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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

雇用均等基本調査にみる「女性管理職」登用の実態                          H28年9月

◆厚労省が実施する「雇用均等基本調査」

「雇用均等基本調査」は、男女の均等な取扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に、厚生労働省が実施しています。

平成27年度の調査では、全国の企業と事業所を対象に「管理職に占める女性の割合」や「育児休業制度の利用状況」などについて、昨年10 月1日現在の状況がまとめられています。

ここでは「女性管理職」についてスポットを当ててみます。

 ◆企業調査の結果から

1)女性管理職を有する企業の割合

課長相当職以上の女性管理職(役員を含む。以下同)を有する企業の割合は59.1%(平成25 年度調査では51.4%)、係長相当職以上の女性管理職を有する企業割合は65.9%(同59.2%)で、役職別にみると、部長相当職は9.6%(同9.2%)、課長相当職は17.4%(同16.8%)、係長相当職は20.1%(同21.5%)となっています。

企業規模別にみると、おおむね規模が大きくなるほど各役職とも女性管理職を有する企業割合が高くなり、5,000 人以上規模では部長相当職が61.0%(同63.5%)、課長相当職が89.7%(同93.5%)、1,0004,999 人規模では部長相当職が37.5%(同35.9%)、課長相当職が67.5%(同70.6%)との結果になっています。

2)管理職に占める女性の割合

課長相当職以上の管理職に占める女性割合は11.9%(平成25年度調査では9.1%)で、前回調査に比べ2.8 ポイント上昇しており、係長相当職以上の割合は12.8%(同10.8%)で、同じく2.0 ポイント上昇しています。

役職別にみると、部長相当職では5.8%(同4.9%)、課長相当職では8.4%(同6.9%)、係長相当職では14.7%(同13.8%)といずれも前回調査から上昇しています。

なお、課長相当職以上の女性管理職割合を産業別にみると、「医療・福祉」(46.7%)、「生活関連サービス業・娯楽業」(28.0%)、「宿泊業・飲食サービス業」(25.1%)の順で高くなっています。

 ◆「女性活躍推進法」が施行

女性活躍推進法が施行され、企業は女性が活躍できる職場をどのようにつくっていくのかを考え、具体的な取組みを進めていくことが求められています。

平成27年度「過労死等の労災補償状況」が公表されました
                     H28年9月

◆過労死等の労災請求件数が増加

厚生労働省から2015年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました。脳・心臓疾患の労災請求件数は795件(前年度比32件増)、業務上と認定された支給決定件数は251件(同26件減)で、このうち死亡件数は96件(同25件減)となりました。

なお、ここで言う「過労死等」とは、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」と定義されています(過労死等防止対策推進法第2条)。

 ◆精神障害の労災請求件数も増加

また、精神障害の労災認定については、請求件数は1,515件(前年度比59件増)となり、このうち自殺件数(未遂を含む)は199件(同14件減)でした。

支給決定件数は472件(同25 件減)となり、このうち未遂を含む自殺の件数は93件(同6件減)でした。

 ◆「時間外労働80時間」で立入調査の対象に

過労死等の労災認定については、「死亡・発症前における長時間労働の有無」が判断材料の1つとなります。

脳・心臓疾患については、発症前1カ月間におおむね100時間の時間外労働があると業務災害であると判断されやすくなります。また、精神障害については、発病直前の1カ月におおむね160時間の時間外労働があると業務による心理的負荷が「強」と判断され、業務災害であると判断されやすくなります。

労災認定についてはこの他にも細かい基準はありますが、長時間労働が長ければ長いほど「業務上である」と判断されやすくなると考えてよいでしょう。

なお、今年度から、労働基準監督署が企業に立入調査に入る際の基準が引き下げられました。これまでは「100時間」の時間外労働が基準でしたが、これが「80時間」に引き下げられており、対象が大幅に拡大されています。

 ◆長時間労働のリスク

長時間労働は従業員も会社も疲弊させてしまい、どちらにとっても好ましくない結果につながるリスクが増大します。

恒常的に長時間労働となっていると問題解決の視点が見えにくくなりますので、早期の改善が必要です。

自動車運転者に関する「相互通報制度」の改正について
                      H28年9月

◆厚労省通達が改正

厚生労働省より、自動車運転者の労働条件改善のための地方運輸機関との相互通報制度に関する通達が改正されました(基発第145号平成元年327日、改正基発08081号平成2888日)。

自動車運転者の労働条件の確保・改善のための改善基準告示等に重大な違反が認められた事案について、労働基準監督官機関と地方運輸機関との間で「相互通報制度」が設けられていますが、今回の改正は、自動車運転者の健康確保のため、労働安全衛生法に基づく健康診断を実施していないなどの違反が認められた事案についても相互に通報するという内容です。

 ◆「相互通報制度」とは?

労働基準監督機関と地方運輸機関が運送事業者への監督等の結果を相互に通報し、これに基づきそれぞれが調査等のうえ、所要の措置を講じ、自動車運送事業に従事する自動車運転者の労働条件の改善を図るというものです。

 ◆改正の内容

今回の改正で、通報事案の中に「労働安全衛生法(健康診断)」が新たに追加されました。

1)労働基準監督機関から地方運輸機関への通報

臨検の結果、道路運送法および貨物自動車運送事業法の運行管理に関する規程に重大な違反の疑いがあると認められた事案(改善基準告示違反、最低賃金法違反、労働安全衛生法(健康診断)違反等)

2)地方運輸機関から労働基準監督機関への通報

監査の結果、自動車運送事業者について労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法(健康診断)、改善基準告示について重大な違反の疑いがあると認められた事案

 ◆改正の背景

自動車運転者について運行の中止を含む健康起因事故の報告件数が増加傾向にある状況を踏まえ、今回の改正となりました。

通達の改正は、平成2888日から実施されています。

厚労省調査結果にみる「労使間の交渉」の実態査結果                                         H28年9月

◆「労使間の交渉等に関する実態調査」について

本調査は、労働組合と使用者(または使用者団体)の間で行われる団体交渉、労働争議および労働協約の締結等の実態を明らかにすることを目的として行われるものです。

昭和58年から実施されており、平成25年からの見直しに伴い平成27年は従来の「労働組合実態調査」、「労働組合活動実態調査」、「労働協約等実態調査」および「団体交渉と労働争議に関する実態調査」を再編したものとなりました。

本調査結果は、約5,200労働組合に対して実施し、約3,200労働組合から得た有効回答をまとめたものです。

 ◆団体交渉の状況

過去3年間(平成24 71日~平成27 630 日)に使用者側との間で行われた団体交渉の状況は、「行った」が67.8%、「行わなかった」が32.2%となっています。

このうち「行った」と回答する割合は企業規模が小さい労働組合のほうが高く、「5,000人以上」が45.2%、「1,0004,999人」が59.8%に対し、「500999人」が79.9%、「300499人」が78.3%、「100299人」が84.4%、「3099人」が78.4%となっています。

 ◆労使間の交渉状況

過去3年間に「何らかの労使間の交渉があった」事項は、「賃金・退職給付に関する事項」(83.5%)、「労働時間・休日・休暇に関する事項」(70.9%)、「雇用・人事に関する事項」(62.6%)、「職場環境に関する事項」(52.1%)の順に高くなっています。

また、上記のうち「使用者側と話合いが持たれた」事項をみると、「所定外・休日労働」が98.1%、「賃金制度」が97.4%、「所定内労働時間」が96.7%、「賃金額」が96.1%となっています。

さらに、その結果、「労働協約の改定がなされた又は新たに労働協約の規定が設けられた」とする割合を事項別にみると、「育児休業制度、介護休業制度、看護休暇制度」が29.7%、「賃金制度」が24.7%、「賃金額」が23.0%、「休日・休暇」が23.0%という結果です。

 ◆正社員以外の労働者に関する状況

正社員以外の労働者の「組合加入資格がある」割合は、平成25年と比較すると、派遣労働者を除いていずれも増えており、「パートタイム労働者」35.6%、「有期契約労働者」39.9%、「派遣労働者」11.1%、「嘱託労働者」34.0%となっています。

実際に正社員以外の労働者の組合員がいる割合も派遣労働者以外は4%前後増えています。

「高年齢者の労働災害」を未然防止するための対策
H28
年9月

◆企業にとっての重要課題

現在、高年齢者の労働災害防止は重要な課題となっています。

厚生労働省の「第12次労働災害防止計画」によると、60歳以上の労働者の死亡災害発生率(危険度)は若者の3.6倍、また、50歳以上の労働者が全死亡災害の56%を占めています。

労働者の定年延長や退職者の再雇用が進み、企業の人手不足感から高齢者の積極的な活用というニーズが生じている中で、高年齢の就業者は今後さらに増えることが見込まれますので、対策は急務です。

 ◆加齢による身体機能の低下に伴う労災が多い

高年齢者の労働災害では「墜落・転落・転倒」が多数を占めます。加齢により、平衡感覚や筋力・視力・聴力、鋭敏性が低下することがその要因の1つです。

財団法人労働科学研究所によると、55歳~59歳の身体機能は20歳~24歳と比較すると、平衡機能は48%、薄明順応は36%、視力は63%、瞬発反応は71%など、大きく低下しますが、高年齢労働者自身は自分の身体機能の低下を軽く見る傾向にあり、注意を促してもあまり危機意識を持たないということも多いようです。

また、高年齢者の場合、傷害が重篤化して休業も長期化する傾向にあります。復帰しても、予後が思わしくないことも少なくありません。

 ◆対策には「加齢」を意識することが肝要

このような高年齢者の労働災害を未然に防止するためには、特に「加齢」を意識した対策を講じることが求められます。

例えば、身体機能の低下に配慮して作業負荷を軽減するような作業方法を定め、その方法が適切に実施されるように管理する、労働者個人の健康の状態をチェックして異常を早期に発見するためのシステム作りを行い、健康を管理する、といった対策が考えられるのではないでしょうか。