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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

賃上げ、過去最高を更新~厚生労働省の平成30年調査結果から                 H31年 1月

賃上げは過去最高を更新

厚生労働省が先月27日、平成30年の「賃金引上げ等の実態に関する調査結果」を公表しました。調査対象企業数は3,543社で、うち有効回答企業数は1,779社。有効回答率は50.2%でした。

これによると、定期昇給やベアによる1人平均の賃上げ額は月額5,675円で、前年から48円増え、比較可能な1999年以降で過去最高を2年連続で更新しました。賃上げ率としては2.0%で、前年比で横ばいでした。

 

賃金改定の実施状況

平成30年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%(前年87.8%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は0.4%(同0.2%)、「賃金の改定を実施しない」は5.9%(同6.3%)でした。

 

賃金の改定額

平成30年中の1人平均賃金の改定額(予定を含む)は5,675円(前年5,627円)で、「1人平均賃金の改定率」は2.0%(同2.0%)でした。また、企業規模別にみると、「1人平均賃金の改定額」は、5,000人以上の企業で7,109円(同6,896円)、1,0004,999人で5,645円(同5,186円)、300999人で5,247円(同5,916円)、100299人で5,039円(同4,847円)という結果でした。300999人規模の企業で改定額が前年を下回りましたが、それ以外では前年比プラスの改定水準となっています。

() 1人平均賃金は、所定内賃金(諸手当等を含むが、時間外・休日手当や深夜手当等の割増手当、慶弔手当等の特別手当を含まない)の1人当たりの平均額。

 

定期昇給等の実施

平成30年中の賃金改定が未定以外の企業(賃金の改定を実施しまたは予定している企業および賃金の改定を実施しない企業)のうち、定期昇給を「行った・行う」企業割合は、管理職69.7%(前年69.0%)、一般職80.1%(同77.5%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇しました。また、定期昇給制度がある企業のうち、平成30年中にベースアップを「行った・行う」企業割合は、管理職24.2%(前年22.9%)、一般職29.8%(同26.8%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇しました。

人手不足と景気の上昇を反映し、賃金の上昇傾向は調査結果にも表れているようです。

【厚生労働省「平成30 年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」(PDF)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/18/dl/10.pdf

過去最多を記録した「人手不足倒産」~帝国データバンク動向調査より                 H31年1月

「人手不足倒産」とは

帝国データバンクが実施した、全国約1万社の回答を集計した2018年9月の調査によると、正社員が不足していると回答した企業は全体の51.7%を占め、1年前の同調査(48.2%)に比べ増加しています。帝国データバンクでは、従業員の離職や採用難等により収益が悪化したことなどを要因とする倒産(個人事業主含む、負債1,000万円以上、法的整理)を「人手不足倒産」と定義し、過去5年半で発生した人手不足倒産を集計・分析しています。

今回は、2018年度上半期(2018年4~9月)の結果をもとにまとめます。

 

倒産件数・負債総額

2018年度上半期の人手不足倒産件数は76件で、前年同期(54件)より40.7%増えており、2年連続で過去最多を更新しています。一方、負債総額は1104,200万円で、前年同期(1912,900万円)より42.3%減少しています。

過去5年半の累計でみると、倒産件数447件、負債額9469,500万円にのぼります。

 

負債規模別

負債規模別の件数をみると、「1億円未満」が45件で前年同期(22件)に比べ2倍に増えていて、5年半累計でも227件(構成比50.8%)と小規模倒産が過半を占めていることがわかります。「1~5億円未満」が上半期27件、5年半累計で179件(構成比40%)と、5億円未満の倒産が全体の90%以上を占めています。

 

業種別件数

2018年度上半期で最も件数が多かったのは「サービス業」で26件、次に建設業(19件)、運輸・通信業(17件)と続きます。さらに業種細分類別の過去5年半の累計件数をみると、「道路貨物運送」38件、「老人福祉事業」27件、「木造建築工事」26件、「労働者派遣」21件、「建築工事」19件、「受託開発ソフトウエア」18件、「土木工事」15件となっています。

 

都道府県別

都道府県別の5年半累計をみてみると、「東京都」の62件が突出して多く、次に「福岡県」34件、「大阪府」32件、「北海道」と「静岡」が並んで25件、「愛知県」22件となっています。

10月から最低賃金が全国平均で26円引き上げられたり、運送費や原材料価格が高騰していたり、企業を取り巻く環境が厳しさを増す中、「人手不足倒産」もさらに増加することが懸念されます。

厚生労働省が生活習慣病の予防策を強化                        H31年 1月

寿命は延びても不健康な期間は変わらず

厚生労働省が、生活習慣病の予防策を強化します。高齢者人口が増えるなか、健康に過ごせる寿命を延ばし、意欲ある高齢者が長く働けるようにするのが目的です。背景には、人手不足があります。

寿命は年々延びており、日常生活を制限なく送ることができる期間を指す健康寿命も延びていますが、健康でない状態で暮らす期間は、男女ともにほとんど変わっていません。このままだと高齢化で病気を抱える人が増えるため、これに対応する必要があります。

 

予防対策は「ジム利用料の医療費控除拡大」と「自治体の予防事業支援」

厚生労働省は、インセンティブを強化することにより予防対策を強化する方針です。その1つめは、生活習慣病の患者が医師の指導に沿ってジムなどで運動をすると医療費として費用を控除できる制度がありますが、その対象となるジムを増やすことです。2つめは、生活習慣病の予防事業に力を入れる自治体に渡る交付金を増やすことです。

 

ジムの利用料が医療費控除になる要件

ジムで運動した場合に医療費控除の対象になるためには、次の3つの要件があります。

① 特定健康診査(いわゆるメタボ健診)において、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病である、または同等の状態であると診断された場合や、医師の「運動療法処方箋」に基づいて行う運動療法として行う運動であること。

② 厚生労働省が指定した「指定運動療法施設」で運動療法に取り組むこと。

③ おおよそ週1回以上の頻度で8週間以上にわたって、施設での運動を行っていること。

②の「指定運動療法施設」であるジムや施設は全国で200カ所程度にとどまっています。対象施設の要件として、健康運動指導士の配置や生活指導のための設備の設置、医療機関と提携していることが求められるためです。今回の見直しでは、こうした基準を緩めるなど制度の使い勝手を検討し、対象となるジムを増やす方針です。患者に有効な運動プログラムを処方する医師に対する診療報酬を引き上げることも検討します。

 

自治体の予防事業への交付金にメリハリをつけて競争を促進

平成30年度から実施されている「保険者努力支援制度」は、国民健康保険の財政基盤立て直しを主とする医療保険制度改革法に盛り込まれ、医療費の抑制で成果を上げた自治体に予算を重点配分する制度です。今回の見直しでは、その交付金にいっそうメリハリを利かせる予定です。自治体が手がける特定健康診査の実施率や糖尿病の重症化予防の取組みを点数化し、点数によって大きな差がつくようにして、自治体に予防対策の競争を促進するのが目的です。

「チームの雰囲気」が働く人の満足度やモチベーションにどう影響しているか?                            H31年 1月

ビジネスマンは、今の職場に満足しているのでしょうか。また、「チームの雰囲気」が働く人の満足度やモチベーションにどう影響しているのでしょうか。(株)日本能率協会総合研究所が行ったアンケート調査(第9回「ビジネスパーソン1000人調査」【理想のチーム編】、調査期間:2018928日~2018109日)からみていきます。

 

あなたは現在所属しているチームの雰囲気に満足していますか?

現在の職場のチームの雰囲気に「満足」(とても満足:10.9%、やや満足:43.6%)としている人は半数を超えました。ただ、20代、60代の約6割が満足している一方、50代、非正規職員では、過半数が満足していないという結果です。

満足している理由としては、「困ったときに助け合うから」(39.6%)、「自分なりに創意工夫で仕事を進めることができるから」(27.2%)、「互いに情報を共有したり学びあったりしているから」(22.2%)、「期待されている役割が明確であるから」(18.2%)が挙がっています。一方、満足していない理由としては、「フェアな評価がなされていない」(24.0%)、「困ったときにも互いに助け合うことがない」(21.8%)、「互いに本音を話せない」(21.3%)が挙がっています。

現在のチームに満足している人と満足していない人で比較すると、「職場のチームリーダーは、チームの雰囲気を良くすることができているか」について、満足していると回答する人は「できている」と6割が回答したのに対し、満足していない人は「できていない」との回答が5割を超えました。このように、チームの雰囲気に満足している人は、良好な人間関係を魅力と感じる傾向が強くあるようです。

 

上司から言われて嫌だと思う一言は?

「あなたが、上司から言われて嫌だと思う一言は何ですか」という質問について、1位に挙がったのは、「使えないな」(33.8%)。その他、2位に「そんなこともできないのか?」(32.6%)、3位に「余計なことをするな」(23.4%)となりました。次いで、「上が言っているんだから、やれ」(21.5%)、「やる気があるのか?」(16.5%)、「自分で考えろ」(11.5%)、「聞いてないぞ」(10.8%)となっています。

 

上司から言われてやる気がでる一言は?

一方、やる気がでる一言として挙がったのは、1位「ありがとう」(35.1%)、2位「よくやった」(23.9%)、3位「頑張ってるね」(19.8%)です。他には、「いいアイデアだ」(17.5%)、「おつかれさま」(17.4%)、「あなたにしかできない」(17.1%)、「期待しているよ」(16.0%)が続きました。上司による感謝とねぎらいの声かけが従業員のモチベーションアップにつながるようです。

【一般社団法人日本能率協会「第9回「ビジネスパーソン1000人調査」【理想のチーム編】」】

https://jma-news.com/wp-content/uploads/2018/11/845fa87cf4eec1440988e2087a54a9e1.pdf

平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果より                            H31年 1月

平成30年「高年齢者の雇用状況」

厚生労働省が平成30年「高齢者の雇用状況」(6月1日現在)を公表しました。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)では65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務づけており、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めています。今回の集計結果は、この雇用状況を報告した従業員31人以上の企業156,989社の状況をまとめたものです。

 

定年の引上げによる措置を講じる企業が微増

調査によると、65歳まで雇用確保措置のある企業は全体で99.8%となっています。内訳としては、「定年制の廃止」が2.6%(変動なし)、「定年の引上げ」が18.1%(1.0ポイント増加)、「継続雇用制度の導入」が79.3%(1.0ポイント減少)となっており、定年制度よりも継続雇用制度により雇用確保措置を講じる企業の比率が圧倒的に高い状況が読み取れますが、わずかながら定年の引上げを講じる企業が増加している様子も読み取れます。また、65歳を定年とする企業は全体で16.1%(0.8ポイント増加)、中小企業で16.8%、大企業で9.4%となっています。

 

66歳以上働ける制度のある企業は約28

66歳以上働ける制度のある企業は全体で27.6%(中小企業28.2%、大企業21.8%)に上っています。希望者全員が働ける制度に限ると10.6%になります(中小企業11.4%、大企業3.5%)。また、70歳以上働ける制度のある企業は全体で25.8%(中小企業26.5%、大企業20.1%)、定年制の廃止企業は2.6%(中小企業2.9%、大企業0.5%)となっており、人手不足が深刻な中小企業では特に、高齢者の雇用に関する意欲が高いことがうかがえます。

 

政府は70歳まで雇用継続へ法改正を検討

政府は1126日に行われた未来投資会議で、雇用の継続を企業に求める年齢を現在の65歳から70歳へ引き上げるために高年齢者雇用安定法の改正を目指すとしています。雇用継続は定年延長や再雇用制度の導入だけでなく、別の企業で働き続けるといった他の選択肢を盛り込むことも検討するとしています。高年齢者の雇用に関する措置については、さらなる検討が必要でしょう。

【厚生労働省「平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000182200_00002.html

2019年度からの社会保障改革の原案が明らかに                                         H31年1月

3年ぶりに経済・財政再生計画を全面改定

12月6日、政府が年内に決定する経済・財政再生計画の原案が明らかになりました。

前回の策定から3年ぶりの全面改定で、今回は社会保障改革に関する項目が100近く盛り込まれるなど、大幅に増加しています。

工程表の作成は、今年6月に安倍首相が経済財政諮問会議に指示していたもので、10日の会議で案が示され、年内にも決定されます。

 

1年で雇用改革を断行

まず、2019年度は何歳になっても働ける「生涯現役」の社会づくりに取り組むと明記しています。これまで65歳以上への継続雇用年齢の引上げについて検討されてきましたが、それを踏まえて改革を進めることが盛り込まれています。1126日の会議資料によれば、混乱が生じないよう、65歳までの現行法制度は改正を検討せず、65歳以上への継続雇用につき「一定のルールの下で各社の自由度がある法制を検討する」とされています。

さらに、高齢者や女性の就労拡大を促すため、短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大を図ることも盛り込まれています。

 

3年間で社会保障改革を

高齢者雇用の拡大と併せて、年金受給開始年齢を柔軟に選べるようにする改革、在職老齢年金制度の見直しを進めることも盛り込まれました。

さらに、マクロ経済スライドの仕組みや高所得者の年金給付の在り方についても検証するとしています。上記会議資料によれば、「年金支給開始年齢の引上げは行うべきではない」とし、「年金受給開始の時期を自分で選択できる範囲は拡大を検討する」としています。また、継続雇用年齢の引上げとともに、来夏に決定予定の実行計画において具体的制度化の方針を決定し、厚生労働省の労働政策審議会の審議を経て法律案提出を検討するとしています。

 

「人生100年時代」を見据え健康寿命を延ばす取組みも強化

政府は、中長期での社会保障費の削減に向け、健康寿命を延ばす取組みも強化します。健診や保健指導の実施率を引き上げ、メタボリックシンドローム該当者やその予備軍を2022年度までに08年度比で25%減らすことを目指すとしています。

外国人実習生に関する監督指導と技能実習制度の見直し                                 H31年 1月

外国人実習生に関する監督指導

入国管理法の改正に伴い、外国人技能実習制度等の見直しが行われます。日本の労働人口は、少子化や人口減少により、2030年までに最大で約900万人弱、2060年までには3,000万人弱も減少するといわれており、今回の入管法の見直しは、政府が労働力不足への対応としての在留資格見直しに大きく踏み出すことを意味しています。

「技能実習」について、外国人実習生を受け入れる企業に対して行われた全国の労働局や労働基準監督署による監督指導の状況を、厚生労働省が公表しています。

 

監督対象事業場・違反事業場は年々増加

平成29年は、実習実施者(企業)に対して5,966件の監督指導が実施され、4,226件(70.8%)で労働基準関係法令違反が認められました。主な違反としては、

・労働時間(26.2%)            ・安全基準(19.7%)

・割増賃金の支払(15.8%)      ・就業規則(9.2%)

・労働条件の明示(9.1%)

などとなっています。重大・悪質な労働基準関係法令違反により34件が送検されています。技能実習生の増加に伴って、監督・指導にも力が入れられ、その数も増加が予想されます。

 

違反の申告・通報もより活発に?

技能実習生から労働基準監督署などに対して労働基準関係法令違反の状況が申告されることもあります。技能実習生同士のつながりにより、賃金や割増賃金の不払いがある等の情報は広まりやすいと思われます。また、こうした申告は、労働基準監督署に対するものだけではなく、出入国管理機関(各地の入国管理局)に対しても行われ、それが労働局・監督署へ通報されて監督等につながるケースもあります。技能実習制度の違反等に対するペナルティとして、実習生の受入れの停止等が行われますので、企業活動に大きく影響します。

 

改正に伴う情報収集を

新しい制度が始まれば、それに伴って企業への監督等も厳しくなることが予想されます。また、労基法・安衛法関連だけでなく、技能実習制度自体に定められている報告や手続きについても、新制度の下で見直しが行われると思われます。外国人雇用・技能実習生の受入れなどを検討する企業は情報に注意しておきましょう。

【厚生労働省「外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(平成29年)」】

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/besshi.pdf

私立高校の教員の労務管理の実情と学校の働き方改革の動向                    H31年1月

4割強が36協定未締結

公益社団法人「私学経営研究会」は、昨年6~7月に全国の私立高校の約8割にあたる約1,100校を対象に「私学教職員の勤務時間管理に関するアンケート調査」を実施し(うち332校が回答)、その結果、4割強の151校が36協定を結んでいなかったことが明らかになりました。さらに、直近5年間で78校が労働基準監督者の立ち入り調査を受け、24校が是正勧告・指導を受けていたことが判明しました。

また、出勤簿に教員の出勤時刻を記入していない高校は208校、退勤時刻は67校に及びました。今回の調査は、今までは勤務実態が見えにくかった私立高校の教職員の労務管理について、十分に把握されていないという現状が初めて明らかになりました。

 

公立校の教員の違いとは?

私立校の教員は、民間企業の社員と同様に労働時間や残業代について、労働基準法が適用されます。つまり、労使間で協定を結ばず法定労働時間を超えて残業や深夜労働、休日出勤した場合は労働基準法違反となります。

今回の調査では、177校が「調整手当」といういわゆるみなし残業代として一定金額を支給している現状も明らかになりました。公立校では、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」に基づき、残業代を支払わない代わりに、基本給の4%の支給(「教職調整額」)をすることが認められています。

そのため、多くの私立校では、公立校にならって残業代の代わりに「調整手当」として一定の金額を支払っているのですが、残業時間がその手当の相当分を超えた場合は違法となります。

 

学校の働き方改革についての議論が進行中

現在、中央教育審議会では、給特法の改正を含めた学校の働き方改革について議論をしています。12月6日に示された指針案では、教員の残業の上限を原則月45時間、年間360時間を超えないようにすると明記しました。これは民間企業の時間外労働の上限を定めた働き方改革関連法に沿った内容であり、また、いじめ問題への対応など特別な事情があっても月100時間未満、年720時間までとする制限を設けました。パブリックコメントを踏まえて年明けにも指針案を正式決定するとしています。

悪質なクレームはハラスメント! 企業向け対策指針、策定へH31年1月

悪質クレームはハラスメント

顧客や取引先から従業員への悪質なクレーム(「クレームハラスメント」「カスタマーハラスメント」などとも。以下「悪質クレーム」といいます)が社会問題となっています。企業向けの悪質クレーム対応マニュアルがベストセラーとなっていますし、報道を目にする機会も増えています。

 

悪質クレームに関する調査結果

UAゼンセン「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査分析結果」(2018年9月公表)によると、「業務中に来店客から迷惑行為に遭遇した」従業員は70.1%とのことです。迷惑行為の内訳(複数回答)では、「暴言」が最多の66.5%で、以下「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」(39.1%)、「権威的(説教)態度」(36.4%)などとなっています。

注目すべきは、迷惑行為を受けた従業員の91.3%がストレスを感じているほか、「精神疾患になった」という回答もあった点です。同調査は、対象に離職した人が含まれていないため、悪質クレームにより精神疾患を患ったり離職したりした人は潜在的に少なくないとしています。悪質クレームには、従業員を疲弊させ、休職や離職をさせてしまうリスクがあるということです。

 

厚労省も悪質クレーム対策を議論中

こうした中、厚生労働省は11月、悪質クレームを「職場のパワハラに類するもの」と位置づけ、企業が取り組むべき対策を指針にまとめる方針を明らかにしました。セクハラ・パワハラ対策の法制化などとあわせて労働政策審議会で議論し、来年の通常国会に関連法改正案を提出する見通しです。

 

悪質クレームから従業員を守るには

では、企業としてどのような対策・取組みが考えられるでしょうか。この点について、上記調査では「迷惑行為への対応を円滑にする企業の相談体制の整備」が最多の40.8%(複数回答)となっています。悪質クレームに対峙する多くの従業員は、セクハラやパワハラなどの対策と同様、自社が親身に相談にのってくれることを望んでいるといえます。悪質クレーム対応を現場まかせとするのではなく、企業として従業員をサポートする姿勢が大切です。