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人事労務最新情報H30年1月

人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

AI』の影響により減少する仕事、増加する仕事は?                    H30年1月

厚労省の部会で議論がスタート

何かと世間を賑わせている『AI』ですが、中でも我々の仕事への影響が気になるところです。

12月初旬に開催された厚生労働省の労働政策審議会(労働政策基本部会)では、「技術革新(AI等)の動向と労働への影響」をテーマに議論がスタートしましたが、ホームページ上で公開された資料の中から「AI導入による仕事への影響」を考えてみます。

 

求められるは『AI』にはできない仕事

厚生労働省のホームページで公開された資料の中で、シンクタンクや各省庁等による先行研究の内容がまとめられています。

AI』等で代替可能性の高い(今後減少する)仕事、代替可能性の低い(今後増加する)仕事の例として、以下のものが挙げられています。

【代替可能性の高い(今後減少する)仕事の例】

・必ずしも特別の知識やスキルが求められない職業

・バックオフィス等、従来型のミドルスキルのホワイトカラーの仕事

・ルーティンタスク

・ホワイトカラーの仕事

・定型的業務が中心の職種

・教育水準や所得水準が低い労働者の仕事

【代替可能性の低い(今後増加する)仕事の例】

・他者との協調や他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業

・上流工程やIT業務における、ミドルスキル・ハイスキルの仕事

・人が直接対応することが質や価値の向上につながるサービスに係る仕事

・新しい付加価値の創出に役立つ技術職

 

今後は必要な取組みとは?

ビジネスパーソンにとって今後は、「AIを使いこなす能力」や「AIに代替されにくいコミュニケーション能力」を向上するための取組みが必要になってくると言えるでしょう。

1月から「専門実践教育訓練給付金」が拡充されます                                  H30年1 月

最大で受講費の7割、年間56万円を給付

厚生労働省は、20181月より、「専門実践教育訓練給付金」の支給額と支給対象者を拡大します。

雇用保険の被保険者を対象に、支給率については受講者が支払った教育訓練経費の50%(資格取得等した場合はさらに20%上乗せして合計70%)とし、上限額も年間40万円(資格取得等した場合は年間56万円)とするものです。

社会人の学び直しを後押ししつつ、成長分野の人材を増やすねらいです。

 

支給対象は支給要件期間10年から3年に短縮

専門実践教育訓練給付金の支給対象者は現在、「雇用保険の被保険者のうち、支給要件期間が10年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)ある人」、「雇用保険の被保険者であった人のうち、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内で、かつ支給要件期間が10年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)ある人」となっています。

これを、来年1月以降に受講開始する専門実践教育訓練を対象に、上記の支給要件期間を10年以上から3年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)に短縮します。

 

「教育訓練支援給付金」も拡充

失業中の人に支給する「教育訓練支援給付金」についても拡充し、来年1月以降に受講開始する専門実践教育訓練からは、45歳未満の離職者のうち一定の要件を満たす人には、基本手当日額に相当する額の80%が支給されることとなります。

 

支給対象講座や一般教育訓練給付金も拡充へ

IT等の分野で活躍する人材を増やすため、2018年度から経済産業省が新たに認定する講座や、文部科学省が2019年度から導入を目指している「専門職大学」なども新たな給付の対象とします。

このほか、一般教育訓練給付についても対象の講座拡大や助成率の引上げを来夏にかけて検討していくことにしています。

「職域におけるがん検診に関するマニュアル(案)」が公表             H30年1 月

「職場におけるがん検診」とは?

企業が従業員らを対象に実施するがん検診は、健康保険組合等を通して、福利厚生の一環として任意で行われています。

自治体が実施している公的ながん検診よりも受診者数が多く、がん対策において重要な役割を担っていますが、法的根拠がなかったり、やり方も企業ごとに異なっていたり、要精密検査の受診率が低かったりと、問題点が指摘されていました。

そこで、厚生労働省は専門家を集めて議論し、職場で実施すべき検査項目や手順を定めた初の指針(マニュアル)の作成を進めています。そして、126日にその案が発表されました。

 

マニュアル(案)の主な内容

このマニュアル(案)では、胃がん/子宮頸がん/肺がん/乳がん/大腸がんについて、それぞれ検査項目、対象年齢、受診間隔が明確にされ、がん検診の推奨レベルについても解説しています。

また、企業等はがん検診の実態を把握し、精度管理を行うことが望ましいとし、「精度管理のためのチェックリスト(仮称)」も示しています。そして、そのチェックリスト等により、がん検診の受診率・要精検率・精検受診率・がん発見等の「がん検診の制度管理指標」に基づく評価を行うことが望ましいとしています。

その他、企業等が受診者の健康情報を取り扱う際、個人情報保護法をはじめとする関係法令に留意し、受診者の同意を得る方法等も掲載しています。

 

就労可能なケースも多い

がんになった従業員であっても就労が可能なケースは多く、「がん治療と就労は両立できる」という考え方は今後も強くなりそうです。

就労支援を行う企業にとっても、従業員のがんの早期発見・早期治療は多少の負荷を減らすことができるかもしれません。そのためにも、このマニュアルの完成後にはを参考にしてみるとよいでしょう。

65歳以上適用拡大」に伴う高年齢被保険者の雇用状況                          H30年1月

昨年1月に法改正

今年1月から、65歳以上の労働者についても「高年齢被保険者」として雇用保険の適用対象となりました。これは、働く意欲のある高年齢者が、年齢にかかわりなく生涯現役で活躍し続けられるような雇用環境を整備するために行われた改正です。

先日、高年齢被保険者の雇用状況等について、厚生労働省によるデータ分析が行われ、その結果が公表されました(「65歳以上適用拡大に伴う高年齢被保険者の雇用状況等について」121日)。以下、分析結果を見ていきます。

 

雇用形態の状況

有期契約労働者等の非正規社員(パート、有期契約、派遣)が約7割を占め、正社員等(常用型派遣、週所定30時間以上の短時間労働者を含む)が3割程度となっています。特に女性の非正規は約8割と、男性の非正規約6.5割と比べ高くなっています。

また、年代別正社員等の割合は、年齢が上がるのに比例して高くなっています(65歳~69歳では28.3%、80歳以上では43.5%)。

 

産業分類別の状況

64歳以下の割合と比べて高年齢被保険者の割合が高い産業は、1位「その他サービス業」、2位「道路旅客運送業」、3位「地方公務」でした。

逆に、64歳以下の割合と比べて高年齢被保険者の割合が低い産業分類は、1位「医療業」、2位「情報サービス業、3位「その他の小売業」でした。

 

賃金形態の状況

賃金形態では「時間給」が一番多く、次いで、「月給」「日給」と続いています。

また、月給の場合、「月給1020万円」が多くなっています。

 

契約期間の定めの有無

契約期間の定めの有無の割合は、パート、有期契約、派遣、正社員等いずれもほぼ同率となっていますが、契約期間の定めがない高年齢被保険者の雇用形態は、ほぼ正社員等となっています。

契約期間の定めがあるものにおける平均契約期間は約6カ月で、契約期間に定めのある者のうち、14%程度が契約更新条項の規定がありませんでした。

厚労省の調査結果にみる平成29年賃金改定の実態                              H30年1 月

100人以上300人未満企業の賃上げ実施率は「85.6%」

厚生労働省が11月下旬に公表した「平成29賃金引上げ等の実態に関する調査」によれば、「1人平均賃金(所定内賃金の1人当たり平均額)を引き上げた」と回答した100人以上300人未満企業の割合は85.6%で、前年(84.4%)を上回りました。

全企業では87.8%が引上げを実施しており、こちらも前年(86.7%)を上回りました。

業種別では、電気・ガス・熱供給・水道業の97.6%が最も高く、建設業(97.1%)、製造業(95.7%)が続きます。

 

改定額は?

改定額は、企業規模によって幅があります。全企業では5,627円ですが、5,000人以上企業では6,896円、1,000人以上5,000人未満企業では5,186円、300人以上999人未満企業では5,916円と、いずれも5,000円を超えました。

100人以上300人未満企業では4,847円でしたが、前年(4,482円)を上回りました。

業種別では、建設業(8,411円)が突出して高く、不動産業、物品賃貸業(6,341円)、情報通信業(6,269円、製造業(6,073円)が続きます。

 

改定率は?

改定率は企業規模による差異は小さく、全企業で2.0%、100人以上300人未満企業でも1.9%でした。

改定率でも、改定額と同じ4業種が2.52.1%で高い結果でしたが、生活関連サービス業、娯楽業、医療、福祉でも2.1%となっています。

 

改定に踏み切った理由

調査結果によると、100人以上300人未満企業で賃金改定にあたり最も重視した要素は「企業の業績」(55.8%)でしたが、参考値となっている全企業の複数回答計の上位3つは、「企業の業績」(65.8%)、「労働力の確保・定着」(34.0%)、「雇用の維持」(28.5%)でした。

人手不足等により、やむを得ず賃上げに踏み切った企業もあるかと思いますが、平成30年度税制改正では、所得拡大促進税制を拡充し、中小企業が1.5%の賃上げを実施した場合に給与増加分の15%を法人税額から差し引けるようにする案が盛り込まれる見通しで、こうした施策の活用を検討する企業が増える可能性があります。

「湿度」を管理して冬の快適職場をつくろう!                    H30年1 月

冬季の職場は「乾燥」に要注意

職場環境の快適さは、作業効率や集中力、社員の健康状態にも影響を与えます。この点、冬季は「乾燥(低湿度)」が問題となっている職場が多いようです。

湿度が低いと、鼻・のど・口の粘膜や、目・皮膚が乾燥し、風邪や疲れ目などの健康影響が生じることも懸念されます。

また、インフルエンザウイルスは、低湿度で活性化します。冬季は、職場の乾燥対策にも目を向けることが求められます。

 

職場の温度・湿度管理に関する法律

事務所衛生基準規則(昭和47年法律第57号)において、「空気調和設備を設けている場合は、室の気温が17度以上28度以下及び相対湿度が40パーセント以上70パーセント以下になるように努めなければならない。」(第5条)と定められています。

しかし、この基準を満たしていない職場が多いことが従来から指摘されています。

皆さんの職場ではいかがでしょうか。快適な湿度が保たれているか、確認してみてください。

 

職場でできる湿度管理

屋内の低湿度対策として思い浮かぶのは加湿器の使用ですが、広い空間ではなかなか効果を実感するのが難しいでしょう。近年は調湿機能付きの空調システムもありますが、導入にはコストもかかります。

現実的には、加湿器を用いながら、マスクの着用によりのどを潤す、適度な保温加湿効果を持つ観葉植物を置くといった対策が有効と言えそうです。

なお、ミストが出るタイプの加湿器は、OA機器に影響を及ぼすこともありますので、注意が必要です。

「持ち帰り残業」の実態と想定されるリスク                   H30年1月

正社員の5割以上が持ち帰り残業の経験あり

連合総合生活開発研究所(連合総研)が民間企業に勤める社員対象に実施したインターネット調査によると、全体の30.9%、正社員の54.5%が「持ち帰り残業」をしたことがあると回答したことが明らかになりました。

また、勤務時間以外に行った業務・作業について、「メール・電話・SNSの対応」は46.8%、「呼び出しを受けて出勤」は28.5%が、経験があると回答しました。

 

長時間労働者は持ち帰り残業時間も多い

持ち帰り残業を行った時間については、1カ月あたりの平均持ち帰り残業時間数は5.5時間でした。さらに、1週間の実労働時間が50時間以上の長時間労働者の1カ月あたりの平均持ち帰り残業時間数が10時間前後という結果になりました。

最近では、「○時にオフィスの完全消灯」「○時にパソコンの強制シャットダウン」等を行うことにより、早く退社するよう呼びかけている企業が増えています。

そのため、会社で働ける時間が減り、やむなく帰宅後や休日に自宅等で仕事をする時間が増えてしまうことが考えられます。

 

持ち帰り残業の“リスク”とは?

持ち帰り残業は、会社以外での仕事となるため就労実態の把握が難しいとされています。2011年に英会話学校講師の女性が自殺した事件で、女性は自宅での長時間の「持ち帰り残業」や上司からの叱責による心理的な負荷が重なり、うつ病を発症していたとして労災が認定されました。

会社は、持ち帰り残業を黙認していて自宅での仕事中に死傷病等の災害を被った場合に、労災や損害賠償請求のリスクが生じます。もちろん、社員の持ち帰り残業が常態化すれば、長時間労働による健康被害のリスクは高まります。

また、社員がノートパソコンや書類等を自宅に持ち帰る際に、紛失や盗難に遭う可能性もあります。そこに個人情報や企業秘密が含まれていれば情報漏洩のリスクも生じます。

持ち帰り残業には様々なリスクがあるため、発生させないための防止策の検討、部署等での協力や業務の見直しを行うべきでしょう。

企業における「働き方改革」の現状と時短ハラスメント
              H30年1月

働き方改革スタートから1年半

20168月の第3次安倍第2次改造内閣の発足と同時に「働き方改革」がスタートしてから、およそ1年半が経過しました。

政府においては、20179月に労働政策審議会にて「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」(働き方改革推進法案)が示されるなど、法整備に向けた動きが見られます。

では、民間企業においては、「働き方改革」は進んでいるのでしょうか?

 

8割のビジネスパーソンが「働き方改革」実感せず

今月、一般社団法人日本能率協会は、ビジネスパーソンを対象にした意識調査「ビジネスパーソン1000人調査」【働き方改革編】を公表しました。

同調査によれば、「職場での『働き方改革』を実感していますか?」という質問に対し、80.7%の人が「実感していない」と回答しています。

一方、職場での「働き方改革」を実感している人がその理由として最も多く挙げた回答(複数回答)は、「残業が減った」(38.0%)でした。

 

一方的な残業禁止は「ジタハラ」

とはいえ、単純に残業を禁止すればよいとも限りません。

手帳市場でシェア1位の高橋書店が11月に公表した「働き方改革」に関するアンケート調査では、「自分が勤めている会社で働き方改革(長時間労働の改善)が行われている」というビジネスパーソンのうち41.5%が、働き方改革で困っていることとして、「働ける時間が短くなったのに、業務量が以前のままのため、仕事が終わらない」ことを挙げました。

同調査は、この結果を「『働き方改革』に取り組む企業のビジネスパーソンの4割がジタハラ(時短ハラスメント)被害につながる悩みを抱えている」と表現しています。

現場に即していない、一方的な残業禁止は「ハラスメント」とみなされる時代なのです。

 

トラブルのない残業削減を

ジタハラは往々にして「隠れ残業」(持ち帰り残業など)の温床となります。隠れ残業は、企業にとっては残業代抑制につながりますが、従業員にとっては手取り収入の減少に直結するため、労働意欲を低下させ、様々な不正やトラブルの遠因ともなりかねませんので、要注意です。

ジタハラに留意しつつ、現場が実現可能な残業削減を指示することで、自社の「働き方改革」を進めていきましょう。