人事のことなら、大阪市中央区の安達社会保険労務士事務所にお任せください。

開業20年の豊富な知識と経験

安達社会保険労務士事務所

〒540-0008 大阪市中央区大手前1-7-31 OMMビル15階
京阪・地下鉄天満橋駅より徒歩1分

 

06-6966-4737

営業時間

9:00~17:00(土日祝を除く)

ご相談・お問合せはこちらまで

人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

マイカー通勤手当の非課税限度額が令和7年分年末調整から引き上げに?                             R7年12月           

令和7年分年末調整における改正事項

 今年の年末調整について、国税庁ホームページでは、(1)「基礎控除」や「給与所得控除」の見直し、(2)「扶養親族等の所得要件」の改正、(3)「特定親族特別控除」の創設、が行われているとして、情報を提供しています。また、「通勤手当に係る非課税限度額の改正が行われる場合には、年末調整での対応が必要となることがあります」とあります。社会保険料の算定基礎にも影響する可能性がありますので、最新情報を確認しておきましょう。

 ◆政府が方針を決定

1112日、政府が非課税限度額を引き上げる方針を固めたと報じられました。10㎞以上15㎞未満の場合に月額7,100円までから7,300円に、55㎞以上の場合に月額31,600円までから38,700円までに引き上げるとされています。

 ◆ベースは人事院勧告

 国税庁ホームページによれば、改正は人事院勧告(令和7年8月7日)を受けたもので、勧告本文では、「民間の支給状況等を踏まえ、200円から7,100円までの幅で引上げ改定を行い、令和7年4月に遡及して実施する」とされています。なお、この実施は1111日に閣議決定されています。

 ◆令和8年4月以降のさらなる改正も検討

 令和8年4月以降のさらなる改正について、税制改正の議論を踏まえて決める方針とも報じられています。

人事院勧告には、「令和8年4月から、上限を『100㎞以上』とし、『60㎞以上』の部分について5㎞刻みで新たな距離区分を設ける」、「1か月当たり5,000円を上限とする駐車場等の利用に対する通勤手当を令和8年4月から新設する」とあります。

【NHK報道「政府 自動車通勤手当 非課税の限度額を引き上げる方針固める」】

https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014974011000

【国税庁「年末調整がよくわかるページ(令和7年分)」】

https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm

 

サイバー攻撃予防訓練のすすめ                                 R7年12月

サイバー攻撃も“災害”として認識すべき時代

 近年、企業を狙ったサイバー攻撃が急増しています。標的型メールやランサムウェアなど、その手口は巧妙化しており、従業員の一瞬の油断が情報漏洩や業務停止といった重大な被害につながるおそれがあります。とりわけ人事・労務部門が扱う情報は機密性が高く、万が一流出した場合、その被害は災害並みです。

 そこで、企業の情報インフラのBCPとして、サイバーセキュリティの防災訓練が有効になってきます。

 ◆訓練の具体的な進め方

 例えば、実際の攻撃を模した疑似メールを従業員に送信。開封やリンククリックの有無を確認し、現状のリスク感度を把握します。結果をもとに、どのようなメールが危険か、どう対応すべきかを学ぶ研修を行い、実践的な知識と意識の向上を図ります。

 また、実際に攻撃を受けて感染等してしまい、インフラが止まってしまった場合等を想定して、その際の初動対応やオフラインでどのような作業がどこまで可能か等、確認しながら行うことも有効です。

 ◆小さな一歩が大きな防御に

 まずは小規模な訓練からでもよいでしょう。また、外部の専門業者等と連携して行うのもよいでしょう。

 従業員の意識改革と企業防衛の第一歩として、ぜひこの機会に検討してみましょう。

「令和7年版過労死等防止対策白書」が公表されました
R7年12月

過労死等防止対策白書とは

厚生労働省は、「令和7年版 過労死等防止対策白書」を公表しました。過労死等の現状や政府の取組みを毎年報告するもので、今年で10回目となります。

今回の白書では、過労死等の労災請求件数や労災支給決定(認定)件数に関する傾向の分析に加え、重点業種(自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界、芸術・芸能分野)の労災認定状況、外食産業における労働者アンケートの結果等を報告しています。

 ◆過労死等の労災請求件数の推移

白書によると、令和6年度の民間雇用労働者の精神障害による労災認定件数は1,055件で過去最多水準です。また、脳・心臓疾患での認定も増加傾向にあります。精神障害事案の決定件数を、要因となった出来事の類型別に見ると、「対人関係」が1,519件であり、他に比べて非常に多くなっています(次点が「仕事の量、質」の519件)。内訳では「上司とのトラブル」が6割以上を占めています。

重点業種のうち、精神障害事案の3年ごとの平均数が多くなったのは、「医療」「建設業」「自動車運転従事者」です。発病に関与したと考えられる出来事は、業種等ごとに異なる傾向が見られ、例えば建設業では「(重度の)病気やケガ」が高い水準です。

 ◆ストレスや悩みの元に届く対策を

今回の白書からは、労働者が抱くストレスの傾向が読み取れます。第2章では対策も豊富に取り上げられており、参考になります。大切な従業員を守るために、ストレスや悩みの元に届く対策を検討していきましょう。

【厚生労働省「「令和7年版 過労死等防止対策白書」を公表します」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65250.html

 

離職予測分析とは
                     R7年12月

離職予測分析とは、従業員の離職可能性をデータに基づいて予測する分析手法です。勤怠データや人事評価などを活用し、統計分析やAIモデルによって離職リスクの高い従業員を早期に特定し、適切な対策を実施することを目的とします。近年、こうしたサービスが増加しています。

◆高品質なデータの重要性

その分析の成否は、データの質と量に大きく左右されます。例えば、勤怠データ収集では、出退勤時間だけではなく、残業時間の推移、遅刻・早退の頻度も必要です。これらのパターン変化は離職の前兆となることが多いからです。

従来残業を厭わなかった従業員が急に定時退社するようになったり、有休の申請が急増したりするなどは離職リスクの指標と考えられます。ただし、これらは組織文化や制度変更によっても生じるため、注意が必要です。

◆質的データの活用

定量的データと併せて質的データも重要です。従業員満足度調査やエンゲージメント調査により、仕事への満足度、上司との関係性、キャリア展望を測定します。退職者面談のデータは離職要因の理解に重要であり、在職中の面談データと併せた分析が必要です。

◆継続的なメンテナンスの必要性

精度の高い予測には、労働環境や従業員の価値観の変化に応じたデータ項目の新設、収集範囲の拡張、データ形式の標準化など、データ品質を保つための定期的なメンテナンスが必要です。他の人事制度同様、「一度作ったら終わり」ではありません。また、プライバシー保護や利用目的の制限についての配慮が不可欠です。

離職予測分析サービスを利用しない場合でも、こうしたデータの把握は制度運用における有益な視点となるでしょう。

海外進出を考えたら利用したい外務省の支援策                        R7年12月    

法律や制度、商慣行が異なる海外におけるビジネスでは、現地の政治や経済、市場動向、外国企業に対する政策等の幅広い情報が必要です。また、思わぬトラブルに直面することがあり、政府レベルでの対応が必要な場合もあります。そのようなときに頼りにしたいのが外務省です。

日本企業の海外展開支援を強力に進めている外務省では、JETROやJICAとも連携し、企業の相談に対応しています。

◆日本企業支援窓口

外務省はほぼすべての在外公館に「日本企業支援窓口」を設置し、現地に駐在する日本企業支援担当官が個別企業からの相談・支援依頼などに積極的に対応しています。幅広いネットワークやODA等の各種ツールを活用し、日本企業をバックアップする体制を整えているのです。

 例えば、「現地の法律・制度等が日本企業にとって不当に不利な状況になっている。」、「現地政府より不当な税の支払いを要求されている。」、「就労ビザ(査証)や許認可証の発給・ライセンスの更新等に時間を要している。」、「現地の規制や制度、治安に関する情報を教えてほしい。」、「現地の制度に精通した弁護士、会計士等専門家を紹介してほしい。」、「経済的威圧を受けている。」といった相談に対応してくれます(私企業間の紛争については政府機関として原則として介入できない点には留意が必要)。

◆在外公館における日本の弁護士によるアドバイス

一部の在外公館において、現地に進出する日本企業に対し、現地に精通する日本の弁護士による無料法律相談、および現地の法令、法制度等についての情報提供等を行っています。

◆その他の支援

・農林水産物・食品の輸出や食産業の海外展開を後押し支援

・インフラの海外展開の支援、外国公務員贈賄事案への相談対応 など

【外務省「日本企業支援」】

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page22_000940.html#section1

スポットワーク直前キャンセルをめぐる訴訟と厚生労働省のリーフレット
                    R7年12月           

いわゆるスポットワークには企業による直前キャンセルの問題がありましたが、それが司法の場で争われることになりました。飲食店で働くはずだった大学生が、店側のキャンセルに対して賃金を求めて提訴したのです。

 ◆経 緯

川崎市の大学生の男性が提訴して請求した賃金額は1万4,000円でした。男性は5月にスポットワーク最大手のタイミーを通じて東京の飲食店で働く予定でしたが、その前日にスマホでキャンセルの通知を受け取りました。1年ほど前からスポットワークを開始し、毎回異なる飲食店で働いてきた男性にとってキャンセルは初めて。お金を貯めようとしていた男性は別の仕事を探したものの、自宅から通いやすいなどの仕事は見つかりませんでした。それ以降も別の仕事先で直前キャンセルが3件続いた男性は、提訴に踏み切りました。

 ◆双方の主張

男性の原告側は、「マッチング時点で労働契約が成立したとするのが実態に即して合理的だ」などと主張。タイミーが「労働契約は出勤時にQRコードを読み込むことにより締結される」としていることについて、原告側は意図的に休業手当を支払わずにでき、労働基準法に違反するとして、賃金の支払いを求めています。被告である飲食店の経営者は、マッチング時に労働契約が結ばれるという認識はなかったとしています。

 ◆厚生労働省のリーフレット

スポットワークをめぐっては、7月に厚生労働省が「別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立する」との留意点を示したリーフレットを出しました。これを受けて、主要なアプリ事業者は9月に規約を見直しました。

 今後、スポットワークのビジネスモデルに影響が出るともいわれている裁判の行方が注目されます。

【厚生労働省「いわゆる「スポットワーク」の留意事項等」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59321.html

12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です                                R7年12月

◆職場におけるハラスメントの種類と防止措置

毎年12月は、厚生労働省が定める「職場のハラスメント撲滅月間」です。

職場におけるハラスメントは、働く人の能力を十分に発揮することの妨げになるだけでなく、個人の尊厳や人権を不当に傷つける許されない行為です。

ハラスメントには、職場での優位性を背景としたパワーハラスメント、性的な言動によるセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児等に関するマタニティハラスメントなどがあります。これらは職場秩序を乱し、生産性の低下や人材流出、企業の社会的評価の低下を招く重大な問題です。正社員のみならず、契約社員・パートタイム・派遣といった雇用形態を問わず、すべての労働者が安心して働けるよう配慮が求められます。

令和4年4月から、すべての企業に対してパワハラ防止措置の義務化がなされています。パワハラとは、①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境を害するもの――この3つの要件をすべて満たすものを指します。

◆職場におけるハラスメント対策シンポジウムの開催

厚生労働省では、1210日に「職場におけるハラスメント対策シンポジウム」をオンラインで開催します。

当日は、企業や業界団体によるカスタマーハラスメント対策の事例紹介や、専門家による講演、パネルディスカッションが予定されています。参加費は無料で、事前申込み制となっています。詳細は、厚生労働省が運営する特設サイト「あかるい職場応援団」で確認できます。

12月は、職場のハラスメント防止体制を見直す良い機会です。相談窓口の設置状況や周知方法など、社内の取組みを今一度ご確認ください。

【厚生労働省「あかるい職場応援団」】

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

フリーランス法施行から1年 違反行為に対する指導の現状
                   R7年12月           

◆違反行為は445

フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下「フリーランス法」という)が施行され、11月1日で1年となり、同法の所管省庁である公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省は、3万社の発注事業者を対象に行ったフリーランスとの取引に関する調査(令和6年11月~令和7年9月)の結果を公表しました。

これによると、公正取引員会は、フリーランス法違反行為による4件の「勧告」と441件の「指導」を行いました。勧告は、大手出版社や音楽教室などに対し、同法3条1項(取引条件の明示義務)および4条5項(期日における報酬支払義務)、5条2項1号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)の規定に違反する事実について行われました。

また、同委員会は、今年3月にゲームソフトウェア業、アニメーション制作業、リラクゼーション業などの事業者に集中的に調査を行い、45社に対して契約書や発注書の記載、発注方法、支払期日の定め方等の是正を求める指導を行いました。

◆ハラスメント対策や募集の際にも注意が必要

都道府県の労働局によると、ハラスメント対策に係る体制整備義務(フリーランス法14条)と募集情報の的確表示義務(同法14条)の違反に関する指導等が多くなっています。

 発注事業者は、ハラスメントによりフリーランスの就業環境を害しないよう相談対応のための体制整備などの措置を講じなければなりません。

また、広告等によりフリーランスを募集する際は、その情報について、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければなりません。

 フリーランスに業務を委託する際には、フリーランス法で規制されている項目についてあらためて確認する必要があります。

【公正取引委員会「令和7年11月5日付け 事務総長定例会見記録」】

https://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/2025/251105.html

【厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法施行から1年を迎えました!」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/bunya/freelance_00006.html