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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

社会人インターンシップをどう活用するか                               R元年 12月

活用する企業が増加

副業・兼業を認めたり、ギガワーカーやフリーランスで働く人を多用したり、企業の間でも柔軟な働き方を受け入れる動きが広がっています。そのような背景のもと、「社会人インターンシップ」を戦略的に活用する企業が増えています。

今回は、社会人インターンシップを企業としてどう考えるかをまとめます。

 

社会人インターンシップとは

 インターンシップというと、学生向けをイメージされると思います。しかし最近では、既に本職を持っている方や、複数の職を持つ既卒の人材を対象にした社会人インターンシップを受け入れる企業が増えています。

 社会人向けの場合は、給与を発生させることがほとんどです。勤務時間は、平日に本業を持っている人も多いため、平日の時間外や土日、テレワーク等で人材を募集しているケースもあります。期間も1日から数カ月、夏期(冬期)休暇中等、柔軟に設定しているケースが多いようです。職種も、企画、マーケティング、新事業立上げ、ディレクター、デザイナー、ライター等多岐にわたります。

 

企業の目的

 企業側の目的としては、優秀な人材の確保や雇用のミスマッチ予防など、雇用調整的に活用する場合のほかに、イノベーションの創出や新事業の宣伝といった戦略的な使い方をする場合もあります。

 

働き手の目的

 働き手にとってみても、本職の傍ら新キャリア形成をする準備、興味のある分野への職業体験、人脈拡大、刺激や収入の獲得といったメリットが多いのが特徴です。

 

社会人インターンシップの導入を考える場合

 仕事は検索して探す時代です。インターンシップも多分に漏れず、専用の求人サイトが多数存在します。まずはそれらを研究することから始めてもよいでしょう。

 そして、有期雇用や短時間雇用、アルバイトとどう違いを出すか、また、給与や各種届出規定等をどう設定するか、そして特に、求人・募集をどこでするか……。

自社に合わせた、戦略的なインターンシップ制度を活用するとよいでしょう。

iDeCoなど企業年金の対象者拡大~社会保障審議会で検討                                    R元年 12月

厚生労働省は、社会保障審議会で中小企業向け企業年金制度の拡大に向けての案を示し、大筋で了承されました。来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。

見直し案は、将来的に公的年金の給付水準の目減りが避けられない中、私的年金の活用を促す狙いがあります。前回の部会では、企業年金・個人年金の加入可能要件を見直して加入可能年齢を引き上げるとともに、受給開始時期等を柔軟化すべきであることが確認されていました。

一方、企業年金・個人年金の現状を見ると、➀中小企業を中心にそもそも企業年金がない者がいる、②企業に企業年金があっても適用されていない者がいる、③iDeCoについて加入可能範囲が拡大されたが、企業型確定拠出年金の加入者がiDeCoに加入できるのは同時加入を認める規約の定め等がある企業に限られている、といった課題があります。これらを踏まえ、より多くの企業・個人が制度を利用できるよう制度面・手続面の改善を図るべきではないかと、以下のような案が示されました。

 

中小企業向け制度の対象範囲の拡大

企業年金の導入率の低下は300人未満の企業で著しいことから、中小企業向けに設立手続を簡素化した「簡易型DC」や、企業年金の実施が困難な中小企業がiDeCoに加入する従業員の掛金に追加で事業主掛金を拠出することができる「中小事業主掛金納付制度iDeCoプラス」)」について、制度を導入可能な事業主の対象範囲を現行の100人以下から300 人以下に拡大する。

 

企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和

企業型DC加入者がiDeCoに加入できるのは、現行は労使合意に基づく規約の定めがあって事業主掛金の上限を引き下げた企業に限られているが、これを改め、規約の定めや事業主掛金の上限の引下げがなくても、iDeCoに加入できるように改善する。これにより、希望者全員がiDeCoに加入できるようになる。

 

iDeCoに係るその他の改善

・企業型DC加入者のマッチング拠出とiDeCo加入の選択……マッチング拠出を導入している企業の企業型DC加入者はマッチング拠出か iDeCo 加入かを加入者ごとに選択できることとする。

iDeCoの加入申込み……iDeCoの加入申込みや変更について、現行は紙による手続となっているが、オンラインで行うことを可能にするなど、各種手続面の改善をできる限り速やかに実現する。

確定拠出年金における中途引き出しの改善

例外的に認められている中途引き出し(脱退一時金の受給)について、外国籍人材が帰国するときは、制度に加入できず年金資産を積み増すことはできなくなることから、通算の掛金拠出期間が短いこと等の他の要件を満たせば、中途引き出しを認める。

有給取得率の調査結果と今後      R元年 12月

平成30年の年次有給休暇の取得率は52.4

厚生労働省は平成31年「就労条件総合調査」の結果を公表しました。調査によれば、年間の年次有給休暇の平均取得率は52.4%で、前年に比べて1.3ポイント上昇しています。取得率を企業規模別にみると、「1,000人以上」が58.6%、「300999人」が49.8%、「100299人」が49.4%、「3099人」が47.2%となっており、規模により最大10ポイント近くの差がみられました。

なお、本調査は平成30年の1年間の状況について調査を行ったものですので、本年4月に施行された改正労働基準法による年次有給休暇年5日取得義務化前についての調査になります。

 

企業規模が小さいほど休みが少ない

また、公表された調査によれば、週休制の形態別適用労働者割合をみると、「完全週休2日制」が適用されている労働者割合は57.0%とありますが、その割合は企業規模が小さくなるほど低くなっています。年間休日総数についても、1企業平均は108.9日、労働者1人平均114.7日となっていますが、いずれも大企業ほど多く、小規模企業ほど少なくなるという傾向は変わりません。

 

年次有給休暇年5日取得の義務化

本年4月から、働き方改革法に伴う年次有給休暇年5日取得義務化が適用されています。

有給休暇取得率の低さについては以前から問題となっていましたが、法律の規制がかかったことで、企業でも取得率向上に向けた取組みが本格的に実施されているところでしょう。来年の調査結果には注目したいところです。

 

企業の現況を踏まえた取組みを

上記の調査結果の通り、中小企業ではもともと休みが少ないという実態があります。それにはそれなりの理由があるのでしょう。現在、働き方改革による大企業の残業時間削減のしわ寄せが中小企業に及んでいるという問題も指摘されており、厚生労働省も「しわ寄せ防止特設サイト」を設けて防止を呼び掛けています。そのため、特に中小企業にとっては、有給休暇取得義務化への対応は困難となることが予想されますが、根本的な問題への対応を検討しつつ企業としてしっかり取り組んでいきたいところです。

 

若手が求めるやりがいとパワハラ防止へのコミュニケーションの重要性                    R元年 12月

若手のやりがい、求められるコミュニケーション

マンパワーグループが行った、入社2年目までの若手正社員(2227歳)を対象とした調査によると、仕事に「やりがいを感じている」割合は約70%だということです。やりがいの中身(複数回答可)では、上位から順に「仕事の成果を認められる」が37.6%、「仕事をやり遂げる」が34.7%、「自分の成長を感じる」が34.7%、「新しい仕事にチャレンジする」が33.2%、「お礼や感謝の言葉をもらう」が31.4%となっています。

また、若手正社員が取り入れてほしいと考える勤務制度への回答では、多いほうから順に「フレックス制」36.8%、「在宅勤務」33.3%、「モバイルワーク」30.8%が目立つ一方、「ない」との回答も37.5%ありました。

上記の結果を「コミュニケーション」という視点から見ると、認められたい・コミュニケーションをとりたいという希望がある一方、勤務制度についてはコミュニケーションがとりづらい方法の希望があるようです。

 

コミュニケーションとパワハラ

パワハラの防止対策を企業に義務付けるパワハラ防止法の施行を来年6月(中小企業は2022年4月)に控え、現在、パワハラ防止ガイドランの素案が公表されており、年内には正式に決定・公表される見込みです。

パワハラ予防のためには、職場のリーダーは部下を指揮する一方、部下から必要な情報が上がってくるようにして適切なコントロール(指揮・統制)をしなければなりません。昔のようにリーダーからの一方的な指揮・統制では仕事は回らなくなっています。

つまり、部下の話を聞いてあげて、部下のほうからのコミュニケーションを増やすよう、意思疎通を良くしなければならないのです。例えば、業務時間中に部下の話を聞く機会を増やしたり、部下が考えて意見を言えるように質問型マネジメントをしたりする等が必要です。

実際、上記調査でもコミュニケーションがとりやすい社内ツールとして、メール(55.3%)、電話(50.0%)に次いで「対面」(48.0)%も回答が多くなっています。社内SNS等も発達してきていますが、やはり人間同士、電話・対面といったアナログなコミュニケーションも重要なのだと思われます。

 

中小企業もスケジュールは考えておく

パワハラ防止のカギはコミュニケーション、といってしまえば単純なようですが、管理職・一般社員への研修一つとってもポイントなる部分を押さえる必要がありますし、法施行日までにやることは他にもたくさんあります(就業規則改訂、相談窓口設置・担当者の決定、従業員アンケート…etc)。中小企業には多少猶予期間がありますが、今からスケジュールだけでも考えておく必要はあるでしょう。

年末の風物詩「職場の大掃除」、実は義務だとご存じでしたか?                        R元年 12月

大掃除は会社の義務とされている

仕事納めの日には社内の大掃除をする、という会社は多いのではないでしょうか。忙しい部署からは、「ただでさえ年末はやることが多いのに、掃除に割く時間がもったいない」とか、「掃除は仕事じゃないのに……」などとボヤく声も聞こえてきそうですね。

しかし、実は、会社の大掃除を行うことは、法律にも定められた義務であり、立派な仕事の1つなのです。

具体的には、労働安全衛生規則第619条に、「事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。」として、「日常行う清掃のほか、大掃除を、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に行うこと」が定められています(第1項)。

 

職場の清潔保持は労働者の義務でもある

一方、労働者にも、「作業場の清潔に注意し、廃棄物を定められた場所以外の場所にすてないようにしなければならない」ことが義務付けられています(同規則第620条)。職場環境を清潔に保つことは、会社にとっても労働者にとっても、必要不可欠なこととされているのです。

 

義務付けのねらいを理解して積極的に大掃除に取り組もう

このような義務付けがなされているのは、労働者を守るためです。オフィス内が整理・整頓されていなければ事故も起こりやすくなりますし、不衛生な環境は病気の原因ともなります。安心して働くことのできる職場環境を維持するためにも、定期的に大掃除を行って職場の清潔を保持することが大切です。

また、職場環境をきれいに保つことは、仕事の効率化やストレスの軽減にも効果があるとされています。「労働者が働きやすい環境をつくるため」という意義を明確にして、来たる年末、職場みんなで積極的に大掃除に取り組む機運を醸成しましょう。

 

厚労省から公表された「労働時間の考え方」に関するリーフレット                   R元年 12月

労働基準法が改正され、中小企業は来年の4月から「時間外労働の上限規制」が適用されることはご承知の通りです(大企業は今年の4月から施行されています)。

時間外労働の上限規制は、時間外労働の限度時間を原則月45時間、年360時間とし、臨時的な特別な事情がある場合でも、年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内(休日労働含む)とする規制であり、企業はこれまで以上に従業員の労働時間の適正な把握・管理が求められることになります。

そのような中、厚生労働省から、リーフレット「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」が公表されました(1017日)。これは、労働基準監督署への問合せが多い「『研修・教育訓練/仮眠・待機時間/労働時間の前後の時間/直行直帰・出張に伴う移動時間が労働時間に該当するか否か」について、実際の相談事例をもとに解説したもので、労働時間の適正な管理に役立ててほしいとしています。その内容についてみていきます。

 

そもそも「労働時間」とは?

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことです。使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当します。

研修・教育訓練の取扱いは?

業務上義務付けられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は、労働時間に該当しません。例えば、参加の強制はしていない。また、参加しないことについて不利益な取扱いもしない勉強会などです。

仮眠・待機時間の取扱いは?

仮眠室などにおける仮眠の時間について、電話等に対応する必要はなく、実際に業務を行うこともないような場合には、労働時間に該当しません。例えば、週1回交代で、夜間の緊急対応当番を決めているが、当番の労働者は社用の携帯電話を持って帰宅した後は自由に過ごすことが認められている場合の当番日の待機時間などです。

更衣時間の取扱いは?

制服や作業着の着用が任意であったり、自宅からの着用を認めているような場合には、労働時間に該当しません。

早出時間の取扱いは?

交通混雑の回避や会社の専用駐車場の駐車スペースの確保等の理由で労働者が自発的に始業時刻より前に会社に到着し、始業時刻までの間、業務に従事しておらず、業務の指示も受けていないような場合には、労働時間に該当しません。

 

直行直帰・出張に伴う移動時間は?

移動中に業務の指示を受けず、業務に従事することもなく、移動手段の指示も受けず、自由な利用が保障されているような場合には、労働時間に該当しません。

男性国家公務員の育児休業取得期間 原則「1か月以上」へ                  R元年 12月

育児休業取得率は2割超だが取得期間は?

政府は、男性国家公務員の育児休業を原則1か月以上取得するよう促す方針で検討していることを明らかにしました。

人事院によると、昨年度の男性国家公務員(一般職)の新規育児休業取得者は1,350人で、取得率は、21.6%(前年比3.5ポイント増)と初めて20%を超えました。政府はこれまでに男性職員の育児休業等取得促進ハンドブック「イクメンパスポート」の配布や啓発ポスターを作成し、取得促進を図ってきました。また、育休取得について上司と面談を行う際にはチェックシートを用いながら取得を促していました。

しかし、取得した期間は「1か月以下」が72.1%、次いで「1か月超3か月以内」が13.5%、「3か月超半年以内」が6.1%となりました。

こうした状況をふまえて育児休業を原則1か月以上取得するよう促し、取得しても業務に支障が出ないよう職場環境を整備し、人事評価にも反映させる方向で2020年度からの実施を検討しています。

 

民間企業の現状は?

政府は、この方針を国家公務員が率先して取り組むことで地方自治体や民間企業に浸透させたいと考えていますが、昨年度の民間企業の男性の育児休業取得率は6.16%(前年比1.02ポイント増)で、国家公務員とは約4倍の差があります。2020年までに政府目標として13%を掲げていますが、達成には及ばない状況です。なお、女性の取得率は82.2%(前年比1ポイント増)となっています。

また、2015年度の「雇用均等基本調査」(厚生労働省)によると、男性の育児休業取得期間は「1か月以下」が82.9%、次いで「1か月超3か月以内」が12.1%、「3か月超半年以内」が1.6%となっています。取得期間が「5日未満」の割合が56.9%という結果でした。

 

まずは取得促進から!

これらの統計を見ると、男性が1か月以上の育児休業を取得するということはハードルが高く感じられますが、まずは職場全体で育児休業を取得しやすい環境を作っていくことが必要です。男性国家公務員の育児休業取得がすすむのと並行して、民間企業にも浸透していくことが望まれます。

マイナンバーカードで旧姓併記が可能に、企業への影響は?                    R元年12月

住民票、マイナンバーで旧姓併記開始

改正住民基本台帳法施行令等の施行により、11月5日から、住民票、マイナンバーカード、印鑑登録証明書、公的個人認証サービスの署名用電子証明書等に、旧姓・旧氏(きゅううじ。戸籍上、過去に記載・記録された氏のこと。以下「旧姓」で統一します)を併記することが可能になりました。

数年前から内閣府・男女共同参画局「女性活躍加速のための重点方針2016」等に盛り込まれていた政府方針が、実現したかたちです。

旧姓併記により、結婚等により姓が変わった人は、さまざまな本人確認のシーン(契約、銀行口座名義、就職・転職時……)で、証明に旧姓を用いることもできます。

 

併記の手続き

旧姓併記の希望者は、旧姓が記載されている戸籍謄本等を用意し、マイナンバーカード(通知カード)を市区町村役場に提出します。

まだマイナンバーカードを作成していない人であれば、「山田[佐藤]花子」というように、姓と名の間にカッコ書きで旧姓が併記されたカードが交付されます。

 

企業に職場の旧姓使用を認める義務はあるか

職場で旧姓を使用することについて争った裁判(日本大学第三中学・高校事件、東京地判平281011)では、企業は旧姓使用を認めるよう配慮することが望ましいとしつつ、旧姓使用を認めないことは違法ではない、とされました。企業は、旧姓使用を認めなければならない法的義務までは負っていないものの、むしろ積極的に旧姓使用を認めることが有効といわれています。

 

旧姓は「使い分け」から「併記」の時代へ?

今回の旧姓併記は、主に女性が結婚後も旧姓を広く使いやすくすることを目的としたものといえます。企業実務においては、従業員の姓をシーンによって使い分けるのは珍しいことではありません(労働社保など雇用管理上の事務処理は戸籍上の姓で行い、対顧客等には広く認知されている旧姓を用いるなど)が、いずれは「使い分け」ではなく「併記」をすることが主流となるかもしれません。

【総務省「住民票、マイナンバーカード等への旧氏の記載等について」】

http://www.soumu.go.jp/main_content/000614623.pdf