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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

ご存じですか?「シャドーIT」による情報トラブル発生リスクR元年 9月

「シャドーIT」とは?

 便利なITツールが次々に登場する中、会社が把握しないところで従業員が業務上使用することがあります。例えば、社外の人とのやり取りでグループチャットを利用する、データのやり取りにオンラインストレージサービスを利用する、業務データを個人のスマートフォンで扱う、持帰り残業のためにUSBに保存したデータを持ち帰る、等です。

 こうした、社内で使用が許可されていない外部サービスや個人所有の端末を業務で無断使用することをシャドーITといい、情報流出等のおそれがあるとして問題になっています。

 

「バイトテロ問題」とは異なる対策が必要

 アルバイト店員等によるSNSへの不適切投稿が「バイトテロ」問題として話題になり、今では従業員がインターネットやSNSの利用に際して不適切な行為をしないよう指導する等、対策を講じる企業が増えています。

しかし、シャドーITによるリスクは、業務効率を良くするために利便性の高いサービスを利用する等によって起こり得るため、そもそもバイトテロ問題とは本質的に異なるもので、従業員の利用を禁止する等だけでは問題を解決することはできません。

 

まずは利用状況を調査してから対策を講じる

 シャドーITリスクへの対応としては、まず従業員がどんなサービスや端末を利用しているかを調査し、自社の業務に必要なITツールを洗い出すところから始めます。

 そして、業務上必要と考えられるサービス等について、会社がセキュリティ上の要件をクリアしているか等を確認の上、利用を認めるサービスを特定する等して必要なIT環境を整備し、それ以外は利用させないようにします。

 こうした対策は、時間もかかり費用負担も発生する可能性がありますが、利用状況を会社が把握・監視できるようにするためにも必要です。

 

働き方の多様化・生産性向上を実現するためにも対策が不可欠

 働き方の多様化でオフィス以外の場所で就業したり、生産性をアップさせるためにIT化を進めたりする機会が増えています。こうした取組みは、従業員の働きやすさにもつながる一方、新たな情報トラブルにつながるリスクもはらんでいます。

 「働き方改革」に取り組む際は、シャドーITリスク問題の有無にも注意が必要と言えるでしょう。

 

 

女性就業者の活躍と今後の課題
                        R元年 9月

就業者数における女性の割合は年々増加

2019年6月に総務省が発表した労働力調査によると、日本における就業者数は6,747万人となり、前年同月に比べ60万人増加しました。これは、78カ月連続の増加となります。

そのうち、女性の就業者数は3,003万人と、初めて3,000万人を突破しました。前年同月に比べ53万人増え、就業者全体の伸びの9割近くを女性が占めています。

また、女性就労者は、全体の44.5%を占め、毎年増加を続けています。

 

役職・企業規模別の女性の就業状況

2018年度の雇用均等基本調査(厚労省)によると、正社員・正職員に占める女性の割合は、26.0%で、各職種の割合は、一般職が46.5%と最も高く、次いで総合職33.8%、限定総合職11.9%となっています。

 女性管理職がいる企業割合は、課長相当職以上の女性管理職(役員を含む。以下同じ。)がいる企業割合は56.3%(前年比2.2%増)、係長相当職以上の女性管理職がいる企業割合は63.2%(同2.6%増)です。また、係長相当職以上の女性管理職がいる企業割合を役職別にみると、部長相当職ありの企業は10.7%(0.1%増)、課長相当職は19.0%(同1.3%増)、係長相当職は21.7%(同6.8%増)で、役員を除くすべての役職において、2009 年度以降最も高い割合となっています。

企業規模でみると、おおむね規模が大きくなるほど、各役職の女性を有する割合が高くなり、5,000 人以上規模では、部長相当職の女性管理職を有する企業が74.4%、課長相当職の女性管理職を有する企業が93.8%、1,0004,999 人規模では、部長相当職の女性管理職を有する企業が40.2%、課長相当職の女性管理職を有する企業が76.0%と、女性が活躍する環境が整ってきていることがうかがえます。

 また、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は11.8%(前年比0.3%増)で、係長相当職以上の女性管理職割合は13.5%(同0.7%増)で、それぞれの役職に占める女性の割合は、部長相当職では6.7%(同6.6%)、係長相当職では16.7%(同15.2%)と、いずれも前回調査から上昇しています。

 

今後の課題

 女性の就業率が上がり、管理職に占める割合も上昇してきているとはいえ、出産や育児で休職や短時間労働が必要になる女性は多く、彼女らが昇進する際、不利になりやすい現状は依然としてあります。また、男性の育児休業取得率も一向に上がらない理由として、「職場に理解がない」を挙げる男性は多いです。

今後、男女問わず、家庭への協力、就業率(労働力)の向上を目指すには、政府の施策だけでなく、職場での意識改革が重要になってくるのではないでしょうか。

外国人採用」に関する実態は?~エン・ジャパン調査より             R元年 9月

6割の企業が外国人採用に関して前向き

エン・ジャパン株式会社は、運営する0円から使える採用支援ツール『engage(エンゲージ)』( https://en-gage.net/ )を使っている企業を対象に「外国人採用」に関するアンケートを実施し、2,263社から回答を得ました。

この調査結果では、「現在、外国人の採用を行っていますか?」の問いに対し、「採用を行っている」は29%で、「採用は行っていないが、検討している」(33%)を含めると、外国人採用に前向きな企業は62%に及びます。

また、「採用を行っている」と回答した企業に、「どの職種での採用を行っていますか?」と聞いたところ、第1位が「販売・接客等のサービス職」(26%)、第2位が「ITWeb・ゲーム・通信等の技術職」(15%)、第3位が同率で「営業職」「医療、福祉、教育等のサービス職」(いずれも11%)という結果になりました。

 

「出入国管理及び難民認定法」の認知度は6割

2019年4月1日に『出入国管理及び難民認定法』が施行されたことは知っていますか?」の問いに対しては、「知っていた」(57%)が「知らなかった」(43%)を上回る結果になりました。

 外国人採用を実施・検討しない理由トップ3は「教育・研修の未整備」「日本語能力への懸念」「行政手続きの煩雑さ」

「外国人採用をしておらず、検討もしていない」と回答した企業に、未実施の理由を伺ったところ、第1位は「外国人向けの教育・研修が未整備」(56%)、第2位は「日本語能力への懸念がある」(53%)、第3位は「行政手続きの煩雑さへの懸念がある」(32%)でした。外国人採用に関するコメントには、次のようなものがありました。

外国人採用に関するコメント

○日本語能力と日本の文化への理解があれば、採用するべきだと思います(マスコミ・広告・デザイン)。

○数か国語を話せるスタッフは重宝します(サービス)。

○多様な価値観を生み出すには大事だし、エンジニアは外国人の方が優秀(IT・通信・インターネット)。

○グループ会社では以前より外国人労働者を採用しており、特に障害になることはありません(商社)。

○配送業務のため、配達先である個人宅でのお客様対応がしっかりできるプログラムがあれば、活用し採用も検討したい(運輸・交通・物流・倉庫)。

【参考】エン・ジャパン「2,000社に聞いた「外国人採用」に関する実態調査―『engage』アンケート―」

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2019/18791.html

 

2021年卒の採用活動が早期化?                                      R元年 9月

困難を極める企業の採用活動

人手不足が叫ばれて久しい昨今、採用難に陥っている企業も多いのではないでしょうか。

人手不足対策として、外部人材(フリーランス)の活用を検討する企業などもありますが、まずは採用活動を充実させたいという企業にとっては、今後どのような対策をとっていくかは悩ましいところです。

 

就活ルール廃止による採用活動への影響は?

昨年、経団連は、2021年度以降に入社する学生を対象とする採用選考に関する指針を策定しないことを発表しています。経団連では、加盟企業に「学生の本分である学業に専念する十分な時間を確保するため」として、採用選考活動については、説明会等は3月、面接等の採用活動は6月より前に実施しないよう要請していましたが、そのルールが解放されたことになります。実質、形骸化していたともいわれていたこの「採用ルール」ですが、廃止されたことによる変化はあるのでしょうか。

 

2021年卒ではインターンシップをすでに経験済の学生が増加

株式会社マイナビが2021年卒の学生を対象に実施した「2021年卒マイナビ大学生インターンシップ前の意識調査」(調査期間:2019年6月20~6月30日、調査対象:マイナビ2020年会員のうち、「2021年春」に卒業予定の大学生・大学院生6,336名)によれば、6月末時点ですでにインターンシップへの参加経験がある学生は23.8%(前年比5.0%増)と2020年卒学生よりも多かったということです。

インターンシップ自体は「選考活動とは別」として実施している企業も多いですが、全体的に採用活動自体が早期化していくことも予想されています。

 

採用活動の流れを踏まえた対応を

現在、長年実施されてきた春の一括採用自体が見直され、通年採用に移行していくような動きもみられます。今後は、採用活動が早期化するだけではなく、採用の方法自体が多様化していくことも想定されるのではないでしょうか。

中小企業も、これからの採用活動の流れを踏まえつつ、人を集める独自の採用活動の手法を検討していく必要があるでしょう。

AIアプリで文字起こし業務が素早く簡単に                                    R元年 9月

AIを利用した身近な業務改善

「AI?うちはアナログだから関係ないよ」という方も少なくないかもしれません。しかし、「棚卸しのとき、長い商品名をパソコンに手入力している」「古い紙資料をデータ化するために手入力している」という状況は、身近に存在するのではないでしょうか。そんなとき、AIを使った無料で使えるアプリを試してみても良いかもしれません。それは、LINEアプリ「文字起こし ばりぐっどくん」(以下、「ばりぐっどくん」)。長崎県西海市の地域商社、株式会社西海クリエイティブカンパニーが開発したもので、AIによる画像処理を利用して、画像から自動で文字起こしができます。具体的には、紙に書かれた文字をスマートフォンのカメラで撮って画像にし、その画像を「ばりぐっどくん」のLINEアカウントに送信します。すると、約3秒でその画像の文字がデータとなって返信されるというものです。

 

活用事例

画像から文字起こしができると、何が便利なのでしょうか。例えば、ある薬局では棚卸しの際に、長い薬品名をいちいち手打ちしてリストを作成していました。「ばりぐっどくん」を使えば、画像にして送信するだけで、あっという間にリスト用の文字データが届きます。また、FAXで送られてきた資料をデータ化したいとき、FAX紙面を画像にして送信すれば、文字データにすることができます。このほかにも、紙に書かれた長めのHPアドレスにアクセスしたい、貰った名刺のメールアドレスにすぐ送りたい、客先からの提出物が紙やPDFでデータ入力が大変、というときにも利用できそうです。

 

利用の仕方

1 LINEアプリをダウンロードし、「文字起こしばりぐっどくん」を友達追加

2 文字を読み取りたい画像を用意する

3 トーク画面から「文字起こしばりぐっどくん」に画像を送信する

4 「文字起こしばりぐっどくん」からの返事として、画像内の文字データが届く

届いた文字データをコピーすれば、自由に編集できます。

 

利用上の留意点

気になるのがセキュリティですが、個人情報保護の観点から画像データは提供会社でも確認できない仕組みになるということです。とはいえ、複数の事業者が提供するサービスとの連携プロジェクトのため、機密情報は利用を避けた方が無難かもしれません。また、利用に際しては情報元の著作権にも十分留意する必要があるでしょう。

 

 

外国人従業員採用予定「なし」が大勢!?~大阪商工会議所調査                   R元年 9月

浸透には時間がかかるか

大阪商工会議所が実施した調査では、70.3%の企業で、外国人従業員を「現在雇用しておらず、今後も採用予定はない」とのことです。

また、「今後、外国人従業員の採用予定がある」(「現在雇用しており、今後も採用を続ける予定」「現在は雇用していないが、今後採用する予定」の合計)との回答が24.7%、「現在雇用している」という企業でも、28.6%が「今後採用の予定はない」と回答している状況をみると、政府が盛んにすすめる外国人雇用ですが、まだまだ浸透には時間がかかりそうです。

 

製造業・非製造業での差異

本調査の対象は、大阪商工会議所会員の中堅~小規模企業(2,865社、回答231社)です。

「採用予定なし」(現在も、今後も)とした回答の内訳を見てみると、資本金5,000万円以下の企業で70%を超え、5,000万円超~3億円以下の企業で59.3%、3億円超の企業でも50%となっています。

回答内容を製造業・非製造業別にみると、外国人従業員の雇用予定については、いずれも同様の傾向にあり、7割前後の企業が採用予定なしと回答しています。一方、採用に前向きな企業は、「日本語での意思疎通が問題なく行え(日本語能力試験2級)、日本人同様の業務を行える人材」を希望する層が多く、非製造業ではより高度な日本語能力を希望しています。

 

外国人雇用の課題

外国人従業員の雇用にあたっての課題としては、「言語・文化・風習・宗教などの問題」を挙げる企業が製造業・非製造業とも多く、次いで、製造業では「指導を担当できる人材がいない」、非製造業では「そもそも外国人を採用してまでの業務がない」を挙げる企業が多くなっています。

 

もちろん、地域や業種の特徴により差異はあるとは思われます。しかし、通説的に、オリンピック終了後は、開催国の景気が冷え込むということがいわれており、経済情勢も世界的に不透明になりつつありますので、採用に関する判断は慎重に行いたいものです。

転勤をめぐる近時の報道と、配転命令権                                          R元年 9月

AIG損保、転勤を廃止

AIG損害保険が、転勤の多い保険業界では珍しく、転勤を原則として廃止したと報道されました。一般に「転勤のある社員」と「地域限定社員」に分け、給与に1~2割の差をつける企業が多いところ、同社は「限定社員が格下の印象となり、優秀な人の出世の障壁になる」として、廃止に踏み切ったとのことです(日本経済新聞2019717日付)。

 

転勤命令で騒動となったカネカ

一方、今年6月には、カネカが育休対応問題で炎上しましたが、そのきっかけは、男性社員が育休復帰後2日で転勤の辞令が下され、これを拒否したことでした。同社は「当社対応は適切であった」というコメントを公表していますが、世間からはその適法性ではなく、一連の企業姿勢を疑問視されることとなりました。

 

企業には転勤命令権が認められているが……

転勤拒否の法律問題を考えるうえで非常によく言及されるのが、東亜ペイント事件(最高裁昭和61714日判決)という有名な裁判例です。企業の転勤命令権を広く認めた判例として、以後の多くの人事・労務実務や、労働紛争に影響を与えています。

しかし、その事件発生は197374年、判決が1986年のことであり、最近では、ワークライフバランスなどの観点から、転勤の必要性は厳しく吟味されるべきという声も高まってきています(大内伸哉「キーワードからみた労働法」、日本法令「ビジネスガイド」2019年9月号掲載)。

 

厚生労働省も転勤見直しを促進

自社の転勤のあり方を吟味する際の手引きとして、厚生労働省が下記資料を公表しています。AIG社のように全面廃止するだけでなく、雇用管理の類型ごとの運用メニューとするなど、いくつかの例が示されています。

古くて新しい転勤問題。いまいちど、自社制度の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

 

【厚生労働省雇用均等・児童家庭局「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」(平成29330日)】

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11903000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Shokugyoukateiryouritsuka/0000160191.pdf