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変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。
R6年10月 マイナ保険証への移行に伴う対応について
R6年10月 転職者の離職理由と賃金の変動状況
R6年10月 ジョブ型人事指針が公表されました
R6年10月 「令和6年版厚生労働白書」が公表されました
R6年10月 厚労省・国交省「建設業の人材確保・育成に向けた取組」
R6年10月 リテンションと配置・異動管理の重要性
R6年10月 労働者死傷病報告の電子申請義務化について
R6年10月 「令和6年版 労働経済の分析」が公表されました
R6年10月 外部シニア人材の受入れに前向きな中小企業は約6割
R6年10月 企業の7割カスハラ対策未対応~東京商工リサーチ調査結果
◆9月9日から「資格情報のお知らせ」送付開始
12月2日以降、健康保険証がマイナ保険証へと移行します。協会けんぽでは、9月9日から既加入者に対する「資格情報のお知らせ」の送付を行っています。
この「資格情報のお知らせ」は、令和6年12月から健康保険の各種給付金等の申請に必要な健康保険の記号・番号の確認等に用いるもので、一部は被保険者が携帯しやすいよう切り取って利用可能なレイアウトの紙製カードとなっています。
特定記録郵便で会社に送付されてきますので、各被保険者に配付等する必要があります。なお、12月2日以降の新規加入者については、資格取得時に送付されてくることとなります。
◆従来の被保険者証の扱い
マイナ保険証に移行した後も、現行の保険証がすぐに使えなくなるわけではありません。そのため、令和7年12月1日までに退職する従業員からは、従来どおり保険証を返納してもらう必要があります。令和7年12月2日以降は、被保険者による自己破棄も可能となりますので、返納してもらわなくても構いません。
◆マイナ保険証を持っていない加入者への「資格確認書」の発行
新規加入者については、12月2日以降、資格取得届などによる本人からの申請に基づき、会社を経由してマイナ保険証を持っていない加入者に発行されます。
既存の加入者については、令和7年12月2日までに協会けんぽが必要と判断した人に対して発行されます。
なお、資格確認書の取扱いについても、従来の被保険者同様、有効期限内に退職した場合、会社に返納してもらう必要がありますので退職手続時にあわせて回収しましょう。
【全国健康保険協会「第130回全国健康保険協会運営委員会資料~マイナ保険証への円滑な移行に向けた対応について」】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat720/r06/001/240725/
◆入職率、離職率ともに上昇
厚生労働省は令和5年「雇用動向調査」を公表しました。これによれば、入職率 16.4%(前年比1.2ポイント上昇)、離職率 15.4%(前年比0.4ポイント上昇)と、いずれも前年を上回る数字となっています。また、入職超過率は1.0ポイントとなっており、前年と比べて0.8ポイント拡大しています。
◆転職入職者が前職を辞めた理由
令和5年1年間の転職入職者(入職者のうち、入職前1年間に就業経験のある者)が前職を辞めた理由をみると、男性は「その他の個人的理由」、「その他の理由(出向等を含む)」を除くと「定年・契約期間の満了」16.9%が最も多く、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」9.1%となっています。女性は「その他の個人的理由」を除くと「職場の人間関係が好ましくなかった」13.0%が最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」11.1%となっています。
また、前年と比べて上昇幅が最も大きいのは、男性は「仕事の内容に興味を持てなかった」(2.9 ポイント)で、女性は「職場の人間関係が好ましくなかった」(2.6 ポイント)となっています。
◆転職入職者の賃金変動状況
転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合が37.2%(前年比2.3ポイント上昇)、「減少」した割合は 32.4%(前年比1.5 ポイント低下)、「変わらない」の割合は 28.8%となっています。また、「増加」のうち「1割以上の増加」は 25.6%、「減少」のうち「1割以上の減少」は 23.4%となっています。
現在、転職市場が活性化しており、若年者に限らずミドル層の転職も増えているようです。企業としては、他社の状況も踏まえつつ労働条件や社内環境等についてはよく考えていきたいところです。
【厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/gaikyou.pdf
◆そもそもジョブ型人事とは?
ジョブ型人事制度は、従来のメンバーシップ型人事制度とは異なり、職務ごとに必要なスキルや役割を明確にし、その職務に基づいて採用・評価・報酬設定を行う制度です。専門性を重視し、社員が自らのキャリアを選択しやすくなるといわれています。グローバル化や働き手の減少に伴い、従来の年功序列や一括採用に依存した日本型の制度では対応が難しくなってきています。こうした中で、日本企業の競争力を高め、効果的な人材活用を促進するために、ジョブ型人事制度を導入する企業が増加しているのです。
◆ジョブ型人事指針の概要
8月28日、内閣官房、経済産業省、厚生労働省は、連名で「ジョブ型人事指針」を公表しました。この指針は、内閣官房が主導する「三位一体労働市場改革分科会」で令和5年4月から令和6年7月までに行った、全10回にわたる議論をもとに策定されました。
指針では、既にジョブ型人事制度を導入している20社の事例を取り上げています。特に、①制度の導入目的、経営戦略上の位置付け、②導入範囲、等級制度、報酬制度、評価制度等の制度の骨格、③採用、人事異動、キャリア自律支援、等級の変更等の雇用管理制度、④人事部と各部署の権限分掌の内容、⑤労使コミュニケーション等の導入プロセス、といった観点で紹介しており、各企業が自社のスタイルに合った導入方法を検討することを目指しています。
ジョブ型人事指針は、日本企業が今後の労働市場で競争力を維持・向上させていくための重要な指針です。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。ご検討の際は、当事務所にご相談ください。
【内閣官房・経済産業省・厚生労働省「ジョブ型人事指針」】
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/jobgatajinji.pdf
厚生労働省は、「令和6年版厚生労働白書」を公表しました。
第1部は「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」をテーマとし、こころの健康を損ねる背景にある「ストレス要因」に着目し、幼年期から老年期までに至るライフステージに沿って、現代社会のストレスの多様さについて考察した上で、こころの健康に関する対策や支援の現状および今後の方向性を提示しています。
第2部では「現下の政策課題への対応」として、子育て、雇用、年金、医療・介護など、厚生労働行政の各分野について、最近の施策の動きをまとめています。
こころの健康について、厚生労働白書で大々的に取り上げられるのは、今回が初めてのことです。
◆第1部 こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に
「こころの健康」と「こころの不調」について
1.社会保障を取り巻く環境と人々の意識の変化
2.こころの健康に関する取組みの現状
3.こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に
◆第2部 現下の政策課題への対応
特集 令和6年能登半島地震への厚生労働省の対応について
1.働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など
2.女性、若者、高齢者等の多様な働き手の参画
3.自立した生活の実現と暮らしの安心確保
4.若者も高齢者も安心できる年金制度の確立
5.医療関連イノベーションの推進
6.国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現
7.健康で安全な生活の確保
8.障害者支援の総合的な推進
9.国際社会への貢献
10.行政体制の整備・情報政策の推進
老若男女を問わず、メンタルヘルス不調を抱える社会となってきています。社内環境や社員のライフステージの変化に気を配り、安心して働き続けられる職場づくりをしていきましょう。
【厚生労働省「令和6年版厚生労働白書」を公表します】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42715.html
厚労省・国交省は9月2日、「令和7年度予算概算要求の概要」を公表し、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組んでいく方針を示しました。
両省は、建設業の技能者のうち約4分の1を60歳以上が占める現状等を踏まえ、特に若者・女性の定着促進等に重点を置き、処遇改善や働き方改革などを一体として進め、人材確保・育成を進めていくことが重要としたうえで、これまでに続き連携した取組みを促進するこことしています。
◆取組みと概算要求の概要
この取組みにかかる両省の予算は、以下の3つの重点事項で取りまとめられています。
① 人材確保 ② 人材育成 ③ 魅力ある職場づくり
①については、建設業への入職や定着を促すための施策として、国交省では働き方改革等にかかわる施策や実態調査の実施を、厚労省では建設キャリアアップシステム(※)等活用促進コース(仮称)創設等を通じた助成金支援やマッチング支援などを、それぞれ継続・拡充していくとしています。ほかにも、例えば厚労省は②については職業訓練の実施、③については働き方改革推進支援助成金による支援・一人親方等の安全衛生対策支援事業などを引き続き実施していくとしています。
人手不足や、いわゆる建設業における2024年問題など、建設業を取り巻く状況は深刻化しています。こうした状況をうけ、政府としても各種取組みを推進していくことと思われます。
ご関心のある制度、法令等や安全衛生についてご不明点がある際は、どうぞ弊所にご相談ください。
※ 建設キャリアアップシステム:建設技能者の処遇改善をめざし国交省と建設業団体が連携して推進している、技能者の資格や就業履歴等を登録・蓄積し能力評価につなげる取組み。
【厚生労働省「建設業の人材確保・育成に向けた取組を進めていきます~厚生労働省・国土交通省の令和7年度予算概算要求の概要~」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42550.html
【国土交通省「建設キャリアアップシステム 国土交通省ポータルサイト」】
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_fr2_000033.html
リテンションの意味と重要性
「リテンション」とは、企業が優秀な人材を維持・確保するために行う人事施策全般を指します。少子高齢化が進み、人手不足の企業が多いなか、既存の優秀な人材が自社に居続けてくれるための施策は、ますます重要になっています。
リテンションマネジメントは、単なる離職防止策ではなく、従業員の満足度や生産性を高め、企業の競争力を維持・向上させるための戦略的な取組みです。優秀な人材を維持することは、企業の成長に直結するため、企業の重要な課題となっています。
◆不本意な配置・異動がリテンションに与える影響
従業員の意思を無視した配置転換や、家庭事情等を考慮しない一方的な異動は、従業員の不満や不安を増大させ、企業への信頼を損なう恐れがあります。場合によっては退職ドミノにつながり、会社の存続を危うくする可能性もあります。
◆効果的な配置・異動管理の注意点
効果的な配置・異動管理を実施するためには、まず従業員の個々の適性やキャリアプランを尊重することが重要です。従業員の能力や経験、希望を十分に考慮し、適材適所の配置を心がけることが求められます。
また、配置や異動の基準や過程を明確にし、従業員との対話を重視することで、透明性と公平性を確保することができます。さらに、異動後の適応状況を定期的に確認し、必要に応じてサポートを提供することで、従業員が安心して新しい環境に馴染むことができます。従業員の安心感は近年の労務管理における重要事項です。
ただし、このような取組みを行うためには、その基礎として職場の良好な人間関係が必要です。また、異動の基準等を明確化し、多様化する働き方にも対応するために、就業規則等の見直しが必要になってきているようです。
労働者死傷病報告の報告事項が改正され、令和7年1月1日から、電子申請が義務化されるとともに、報告事項の整理がされます。
◆主な改正内容
労働者死傷病報告の報告事項について、災害発生状況をより的確に把握すること等を目的に、これまでの自由記載から、該当するコードからの選択に変更になります。
① 「事業の種類」⇒日本標準産業分類から該当する細分類項目を選択
(例)製造業>食料品製造業>水産食料品製造業>水産缶詰・瓶詰製造業
② 「被災者の職種」⇒日本標準職業分類から該当する小分類項目を選択
(例)生産工程従事者>製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く)>食料品製造従事者
③ 「傷病名及び傷病部位」⇒該当する傷病名及び傷病部位を選択
(例)傷病名:負傷>切断 傷病部位:頭部>鼻
また、「災害発生状況及び原因」の記入事項については、留意事項別に記入できるよう欄が5分割されました(1.どのような場所で、2.どのような作業をしているときに、3.どのような物又は環境に、4.どのような不安全な又は有害な状態があって、5.どのような災害が発生したか)。さらに、「略図(発生時の状況を図示すること。)」については、従前の手書きから、イラスト等の「略図」のデータを添付することになります(手書き等で作成後、携帯電話等で写真を撮ってそのデータを添付することも可)。
◆留意点
厚生労働省は、厚生労働省ポータルサイト「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」の活用を推進していますが、電子申請が困難な場合は、当面の間、書面による報告を認めるとしています。また、令和7年1月1日からは、次の報告についても電子申請が義務化されます。
総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医の選任報告、定期健康診断結果報告、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告、有害な業務に係る歯科健康診断結果報告、有機溶剤等健康診断結果報告、じん肺健康管理実施状況報告
【厚生労働省「労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されます(令和7年1月1日施行)」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/denshishinsei_00002.html
厚生労働省から「令和6年版労働経済の分析」が公表されました。
今回の白書では、「人手不足への対応」をテーマとして分析が行われました。第Ⅰ部では、2023年の雇用情勢や賃金、経済等の動きをまとめています。また、第Ⅱ部では、我が国の人手不足の動向やその背景を分析し、人手不足への対応に向けた方向性等を示しています。
白書の主なポイントは次のとおりです。
◆2023年の労働経済の推移と特徴
・我が国の雇用情勢は、求人が底堅く推移する中で、改善の動きがみられた。正規雇用労働者は女性を中心に9年連続で増加。人手不足感は、新型コロナウイルス感染症の拡大前よりも強まった。
・現金給与総額は3年連続で増加。民間主要企業の賃上げ率は3.60%、2年連続で前年を上回る。物価上昇により実質賃金は減少。
◆2010年代以降の人手不足の現状
・産業・職業別に労働力の不足度合い(労働力需給ギャップ)をみると、2017年以降、総じて労働力供給が労働力需要を下回り、 2023年には、人手不足が相当に広い範囲の産業・職業で生じている。
・労働移動について、中小企業から大企業への移動は増加傾向。我が国では、欠員率に対する賃金上昇率の感応度が高く、人手不足は賃金を引き上げる効果がある可能性。
◆人手不足への対応
・介護分野、小売・サービス分野においては、人手不足緩和に向け、離職率を低下させることが重要。人手不足緩和に効果的な取組みを分析すると、総じて、賃金や労働時間だけではなく、職員の負担を軽減するような機器の導入、相談体制や研修、給与制度の整備等、労働環境・労働条件の改善が重要。
〇介護分野:介護事業所の標準的な水準以上の賃金の確保、相談支援の整備、定期的な賞与の支給、ICT機器等の導入等
〇小売・サービス分野:少なくとも月20万円以上の月額賃金の確保、研修や労働環境の整備、給与制度等の労働条件の整備等
【厚生労働省「「令和6年版労働経済の分析」を公表します」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43038.html
日本商工会議所・東京商工会議所は9月5日、「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」の集計結果を発表しました。全国の338商工会議所が2024年7月8日~31日に調査を実施し、2,392社から回答を得ています。
◆人手が「不足している」と回答した企業は63%
人手が「不足している」と答えた企業は63.0%と前年比5.0ポイント低下していますが、依然として厳しい状況が続いています。
人手不足企業の6割超(65.5%)が、事業運営への影響について、「非常に深刻(廃業のおそれ)」(4.2%)または「深刻(事業継続に支障が出るおそれ)」(61.3%)と回答しています。
◆中小企業の約6割が外部シニア人材の受入れに前向き
シニア人材の活用について、法定下限(60歳)を超える61歳以上の定年の措置を講じている企業は52.2%で半数を超えています。定年後、法律上の義務(65歳まで)を超える継続雇用の措置を講じている企業は63.2%、「上限はない」とする企業は32.0%でした。規模が小さい企業ほど、シニア人材に対して年齢に関わらない処遇を行っている企業が多い傾向です。
回答企業の4社に1社(25.5%)が外部シニア人材を既に「受け入れている」と回答し、「適当な人材がいれば受け入れたい」(35.2%)と合わせると、約6割(60.7%)が受入れに前向きです。
また、外部シニア人材の採用ルートは、「公的職業紹介」(62.7%)、「従業員による紹介」(47.3%)、「民間職業紹介」(36.1%)の順で多くなっており、「リファラル採用」として注目されている「従業員による紹介」が半数近くに達しています。
◆外国人材の受入れに前向きな企業は半数以上
外国人材を「既に受け入れている」企業は24.6%で2割を超えています。「今後受け入れる予定」(4.5%)、「受け入れるか検討中」(22.5%)と合わせると、半数以上(51.6%)が外国人材の受入れに前向きな意向です。
【日本商工会議所・東京商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」調査結果】
https://www.jcci.or.jp/file/sangyo2/202409/20240905_diversity_release.pdf
東京商工リサーチは、「企業のカスタマーハラスメント」に関する調査結果を公表しました。この調査は8月上旬にインターネットによるアンケートで実施し、5,748社から回答を得て集計されたものです。
◆約2割の企業がカスハラを経験
「貴社では直近1年間でカスタマーハラスメントを受けたことはありますか」という質問に対し、「ある」と回答した企業は19.1%(1,103社)でした。規模別では、資本金1億円以上の大企業の26.1%(567社中、148社)がカスハラを受けており、中小企業は18.4%(5,181社中、955社)でした。取引先や顧客が多い大企業のほうがクレームを受ける機会が多いことがわかります。
職種別では、宿泊業が72.0%(25社中、18社)で最も多く、次いで、飲食業、タクシーやバスなどの道路旅客運送業、サービス業、小売業が上位を占めています。
◆休職や退職が発生した企業も
「カスタマーハラスメントの内容はどのようなものでしたか」という質問に対し、「口調が攻撃的・威圧的だった」が73.1%(1,047社中、766社)で最も多く、次いで、「長時間(期間)にわたって対応を余儀なくされた」、「大きな声を上げられた」、「一方的に話し続けられた」、「過度に謝罪を要求された」が続いています。
また、カスハラを受けたことがある企業のうち、13.5%(1,040社中、141社)がカスハラによって「休職や退職が発生した」と回答しています。
◆カスハラ対策の義務化検討
「カスタマーハラスメントについて、どのような対策を講じていますか」という質問に対し、71.5%(5,651社中、4,041社)が「特に対策は講じていない」と回答しています。一方、対策を講じている企業は、「従業員向けの研修」、「従業員向けの相談窓口の設置」、「カスタマーハラスメントの対応方針(に類するものを含む)の策定」などの対策に取り組んでいます。
政府は、企業へのカスハラ対策の義務化について、労働施策総合推進法の改正を検討しており、来年の通常国会に改正案を提出する予定です。企業は、従業員が安心して働ける職場環境をつくるためにカスハラ対策に取り組むことが必要となります。
【東京商工リサーチ「「企業のカスタマーハラスメント」に関するアンケート調査」】
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198870_1527.html