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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

「マイナンバー制度」雇用保険関係の最新情報!H27年9月

◆厚労省から続々と情報が公表

8月に入り、厚生労働省から雇用保険関係のマイナンバー制度に関する情報が続々と公表されています。

まず、83日に「概要リーフレット」と、事業主向けの詳細資料である「マイナンバー制度の導入に向けて(雇用保険業務)」が公表され、来年1月から使用するマイナンバー制度に対応した雇用保険関係の様式案(7月時点の改正案)も公開されました。

さらに85日には「雇用保険業務等における社会保障・税番号制度への対応に係るQ&A」が公表されています。

マイナンバー制度に関する同省関係の情報発信は、国税庁などに比べると遅れ気味ではありますが、ようやく出てきたといった感じです。

なお、個人番号については厳重な管理が必要とされているため、同省ではできるだけ電子申請による届出を行うよう呼びかけています。

 ◆「Q&A」の内容

以下では、上記「Q&A」の内容からいくつかご紹介します(全体版は『厚生労働省 マイナンバー制度 雇用保険関係』で検索してご覧ください)。

Q7「離職票-1」は事業主が個人番号を記載して離職者に交付するのか。

(答)「離職票-1」の個人番号欄は離職者が記載することとしており、事業主はハローワークから交付された「離職票-1」(個人番号欄は空欄)を離職者に交付していただくこととなります。

Q9 雇用保険手続について、手続の契機ごとに同一従業員の個人番号を重複して提出することになるのか。

(答)個人番号のハローワークへの届出にあたっては、事業主が従業員から個人番号を収集する際に本人確認を行った上で提出することからハローワークでは本人確認等の事務は行わないこととなりますが、仮に、個人番号が誤って登録された場合には、その後の事務処理に多大な影響を生じることとなることから、手続頻度の高い届出について、届出の契機ごとに、個人番号を記入して提出することとしています。

11 従業員から個人番号の提供を拒否された場合、雇用保険手続についてどのような取扱いとなるのか。

(答)雇用保険手続の届出にあたって個人番号を記載することは、事業主においては法令で定められた(努力)義務であることをご理解いただいた上で、従業員から個人番号の提供を求めることとなりますが、仮に提供を拒否された場合には、個人番号欄を空白の状態で雇用保険手続の届出をしていただくこととなります。その上で、再度、従業員から個人番号の提供を求めた上で、個人番号の提供があった場合には、所定の様式により提出していただくこととしています。

平成27年度最低賃金額引上げの目安と企業の対応H27年9月

◆地域別最低賃金額改定の目安

地域別最低賃金額が10月から引上げとなる見込みです。引上げ額の目安については、都道府県の経済実態に応じ、次の通り提示されています。

Aランク⇒19円(千葉・東京・神奈川・愛知・大阪)

Bランク⇒18円(茨城・栃木・埼玉・富山・長野・静岡・三重・滋賀・京都・兵庫・広島)

Cランク⇒16円(北海道・宮城・群馬・新潟・石川・福井・山梨・岐阜・奈良・和歌山・岡山・山口・香川・福岡)

Dランク⇒16円(青森・岩手・秋田・山形・福島・鳥取・島根・徳島・愛媛・高知・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

◆今後の流れ

現在、各地方最低賃金審議会で上記の目安を参考に調査審議が行われており、その答申を経て、各都道府県労働局長が地域別最低賃金を決定することとなります。

もっとも、提示された目安と異なる地域別最低賃金額が定められた例は過去ほとんどなく、目安額通りに決定されるものと考えられます。

◆引上げ前のチェックが必要

最低賃金額に近い額で雇用契約を結んでいる従業員が多い事業場では、引上げ後の最低賃金額を上回る額が支払われているか、注意が必要です。

時間給を計算してみると最低賃金額を割り込んでしまっているケースが、アルバイト・パートタイマーはもちろん、正社員の場合であっても散見されます。

時給制の場合にはわかりやすいのですが、月給制や日給制の場合は、賃金額を労働時間数で割り戻して時間給を算出し、最低賃金額と比較してみてください。

賃金額が最低賃金額を下回る場合には刑事罰が定められており(最低賃金法40条、50万円以下の罰金)、悪質な場合には書類送検の可能性もあります。「引上げにきちんと対応できていなかった」という“うっかりミス”が多い部分ですので、10月の引上げ前に、再度、最低賃金額関連の管理について見直しておきましょう。

調査結果にみる「労使コミュニケーション」の実態
H27年9月

◆調査の概要

厚生労働省から「平成26年労使コミュニケーション調査」の結果が公表されました。

労使間の意思の疎通方法や、その運用状況等、事業所・労働者の意識の実態を調査したものです(全国の事業所約5,500(常用労働者30人以上)とその事業所に雇用される労働者約6,400人を対象に、平成26630日現在の状況等について調査)。

今回はその調査結果をいくつか取り上げてみます。

◆「労使関係の維持について」の労使の認識

「安定的に維持されている」「おおむね安定的に維持されている」を合わせた『安定的』と回答した事業所は86.9%、「どちらともいえない」は9.7%、「やや不安定である」と「不安定である」を合わせた『不安定』と回答した事業所は1.6%となっています。

一方、労働者の回答は、「非常に良い」と「やや良い」を合わせた『良好』が53.5%、「どちらともいえない」は33.6%、「やや悪い」と「非常に悪い」を合わせた『悪い』は12.8%となっています。

◆「重視する労使コミュニケーション」

事業所がどのような面で労使コミュニケーションを重視するか質問(複数回答)したところ、1位「日常業務改善」(75.3%)、2位「作業環境改善」(68.5%)、3位「職場の人間関係」(65.1%)となりました。

一方、労働者の回答は、1位「職場の人間関係」(60.8%)、2位「日常業務改善」(51.7%)、3位「賃金、労働時間等労働条件」(50.6%)となっています。

◆労働者個人の処遇に関する事項

労働者個人の処遇に関して、不平や不満を事業所に伝えたことがある労働者は17.2%となり、その方法としては「直接上司へ」が71.3%、「労働組合へ」が24.6%となっています。 

不平・不満の内容としては、「日常業務の運営に関すること」(50.6%)が最も多く、「賃金、労働時間等労働条件に関すること」(39.0%)、「人事(人員配置・出向、昇進・昇格等)に関すること」(38.3%)が続いています。

また、不満等を伝えた結果、「納得のいく結果が得られた」と「検討中のようである」がそれぞれ19.3%、「納得のいく結果は得られなかった」が49.3%となりました。

要介護認定600万人突破で「介護離職者対策」がますます重要に! H27年9月

◆認定が初めて600万人超える

厚生労働省の調べによると、20153月時点で要支援・要介護の認定を受けた人は606万人と、前年同月に比べ22万人の増加となったことがわかりました。

600万人を超えたのは年度末ベースでは初めてのことで、国民のほぼ20人に1人に当たります。

◆過去10年では5割増

認定者の数はこの10年で約5割増えました。

男女の内訳では、認定された約606万人のうち、女性が419万人、男性は187万人。特に75歳以上の年齢層では女性の利用者が男性を大きく上回っています。

女性のほうが長生きで65歳以上の人に占める比率が57%と多いのに加え、女性は介護を受けることへの抵抗感が男性に比べて小さいとの見方もあるようです。

◆介護従事者不足が深刻に

このため、介護施設や職員の不足が一段と深刻になっています。

2014年度で利用者の伸びが特に目立つのは在宅サービスで、訪問介護やデイサービスを中心に322万人と3.7%増えました。

一方、特別養護老人ホームなど、介護施設の利用者は121万人と1.6%の伸びにとどまりました。これは、特別養護老人ホームの入居待ちが全国で約50万人いるなど、施設の不足が深刻化しているためです。

◆介護離職者の増加にも大きな懸念

公的な介護サービスを十分に受けられなければ、家族がしわ寄せを受けることになります。

厚生労働省の調査によると、家族の介護のために離職した人は2013年には9.3万人と、前年から41%も増えました。これは5年前の約2倍の数字です。このうち4分の3は女性で、40代後半~50代が多くなっています。

家族の介護離職が増えれば経済全体を下押しする可能性もあり、日本の経済成長の足かせになる可能性もあります。

◆厚生労働省の対策は

厚生労働省は、介護離職者の増加に歯止めをかけるため、介護休業制度を複数回に分けて取れるように制度を見直す方針です。一方で、介護保険制度の維持のため給付を抑制していくことも急務で、介護給付を減らすための改革も必要とされています。

介護の認定者はさらに増え続ける見込みで、今回の調査結果から、政府はもとより、社会全体での取組みがさらに喫緊の課題となっていることがわかります。

残業時間削減効果の高い企業における取組みとは?
H27年9月

7割以上の企業で1カ月当たり45時間超の所定外労働

独立行政法人労働政策研究・研修機構(以下、「LIJPT」)が従業員数100人以上の企業2,412社から回答を得た調査の結果、過去1年間における1カ月当たり所定外労働時間は平均24.5時間でした。

過去1年間に1カ月当たり45時間超の所定外労働を行った正社員が1人でもいた企業の割合は76.5%で、60時間超が61.4%、80時間超が39.9%でした。

1カ月当たりの所定外労働時間が456080時間を超えた正社員がいた割合が高かった業種は、「建設業」「製造業」「情報通信業」「運輸業、郵便業」「学術研究、専門・技術サービス業」でした。

◆約半数の企業が年間総実労働時間を「短縮していく」と回答

上記の現状を受け、年間総実労働時間の今後の方向性について尋ねると、「現状通りで良い」との回答が49.2%、「短縮していく」との回答が45.7%でした。

◆残業時間削減を経営戦略に位置付けるのが効果的

エン・ジャパンが20147月から8月にかけて行った調査では、「業務分担やフローの見直し」、「管理職への教育」、「残業の事前申請制」の3つが、実施効果のあった取組内容となっていました。

今回の調査でも、効果があった上位3つは「経営トップからの呼び掛けや経営戦略化による意識啓発」、「所定外労働の事前届出制の導入」、「仕事の内容・分担の見直し」で、経営戦略として残業削減に取り組むことが効果的であると言えます。

◆残業時間削減に効果的な取組みとは?

なお、JILPTの調査結果では、実施企業で所定外労働時間の短縮効果が高かったのは、「強制消灯、PCの一斉電源オフ」、「経営トップからの呼び掛けや経営戦略化による意識啓発」、「社内放送等による就業の呼び掛け」、「労働時間管理や健康確保に係る管理職向けの研修・意識啓発」などの取組みとなっています。

残業削減に取り組んでいるものの満足な効果が得られていないという場合、上記のような取組みの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

厚生労働省が公表したパートタイマー向け「職務分析実施マニュアル」 H27年9月

◆今年4月に施行された改正パート労働法

パートタイマーを雇用している企業ではすでにチェック済みのところだと思いますが、今年41日に改正パート労働法が施行されており、以下のような内容が盛り込まれています。

・正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大

…職務内容、人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一であれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止に。

・「短時間労働者の待遇の原則」の新設

…事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとする、広くすべての短時間労働者を対象とした待遇の原則の規定の創設。

・パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設

…事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明義務がある。

◆厚労省が「職務分析実施マニュアル」を公表

上記改正により、事業主は、パート労働者と正社員の均等・均衡待遇やパート労働者への説明責任が求められているところですが、そのための有効な手法として厚生労働者が職務分析に基づいた職務説明書作成の手順を示した「職務分析実施マニュアル」を公表しました。

(詳細は『厚生労働省 職務分析実施マニュアル』で検索してご覧ください)。

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/pamphlet/syokumubunseki.html

職務分析により職務の内容を明確にし、その結果を説明書にまとめることで、業務の内容と責任の程度を明確にパート労働者にも示すことができるとしています。

また、このような分析を行うことでパート労働者の選考・採用において具体的な基準を設けることができるとしています。

◆人材不足のいま、パート労働者の雇用管理も重要に

近年少子高齢化が進み、労働力人口が減少する中、パートタイム労働者数は年々増加しています。また、企業においては人材不足により募集してもなかなか応募者が集まらない状況が続いていますが、採用後もパート労働者の明確な待遇が整備されていないようでは、早期離職にもつながりかねません。

今後は企業の人材確保のためにも、パート労働者の雇用管理や待遇の決定について、ますます気を配っていく必要があります。

過労死ゼロを目指す「過労死等防止大綱」を閣議決定
H27年9月

3年をめどに見直し予定

政府は昨年11月に施行された過労死等防止対策推進法に基づく「過労死等防止大綱」を閣議決定しました。

過労死の原因を調査分析することが柱であり、その他には労働時間の削減や有給休暇取得率の数値目標などが盛り込まれました。また、この大綱は今後3年をめどに見直す考えです。

大綱は労使代表と有識者、遺族らで構成する協議会が検討し、厚生労働省がとりまとめました。政府は今後、大綱に基づいて具体的な施策を決めるようです。 

◆過労死ゼロを目標に

塩崎厚生労働大臣は閣議後の会見で「今回の大綱は第一歩であり、健康で働き続けることができる社会の実現に向けて過労死ゼロをめざす」と述べています。

過労死の発生原因は明らかになっていない部分が多く、今回の大綱では、労働者の健康状態や生活習慣、勤務状況など、発症する病気の関係を長期的にわたって追跡調査することで、病気との関連性を明らかにすることが柱となっています。また、これらは労災認定されなかった事案も含めて幅広く調査されるようです。

◆労働時間の削減と休暇取得率の数値目標

総務省の「労働力調査」によると、過労死の危険が高いとされる「週60時間以上勤務」は、働く人の8.8%(2013年)に上っており、政府はこれらを2020年までに5%以下に減らす数値目標を定めました。

また、有給休暇の取得率について、近年は50%を下回る水準で低迷していますが、これらを70%以上とする数値目標も定めました。

◆外国の辞書にも載る「karoshi

最近は「ブラック企業」などの問題が取り沙汰される中、長時間労働の解消は「過労死ゼロ」への第一歩となります。

過労死は1980年頃から注目され始め、現在では「karoshi」として英語やフランス語の辞書にも載っているそうで、これらは海外からみた日本の労働環境を表しているとも言えます。

過労死については立証が困難なことや遺族の心境など、様々な理由から労災の申請がなされていないケースもあるとみられており、実際はもっと多い可能性もあります。

今後は政府だけでなく、自治体や企業が協力しつつ、あらためて働き方を変える意識を持つことが重要となってきています。

運用次第で給付額が変動可能に!「第3の企業年金」とは?
H27年9月

◆来年度から導入か?

厚生労働省は、新しい企業年金制度を創設することを明らかにし、制度設計の検討に入りました。今後、企業年金の関連政令を改定し、早ければ来年度にも企業が導入できるように議論が進められています。

現在の企業年金は、「確定給付型」と「確定拠出型」の2種類ですが、双方の特徴を併せ持つ「第3の企業年金」として新たな企業年金制度が設けられることになります。

◆制度の特徴は?

確定給付型年金は、企業が掛金を負担して運用するため、従業員にとってはメリットの多い制度ですが、企業の負担が大きく制度を辞める企業が増えています。

企業の負担を和らげるために2001年に導入された確定拠出型年金は、加入者が自分で運用するため、個人のリスクが大きいとされています。

今回検討されている「第3の企業年金」では、運用は確定給付型のように企業が行いますが、年金額は確定拠出型のように変動することになります。つまり、加入者は運用リスクを引き受けることになりますが、個人で運用する必要はなくなります。

◆企業への影響は?

現在、勤務先で企業年金に加入している人は約1,700万人(20143月時点)で、これは会社員の約40%強が加入していることになります。

最近では、確定給付型の厚生年金基金からの脱退や基金の廃止が相次いでいるため、「第3の企業年金」の創設により、多くの企業が企業年金制度を見直すことが予想されます。

各企業年金制度のメリット・デメリットをよく理解し、身の丈に合った制度を導入・運用していくことが必要です。今後の動向に注目していきましょう。