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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

国交省が睡眠不足による事業者の事故防止対策強化へ省令改正               H30年 7月

施行は6月1日。睡眠不足の場合は乗務禁止に

国土交通省が、貨物自動車運送事業法などに基づく省令を改正し、事業者がドライバーを乗務させてはならない項目に「睡眠不足」を新たに盛り込みました。これまでは、「疾病」や「疲労」などの項目はありましたが、睡眠不足は明記されていませんでした。施行は今年6月1日で、以降は、トラックやバスの運転手は乗務前に必ず睡眠状態のチェックを受け、不足の場合は乗務できなくなります。

 

背景に深刻な人手不足による過重労働と事故多発

背景には、運送業界では深刻な人手不足が続いており、運転手が過酷な勤務を強いられて睡眠不足による事故が目立っていたことがあります。

 

改正の概要

改正の概要は以下のとおりです。

(1) 旅客自動車運送事業運輸規則および貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正

・事業者が乗務員を乗務させてはならない事由等として、睡眠不足を追加する。

・事業者が乗務員の乗務前等に行う点呼において、報告を求め、確認を行う事項として、睡眠不足により安全な運転をすることができないおそれの有無を追加する。

・運転者が遵守すべき事項として、睡眠不足により安全な運転をすることができない等のおそれがあるときは、その旨を事業者に申し出ることを追加する。

(2) 「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈および運用について」および「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」の一部改正

・点呼時の記録事項として、睡眠不足の状況を追加する。

 

点呼での睡眠不足の確認が必須。違反すれば行政処分に

これにより、事業者は、乗務前の「点呼」で運転手の健康状態や飲酒の有無などのほかに睡眠が十分かを確認することが義務となります。具体的な睡眠時間についての基準は定められていませんが、睡眠不足のまま乗務を許可したと認定されれば運行停止など行政処分の対象となるため、事業者は厳しい対応を求められます。

具体的には、運転手との対面のやり取りで、睡眠不足による集中力低下など安全に支障がでる状態にないか確認して結果を記録として残さなければならず、ドライバー側にも正直な申告が義務化されます。

【国土交通省~睡眠不足に起因する事故の防止対策を強化します!!

http://www.mlit.go.jp/common/001232432.pdf

 「賃金引上げに向けた生産性向上事例集」とは                                     H30年 7月

2冊の事例集

厚生労働省より、中小企業・小規模事業者の賃金引上げを目的とする生産性向上の取組みをまとめた①『~生活衛生関係営業~ 生産性・収益力向上の取組事例集~賃金引上げのヒント~』と、②『生産性向上の事例集~最低賃金の引上げに向けて~』の2冊の事例集が公表されました。①は、飲食業、宿泊業など「生活衛生関係営業」の企業に特化した、初めての事例集となります。

 

各事例集の内容

①『生活衛生関係営業 生産性・収益力向上の取組事例集~賃金引上げのヒント~』

この冊子では、平成28年7月に施行された中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受け、収益力の向上に取り組んでいる企業の業務の効率化や働き方の見直しなどの事例が紹介されています。

特に、生活衛生業のうち、飲食業、宿泊業、洗濯業、理美容業の企業が取り上げられ、10事例の取組みポイント等がわかりやすくまとめられています。

②『生産性向上の事例集~最低賃金の引上げに向けて~』

この冊子では、個々の事業場を対象とした業務改善助成金や、業界団体を対象とした業種別中小企業団体助成金の活用事例をもとに、業務の効率化や働き方の見直しなどを実施して生産性向上を実現し、賃金の引上げを行った事例が紹介されています。

特に、取組みの中心となった人や、取組後の変化、助成金活用のポイント等、9事例がわかりやすくまとめられています。

 

事例の一例

①の「スマートフォンで確認できる動画マニュアル作成と経営分析ソフト導入による店舗毎の対策検討事例」

多店舗展開している飲食店の新規出店による規模拡大に向けた人材の確保・育成、および既存店の経営改善が目的。

 ⇒実施内容①:スマートフォンで確認できる動画の作業マニュアルの作成

 ⇒成  果①:作業工程が標準化し、全体の業務効率が上がり、営業利益率が0.5%程度改善したほか、新規アルバイトの育成に係る時間が5日も短縮できた。

 ⇒実施内容②:経営分析ソフトの導入

 ⇒成  果②:各店舗の責任者によりバイトシフトの効率化と店舗ごとの営業戦略といった対策が可能となり、営業利益が1%程度増加した。

その他、生産性の向上、強いては賃金引上げにつなげるヒントが見つかることでしょう。

【厚生労働省「賃金引上げに向けた生産性向上の事例集を作成しました」】

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000206098.html

新たな在留資格で外国人の長期就労が可能に H30年 7月

「骨太の方針」の原案

政府は、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案をまとめました。人手不足対策として、外国人材の受け入れを拡大するため、新たな在留資格を創設することがポイントです。政府は現在、単純労働の分野で外国人の就労を原則として禁止していますが、医師や弁護士など高度な専門性を持った人材は積極的に受け入れ、家族の帯同も認めています。今回の原案による新たな在留資格の対象は、人手の確保が難しく、業種の存続・発展のために外国人材の受け入れが必要と認められる業種(農業、介護、建設、宿泊、造船)の5分野を想定しています。

 

最長で10年の就労が可能

日本では約128万人の外国人が働いています。その内訳は、人数の多い順に、①永住者や日本人と結婚した人、②留学生などのアルバイト、③技能実習生、④専門性が高い医師や研究者など――です。技能実習生は約258,000人で、5年前のおよそ2倍に膨らんでいます。今回の原案では、技能実習生に対する5年の就労延長を想定した新資格の創設を明記しました。実現すれば、最長で10年の就労が可能になります。政府は秋の臨時国会にも出入国管理法改正案を提出し、来年4月からの導入を目指します。さらに、骨太の方針では、新資格を得た人が日本語や専門分野の試験に合格すれば、在留期限の上限を撤廃し、家族の帯同も認める考えも掲げました。

 

技能実習制度が骨抜きになるとの懸念も

1993年に始まった技能実習生制度は、本来、途上国への技術移転が目的でした。日本での就労期間が延びるほど、身に付けた技術を母国で活かす機会は遠のきます。今回の案は、技能実習制度を骨抜きにする可能性も指摘され、事実上の移民政策につながるとの懸念の声も上がっています。

 

法務省「センター」で在留情報を一元管理

政府は、法務省に「在留管理インテリジェンス・センター」(仮称)を設け、雇用や婚姻などの情報を一元管理させることで、不法就労を防ぐとしています。法務省は、新設する在留管理インテリジェンス・センターが外国人労働者の離職や転職などの状況を把握しやすいよう、雇用保険を所管する厚生労働省との情報共有を進める方針です。日本人と結婚した外国人が離婚した場合などに自治体と提携して情報を得るための法整備を進めます。また、外国人留学生の勤務先や勤務時間の管理を強化し、法定時間(1週間あたり28時間以内)を超えれば、在留許可を取り消す方針です。

 従業員研修の実施状況に関するアンケート結果より                       H30年 7月

従業員研修を実施する企業が増加

東京商工会議所が研修講座の利用企業1,000社を対象に行った調査結果(有効回答260社、26.0%)によると、2017年度研修費用の前年度比について、約4割の企業が「増加」と回答したそうです。2018年度研修予算の前年度比についても、「変わらない」(50.0%)、「増加」(28.9%)との回答が続き、「減少」と答えた企業は5.1%とわずかでした。2018年度も引き続き、社内、社外研修を実施する企業が増えることが見込まれています。

 

どんな研修を誰に実施するか

今後研修を実施する予定の階層としては、「中堅社員」(67.2%)、「若手社員」(66.4%)、「新入社員」(60.5%)が上位となっており、分野については、「指導・育成」(58.5%)が最も多く、「ビジネススキル」(51.0%)、「コミュニケーションスキル」(44.3%)が続きます。新入社員への研修はよく実施されているところですが、若手・中堅社員など教える立場の社員の指導力を向上させるような研修も多く実施されていることがわかります。

 

受講者本人に選択肢を与えているところも

受講研修の選択方法としては(複数回答可)、「会社(人事部等)が指定」(61.8%)、「受講者の上司が指定」(44.4%)と会社や上司が決めた研修を受講させている企業が多い一方で、「一定の選択肢の中から受講者本人が選択」(31.3%)、「受講者本人が自由に選択」(29.0%)とする企業も約半数となっており、受講者本人に何らかの形で受講研修の選択権を与えている企業も少なくないことがわかります。

 

人手不足時代への対応として

人手不足などへの対応として人材育成に力を入れる企業は増えています。既存の社員のスキルアップ、モチベーションアップはもとより、はじめから経験・技術のある人材を採ることが難しい中小企業にとって、企業内で社員を育て上げるという視点からも、今後は社内研修・社外研修の必要性はますます高まってくることでしょう。

「客からの迷惑行為」対応で会社にできることは?                        H30年 7 月

流通業では従業員の6割超が遭遇

 流通業などの労働組合でつくるUAゼンセンの5万人を対象にした調査で、業務中に客からの迷惑行為に遭遇したと答えた人が、全体で6割超という結果が出ています。特に多かったのが「百貨店」84.5%、「家電関連」82.9%で、購入判断が慎重になりやすい高額商品や詳細な商品説明を求められる商品を扱うため、接客時間が長くなり苦情が発生しやすくなると見られています。

 

業務の支障にもなる迷惑行為

迷惑行為には暴力や不当な要求、悪質なクレームなどがありますが、従業員が謝り続けてやり過ごすケースが大半といわれます。

何時間も謝り続けるなど対応に時間を取られ、他の客への販売チャンスを逃がすなど業務に支障をきたすケースもありますが、これと言った予防策がないのが現状です。

遭遇した従業員には精神疾患になった人もいて、厚生労働省の有識者検討会が3月にまとめた報告書では、客や取引先の迷惑行為について実態調査や対策に向けた議論を進める必要性が盛り込まれました。

 

会社はどうすればよいか?

悪質クレーム対策に詳しい深澤直之弁護士は、典型的な行為を具体的に示して「クレーマーを会社で認定する」、それでも遭遇したら「態度を急変させて、毅然として対応する」、を対応策として示します。これだけでおよそ7割の人がクレーム行為をやめるそうです。

 

電話の通話内容録音も効果的

同弁護士は、「しかるべき機関に相談します」「録音します」と伝えるのも有効とします。

通信各社では自動的に電話の通話内容を録音し、会社のサーバにデータを送信するサービスを提供しています。固定電話だけでなく、携帯電話向けサービスもあります。

利用料金は各社で異なりますが、録音装置の設置不要、特別な操作なしに通話開始直後に録音を知らせる音声ガイダンスが流れて通話内容を自動的に録音し、通話終了後データが送信されるのが一般的です。

クレーム対応だけでなく、サービス向上や研修に活かすなどの利用方法もあるとして、導入する会社が増えています。

ハローワークを通じた障害者の就職件数が増加                             H30年 7月

就職件数が9年連続で増加

厚生労働省の調査によると、平成29年度のハローワークを通じた障害者の就職件数は9万7,814件で、対前年度比4.9%の増となったとのことです。

今年4月の改正障害者雇用促進法の完全施行をにらみ、大企業などを中心に早くから障害者雇用が活発になっており、人材紹介会社や就労移行新事業所などへの問合せも多くなっているようです。調査結果の内容を見てみましょう。

 

精神障害、その他の障害で大幅な伸び

障害者全体での新規求職申込件数は202,143件(対前年度比5.4%増)となり、就職件数は97,814件(同4.9%増)でした。

このうち、精神障害者の新規求職申込件数は9万3,701件で、就職件数は4万5,064件(同8.9%増)、発達障害等を含む「その他の障害者」は12,167件で就職件数5,007件(同4.9%増)と大幅に増加しています。この理由としては、平成30年4月1日から、障害者雇用義務の対象として精神障害者が加わったことが大きいでしょう。

 なお、「その他の障害者」とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳等を保有しない人であって、発達障害、高次脳機能障害、難治性疾患等により、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難な人を指します。

 

産業別就職件数

産業別の就職件数では、「医療,福祉」(3万5,566件、構成比36.4)、「製造業」(1万3,595件、同13.9)、「卸売業,小売業」(1万2,412件、同12.7)、「サービス業」(1万288件、同10.5%)などとなっています。障害種別に若干の違いはありますが、傾向としては同じとなっているようです。

 

ミスマッチを防ぐには

障害者の雇用については、職場環境の整備と障害のある方への適切な対応が必要です。障害者雇用率を達成するためとか、人手不足だからといった消極的な理由だけでは、雇用のミスマッチが生まれ、社内にも混乱を生むだけです。障害者を雇用する場合のほか、既存の社員が障害者となる場合もあるでしょう。労務管理関してはある程度の障害に対する知識のほか、コミュニケーションが何より重要となります。障害者の雇用を考える場合は、主治医や産業医、社会保険労務士等の専門家相談しながら進めましょう。

調査結果にみる中小企業の人手不足等への対応                                          H30年 7月

人手不足の中小企業が4年連続増加

日本商工会議所は、全国の中小企業4,108社を対象に実施した「人手不足等への対応に関する調査」の結果を発表しました。それによると、回答した2,613社のうち、1,731社(65.1%)が「人手が不足している」と回答しており、4年連続で割合が上昇していることから、中小企業の人手不足が悪化していることが浮き彫りとなりました。

 

人手不足が深刻な業種

業種別に見ると、「宿泊・飲食業」の79.1%の企業が「不足している」と回答し、次に「運輸業」(78.2%)、「建設業」(75.6%)が続きました。特に飲食業は、「求人募集を出しても人が集まらない」「採用してもすぐに辞めてしまう」など問題が深刻化しています。また、人手が不足しているが人員を充足できない理由について、採用の面では「立地する地域に求めている人材がいない」という回答が多く、これは人口減少や大都市圏への流出などによるものと考えられます。

 

人材確保のために取り組んでいることは?

同調査での多様な働き方に関する取組みついての設問では、約5割の企業が「長時間労働の削減」「再雇用制度」を、約3割の企業が「年休取得の促進」「子育て・介護休暇制度」を実施していることがわかりました。それによって得られた効果として、「高齢者の活躍促進」「人材の確保(退職者の減少)、定着」「従業員のモチベーション向上」などが挙げられています。

また、外国人材の受入れについては、「受入れのニーズがある」「雇用するか検討中」と回答した企業は合わせて1,145社(42.7%)だったことから、外国人の雇用に関する関心が高いことがうかがわれます。しかし、コミュニケーションのとりづらさや文化の違い、雇用する際の手続きの煩雑さなどに課題があるようです。

 

「人手不足対応アドバイザー」を全国に配置

中小企業庁は、昨年「中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン」を取りまとめ、5月には地域の相談に応じる相談員「人手不足対応アドバイザー」を全国のよろず支援拠点に配置しました。各拠点の相談員は、労務管理、業務見直し等による生産性向上、職場環境の改善などの相談に応じ、対応が困難な内容についてはテレビ電話システムや出張を通じて対応するとしています。

人手不足は、業種や地域によって問題が様々ですので、専門家に相談することによって具体的な解決策が得られるかもしれません。

長時間時間労働はここ10年でどのくらい減ったのか?        H30年 7 月     

240時間以上の長時間労働、10年で減少

月に240時間以上の長時間労働をしている人が、この10年間で減少したことが、東京大学社会科学研究所の石田浩教授らの調査でわかったと報じられました(朝日新聞5月18日付)。報道によれば、月に240時間以上の長時間労働をしている男性の「典型雇用」(正社員など)では、2007年の35.4%から、2017年は23.7%まで減少しました。同じく女性の典型雇用でも12.1%から8.2%に減少。「非典型雇用」(契約社員など)でも減少傾向が見られました。

 

240時間労働は過労死ライン

月に240時間以上の長時間労働(月の労働日を20日として、112時間以上の労働)は、いわゆる「過労死ライン」に抵触する危険な水準です。脳卒中や心臓病などの発症率が高く、いざ労働災害認定となった際には業務との因果関係が認められやすくなります。労働者・企業の双方にリスクがある危険な働き方です。減少傾向にあるとはいえ、23.7%という結果は、いまなお高いというべきかもしれません。

 

帰宅する時間も早まっている

また同調査では、働く人の「平均帰宅時間」も早まったことがわかりました。この10年間で、男性は午後8時2分から同7時48分へ、女性は午後6時48分から同6時1分へ、それぞれ短縮しました。過労死ラインレベルの長時間労働だけでなく、平均的な労働時間も短縮しているといえそうです。

 

働く人の意識は変化し続ける

帰宅時間については、より長いスパンで比較した調査もあります。シチズン時計株式会社「『ビジネスマンの生活時間』35年の推移」によれば、「「遅い」と感じる帰宅時間」は、1980年から2000年までは「23時」がトップでしたが、2010年には「22時」がトップ、2015年には「21時」がトップと、この35年間、年々早まる結果となりました。同調査は、リーマン・ショック(2008年)や東日本大震災(2011年)の影響から生活様式が見直され、働き方にも意識の変化が見られる、と指摘しています。

その後も過労死事件の社会問題化や働き方改革等もあり、働く人々の労働時間への意識はさらに高まっています。企業としては、労働者の意識や世相の変化から取り残されないよう、常に注意が必要でしょう。