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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

メンタルヘルス等に関する調査にみる「休職・職場復帰」の実態  H28年2月

労働力人口減少への対応に向けて

少子高齢化の急速な進展により、労働力人口が減少に転じる中で、病気休職や職場復帰に関する会社としての対応が重要になってきています。

このたび、「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立に関するヒアリング調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)の結果が明らかになりました。

建設、運輸、情報通信、卸・小売、飲食、サービス業などを調査対象とし、企業規模も大小で比較できるようになっているなど、休職者の職場復帰の実態がわかる内容となっており、会社としての今後の対応を考えるうえで参考となるでしょう。 

◆調査結果のポイント

・健康診断で異常所見が出た場合の措置として、ほとんどの企業が人事部門から当該社員に通知し、再検査を求めている。ただし、通院治療を継続しているか等のフォローアップまではしていない場合が多い。

・常時50人以上の労働者を使用する事業所を有する企業は、すべて産業医を選任している。産業医に委託されている業務としては、すべての企業で共通しているのは、安全衛生委員会開催時等に来訪するなど、月に1回程度の訪問。

・産業医以外の相談受付体制として、(1)医療従事者(看護師、カウンセラー等)の常駐・相談受付、(2)社内相談窓口(人事・総務、社内専用部署)、(3)外部相談窓口(委託)の3つのルートがみられた。

・過去3年間の休職者・退職者をみると、身体疾患では、特に、「がん、脳血管疾患、心疾患」での休職者は高齢層(50歳代以上)に多い。メンタルヘルス不調の休職者の年齢属性では、若年層(とくに勤続の短い層)に多いとの認識を抱く企業が一部にみられた。若年層にみられることから、ストレス耐性の弱さに原因があるとする企業もある。

・休職前に積立休暇(失効年休積立制度)、長期の欠勤期間がある企業など、疾病に長期療養ができる企業では、疾患が軽度であるほど、休職前に職場復帰する者がみられる。ただし、身体疾患に比べ、精神疾患のほうが、治療期間が長い傾向にあった。疾患が軽度であるほど、早期の復帰がしやすいことから、いずれの企業も、早期発見・早期治療が職場復帰で有益であることを指摘していた。 

◆調査結果の詳細
詳しい調査結果は、下記のURLから見ることができます。
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2015/164.html

均等法・育介法改正「マタハラ防止」を企業に義務付け
H28年2月

◆男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の改正

政府は、今国会に提出する男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の改正案の中に、女性らが妊娠や出産を理由に不利益を被るマタニティーハラスメント(マタハラ)の防止策の企業への義務付けを盛り込む方針を明らかにしました。

20174月からの実施を目指すとしています。

◆就業規則へ盛り込むことなどを義務付け

具体的には、マタハラ行為を禁止する規定を就業規則に盛り込むことや相談窓口の設置、社員研修の実施などを企業に求めることとします。

派遣社員も防止策の対象とし、違反した企業名について公表する方針です。

 ◆最高裁判決や厚労省調査を受けて判断

現行の男女雇用機会均等法でも、事業主に対して、妊娠や出産を理由にした解雇や降格は禁止していますが、職場の上司や同僚が「長く育休を取得されると迷惑」「辞めたらどうか」などと発言するのは、事業主が発言を指示した場合などを除けば違法とはなっていません。

マタハラをめぐっては、201410月に、妊娠による降格が男女雇用機会均等法に違反するという最高裁判決が出ています。また、昨年910月に厚生労働省が実施した調査では、妊娠や出産、育児をした女性のうちマタハラを受けた人の割合は、派遣社員48.7%。正社員21.8%、契約社員13.3%、パート5.8%となっており、経験したマタハラで最も多かったのが「『迷惑』『辞めたら?』など権利を主張しづらくする発言」でした。

政府は、現行法のままでは、上司や同僚の言動で休みを取りづらい雰囲気が作り出されている実態には対応しきれないと判断し、昨年11月に発表した“一億総活躍社会”実現への緊急対策で「妊娠、出産などを理由とする不利益取扱いを防止するため法制度を含め対応を検討する」と盛り込んでいました。

 ◆“一億総活躍社会”の実現に向けた政策の一環

マタハラ対策の強化は、安倍政権が掲げる“一億総活躍社会”実現に向けた政策の一環です。働く女性が妊娠・出産をしやすい労働環境をつくり、出生率1.8の実現につなげたい考えです。

どのような言動がマタハラにあたるかは厚生労働省令で詳細を定めるようですが、上司や同僚による嫌がらせ発言が対象となる見込みです。

「自動車運送事業」の監督指導・送検結果と取組事例
H28年2月

◆平成26年の状況は?

厚生労働省から、トラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対する平成26年の監督指導や送検状況についてとりまとめた資料が公表されました。

82.9%の事業場で法令違反

平成26年に全国の労働局や労働基準監督署などが監督指導を行った事業場は3,907ありましたが、そのうち労働基準関係法令違反があったのは3,240事業場で、実に82.9%に上りました。

また、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号)」違反があったのは、2,373事業場で60.7%となっています。

◆違反事項のトップは「労働時間」

労働基準関係法令の主な違反事項のトップは労働時間で56.0%。次いで割増賃金(24.3%)、休日(6.4%)と続いています。

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の主な違反事項のトップは、最大拘束時間で48.3%、以降、総拘束時間(38.3%)、休息期間(35.3%)、連続運転時間(27.6%)、最大運転時間(17.3%)となっています。

なお、重大または悪質な労働基準関係法令違反により送検となった事業場は56件ありました。

◆各機関が連携して指導を強化

自動車運送事業に従事する自動車運転者の労働条件の改善を図る目的から、労働基準監督機関と地方運輸機関は、臨検監督等の結果を相互に通報しています。

平成26年に労働基準監督機関から地方運輸機関に通報した件数は864件。地方運輸機関から労働基準監督機関に通報した件数は312件でした。

また、より効果的な指導をするため、労働基準監督機関と地方運輸機関が合同で監督・監査を行っています(平成26年は176件)。

◆自社の改善は取組事例を参考に

労働基準監督官による監督指導後の会社の取組事例として、運行計画の変更や運転者の増員、協力会社への業務委託などの取組みを行い、休日労働がなくなり、1箇月の拘束時間が最長280時間となった事業場などの取組みが紹介されています。ぜひ参考にしたいところです(「自動車運転者を使用する事業場平成26年」で検索)。

「外国人技能実習制度」見直しで受入企業に届出義務化
H28年2月

◆技能実習制度の現状

現在、日本で技能実習生として16万人を超える人が働いており、中国やベトナム、インドネシア等を中心に受け入れています。

対象業種は農業や建設、食品製造など72に及び、人材不足が深刻な業種では労働の貴重な担い手としての役割も期待されています。

ところが、2013年に厚生労働省が行った立入調査では、対象事業所の約8割で「残業代未払い」や「過重労働」といった労働法令違反が明らかになるなど、国際社会からも不当労働や人権侵害の温床になっているとの批判を受けていました。

◆これまでの制度改正の内容

同制度は1993年に創設されましたが、研修期間中の実習生には労働関係法令の適用がなく、不当な扱いを受けるケースも多くあったため、法改正により、最長3年間の研修期間のうち、入国当初の講習期間を除き、企業等での技能習得等のための期間については労働関係法令が適用されることとなり、20127月より施行されています。

さらに、従来、企業等での技能実習期間については監理団体による監理の対象とされていませんでしたが、すべての期間を対象とし、監理団体等の不正行為取締りも強化されています。

 ◆今回の改正内容

上記の改正によっても法令違反が解消されていないため、新たに受入れ企業の抜打ち検査を実施する権限を持つ「外国人技能実習機構」を設置することとします。

また、受入れ企業には同機構への届出を義務化し、実習内容の確認を受けます。この届出をしない企業には罰金が科されるほか、5年間の受入れ禁止処分となります。

そのほか、実習生の待遇を日本人と同等以上とすることが求められます。また、受入れ期間を3年から5年に延長し、対象業種として新たに介護を加えるとしています。

これらの内容が盛り込まれた法案はすでに昨年の国会に厚生労働省と法務省とで共同提出されていましたが、成立には至らず、現在開会中の国会にて審議されています。

4月からスタート!改正景品表示法「課徴金制度」
  H28
年2月

◆新たに設けられた「課徴金制度」

平成2611月に成立した改正景品表示法の施行日が決まり、今年の41日から、商品やサービスを販売する際に消費者に誤った認識をさせるような不当表示を行っていた事業者に対して違反商品における売上額の3%の納付を求める「課徴金制度」がスタートすることとなりました。

改正景品表示法は今回2度改正されており、1度目の課徴金制度以外の部分(平成266月成立)については平成2612月にすでに施行されています。

今回施行される「課徴金制度」は、あらゆる商品・サービスが対象となっており、3年間遡って計算されるため、課徴金納付命令を受けた事業者の損害は大きくなる可能性もあり、注意する必要があります。

◆不当表示の種類と対象期間

景品表示法で規制される不当表示には、「優良誤認」(商品等の内容について実際より著しく良いと思わせる)と「有利誤認」(商品等の内容について実際より著しく安いと思わせる)、「その他誤認を与える恐れがあるとして内閣総理大臣が指定するもの」の3種類があります。

課徴金が算定される期間は、「不当表示をした期間」に加えて「不当表示を止めた日から6カ月以内に取引をした日」までとなり、最長で期間の最終日からさかのぼって3年間となります。

 ◆課徴金の金額と減免措置

なお、課徴金は売上額の3%が課されることとなっていますが、課徴金額が150万円未満(売上額が5,000万円未満の場合)の場合は賦課されません。

また、課徴金制度には減免措置があり、事業者が自主的に違反行為を申告した場合に課徴金の2分の1が減額されます。

また、事業者が所定の手続きに沿って自主的に被害者に返金を行った場合には、その返金金額に応じた減額や免除の措置があります。

 ◆表示や広告を見直すべき

この改正で注意すべき点は、過失による不当表示であっても課徴金の対象に含まれるということです。

また、景品表示法が1年間に2度も改正されたことからも、国が近年のインターネット販売や通信販売等における表示や広告の事態を重くみた結果と言えますので、今一度、自社での周知徹底を図り、表示や広告の内容を見直してみるべきでしょう。