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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

厚生労働省の支援策で「無期転換ルール」対応は進むか?
                  H28年6月

平成30年度から本格化

 有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって企業などが無期労働契約に転換しなければならない「無期転換ルール」は、平成30年度から本格的にスタートします。
厚生労働省は、このルールに関して平成28年度に実施する以下の支援策を4月下旬に発表しました。

(1)無期転換制度の導入支援のための「モデル就業規則」の作成(2)無期転換制度や「多様な正社員制度」の導入を検討する企業への
   コンサルティングを実施
(3)無期転換ルールも含めた「労働契約等解説セミナー」を全国で
208回開催
(4)無期転換制度や「多様な正社員制度」についてのシンポジウムを
   開催
(5)先進的な取組を行っている企業の事例を厚生労働省のホームペー
   ジなどで紹介
(6)無期転換制度の導入手順などを紹介するハンドブックを作成(7)キャリアアップ助成金を拡充
(8)都道府県労働局(雇用環境・均等部(室))に専門の相談員を
   配置

 ◆無期転換対応の動きが進むか?

 独立行政法人労働政策研究・研修機構が昨年12月に実施した調査によると、労働契約法に基づく「無期転換ルール」について66.1%の企業が「何らかの形で無期契約にしていく」と回答したそうです。
厚生労働省の支援策発表を受けて、企業における無期転換ルール対応の動きが本格化していくことが見込まれます。

 ◆業種別のモデル就業規則

なお、上記支援策のうち(1)のモデル就業規則については、「小売業向け」および「飲食業向け」のものはすでに厚生労働省が作成しており、同省ホームページでダウンロードすることができます(「多様な正社員厚生労働省」で検索)。

それぞれ42ページにわたるもので、「無期転換ルール」のみならず「多様な正社員制度」にも対応するものとして詳細な解説も付いており、小売業および飲食業における就業規則作成の際には参考になります。

今後は他の業種についても作成が行われる予定となっています。

見直しが迫られる「内部通報制度」~指針を改正へ
                 H28年6月

◆公益通報者保護法は2004年に施行

 近年、事業者内部からの通報(いわゆる内部告発)を契機として、国民生活の安心や安全を損なうような企業不祥事が相次いで明らかになっています。そうした法令違反行為を従業員が通報した場合、解雇等の不利益な取扱いから保護し、事業者のコンプライアンス(法令遵守)経営を強化するため、公益通報者保護法が2004年4月に施行されています。

◆最近の動向は?

 公認不正検査士協会の「職業上の不正と乱用に関する国民への報告書2014年度版」によると、不正発見の4割以上が「内部を含む通報」となっています。従業員3,000人超の大企業の大半は内部通報制度を導入していますが、通報しても確実に不利益を被らないとは限らないと、二の足を踏む従業員は少なくないようです。

 ◆指針の改正動向

 内部通報制度が十分に機能していない状況を受け、公益通報者保護法を所管する消費者庁は、企業向けの指針を今年の夏に改正する方針を発表しました。主な内容は以下の通りです。

・自ら不正に関与しても通報者や調査協力者については社内処分の減免
 を促す。

・通報を受け付ける対象者を退職者や取引先の従業員などに広げる。
・積極的に取り組む企業にお墨付きを与える認証制度を新設する。

 ◆今後の課題は?

 リスク管理の視点から見ると、通報を促すだけでは不十分との声もあります。通報を活かすための社内体制の整備や、従業員への周知、社内調査や責任追及の徹底が求められ、グローバル化による海外拠点の整備も喫緊の課題となっています。また、通報窓口を公的な機関に置くというスキーム作り、通報者保護のスキル向上も求められます。

人材不足問題は依然深刻… 人材を確保するために
H28年6月

2016年は「人材不足問題」が企業経営を圧迫する?

2016年の業績見通しについて、中小企業経営者はどのように考えているのかを尋ねた、学校法人産業能率大学の調査結果が公表されています。これによると、多くの経営者が業績は2015年と同様か良くなるとの見方を示しましたが、一方で「人材の不足」が経営活動に影響を与えると想定しており、業績を上げる機会を人材不足によって逸することのない対策を講じることが急務となっています。人材不足問題は依然深刻であり、人材の確保はまさに優先度の高い経営課題となっていると言えるでしょう。

 ◆厳しいのは新卒採用

中小企業にとっては、特に新卒採用活動が厳しい状況です。同調査では、2016年入社の新卒採用について、およそ4割が当初の採用予定数を下回るという結果となりました。代わって活発化しているのが中途採用です。恒常的な人員不足の解消や欠員の補充、即戦力となる人員の確保をねらい、半数以上が中途採用の予定があると回答しました。

 ◆これからの採用活動に求められること

新卒採用にせよ中途採用にせよ、人材不足が深刻化している状況にあって、現在、採用選考を行うにあたり「いかに良質な母集団を形成するか」に関心が集まっています。

採用すべき人材と接点を持つためのアプローチ方法の確立が望まれます。Facebook等のSNSを有効活用しようとする企業も多くなりましたが、一歩進んで、SNSなどのデータベースから人材を探し、直接連絡を取って採用するというダイレクトリクルーティングもよく見られるようになってきました。

「従来の踏襲では確実に競合に負ける」と言われています。様々な手法を積極的に検討しながら、自社の風土等も踏まえた採用活動を行うことが求められています。

2017年卒の新卒採用の動向                                                             H28年6月

◆売り手市場が続く

人手不足が叫ばれる中、引き続き売り手市場だといわれている2017年卒の新入社員を対象とした採用活動ですが、やはり企業としては厳しい採用環境が続きそうです。株式会社マイナビが実施した「2017年卒マイナビ企業新卒採用予定調査」(調査期間:28日~37日)によると、2017年卒の採用予定数を前年と比べて「増やす」とした企業が、「大学(文系)」で26.0%、「大学(理系)」で31.4%と、共に前年比2.3ポイント増となり、「減らす」とした企業を20ポイント以上上回ったそうです。この傾向は2012年卒以来6年連続で続いており、売り手市場がここ数年続いていることがわかります。

◆採用予定数も昨年より増加

2017年卒採用予定数を前年の採用実績数と比較すると、全体平均で19.1%増加しており、特に「非上場企業」では20.3%の増加と、前年の増加割合を上回っています。また、採用予定数決定の「大きな要因となったもの」としては、「将来の経営業績の見通し」(45.2%)、「従業員の年齢構成」(44.9%)、「前年の採用実績」(36.5%)が挙がっています。売り手市場の中において、さらに「採用予定数の増加」と、採用に対する勢いが増してきていることがうかがえます。

 ◆採用環境の見通しはさらに厳しく

同調査では採用環境の見通しについて、「厳しくなる」いう見通しが大半だった前年よりもさらに、厳しくなると考える企業が多い結果となっており、厳しくなる理由としては、「母集団(エントリー数)の不足」(67.2%)が最も高く、次いで「内定辞退の増加」(59.5%)、「活動早期化へのスケジュール対応」(47.2%)と続いています。

母集団の不足が示すように、企業がそもそも募集人数を集めることに苦労していることがわかります。

 ◆採用活動の見直しも必要に

採用活動には困難が続きそうですが、企業によってはこれまでのやり方を漫然と踏襲しているようなところもあります。採用サイトの見直しや社内の採用活動体制自体の見直しなど、今後は何らかの工夫が必要になってくるでしょう。学生が求めている情報やアピールポイントを見極めながら、採用活動を考えていく必要がありそうです。

第三の企業年金「リスク分担型確定給付企業年金」とは? 
H28
年6月

◆新制度創設へ

428日の厚生労働省企業年金部会で新たな企業年金制度(リスク分担型確定給付企業年金)の案が示され、了承されました。同制度は一定額の掛金をあらかじめ上乗せしておくことで景気悪化時の追加拠出が避けられるというものです。パブリックコメントの実施を経て7月にも関連する政省令を改正し、早ければ8月にも企業が導入できるようになりそうです。

DBDCの中間的な位置づけ

この「リスク分担型確定給付企業年金」は、以前から「ハイブリッド型年金制度」「混合型年金制度」などと言われていたものです。あらかじめ給付額を決めておき会社が拠出・運用・管理・給付までの責任を負う「確定給付年金(DB)」と、拠出した掛金額とその運用収益によって給付額が決定され自己の責任において管理する「確定拠出年金(DC)」の両方の性質を併せ持つ年金制度となります。

 ◆新制度の特徴は?

新しい企業年金制度は、企業が景気変動などの「将来的に発生するリスク」に備えて、労使の合意により定めた掛金(リスク対応掛金)をあらかじめ多めに拠出しておくことで、財政が悪化した場合に起きる積立不足について追加拠出が避けられるというシステムです。

同制度は、予測よりも悪化して積立不足が発生した場合には加入者および受給者にとって負担となりますが、逆にリスク対応掛金として多めに拠出した分については、運用が好調な場合は給付が増えるというメリットもあります。

 ◆加入者等が意思決定に参画できるための仕組みが必要

厚生労働省では、新制度により企業の導入が進むことを期待するほか、DBからの移行を想定しているようです。DBでは運用リスクが企業に偏る一方で、DCでは個人に偏ってしまうこととなります。

これらを解決するため、労使でリスクを柔軟に分け合う制度として提案されたのが同制度ですが、同制度はDCと同じく、運用の結果次第で加入者および受給者の給付が調整される可能性のある仕組みです。このため、制度開始時の意思決定に加え、制度実施後も加入者が適切に意思決定に参画できるための仕組みが必要と言えます。

自民党が提言した「外国人労働者の受入れ拡大案」の概要
                     H28年6月

◆「単純労働者」の受入れを容認?

自民党の「労働力確保に関する特命委員会」は、今後本格化する少子高齢化や人口減少による人手不足解消のための外国人労働者の受入れを拡大することを提言しました。政府は、これまでは原則として、大学教授や経営者、高度な技術者といった「専門的・技術的分野」の外国人労働者を受け入れてきましたが、同委員会では、建設作業員等の「単純労働者」の受入れも「必要に応じて認めるべきだ」として容認し、政策の抜本的な転換を求めるとしています。

また、日本人と外国人の報酬を同等にするなどの仕組みについても提言し、在留期間を当面は「5年間」とすることも盛り込みました。近日中に正式決定し、政府への提言を検討するとしています。

 ◆外国人労働者は過去最高を更新

厚生労働省発表の「外国人雇用についての届出状況」(平成2710月末現在)によると、外国人労働者数は907,896人(前年比15.3%増)と過去最高を更新ました。

政府は、平成264月の「建設分野における外国人人材の活用に係る緊急措置を検討する閣僚会議」において、復興事業のさらなる加速を図りつつ、2020年東京オリンピック・パラリンピック等の関連施設整備等による一時的な建設需要の増大に対応するため、緊急かつ時限的な措置として、即戦力となりうる外国人材の活用推進を図る方針を示し、平成274月から対象となる外国人材の受入れを開始しています。

 ◆今後の労働力不足の解消となるか

現在、2020年代には介護分野で25万人、建設分野で77万~99万人の労働力が不足するとの推計があります。外国人労働者を明確な労働力として受入れを容認すると、外国人労働者はさらに増えることが予想されます。中小企業としても、今後外国人を新たな人材として採用を検討すべく、法制度についての動向に注目しておく必要があります。