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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

5月から企業型確定拠出年金の脱退一時金受給要件が見直されています                    R4年6月           

脱退一時金とは?

 確定拠出年金(以下、「DC」という)は、原則60歳まで掛金を積み立てて老齢給付金を受け取ります。そして、離転職時には年金資産を持ち運ぶことができます。

 例外として、年金資産が一定額以下の場合に60歳未満での引出しが認められる場合があり、その際に受け取るのが脱退一時金です。

 

企業型DCの脱退一時金の受給要件の見直し

 これまで、資産が15,000円を超える人は他の企業型DCiDeCoなどに資産を移換する必要があり、iDeCoに資産を移換した場合に、iDeCoの脱退一時金の受給要件を満たせばiDeCoの脱退一時金を受け取ることができました。

2022年5月からこの受給要件が見直され、15,000円を超える人も、iDeCoの脱退一時金の受給要件を満たせばiDeCoに資産を移換しなくても企業型DCの脱退一時金を受給できるようになっています。

 ちなみに、iDeCoの脱退一時金の受給要件は、国民年金被保険者となることができない人で、通算掛金拠出期間が5年以下であることや資産額が25万円以下であること等です。

 

改正事項はほかにも

 5月から企業型DCに加入できる年齢が拡大され、厚生年金被保険者(70歳未満)であれば加入できるようになっています(会社が規約で加入者資格を「60歳未満」、「65歳未満」等定めることは可能)。iDeCoでも、60歳以上の人が国民年金の第2号被保険者または国民年金の任意加入被保険者であれば加入できるよう拡大されています。

DCには税制優遇制度があり、有利に老後の生活資金準備ができるため、会社の退職金制度として導入するところが増えています。一度検討してみてはいかがでしょうか。

【厚生労働省「iDeCoの脱退一時金の受給要件の見直し(2021年4月1日施行)」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2020kaisei.html#20210401

 

 

 

「パラレルキャリア/副業」について~エン・ジャパン調査結果から                      R4年6月

「パラレルキャリア」と「副業」の違い

「パラレルキャリア」とは、P・Fドラッカーが提唱したもので、「本業を持ちながら、第二のキャリアを築くこと」と定義されています。スキルアップや自己実現、社会貢献などを目的に、本業を持ちながら別の仕事をすることを指します。一方で「副業」は、金銭的な報酬を目的に本業とは異なる仕事をすることとされています。

 

実態調査について

エン・ジャパン株式会社は、運営するミドル世代のための転職サイト上で、サイトユーザーを対象に「パラレルキャリア/副業」についてのアンケートを行い(2022年1月5日~同年3月28日)、2,250名の回答をもとに調査結果をまとめています。本記事はその調査結果の注目すべき点を取り上げます。

 

調査結果の概要

 実際に「パラレルキャリア/副業」を行っている人の割合は34%と、2年前の調査よりも8%上がっています。始めた理由については、「収入の柱を複数持ち経済的に安定するため」が最も多く(58%)、次いで「本業では得られない経験やスキルを得るため」との回答が38%ありました。

 具体的な活動内容は、「本業以外の単発の仕事」(39%)、「本業以外の長期(3か月以上)の仕事」(30%)、「株式投資」(22%)となっていて、また得られた年収としては、「20万円未満」が最も多く(36%)、次に「50100万円未満」(14%)と続き、「3050万円未満」と「100200万円未満」が同数の11%となっています。

 「パラレルキャリア/副業」を行っていない人に、興味の有無を聞いたところ、87%が「興味がある」と回答しています。そして、今後の働き方として、68%が「本業以外にも第2の仕事・活動」がしたいと考えていることがわかりました。

 また、88%が「パラレルキャリア/副業が許可されている企業は転職先として魅力的」だと考えていることも明らかとなりました。

 副業を禁止している企業は依然として多いと思いますが、働く側の約9割が副業を許可している企業に魅力を感じています。自由な働き方が求められる今、就労制度の見直しを迫られる日はそう遠くないのかもしれません。

【エン・ジャパン「「パラレルキャリア/副業」について(2022年版)」】

https://mid-tenshoku.com/enquete/report-184/

 

 

「働き方改革」の効果は?~労働政策研究・研修機構の調査結果から             R4年 6月             

2018年に法律が成立し進められてきた働き方改革の取組みは、実際にどれくらいの効果があったのでしょうか。

 

変化は「特にない」が約半数

労働政策研究・研修機構が行った「働く人の仕事と健康、管理職の職場マネジメントに関する調査」の結果によると、企業の働き方改革による変化に対する質問では、変化は「特にない」との回答が45.7%(業種平均)に上ります。

「企業の働き方改革の取組みと実労働時間との関係については、働き方改革の効果は依然明確にはなっていないと推察される」として、特に中小企業については、効果が明確に表れたとは言えないようです。

また、事業場外労働のみなし労働時間制により、「サービス残業や持ち帰りの仕事が増えた」、「休憩時間が減った/休憩を取れなくなった」という回答も少なくありません。

 

自身の心掛けのほうが効果的?

他方で、労働者自身が持つワーク・ライフ・バランス確保に対する意識は変わりつつあり、実労働時間を抑制するようです。自分の自由に使える時間が増えるなど、取り組む改革の内容によっては健康維持や睡眠の充足に貢献するようです。

 

コロナ禍による変化

一方、コロナ禍によって、業務のやり方を変えなくてはならなくなったことで、半ば強制的にDX化が進んだ一面があると思います。新型コロナは、ある意味で、政府による働き方改革の取組みより働く人の意識を変える効果があったのかもしれません。

いずれにしても、テレワークをはじめ新型コロナの期間に行った業務改善や、そこで得られた知恵は継続していきたいものです。

【労働政策研究・研修機構「働く人の仕事と健康、管理職の職場マネジメントに関する調査結果」】

https://www.jil.go.jp/institute/research/2022/222.html

 

 

 


就職観は「楽しく働きたい」が最多 ~「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」から                   R4年6月

株式会社マイナビが1979年卒より毎年実施している「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」の結果のうち、主要な項目は次のとおりとなりました。

 

就職観

就職観はこれまでと同様に「楽しく働きたい」が最多で37.6%(対前年2.8pt増)となりました。2020年卒以降、減少傾向でしたが、3年ぶりに上昇に転じました。

経済状況の悪化や大きな災害等が起きた際は同項目の割合が減少する傾向にありますが、新型コロナウイルス感染症の観点で見ると、昨年を通してワクチン接種が進んだほか、各種行動制限の緩和などが進みました。そうした状況のなか、学生にとっても社会に対する不安が軽減されたことが、3年ぶりの数値上昇の背景となった可能性も考えられます。

 

企業選択のポイント

企業を選択する場合にどのような企業がよいか(あてはまると思う項目を2つまで選択)を聞いたところ、「安定している」が43.9%(対前年1.1pt増)と最多となりました。「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が32.8%で前年比1.8pt減、「給料のよい」が19.1%で前年1.6pt増となり、前年同様トップ3の項目となった「給料のよい」は16年卒調査以来毎年上昇していましたが、前年22年年卒で2.3pt減少。今年は1.6pt増加となりました。

 

行きたくない会社

行きたくない会社(あてはまる項目を2つ選択)を聞いたところ、「ノルマのきつそうな会社」が前年に続き最多で37.4%(対前年1.6pt増)、次いで「暗い雰囲気の会社」で27.1%(対前年1.8pt減)となりました。上位2項目は2008年卒以来変わっていませんが、2022年卒で上位3項目に浮上してきた「転勤の多い会社」が今年も3位となり、前年比1.7pt増の26.6%となりました。

【マイナビ「2023年卒大学生就職意識調査」】

https://career-research.mynavi.jp/reserch/20220426_27155/

 

新入社員が辞める理由は?~連合 「入社前後のトラブルに関する調査2022」より      R4年 6月                           

5月は新入社員の退職が増える時期

5月は、ゴールデンウイーク後に「五月病」と呼ばれるように、気分が晴れない症状が出る人が増え、新入社員の退職などもみられる時期です。

新しい環境に飛び込み、張り詰めた気持ちで過ごしていた新入社員の緊張の糸が切れ、会社に不満を持ち始める時期でもあります。

 

「3年以内に3割離職」の現実

日本労働組合総連合会が実施した「入社前後のトラブルに関する調査2022」(調査期間:2022年2月28日~3月2日、大学卒業後に新卒で正社員として就職した全国の入社2~5年目の男女1,000名の有効サンプルを集計)によれば、新卒入社した会社を「離職した(半年以内)」は7.7%、「離職した(半年を超え、1年以内)」は6.2%、「離職した(1年を超え、2年以内)」は10.4%、「離職した(2年を超え、3年以内)」は5.2%、「離職した(3年を超えてから)」は3.7%となっており、よく言われる「3年以内に3割離職」という状況がここでもみられます。

 

新入社員が辞めた理由は?

本調査で会社を辞めた理由を聞いたところ、「仕事が自分に合わない」(40.1%)が最も高くなっています。次いで、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(31.0%)、「賃金の条件がよくなかった」(27.4%)と続き、待遇よりも仕事のミスマッチを挙げる人の割合が多い結果となっています。また、新入社員研修や先輩・上司からの指導・アドバイスがなかった人では、『離職した(計)』の割合は41.9%と、指導・アドバイスがあった人(30.9%)と比べて11.0ポイント高くなっており、周囲の支援による差は大きいことがわかります。

苦労して採用した社員の離職は避けたいものです。新入社員を抱える職場では、周囲の配慮も必要になってくるでしょう。

【日本労働組合総連合会 「入社前後のトラブルに関する調査2022」】

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20220428.pdf?6025

 

 

最低賃金引上げの影響と対応~日商調査結果から                          R4 年6月

最低賃金引上げが中小企業に与えた影響は?

 日本・東京商工会議所は、全国の中小企業を対象に「最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」(調査期間:2022年2月7日~28日、回答企業数:3,222社)を行い、その結果を公表しました。昨年10月の最低賃金引上げの影響とその対応等について調べるものです。調査結果の主なポイントは以下の通りです。

 

最低賃金引上げによる影響と対応

○最低賃金を下回ったため、賃金を引き上げた企業(直接的な影響を受けた企業)の割合は40.3%。

○賃金を引き上げた従業員の属性は、「パートタイム労働者(主婦パート、学生のアルバイトなど)」と回答した企業の割合が83.4%。

○人件費の増加に対して行った具体的な内容を聞いたところ、「人件費が増大したが対応策がとれない(とれなかった)」 とする回答が4割超(42.2%)と最も多い。

○現在の最低賃金額の負担感は、「負担になっている」と回答した企業の割合は65.4%。業種別では、コロナ禍で大きな影響を受けている「宿泊・飲食業」で90.9%と最も高い。

○今年の最低賃金額の改定について、「引き上げるべき」と回答した企業の割合は、前年調査から13.6ポイント上昇して41.7%となり、「引き下げるべき」と「引上げはせずに、現状の金額を維持すべき」の合計(39.9%)を上回った。

 

2022年度の賃上げは?

 また、本調査において、2022年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は45.8%でした。そのうち約7割(69.4%)が「業績の改善がみられないが賃上げを実施(防衛的な賃上げ)予定」と回答しています。社員のモチベーション向上や人材の確保・採用を目的に、厳しいなかでも賃上げを選択するという傾向がみられました。

【日本商工会議所「「最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」の集計結果について」】

https://www.jcci.or.jp/research/2022/0405160000.html

 

 

 

週休3日制度についてR4 年6月

政府も導入を後押しする週休3日制度

1週間の休日を3日間にする週休3日制度。社員の育児・介護による離職防止や自己啓発(スキルアップ)時間の確保など、社員が働きやすい環境をつくることは、採用時の制度の魅力アップにもつながります。大手では日本IBM、ヤフー、みずほFG、ユニクロなどが導入しています。

政府も「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針2021、令和3年6月)において「選択的週休3日制度について、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る。」としています。

 

運用の仕方

運用にあたっては、主に①勤務日が減った分、収入が減る、②出勤日の働く時間が増え収入は同じ、③出勤日の働く時間は変わらず収入は同じ、の3つのパターンがあります。①を採用する企業が多いようです。

 

収入維持が定着のカギ?

転職情報サイト「マイナビ転職」の調べでは、週休3日制の導入について、「仕事量が多いから」「人手不足」などの理由から、約6割が「不可能」と回答しています。また、週休3日制は、勤務日が1日減るのに比例して収入も減る場合は「利用したくない」が8割弱を占めています。年代別では、20代は収入が減っても「利用したい」が(3割弱)とほかの年代より高く、収入よりも休みを優先する割合が高くなる傾向があるようです。

週休3日制を導入するための対策としては、「業務の効率化」や「上層部の意識改革」「人手を増やす」などの回答(自由回答)が上がっており、生産性向上と人手不足の解消がポイントになるようです。

【マイナビ転職「週休3日制の意識調査」】

https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/09

 

 

 

 

在宅勤務の満足度8割超で過去最高に ~日本生産性本部「第9回働く人の意識調査」からR4 年6月

公益財団法人日本生産性本部が4月22日、「第9回 働く人の意識調査」の結果を取りまとめ、公表しました。調査は、コロナ禍が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査として、2020年5月以降、四半期ごとに実施しているものです。今回は、4月1112日に、日本の企業・団体に勤務する1,100人を対象にインターネットによるアンケート形式で実施しました。

 

テレワーク実施率は約2割で推移、在宅勤務の満足度は8割超えで過去最高

テレワーク実施率は20.0%と前回調査の18.5%から微増しています。在宅勤務の効率について「効率が上がった」「やや上がった」の合計は、60.4%。在宅勤務に「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計は84.4%と過去最多となりました。

また、「コロナ禍収束後もテレワークを行いたいか」との質問では「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計が71.8%でした。

 

景況感は、現在の景気・今後の景気見通しともに悲観的な見方が増加

 現在の景気について悲観的な見方(「悪い」「やや悪い」の合計)は、67.6%で、前回の66.4%より微増しています。今後の景気見通しについても、悲観的な見通しが51.4%と2回連続で増加しています。

 

職場における生産性向上の取組みは、企業規模やテレワークの有無で実施率に差

 職場での生産性向上への取組みについては、「業務の進め方の効率化」が52.0%と最多で、次いで「情報共有の推進」(51.8%)「コストの削減」(46.1%)「業務の改廃」(43.6%)と続いています。従業員規模別では、100人以下の中小企業と1,001人以上の大企業とでは、「業務の進め方の効率化」で 20 ポイント以上の差が見られるほか、その他の取組みでも企業規模による差が見られました。

【日本生産性本部「第9回 働く人の意識調査」】

https://www.jpc-net.jp/research/detail/005805.html

人材開発支援助成金「人への投資促進コース」新設              R4 年6月

国民からのアイディアを募集

 令和4年4月から、人材開発支援助成金の各コースで要件や助成額等が変更され、新たに「人への投資促進コース」が創設されました。このコースは、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年1119日閣議決定)において、岸田首相が「人への投資を抜本的に強化するため、3年間で、4,000億円の施策パッケージを提供すること」「デジタルなど成長分野への労働移動の円滑化や、人材育成を強力に推進すること」を掲げ、国民からのアイディアを募集して創設されたものです。

 

5つの訓練メニュー

 「人への投資促進コース」は、国民から寄せられた「企業の従業員教育、学び直しへの支援」や「デジタル人材などの育成強化」などの提案をもとに、以下の5つの訓練メニューに分かれています。

・高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練

高度デジタル訓練(ITスキル標準(ITSS)レベル3または4)、大学院(海外も含む)での訓練を行う事業主が助成対象

・情報技術分野認定実習併用職業訓練

  IT分野未経験者に対するOFF-JTとOJTの組み合わせ型の訓練を行う事業主が助成対象

・長期教育訓練休暇等制度

  教育訓練休暇制度(30日以上の連続休暇取得)や教育訓練短時間勤務等制度(30回以上の労働時間の短縮および所定外労働時間の免除)を導入し、労働者の自発的な職業能力開発を促進した場合に助成を拡充

・自発的職業能力開発訓練

  自発的職業能力開発経費負担制度を定めるとともに、その制度に基づき、被保険者に対して経費を負担する事業主が助成対象

・定額制訓練

  労働者の多様な訓練の選択・実施を可能する定額受け放題研修サービス(サブスクリプション)を行う事業主が助成対象

 各訓練に関する対象の詳細や支給要件、助成率・助成額、申請書類等については、厚生労働省のパンフレットを参照にしてください。

【厚生労働省「令和4年度版パンフレット(人への投資促進コース)詳細版」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000922575.pdf