入れ先企業の監督を行う監理団体の相談・支援体制が不十分」「転職の在り方」などの問題点が示されました。

技能実習生を受け入れている企業は、制度の見直しを待つまでもなく、まずは法令違反を疑われるような実態がないかの自主点検も必要でしょう。

 

 

 

企業のメンタルヘルス対策の取組状況     R4年 8月                           

長引くコロナ禍によるメンタルヘルスの問題

新型コロナの影響で、様々な面からメンタルヘルスの問題が取り沙汰されることが増えてきました。長引くコロナ禍により不安や孤独を感じる人も多いのではないでしょうか。働く人にとっては、労働環境がガラッと変化したことで、メンタルに影響を受けている人も少なくないようです。

 

小規模の事業所では約半数で対策がとられていない

厚生労働省が公表した令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の結果によれば、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、労働者数50人以上の事業所で94.4%(令和2年調査92.8%)、3049人の事業所で70.7%(同69.1%)、1029人の事業所で49.6%(同53.5%)となっています。

取組内容(複数回答)をみると、「ストレスチェックの実施」がその大半を占めており、実施が義務化されていない小規模の事業所ではメンタルヘルス対策がとられていない割合が約半数という結果になっています。

 

仕事や職業生活に関する強いストレスがある人は5割

また、同調査によれば、現在の仕事や職業生活に関して強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は53.3%(令和2年調査54.2%)となっています。ストレスとなっていると感じるその内容(主なもの3つ以内)としては、「仕事の量」が43.2%で最も多く、「仕事の失敗、責任の発生等」(33.7%)、「仕事の質」(33.6%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」(25.7%)が続いています。

 

実効性のある対策の必要性

調査では、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%(令和2年調査9.2%)との結果も出ています。

実効性のあるメンタルヘルス対策を講じていくことは、企業の人材確保の面でも重要な課題であるといえるでしょう。

【厚生労働省「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」】

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r03-46-50_gaikyo.pdf

 

 

 

雇用調整助成金等の不正受給防止対策が強化されています                                       R4 年8月

会計検査院による是正要求

 会計検査院は、雇用調整助成金等と休業支援金等(以下、雇調金等)について多額の不適切受給が発生しているとし、厚生労働省に是正要求を行いました。具体的には、令和2、3両年度に支給決定された雇調金等を対象に検査したところ、33労働局計3億1,719万円について重複支給や二重支給、また不正受給が確認されたということです。厚生労働省には次のような処置を要請しています。

〇保有するデータを活用するなどして、不適切な支給がないか事後確認すること、その具体的な方法を策定すること等

〇リスクの所在等に十分に留意して実地調査の対象とする事業主の範囲を設定するよう見直しを行い、リスクの程度を適切に評価することにより付した優先度に基づき実地調査の対象とする事業主を選定すること、その具体的な方法を策定すること

 

厚生労働省は対策強化を明言

 これを受け、厚生労働省は対策を強化し、不正受給が疑われる場合は規定に基づく措置を行うとあらためて明言しました。今後は上記の要請に従い、事後確認の強化など、より厳密な調査が行われることが予想されます。これまでも事業者や従業員に対して不正受給への注意を促すリーフレット等が公表されていましたが、今一度これらの内容を確認し、万が一にも指摘を受けることのないよう、注意を払う必要があるでしょう。

【会計検査院「雇用調整助成金等及び休業支援金等の支給に関する事後確認の実施について」】

https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/4/pdf/040804_zenbun.pdf

【厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」不正受給防止対策を強化します】

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000973413.pdf

【厚生労働省「雇用調整助成金不正受給の対応を厳格化しています」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000919896.pdf

 

 

 受けさせっぱなしはNG! 健康診断有所見者へは「受診勧奨」を!                                              R4 年8月

事業者にもメリットの多い「受診勧奨」

 健康診断、「受けさせっぱなし」になってはいませんか?

「要再検査」「要精密検査」「要医療」など有所見と判定された労働者に対して、事業者は、「二次健康診断の対象となる労働者を把握し、当該労働者に対して、二次健康診断の受診を勧奨するとともに、診断区分に関する医師の判定を受けた当該二次健康診断の結果を事業者に提出するよう働きかけることが適当である」とされています(厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」)。この受診勧奨をしなかったために企業が安全配慮義務違反に問われた事件もあり、注意を要します。

また、病気が重症化する前に医療機関を受診すれば、労働者の健康リスクは低減されます。労働者に、健康に長い間働き続けてもらうことができれば、企業の生産性向上、ひいては業績向上にもつながるでしょう。

近時は個人情報保護やプライバシーの観点から受診勧奨を行わない企業も多いようですが、ぜひ積極的に行いたいものです。

 

受診勧奨の方法

口頭で医療機関の受診を促すこともありますが、受診勧奨は、一般的には文書で行うことが多いようです。受診勧奨文書の例がウェブサイト等で公開されていますので、参考にして作成するとよいでしょう。

 

勧奨しても受診しない労働者がいる場合の対応

受診勧奨を行っても、労働者が受診しないということも考えられます。安全配慮義務の観点からは、万一に備え、企業が義務履行のために最善を尽くしていたという証拠を残しておくことが大切です。たとえば、企業がどのような受診勧奨を行ったのか、それに対し労働者がどのような理由で受診を拒否したのか、記録しておくことなどが考えられるでしょう。

職場における転倒防止・腰痛予防対策について ~厚生労働省の検討会中間整理案より             
                                                       
R4 年8月

 

検討会開催の目的

厚生労働省において、転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会が開催されています。近年、特に小売業や介護施設等を中心に「転倒」や「腰痛」による労働災害が大きく増加しているものの、従来型の災害と同様の対策では十分な成果を上げることができていない状況にあることから、転倒防止・腰痛予防対策の在り方および具体的な対策の方針等について検討しているものです。

つまり、転倒防止・腰痛防止に効果的な取組みの推進に必要な制度等を見直し、新たな切り口による取組みを進めていこうというもので、会社としても注目していきたいところです。

今後、職場における対策の実施体制の強化などの論点も加えて、中間整理がまとめられる予定ですが、7月29日に第3回目の検討会が開催され、次のような中間整理案が示されています。

 

中間整理案の骨子

○安全衛生教育の在り方など

・労働者への雇入時教育等の安全衛生教育やその責任者への教育については、業界の実態も踏まえ、一定時間の座学等の既存の手法にとらわれず、アプリ等も活用した効率的・効果的な実施方法を提示していくべき。

・取組みが進むよう、ナッジの活用等行動経済学の観点からの研究を進め、手法として取り込んでいくべき など

○労働者の健康づくり等

・事業場において理学療法士等も活用して労働者の身体機能の維持改善を図ることは有用であり、国はそのための支援体制を拡充するべき。

・骨密度、「ロコモ度」、視力等の転倒(・腰痛)災害の発生に影響する身体的要因のスクリーニング(リスクを自覚させること)も必要(前提として労働者の不利益取り扱いに繋がらないような仕組みが必要) など

○中小企業等事業者への支援

・労働力のさらなる高齢化を見据え、身体機能の低下を補う設備・装置の導入等について、中小企業等事業者を国が引き続き支援していく必要がある。

【厚生労働省「転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会 第3回資料」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27149.html

「スタートアップ企業へ転職したい」ミドル世代は76% ~エン・ジャパン調査より            R4 年8月

スタートアップ企業は、革新的なビジネスを短期間で急激に成長させて利益を上げることを目指す企業を指します。エン・ジャパン株式会社は、運営するミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』で35歳以上のユーザーを対象に「スタートアップへの転職」についてアンケートを行い、1,059名から回答を得ました。

 

「スタートアップ企業へ転職したい」は76%。年代別では50代が最多

「スタートアップ企業への転職についてどう思いますか?」との質問に、76%が「転職したい」と回答しています(「積極的に転職したい」は16%、「条件次第では転職したい」は60%)。

年代別では、「積極的に転職したい」「条件次第では転職したい」を選択した割合は、50代が最多となっています。

 

スタートアップに転職したい理由1位は「先進性・革新性のある事業に携わりたい」

「積極的に転職したい」「条件次第では転職したい」と回答した人にその理由を質問すると、「先進性・革新性のある事業に携わることができると思うから」が最多で46%でした。

 一方、「転職したくない」「検討はするが、どちらかといえば転職したくない」と回答した人の理由は、「企業の将来性が不安だから」がトップで34%、次いで「年収や待遇が下がりそうだから」(32%)、「これまでの経験やスキルを活かせないと思うから」(31%)と続いています。

 

「年収が下がったとしても、スタートアップ企業へ転職したい」は25

 「積極的に転職したい」「条件次第では転職したい」と回答した人に「年収が下がったとしても、スタートアップ企業へ転職したいと思いますか?」と質問したところ、「転職したい」の回答は25%に留まりました。「転職したくない」は38%、「その他の条件による」は37%となっています。

 また、実際にスタートアップ企業への転職経験があるのは13%でした。

【エン・ジャパン株式会社「ミドル1000人に聞く!「スタートアップへの転職」実態調査―『ミドルの転職』ユーザーアンケート」】

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2022/30162.html