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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

「確定拠出年金」の資産の多くが運用されず塩漬けに                            H29年1月

57万人分の資産が運用されず

確定拠出年金(DC)制度で運用されずに放置されている預かり資産が今年3月末時点で1,428億円(約57万人分)に上ることが判明したそうです。原因の多くは、勤務先で「企業型」に加入していた加入者が転職時などに必要な手続きを行わなかったためです。

前年より約207億円も増加しており、この5年間では約2.6倍になりました。これらの資産は厚生労働省所管の国民年金基金連合会に移されて「塩漬け」になり、加入者は老後資金の運用機会を逃していることになります。

 

企業型DCの加入者は離転職時に注意が必要

確定拠出年金法では、企業型DCの加入者がDCを設けていない会社へ転職したり、自営業に変わったりした場合、個人型DCへの切替えや、加入の状況によっては一時金受取りの手続きを6カ月以内にとらなければなりません。

必要な手続きをとらなければ、資産は国民年金基金連合会に自動的に移されます。

この資産は運用されないので利息がつかないうえ手数料が差し引かれるため、目減りしていくこととなります。

 

資産がゼロになったケースも

移管された資産は、残高がゼロになった人を除いて1人平均約42万円で、残高別では、100万円超200万円までが2万人、200万円を超える人が13,000人等となっています。

57万人分のうち約23万人分は、資産がなかったり金額が小さかったりしたこともあって、残高はゼロになっています。

 

周知対策が急務

厚生労働省は企業に対し、DC加入の退職者に必要な手続きを説明する義務を課していますが、罰則はありません。

多くの企業が何の説明もしていないのが実情と言われ、老後のために運用するはずの資産がムダになりかねない事態となっています。国民年金基金連合会も、資産を本来の持ち主に返そうと、通知を毎年送っています。

厚生労働省は、先月、年金記録を管理する機関に対し説明の強化を求めました。確定拠出年金法の改正で対象者が大幅に広がるなど、関心が高まっている中で、加入者への情報の周知や教育が一層求められることになりそうです。

 

 

知っておきたい「がん対策基本法」の概要と改正内容                                         H29年1月

改正法が成立

129日、衆院本会議で「改正がん対策基本法」が全会一致で可決、成立しました。

ここでは、企業の方も知っておきたい法律の概要と改正のポイントをご紹介いたします。

 

「がん対策基本法」とは?

同法では、「我が国のがん対策がこれまでの取組により進展し、成果を収めてきたものの、なお、がんが国民の疾病による死亡の最大の原因となっている等がんが国民の生命及び健康にとって重大な問題となっている現状にかんがみ、がん対策の一層の充実を図るため、がん対策に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体、医療保険者、国民及び医師等の責務を明らかにし、並びにがん対策の推進に関する計画の策定について定めるとともに、がん対策の基本となる事項を定めることにより、がん対策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする」と定められており、平成186月に成立し、平成194月から施行されています。

 

改正内容のポイント

今回の改正の主な内容は以下の通りです。

(1)がんに関する国民理解と社会環境整備に向けての教育推進(第2条第4項、第23条)

(2)がん患者の雇用継続等に配慮するよう事業主に努力義務(第8条)

(3)がんの支持治療に伴う研究と対策(第19条)

(4)難治がん、希少がん、小児がんに関する研究促進(第19条第2項)

(5)小児がん患者の学習と治療の両立支援(第21条)

改正法では、「がん患者が安心して暮らせる社会」を目指すため、国や地域、また企業等に協力を強く求める内容になっています。

 

今後、事業主等に求められる対応

医療技術の進歩により、がんにかかっても通院しながら働く人が増えてきており、仕事と治療の両立が課題となっています。

事業主や担当者は、病気の種類や症状、法律の内容等について最低限の知識を身に付け、がんにかかった従業員が職場で不利益を被らないよう、他の従業員へのがんに関する教育や柔軟な就労時間の変更等、雇用の継続に配慮した対策が求められます。

 

調査結果にみる企業の「福利厚生」に関する動向H29年1月

◆今回で60回目の調査

経団連は、「2015年度福利厚生費調査結果の概要」を1114日に公表しました。

今回で60回目となるこの調査は、1955年度から毎年実施されており、「わが国において、半世紀以上にわたる企業の福利厚生費の動向を把握できる、唯一の調査である」とのことです。

算出方法は、法定福利費、法定外福利費の各項目について、企業の年間負担総額を年間のべ従業員数で除した11カ月当たりの平均値(加重平均)によるものです。

調査結果の全体は、例年12月から1月に公表されています。

 

法定福利費の動向

6年連続で増加となりました。現金給与総額の伸び(570,739円、前年度比1.2%増)を上回って増加する傾向は変わっていません(1980年度以降、伸びが下回るのは、7回のみ)。

内訳では、健康保険・介護保険:31,177円(前年度比1.5%増)、厚生年金保険:46,441円(同2.3%増)、雇用保険・労災保険: 6,728円(同 2.0%増)、児童手当拠出金:794円(同0.6%増)となっています。

 

法定外福利費の動向

法定外福利費は9年ぶりに増加に転じましたが、全体としては抑制される傾向にあります。

法定外福利費の伸びが現金給与総額、法定福利費の伸びを上回るのは2002年度以来ですが、2002年度は調査方法が大幅に変更され、数値の変動幅が大きいため、それ以前では1993年度まで遡ることになります。

内訳をみると、医療・健康費用の「ヘルスケアサポート」が大幅に増加(1,036円、前年度比10.6%増)し、初めて1,000円を超えました。要因として、201512月から義務化されたストレスチェックへの対応や健康経営の高まりが考えられるとしています。

また「育児関連」も387円(同11.2%増)となり、引き続き企業が子育て支援策を充実させていることが伺えます。

なお、カフェテリアプラン消化ポイント総額を円換算した平均は4,549円でした。「カフェテリアプラン」とは、福利厚生運営手法の1つで、従業員に対し、費用と連動したポイントを付与し、福利厚生メニューの中から選択させる制度です。

こうした調査からも、育児・介護、健康配慮といった点に従業員の関心が高く、そうしたことが社会的な動向であると考えられます。日頃の雇用管理でも気にかけていきたいポイントです。

「公益通報者保護制度」見直しへ~退職者や役員も保護の対象に!                               H29年1月

10年ぶりに見直しへ

企業や行政機関の不正を告発・通報した者が不利益な処遇や報復を受けることを防止する「公益通報者保護制度」ですが、平成18年の施行以来、10年ぶりに見直しが議論されています。

今回は、消費者庁の有識者検討会が今月9日に見直しに向けた最終報告書をまとめましたので、その内容をご紹介いたします。

今後、消費者庁は通報者が受ける不利益の実態調査や経済団体と議論を交え、平成30年の通常国会以降の法改正を目指すとしています。

まだ少し先の話ではありますが、保護対象者の拡大や公表制度の設置など、企業にとっては気に掛けておくべき内容です。

 

検討内容(1)~通報窓口を一元化

現在は、各行政機関に通報受付窓口があり、通報を受けると各所轄行政機関が調査を行っています。

今回の見直し案では、消費者庁が一元窓口を設けて情報を関係機関に振り分け、対応を監視、また、可能なものは消費者庁自ら調査することも求めています。

 

検討内容(2)~保護対象の拡大

現在は「労働者」に限定している保護対象を退職者や役員まで広げる方向です。

通報を理由に退職者が退職金の不支給や再就職の妨害を受けたり、役員が解任や再任拒否が行われたりするおそれがあることから、保護対象に含めるよう検討を求めています。

 

検討内容(3)~違反事業者への行政措置

現行の公益通報者保護法には、告発・通報を理由に、通報者に対して解雇や降格、減給など不利益な取扱いをすることを禁止していますが、罰則規定はありません。

そこで、行政機関が是正勧告しても従わない場合は、公表する制度を設ける方向で検討を求めるとしています。

 

検討内容(4)~斡旋・調停等の導入

通報者と会社との間で紛争になった場合に、行政機関が斡旋や調停、指導をする制度の導入を求めるとしています。 

 

2017年「雇用保険」はこう変わる!                            H29年1月

11日以降:65歳以上への適用拡大

今年12月末までは、「高年齢継続被保険者」に限り、65歳以上の方も雇用保険の適用対象となっていますが、201711日以降、(1)1週間の所定労働時間が20時間以上であり、(2)31日以上の雇用見込みがある方は、「高年齢被保険者」として雇用保険の被保険者となります。

 

適用拡大に伴う企業の実務

上記の適用拡大を受け、以下の手続きが必要となります。

高年齢継続被保険者である方を11日以降も継続して雇用している場合は、自動的に被保険者区分が変更されますので、手続きは不要です。

201612月末までに65歳以上の方を雇用し11日以降も継続して雇用している場合は、ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

11日以降に適用対象となる65歳以上の方を新たに雇用した場合も同様の手続きが必要です。

 

対象者に係る手続きのタイミング

新たに雇用した方が適用要件を満たす場合は、雇用した日の翌月10日までに提出します。

201612月末までに雇用した適用対象者の場合は2017331日までに提出します。雇入れ後の労働条件変更により適用要件を満たすこととなった場合は、労働条件変更の日の属する月の翌月10日までに提出します。

 

41日以降:雇用保険料率引下げ等

128日に、厚生労働省の労働政策審議会(雇用保険部会)で雇用保険制度改正案の報告書が了承され、来年の通常国会に雇用保険法などの改正案が提出される見通しです。

この報告書によれば、2017年度から3年間、労使折半で負担する雇用保険料を0.8%から0.6%に引き下げます。

また、失業手当の給付額を1日当たり136395円引き上げ、倒産や解雇で離職した3044歳の方(被保険者期間1年以上5年未満)の支給日数を120150日にします。有期契約労働者が雇止めにより離職した場合の支給日数を拡充する措置は、5年間延長します。

さらに、通常国会には育児休業期間を最長2年とする改正案も提出される見通しですが、育児休業給付についても給付期間を最長2年とし、支給率を休業開始から半年は賃金の67%、半年経過後は50%とすることも盛り込まれています。

 

売り手市場が続く中、「多様な選考機会」を検討する企業が増加                H29年1月

売り手市場が続く!

ここ数年、新卒採用は「売り手市場」が続いており、企業は採用活動を活発化させています。新卒採用にかかわらず、人手不足の中、採用難を感じている企業も多いことでしょう。

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が会員企業を対象に実施した「2016年度新卒採用に関するアンケート調査」(調査期間201675日~822日、回答社数709社)によると、20174月入社対象の採用選考活動について、採用選考活動を実施した企業(実施予定も含む)の割合は96.8%と高水準で推移しているそうです。

2017年入社については「前年と比べて売り手市場であった」(71.3%)、「前年と変わらなかった」(26.2%)と回答した企業が多数を占めており、2016年入社においても9割弱が「前年よりも売り手市場であった」と回答していることから、売り手市場の状況は続いていることがわかります。

 

多様な選考機会を提供する企業が増える?

上記の調査では、「新卒一括採用についての現在と今後の基本方針」についても聞いており、現在の考え方としては、「春季一括採用のみ実施」(45.8%)との回答が最も多かったものの、今後については「春季一括採用を基軸としつつ、多様な選考機会を設ける」(53.6%)とする回答が最も多く、「春季一括採用のみ実施」とする回答(27.6%)よりもかなり多くなっています。

現状では春季一括採用を実施している企業でも、今後は多様な選考機会を検討していく例が増えていくことが予想されます。

 

経営環境の変化を踏まえた選考活動の検討

また、多様な選考機会を提供する理由としては、「様々な機会を設けることで優秀な人材を確保しやすくするため」(87.3%)との回答がトップで、「既卒者、留学生、外国人など多様な人材を確保するため」(74.8%)、「経営環境の変化を踏まえ、柔軟に必要な人材を採用するため」(71.3%)との回答が続いています。

人手不足やグローバル化の時代に向けて、現状の採用活動だけでは対応しきれないことを企業も感じ始めているようです。

 

中小企業も柔軟な発想が求められる

売り手市場が続く中、大手企業以上に採用活動に苦慮している中小企業は多いでしょう。

今後は、一時的な「売り手市場」「買い手市場」などの動向に惑わされず、長いスパンでみた独自の人材確保策を模索していくことが必要になってくるでしょう。