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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

厚生労働省が労働法令違反による送検企業名をHPで公表
                           H29年7月

#2全国の労働局の送検企業を一覧で公表

厚生労働省は5月上旬、長時間労働や賃金不払い、労災につながる安全配慮義務違反などの労働関係法令に違反した疑いで書類送検した企業名を、同省ホームページ(HP)に掲載しました。

掲載されたのは334件で、全国の労働局が昨年10月以降に書類送検した企業・事業所名、所在地、公表日、違反した法律、事案概要などを県別に並べたものです。

各労働局の発表内容を一覧表にまとめて公表したのは初めてのことです。

 

安衛法違反の事例が最多

公表されたリストの内訳をみると、企業が安全対策を怠った労働安全衛生法違反が209件で最も多く、次いで賃金未払いなど最低賃金法違反が62件、違法な長時間労働をさせるなどした労働基準法違反が60件、労働者派遣法違反19件などとなっています。

労働基準法違反では、女性社員が過労自殺した電通や、社員に違法な残業をさせた疑いで書類送検されたパナソニック、労災事故を報告しなかった疑いで書類送検された日本郵便などの大企業も含まれています。

また、他にも三六協定で定めた時間を超える違法な残業をさせた疑いで、印刷会社や運送会社などが書類送検されています。

同じ会社が複数回書類送検されたケースもあり、地域別では最も多かったのが愛知労働局の28件、次いで大阪労働局の20件、福岡労働局の19件となっています。

 

一覧は毎月公表、掲載期間は1

厚生労働省は各労働局に対し、企業を書類送検したら公表するよう通達していますが、これまでは報道機関に資料を配布するだけの労働局が大半で、企業名をHPで公表する労働局は大阪や岩手など7局だけでした。

今回の公表は、昨年末に発表した「『過労死等ゼロ』緊急対策」の一環で、同省は「一覧表にすることで社会に警鐘を鳴らす狙いがある」としています。

なお、今後は月に一度内容を更新する方針とのことであり、公表期間は書類送検した日から約1年ですが、期間中に違法状態を改善した企業名はホームページから削除されるそうです。

平成304月から障害者の法定雇用率が引き上げられます!                                  H29年7月


◆企業に課されている義務

従業員を50人以上雇用している企業は、従業員に占める障害者の割合を法定雇用率以上にする義務が課されています。

現在の民間企業における法定雇用率は2.0%ですが、厚生労働省は、平成304月から2.3%に引き上げる方針を固めました。

これは、来年4月から、障害者雇用率の算定式に精神障害者を追加することとなること等を踏まえたものです。

 

障害者雇用率の引上げ率は?

民間企業の障害者雇用率は現行2.0%ですが、2.3%(当分の間2.2%3年を経過する日より前に2.3%)に引上げられます。

国および地方公共団体ならびに特殊法人については現行の2.3%から2.6%(当分の間2.5%、3年を経過する日より前に2.6%)に、都道府県等の教育委員会については現行の2.2%から2.5%(当分の間2.4%3年を経過する日より前に2.5%)に引上げられます。

いずれも0.3%の引上げ幅となります。

 

算定式に精神障害者を追加

平成30年4月より、法定雇用率の算定基礎の対象に、新たに精神障害者が追加されます。これにより、身体障害者・知的障害者・精神障害者を算定基礎として法定雇用率を計算することになります。

<算定式>

法定雇用率=(身体障害者、知的障害者および精神障害者である常用労働者の数+失業している身体障害者、知的障害者および精神障害者の数)÷(常用労働者数+失業者数)

※「障害者」の範囲は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象とします(短時間労働者は0.5人としてカウント)。

 

「サポーター」を養成へ

厚生労働省は、今秋から、精神障害者などが働きやすい職場づくりの旗振り役となる「精神・発達障害者しごとサポーター」の養成を始めるようです。民間企業で働く従業員に障害の特性などを把握してもらい、障害を持つ同僚への声かけなどをしてもらうなど、精神・発達障害者を支援する環境づくりを推進していくことを目的とするものです。

なお、サポーター養成のため、民間企業の従業員を対象に障害の特性やコミュニケーションの取り方などを学ぶ講習会を全国で開催する予定とのことです。

開始から12年!「クールビズ調査」の結果から
H29年7月

開始から12年の「クールビズ」

環境省が2005年の夏から推し進めてきた「クールビズ」ですが、今年も環境省が推奨している実施期間は昨年と同様、51日~930日となっており、すでに各企業でも取組みが始まっているようです。

この「クールビズ」は、開始から12年が経ち、夏になると対応した着こなしが提案されたりするなど、社会的に浸透している取組みとなっています。

 

認知度は9割超 実施率は約6

一般財団法人日本気象協会が、天気予報専門メディア「tenki.jp」内の『tenki.jpラボ』で20代から50代までの会社員(男女計400名)を対象に実施した「クールビズに関するアンケート調査」によると、「クールビズを知っている」と答えた人は98.3%に上ったそうです。

ほぼ全員が知っていると言える数字ですが、一方で、クールビズを「実施したことがある」と答えた割合は61.5%と、認知度と実施率にはギャップのある結果となっています。

 

「関東・甲信地方」では実施率が高い

上記の調査では地方別の実施率も示されており、最も実施率が高い地方は「関東・甲信」で、75.0%という結果となっています。以下、「中国」「沖縄」(いずれも70.0%)と続いており、逆に最も実施率が低い地方は「東北」で52.5%となっています。また、「九州」も55.0%と低くなっています。

これらの結果を見ると、単純に屋外の気温や湿度の関係だけによって実施率が左右されるわけではないことがわかります。

 

働きやすい職場環境を保つことが重要

環境省では「室温28度」で快適に過ごせる取組みを推奨していますが、中には「28度では不快なのではないか?」という意見も出ているようです。

同省は、推奨している室温28度という設定温度は「空調の設定温度」ではなく、あくまで「室温」であるとしていますが、冷房の設定温度を28度とすると不快な暑さを感じる場合もあるかもしれませんので、「午後は西日が当たりやすい」「オフィス機器が熱源となっている」など、職場の環境によって冷房の設定温度は調整が必要になるでしょう。

職場の状況に合わせて快適な職場環境を保ち、暑い夏を乗り切りたいものです。

中途採用者の確定拠出年金の取扱いで注意したいこと                           H29年7月

iDeCo」の加入者が急増中

確定拠出年金の加入者数は、会社が社員を加入させる「企業型」が500万人超となる一方、自営業者等が加入する「個人型」は20163月末時点で26万人弱(25.7万人)しかいませんでした。

ところが、今年1月より確定拠出年金法が改正され、20歳から60歳までの人はほぼ全員が「個人型」(以下、「iDeCo」)に加入できるようになって以降、急速に加入者数が増えています。 

20173月末時点のiDeCo加入者数は43.0万ですが、20143月末が18.3万人、20153月末が21.2万人、20163月末が25.7万人だったことを考えると驚異的な伸びとなっています。

 

会社員等の新規加入も増加

厚生労働省が毎月公表している「確定拠出年金の施行状況」で、厚生年金や共済年金に加入する第2号被保険者のiDeCoの新規加入者を見ても、1月時点が22,647人(8,719人)で、2月時点が43,694人(23,268人)、3月時点が47,532人(2372人)、4月時点が52,487人(16,939人)と、増加傾向にあります(カッコ内は全体のうち共済組合員の数)。

 

確定拠出年金の「ほったらかし」問題も深刻化

確定拠出年金は、加入者が離転職をしても次の勤務先等へ資産を持ち運べる「ポータビリティ」が魅力とされますが、離転職時には資産の保管先を移し換える手続きが必要です。

この手続きを行わない人が55万人超もいて、将来の受取りへの影響が懸念されています。

 

中途採用者には手続きの呼びかけを

企業型の加入者は、退職後6カ月以内に移換手続を行わないと手数料だけが引かれ、資産が目減りしていきます。また、「ほったらかし」の期間は加入期間としてカウントされなくなるので、60歳になっても受取りに必要な10年の加入期間を満たせなくなるおそれがあります。

iDeCoの加入者も、転職先が企業型を導入しているか否かにより異なる手続きが必要です。

今後、中途採用者の中に確定拠出年金の加入者が増えることが予想されます。会社としては、社員の老後資産の確保のためにも、速やかに手続きを行うよう呼びかけることが望ましいでしょう。

企業が実施するメンタル不調対策が的を射ていない!?
H29年7月

ストレスマネジメントに関する調査

一般社団法人日本経営協会が実施した「組織のストレスマネジメント実態調査」の結果から、メンタルヘルス不調の要因と企業が行う対策がうまくかみ合っていない状況があることがわかりました。

この調査は、ストレスチェック制度開始後、最初の実施期限直後である201612月から20171月にかけて行われました。

企業におけるストレスチェック制度の進捗状況やストレスマネジメント全般の状況、今後の課題等について、「勤務先事業所の現状」「メンタルヘルスに関する取組状況」「ストレスチェック制度の実施状況」「職場環境の改善」についてまとめられています。

 

要因と対策にズレがある

この調査の中で、「職場環境の改善」について、メンタルヘルス不調者を出さないために企業が行った対策は、1位:「超過勤務(残業)時間の削減」(69.4%)、2位:「従業員のハラスメントに対する知識と意識の向上」(44.2%)、3位:「ハラスメント防止・対策の強化」(35.5%)という結果となっています。

一方、メンタルヘルス不調者が発生する主要因としては、1位:「職場の人間関係」(64.3%)、2位:「本人の性格」(43.7%)、3位:「上司との相性」(40.0%)となっており、対策のほうで1位となっている「長時間労働」は、要因としては6位となっています。

つまり、要因と対策がかみ合っていないことがうかがえます。

 

スキル不足と人員不足

また、ストレスマネジメントを実施するうえでの問題として、専門知識やスキルを持つ人材がおらず、マネジメントとの中心となる上司自身も多忙で手が回らないことがあるようです。

こうした状況で、部下のマネジメント対策を行う上司がメンタル不調に陥ってしまっては意味がありません。また、対策がうまくいかなければ、メンタル不調にならずとも他社へ転職してしまう等の人材流出や、他の従業員のストレス増加、士気の低下などにもつながりかねません。

 

経営戦略としてのメンタルヘルスマネジメント

メンタルヘルス不調の主要因が、職場のコミュニケーションや人員構成にあるとすれば、その対策には労働時間等に関する個別の労務管理はもとより、「ストレスなく健康に働くことを尊重する雰囲気・マインドを醸成する」という、企業の経営戦略ともリンクした人事マネジメントの視点での全社的な取組みが重要となるでしょう。

女性の就業率や管理職割合に関する地域差について                    H29年7月

女性の就業率が過去最高に

政府は、平成29年版「男女共同参画白書」を閣議決定しました。この白書は、男女共同参画基本法に基づき作成している年次報告書で、今年は女性活躍推進法施行後の現状と課題について特集しています。

同白書によると、平成28年の1564歳の女性の就業率は66.0%で、過去最高となりました。これは男女雇用機会均等法が施行された昭和61年(1986年)の53.1%から約13ポイント上昇したことになります。

 

地域別の就業率は?

都道府県別でみると、平成27年時点の女性の就業率は、福井県(74.8%)が最も高く、次いで富山県(72.2%)、島根県(71.8%)となっています。北陸地方が高い理由としては、2世代・3世代で一緒に住んでいる家庭が多いため、子育ての負担が軽減でき、出産後も仕事に復帰しやすい環境が整っていることなどが挙げられています。

また、就業率が低いのは、奈良県(58.5%)、兵庫県(60.6%)、大阪府(61.4%)となっています。福井県と奈良県の差が16.3ポイントもあることから、地域によってばらつきがあることがわかります。

海外では北欧が上位

また、海外諸国と比べると、日本はOECD(経済協力開発機構)35か国中16番目(OECD平均は58.6%)です。

なお、最も高い国はアイスランドで81.8%、以下、スイス、スウェーデン、ノルウェーと続いており、北欧諸国は女性が働きやすい環境が整っていると言えます。

 

2020年までに女性管理職を30%に!

女性管理職の割合は全国平均で13.4%となっています。高知県(21.8%)と青森県(20.3%)では20%を超える一方で、滋賀県、石川県(ともに8.0%)など10%未満の地域が6県あり、地域によって大きな差があります。

女性活躍推進法が施行されて1年が経ち、政府は2020年までに女性管理職の割合を「30%」にするとの目標を掲げていますが、今後は女性活躍に関する目標設定や情報の見える化をさらに進めるよう促していくとしています。

「AI革命」で雇用はどう変わるのか                         H29年7月

AIブーム席巻中

昨年頃から実用化され始めたAI(人工知能)技術が、ここにきて一大ブームとなっており、AIについての報道や出版物が日に日に増しています。

ここでは、「AI」と「雇用」の関係について考えてみます。

 

労働者の半数が機械に仕事を奪われる?

AIと雇用について論じる際、必ず引用されるのが、マイケル・オズボーン准教授(オックスフォード大学)らが2013年に発表した、「今後1015年の間に、米国の労働人口のうち47%が、AIやロボットに代替され得る」という研究結果です。

関連する別の研究によれば、日本では、労働人口の49%が、AIやロボットによる代替可能性が高いそうです(リクルート機関誌『Works.137』特集「同僚は人工知能」、2016年)。

労働者のおよそ半数が仕事を失ってしまう…そんな驚くべき未来が、そう遠くない将来に現実のものとなるというのです。そのとき、企業では何が起きるのでしょうか。

 

仕事が無くなっても配置転換で対応してきた日本企業

労働法の歴史に詳しい大内伸哉教授(神戸大学)は、次のように指摘しています(『AI時代の働き方と法』弘文堂、2017年)。

1980年代のME(マイクロ・エレクトロニクス)革命や1990年代のIT革命の際にも、業務が一新され、従前の雇用が大量に失われた。その一方、MEやITに従事する新たな雇用も創出されたので、日本型終身雇用に守られた労働者は再配置(社内配転等)がなされ、大量の失業者が発生する結果にはならなかった。

・ただし、AI・ロボット技術による革命では、(1)技術の発達が早すぎる、(2)肝心の雇用がそれほど創出されない、という2つの理由により、再配置には困難が伴うだろう。

 

AI時代に備えた雇用を

労働法が現行の内容である限り、日本の企業はたとえAIによって自社の職務の多くが失われても、自社従業員の雇用を守るべく、少なくとも努力をしなければ、裁判所は労働者の整理解雇の妥当性を認めません(解雇回避努力義務)。

もちろん、「何がなんでもAIの脅威から従業員の雇用を守らなければならない」ということではありませんが、少なくとも今後はAIによって自社の雇用も大きく変わることでしょう。

前述の『Works.137』は、企業の人事に向けて、「安心して共存するためのルールを、働く人とともにつくれ」「新しいことを常に学ぶ態度を身に付けさせよ」「AIによって人事自体の生産性を向上せよ」など、14の提案をしています。

AIブームを機に、自社の中長期的な雇用について考えてみてはいかがでしょうか。