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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

「外国人雇用」をめぐる最新状況   H28年3月

◆厚労省がデータを公表

外国人雇用状況の届出制度は、雇用対策法に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などが目的とされ、すべての事業主に、外国人労働者の雇入れ・離職時に、氏名、在留資格、在留期間などを確認し、ハローワークへ届け出ることが義務付けられています。

届出の対象は、事業主に雇用される外国人労働者(特別永住者、在留資格「外交」・「公用」の者を除く)です。

このほど厚生労働省より、平成 27 10 月末時点の外国人雇用の届出状況が公表されました(なお、数値は事業主から提出のあった届出件数を集計したもので、外国人労働者全数とは必ずしも一致しません)。

◆届出状況のポイント

(1)外国人労働者の状況
外国人労働者数は907,896人で、前年同期比12269人、15.3%増加(平成19年に届出が義務化されて以来、過去最高を更新)しています。
国籍別では、中国が最も多く322,545人(外国人労働者全体の35.5%)。次いでベトナム1113人(同12.1%)、フィリピン106,533人(同11.7%)、ブラジル96,672人(同10.6%)の順です。対前年伸び率は、ベトナム(79.9%)、ネパール(60.8%)が高くなっています。

在留資格別では、「専門的・技術的分野」の労働者が167,301人で前年同期比13.6%増加。また、永住者や永住者を配偶者に持つ人など「身分に基づく在留資格」は367,211人で同8.4%増加しています。

(2)事業所の状況
外国人労働者を雇用している事業所数は152,261カ所で、前年同期比11.1%の増加(平成19年に届出が義務化されて以来、過去最高を更新)しています。

(3)産業別の状況
外国人労働者、外国人労働者を雇用する事業所ともに、製造業が最も多く、製造業は外国人労働者数全体の32.6%、外国人労働者を雇用する事業所全体の24.9%を占めています。

雇用保険法等の改正で実務はどう変わる?H28年3月

1月下旬に国会上程

「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が129日に国会に上程されました。これにより、雇用保険法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法等の改正が予定されています。

雇用保険の適用対象者が拡大されるなど、企業にとって影響のある改正になります。具体的な改正事項として下記の項目が盛り込まれています。

◆失業等給付に係る保険料率の見直し

失業等給付に係る雇用保険料率の引下げ(改正前1.0%→改正後0.8%)が行われます。(施行:平成2841日) 

◆育児休業・介護休業等に係る制度の見直し

多様な家族形態・雇用形態に対応するため、(1)育児休業の対象となる子の範囲の拡大(特別養子縁組の監護期間にある子等)、(2)育児休業の申出ができる有期契約労働者の要件(1歳までの継続雇用要件等)の緩和等が行われます。(施行:平成284月1日)

介護離職の防止に向け、(1)介護休業の分割取得(3回まで、計93日)、(2)所定外労働の免除制度の創設、(3)介護休暇の半日単位取得、(4)介護休業給付の給付率の引上げ(賃金の40%67%)等が実施されます。(施行:平成2911日、介護休業給付の給付率の引上げは平成2881日) 

◆高年齢者の希望に応じた多様な就業機会の確保および就労環境の整備

65歳以降に新たに雇用される者も雇用保険の適用対象となります(保険料の徴収に関しては平成31年度分まで免除)。(施行:平成2911日)

シルバー人材センターにおける業務について、都道府県知事が市町村ごとに指定する業種等においては、派遣・職業紹介に限り週40時間までの就業が可能になります。(施行:平成2841日) 

◆妊娠した労働者等の就業環境の整備

妊娠、出産、育児休業・介護休業等の取得等を理由とする上司・同僚等による就業環境を害する行為を防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置が義務付けられます。(施行:平成2911日)

その他、雇用保険の就職促進給付の拡充(再就職手当の給付率の引上げ等)が予定されていますので、企業としては今後、規定変更などの実務対応が必要となってきます。

「ストレスチェック制度」で気を付けたい労基署への報告
H28年3月

50人以上の事業場に義務付け

労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」が昨年121日に施行され、従業員50人以上の事業所には、労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師または保健師による検査(ストレスチェック)を行うことが義務付けられています。

なお、ストレスチェックの実施状況について労働基準監督署への報告が必要とされています。 

◆最新の更新内容

厚生労働省ホームページには「ストレスチェック制度Q&A」が掲載され、実施に際して迷いやすい点などがまとめられています。

この内容は度々更新されており、最新版(28日更新)では新たに7つのQ&Aが追加されましたが、特に注目すべきは「労働基準監督署への報告」に関する項目が多く追加されたことです。いくつか抜粋してご紹介します

19-8 労働基準監督署への報告方法について、全社員を対象に、年に複数回ストレスチェックを実施している場合、どのように報告すればよいのでしょうか。実施の都度報告するのでしょうか。

A 労働基準監督署への報告は、1年に1回、法令に定められている事項の実施状況を報告していただくためのものですので、全社員を対象に複数回実施している場合は、そのうち1回分について報告していただくようお願いします。実施の都度、複数回報告していただく必要はありません。

19-9 労働基準監督署への報告方法について、部署ごとに実施時期を分けて、年に複数回ストレスチェックを実施している場合、どのように報告すればよいのでしょうか。実施の都度報告するのでしょうか。

A 1年を通じて部署ごとに実施時期を分けて実施している場合は、1年分をまとめて、会社全体の実施結果について報告していただく必要があります。実施の都度、複数回報告していただく必要はありません。ご報告いただく際、「検査実施年月」の欄には、報告日に最も近い検査実施年月を記載いただくようお願いします。

19-10 労働基準監督署への報告様式の記載方法について、在籍労働者数は、どの数を記載すればよいのでしょうか。派遣労働者やアルバイト・パートも含めた全ての在籍従業員数でしょうか。

A 労働基準監督署への報告は、法令に定められている事項の実施状況を確認するためのものです。したがって、労働基準監督署に報告いただく様式の「在籍労働者数」の欄に記載するのは、ストレスチェックの実施時点(実施年月の末日現在)でのストレスチェック実施義務の対象となっている者の数(常時使用する労働者数)となります。

「がん患者の就労支援」について国が指針を策定 
H28年3月

◆がん患者の退職防止に向け指針策定

厚生労働省は、がん患者が仕事と治療を両立できるよう、医師が仕事内容を把握し、「短時間勤務制度」や「休暇制度」などについて企業側に配慮を求める仕組み作りを検討するそうです。

同省は今月中にも対策の指針を示し、企業側を指導していく考えです。

 ◆がんと診断後、3割以上の人が退職

日本人におけるがんの罹患率は「2人に1人」で、3人に1人ががんで亡くなると言われています。

がんと診断されても働きたい人は増えているとみられていますが、「がんの社会学」に関する研究グループが2013年に4,000人の体験者を基に調査したところ、がんと診断された後に退職する人の割合は実に34.6%に上ったそうです。

これは、企業側にとっても人材の確保という点では深刻な悩みです。

 ◆指針に盛り込まれる内容は?

厚生労働省は、(1)医師と企業が患者の症状や仕事内容を情報交換するためのひな形を作る、(2)治療と仕事の両立に向けて短時間勤務や休暇制度の活用を促す、(3)企業が従業員から相談された場合の対応の流れを示す、といったような指針を策定するようです。

特に(1)については、医師が患者の働き方について助言を行い、重要な項目については企業が取り組むべき課題がわかるようになります。なお、医師と企業のやり取りについては本人の同意が前提で、内容は本人にも通知することが必要とされます。

また、これらの指針はがんだけでなく、一般的な病気も対象となるそうです。今後、同省はパンフレットを作成し、注意点を全国の労働局などを通して広めていく方針です。

 ◆仕事と治療の両立へ向けて一歩前進

がんは一度回復しても、通院などが長くなったりすることから、完全な職場復帰は難しい病気です。今までは、医療機関ががん患者から相談を受けても手を打つことが難しい状況でしたが、国がこの問題に積極的に関与することにより、少しずつ解消に向けて動き出すこととなります。

企業には今後、就労支援のための体制づくりや規定の整備が求められそうです。

民間版の労災保険「使用者賠償責任保険」とは?
  H28
年3月

◆契約件数が伸びている!

「使用者賠償責任保険」の契約件数が伸びているそうです。

うつ病などによる労災認定件数の増加や賠償額の高額化を背景に、大手損害保険3グループの2015年度の契約件数は前年度比約1.5倍となっています。この伸び傾向は今後も続くものと予想されています。

 ◆「使用者賠償責任保険」とは?

「使用者賠償責任保険」は、労災認定された事案について、企業の安全配慮義務違反などを問われ法律上の損害賠償責任を負った場合に備えるものです。

企業が損害賠償責任を負った場合、労災保険金を上回る補償の提供や和解金の支払いのために保険金が支払われます。

近時は損害賠償額が高騰傾向にあり、1億円を超える賠償が求められるケースも少なくありません。中小企業の場合、これだけの金額を支払えば経営の危機に至ることも想定されます。

こうしたリスクへの備えとしてニーズが高まっているのです。

 ◆リスクを勘案した検討を

労働災害が発生する危険性は全企業にありますので、すべての企業において使用者賠償責任保険への加入を一度検討する必要があると言えるでしょう。

保険料と自社の業種や規模、これまでの労働災害の発生状況等から考えられるリスクを勘案して加入を検討してみることが、今後のリスク回避のための一助となるかもしれません。