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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

「働き方改革法」省令・指針の検討始まる                           H30年 8月

労政審の労働条件分科会で議論開始

6月29日に働き方改革関連法が成立したことを受け、必要な省令や指針などについての議論が710日、労働政策審議会の労働条件分科会で始まりました。まずは、残業時間や年次有給休暇(年休)などに関する部分の検討が始まり、国会でも与野党が激しく対立した高度プロフェッショナル制度(高プロ)が適用される職業や年収については、秋以降に検討が始められる見込みです。

 

まずは残業時間や年休から

働き方改革法で制度の具体化が委ねられた省令は62に及びます。10日の分科会では、罰則があり、企業のシステム改修などが必要な残業時間の上限規制や年休の消化義務などに関わる部分から第1段階として議論することで労使が合意しました。

 

第1段階の検討まとめは8月下旬めど

残業と休日労働の抑制については、法律で残業時間が「原則月45時間、年360時間」までと明記されており、新たな指針で残業を「できる限り短くするよう努める」ことなどを定めることで、罰則に至らない事例でも是正を求めて指導をしやすくします。

また、月45時間を超えて残業した働き手に対して健康確保措置を実施することを労使協定(36協定)に盛り込むことを省令で定めることになっています。第1段階の検討は8月下旬をめどにまとめられる見込みです。

 

高プロについての議論は秋以降に

来年4月から導入される高プロについては、適用対象については、政府は金融商品開発やコンサルタントなどの業務で年収は1,075万円以上と想定していますが、具体的には省令で定められます。

10日の分科会では、厚労省が第1段階の議論終了後に「できる限り、早期に結論を出す」との案を示しましたが、労働側は「きちんと議論が必要」として了承しませんでした。

次回の分科会は7月18日(水)に開かれます。

 

【厚生労働省「労働政策審議会(労働条件分科会)」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126969.html

健康経営の一環としていま話題の福利厚生(飲食編)                                   H30年 8月

健康経営とは

従業員の健康管理を経営上の課題の一つとしてとらえ、戦略的、計画的に取り組むのが、健康経営です。適正な労働時間管理や適度な運動、食事指導等の取組みがなされる中、最近注目を集めているのが、福利厚生で従業員の食を支えるサービスです。

 

サービス事例

① 食材の宅配

有機・低農薬と無添加食品のほか、加工食品や調味料等、ライフスタイルに合わせた商品を自宅に届けてくれるサービス。旬の野菜の積み合わせで、野菜中心の健康的な食生活を送ることができる。

【サービス例:らでぃっしゅぼーやの個別宅配サービス 等】

② 社 食

本格的な社食は導入できない企業向けに、1500円で温かく健康的な食事をブュッフェ形式で提供してくれるサービスや、1100円からいつでも御惣菜を選んで買えるサービス、新鮮な野菜・果物を食事と組合せて提供するサービス。

【サービス例:みんなの食堂、オフィスおかん、OFFICE DE YASAI 等】

③ ドリンク

自動販売機よりも品数が多く、電機代も1/10。野菜中心のドリンクや健康情報・セミナーも提供してくれるサービスや、本格的なコーヒーマシンと自社焙煎コーヒー豆を使用した高品質なサービスを提供してくれる。

【サービス例:オフィスオアシス、トータルオフィスサービス、KIRIN naturals 等】

④ その他

省スペースで省エネ、電子決済が可能で、会社の中に小さなコンビニができたかのようなサービス。アプリをダウンロードすれば、20分以内にお弁当を届けてくれるシステムもある。

【サービス例:mini CAFÉ、アプリbeno.jp 等】

 

参入する企業も増えていますが、これらを利用する企業も増えているようです。自社にあったサービスを検討してみはいかがでしょうか。

国民年金納付率66.3%に                               H30年 8月

国民年金被保険者の動向

国民年金保険料を納める必要があるのは、自営業者、学生等の第1号被保険者ですが、その動向を見ると、厚生年金保険(民間会社の)被保険者数の増加に伴い、平成29年度末で1,505万人と、前年度末と比べ70万人減少しています。この5年間で見ると、約360万人の減少です。これは、日本年金機構が厚生年金への加入を企業に促していることや、厚生年金の適用対象をパートら短時間労働者にも広げたことで、厚生年金に移る人が増加したことが原因です。

第1号被保険者の資格を取得した人の内訳を見ると、最も多いのが第2号被保険者からの移行者、次いで第3号被保険者からの移行者、20歳到達者と続きます。

なお、平成29年度末の第1号被保険者の年齢構成をみると、2024 歳の全体に占める割合が22.1%と最も大きく、次に5559 歳が13.1%となっています。

 

保険料納付率は66.3

平成29年度中に納付された現年度分保険料についてみると、納付率は66.3%となり、前年度の65.0%から1.3ポイントの上昇となりました。過去最低の58.6%だった平成23年度以降、6年連続の上昇となりましたが、依然として高いとはいえない水準です。

保険料納付率とは、自営業者など国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)が保険料を納めるべき月数に対し、実際に支払われた月数の割合です。ただし、低所得者や学生が支払いを免除・猶予された分は除いています。

納付率はすべての年齢階級で前年度を上回りました。若い世代ほど低い傾向は続いており、年齢別では2529歳が54.87%で最低、5559歳が76.28%で最高でした。

また、納付期限から2年以内に後払いされた分も含めた平成27年度の最終納付率は73.1%。統計がある平成14年度からの間で最高でした。

 

保険料納付率を上昇させるための取組み

政府は、保険料を納めやすい環境の整備に努めてきました。平成17年度以降の具体的な取組みとしては、口座振替割引制度や任意加入者の口座振替の原則化、口座振替による2年全納制度の導入、クレジットカード納付の導入、コンビニ納付の導入、インターネット納付の導入、現金およびクレジットカードでの2年前納制度の導入があります。

それら納付方法の多様化に加え、未納者からの徴収の強化も納付率拡大の一因です。日本年金機構は平成29年度、強制徴収の対象者をそれまでの「年間所得350万円以上」から「300万円以上」に拡大しました。督促状を延べ6万6,270人に送り、それでも納めない1万4,344人については銀行口座などの財産を差し押さえるなど、前年度よりも強制徴収が増えています。

 66歳以上まで働ける企業の割合に関する調査より                           H30年 8月

66歳以上まで働ける企業の割合が増加

厚生労働省が公表した労働市場分析レポート「希望者全員が66歳以上まで働ける企業の割合について」によれば、従業員31人以上規模の企業で、希望者が66歳以上まで働ける企業の割合が、平成29年度で9.7%(前年比1.2ポイント増)に上ることがわかったそうです。

 

企業規模が小さいほど65 歳を超えた高齢者雇用に積極的

企業規模別にみると、31100人規模で12.0%101300人規模で6.2%301人以上で3.0%と、規模が小さい企業のほうが、65歳を超えた高齢者雇用に積極的であることがうかがえます。また、ここ5年間では全体的にゆるやかな増加傾向が続いていていたところ、平成28年度から平成29年度にかけての伸びは大きくなっています。

 

定年廃止も約3割

希望者全員66歳以上まで働ける企業の雇用確保措置内容の内訳としては、「希望者全員66歳以上継続雇用」が55.0%と最も多く、「定年なし」も26.8%と約3割を占めています。建設業、情報通信業、宿泊、飲食サービス業などでは、比較的、定年を廃止とする措置が多い傾向にあり、人手不足の産業を中心に、長く働ける措置を実施している企業が多いことがわかります。

 

国も高齢者雇用を推進

厚生労働省は、従業員が31人以上規模の企業で、65歳までの継続雇用を再雇用制度で対応している約12万社を対象に、定年制の撤廃や再雇用年齢の引上げを呼びかけるとしています。

今後は、高齢者雇用の取組みがますます求められてくる中で、企業としても、高齢者雇用に対応した処遇制度や研修体制、健康配慮の体制などを整えていく必要がありそうです。

 

【厚生労働省「労働市場分析レポート」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000307818.pdf

 

自然災害対策で知っておきたい中小企業支援策                            H30年 8月

「うちはずっとここでやってきたから……」が通用しなくなった?

近年、急激な天候の変化が甚大な自然災害へとつながるケースが増えています。気候変動等の影響で台風の通過ルートが変わり、今まで影響を受けなかった地域で被害が発生する等、「今まで大丈夫だった」が通用しなくなりつつあります。

万が一被害を受けた場合、復旧に時間と費用を要するおそれがありますが、どのような支援が受けられるのでしょうか?

 

災害救助法が適用された災害時の支援

本法は、罹災者の救護を著しく困難で、かつ、多数の世帯の住家が滅失した状態等である被災地に、都道府県が適用し、自衛隊や日本赤十字社に応急的な救助の要請、調整、費用の負担を行うとともに、罹災者の救助・保護のための活動を行うことを定めています。

中小企業向けには、(1)特別相談窓口の設置、(2)災害復旧貸付の実施、(3)セーフティネット保証4号の実施、(4)既往債務の返済条件緩和等、(5)小規模企業共済災害時貸付の適用等を行っています。

 

激甚災害に指定された災害時の支援

激甚災害法に基づき指定されると、上記の支援への追加措置として、(1)災害関係保証(特例)の実施、(2)政府系金融機関の災害復旧貸付の金利引下げが行われます。

 

自助努力としての保険・共済の活用

経済産業省が今年3月に公表した資料では、“中小企業といえども、営利を目的として事業活動を行う主体であり、国の支援は事業者による自助を前提としたものである”とし、平成28年度の台風10号や平成29年度の九州北部豪雨の被災事業者へのヒアリング結果から、各種災害と保険対象の補償を組み合わせた総合保険や休業補償に係る商品を活用して損害をカバーしたケースに触れています。

また、保険商品の多様化を受け、細かいニーズに答えることが可能となっている一方、事業者がうまく活用するために商品の理解が不可欠であるとしています。

 

それでもBCP(事業継続計画)策定済み中小企業は15

上記の資料によれば、平成283月末時点の中小企業のBCP策定率は15%にとどまるということです。しかし、被災に伴う事業活動の停止によりビジネスチャンスを逃すリスクは従来に比べて大きくなっているとして、状況を改善する方策が必要としています。

 

【「中小企業の災害対応の強化に関する研究会」中間報告書】

http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/saigaikyoka/2018/180328torimatome.pdf

個別労働紛争の“種”は「いじめ・嫌がらせ」がトップ  ~「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」より                H30年 8月

個別労働紛争解決制度とは

会社と労働者との間の労働条件や職場環境をめぐるトラブルを防止・解決する制度のひとつとして、「個別労働紛争解決制度」があります。この制度には3つの方法(①総合労働相談、②あっせん、③助言・指導)があります。

おおまかに言えば、①は労働局、労基署、街角に設置される総合労働相談コーナーで専門の相談員が相談を受け付けるもの、②は紛争調整委員会(労働局)のあっせん委員が間に入り解決を図るもの、③は労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向性を示すものです。

 

最も多い内容は「いじめ・嫌がらせ」

このほど、厚生労働省から「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が公表されました。その内容は、①②③のすべてで、職場の「いじめ・嫌がらせ」に関するものがトップとなっています。「いじめ・嫌がらせ」は、①総合労働相談では、6年連続でのトップとなっています。また、総合労働相談の件数は10年連続で100万件を突破しています。

なお、総合労働相談に持ち込まれた相談のうち、労働基準法等の違反の疑いのあるものが19万件ほどありましたが、これらは労働基準監督署等に取り次がれ、行政指導等が検討されることになりますので、“相談”という文字から受ける軽いイメージとは違った一面もあります。

 

「解雇」は半減、「雇止め」は微増

②あっせん、③助言・指導のいずれにおいても、「解雇」に関する内容は平成20年度とおよそ半数程度に減少しています。昨今の雇用状況が改善していることも影響しているのでしょうか。一方、「雇止め」は微増しており、今後注意が必要と思われます。

 

労使間のトラブルでは、セクハラ・パワハラ・モラハラ…等のハラスメントがキーワードとなっています。まだ、問題が表面化していなくても、ある日突然……となる可能性はあります。地震への備えと同じですが、事が起こる前の対策と起きてからの対応如何で、被るダメージ(企業イメージの低下、職場の士気低下etc)に大きな差が生まれます。

 

【厚生労働省「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」】

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000213218.pdf

 

オフィス環境について改めてチェックしてみませんか?                                    H 3 0 年 8月

「快適な職場環境」の重要性

労働者にとって職場は、長い時間を過ごす場所です。その環境が適切であるかが、仕事の効率やモチベーションにも大きな影響を及ぼします。

快適な職場管局を整えることで、労働災害の防止、健康障害の防止、職場の活性化が期待できることから、多くの企業が、労働者が「働きやすい」と感じられる職場環境づくりに取り組んでいます。

 

オフィス環境チェックリスト

オフィスの環境を左右する諸要素(室温・湿度・明るさ・清潔・リラックス等)については、「事務所衛生基準規則」で適切な数値等が定められています。

この規則に則って、オフィス環境をチェックしてみましょう。

 

□室温が17度以上28度以下に保たれているか?

□湿度が40%以上70%以下に保たれているか?

□照度が通常150ルクス以上、精密作業時には300ルクス以上になっているか?

□換気が適切に行われているか?(一酸化炭素50ppm以下、炭酸ガス0.5%以下)

□飲用水の供給や、トイレ設備の維持・管理は適切か?

□救護用具が揃っているか?

□休憩室が設置されているか?

 

不適切な部分は早急な改善を

チェックを行った結果、不適切だった部分については、早急に改善することが必要です。

また、オフィスを快適に保つためには、定期的なチェックが欠かせません。2カ月に1回を目安に、チェックしてみてください。

加速する「副業・兼業」容認                          H30年 8 月     

副業にまつわる2つの最新動向

いわゆる「多様な働き方」の1つに、「副業・兼業」(複数の企業と労働契約を結ぶ働き方)があります。今年6月、この副業にまつわる動きが2つありました。

 

副業する人の労災問題、議論開始

1つめは、厚生労働省の労働政策審議会が、副業する就業者の労災について議論を開始したことです。その主な論点は以下の2点です。

・労災保険給付……本業先・副業先の賃金の合算分を基にした給付額とするかどうか

・労災認定……本業先・副業先の業務上の負荷(労働時間等)を合わせて業務起因性の判断するかどうか

労災は、副業を容認するにあたり、どの企業も直面しうる問題です。議論の経過が注目されるところです。

 

国家公務員の副業も容認へ

2つめは、国家公務員の副業が一部容認されることです。

6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018」において、「国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める」と明記されました。ここでいう「公益的活動等」とは、特定非営利法人(NPO)等による、環境保護、教育、地方活性化等の仕事を指します。

従来、国家公務員は国家公務員法や通達により、「職務に支障が出ない活動」(大学の教員、本の執筆等)しか認められていませんでした。同様に地方公務員も、神戸市や生駒市等、認めてられている例はごく一部でした。

今回の方針決定により、公務員が副業を行うことも一般化していくかもしれません。

 

副業容認は制限とセットで

報道によれば、副業をしようとする国家公務員は、各省庁の人事担当者に届け出る必要があります。また、「副業は休日に行う」「長時間労働にならない」「副業先が政府と利害関係のある団体ではない」といった制限が設けられる見込みです。

厚生労働省「モデル就業規則」最新版(今年1月公表)においても、「労務提供上の支障がある場合」や「企業の利益を害する場合」等には、会社は副業を禁止または制限できると規定されています。

企業が副業を許可制・届出制とするにあたっては、上記のような制限を就業規則に規定しておくことが重要です。