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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

4月施行!「改正障害者雇用促進法」のポイント                    H30年2月

民間企業の雇用障害者数が過去最高に

昨年1212日、厚生労働省より「平成29障害者雇用状況の集計結果」が発表され、民間企業における雇用障害者数(495,795人、前年比4.5%)、実雇用率(1.97%、前年比0.05ポイント上昇)がともに過去最高を更新したことがわかりました。

今年4月には「改正障害者雇用促進法」が施行される予定となっており、障害者雇用に対する関心はますます高まっていきそうです。

 

改正の内容

4月から施行される改正のポイントは以下の通りです。

(1)法定雇用率の引上げ

事業主は、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用することが義務付けられていますが、その率が、民間企業については現行の「2.0%」から「2.2%」に引き上げられます。

また、今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が「従業員50人以上」から「従業員45.5人以上」に変更されます(短時間労働者は1人を0.5人としてカウント)。

なお、平成334月までにはさらに「2.3%」への引上げが予定されています。

(2)法定雇用率の算定基礎の見直し

法定雇用率の算定基礎の対象は、これまで「身体障害者」および「知的障害者」に限られていましたが、新たに「精神障害者」が追加されます。

なお、昨年1222に開催された「第74労働政策審議会障害者雇用分科会」において、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案が示され、精神障害者である短時間労働者に関するカウント方法に以下の特例措置が設けられることが明らかになりました。

【特例措置の内容】

精神障害者である短時間労働者であって、新規雇入れから3年以内の者または精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の者に係る雇用率のカウントにおいて、平成35331日までに雇い入れられた者等については、1人をもって1人とみなす(現行は1人をもって0.5人とみなしている)こととする。

 

今後の企業の対応は?

法定雇用率の引上げ等が行われることから、各企業においては、今後どのように障害者雇用に向き合っていくのかが問われることになりそうです。

 「平成29年度就労条件総合調査」の結果にみる労働時間の実態                                 H30年2 月

「就労条件総合調査」とは?

今回の調査は、常用労働者が30人以上いる民間企業6,367企業を抽出し、平成2911日現在で厚生労働省が調査を行い、4,432企業から得た回答をまとめたものです。

以下では、調査結果の中から「労働時間」に関するものをまとめてみます。

 

調査結果のポイント

1日の所定労働時間は、1企業平均7時間45分、労働者1人平均7時間43分でした。

主な週休制の形態をみると、「何らかの週休2日制」を採用している企業割合は87.2%(完全週休2日制は46.9%)で、適用されている労働者割合は87.5%(完全週休2日制は58.4%)となっており、年間休日総数をみてみると、1企業平均108.3日、労働者1人平均は113.7日となっています。

1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数は除く)は、労働者1人平均18.2日で、そのうち労働者が取得した日数は9.0日と取得率は半分以下であることがわかります。

年次有給休暇を時間単位で取得できる制度がある企業の割合は18.7%にとどまりました。そして、病気休暇制度がある企業割合は32.5%で、休暇取得時の賃金の支給状況について、「全額支給」が33.2%、「一部支給」が18.8%、「無給」が47.7%となっています。

また、1企業平均1回当たりの最高付与日数は246.0日で、そのうち賃金の支給状況が「全額」である企業では97.6日、「一部」である企業では294.1日、「無休」では354.5日となっています。

変形労働時間制を採用している企業の割合は57.5%で、種類別にみると、「1年単位の変形労働時間制」が33.8%、「1カ月単位の変形労働時間制」が20.9%、「フレックスタイム制」が5.4%となっています。

みなし労働時間制を採用している企業割合は14.0%で、こちらも種類別にみると、「事業場外みなし労働時間制」が12.0%、「専門業務型裁量労働制」が2.5%、「企画業務型裁量労働制」が1.0%となっています。

最近注目を集めている勤務間インターバル制度については、制度を導入している企業割合は、「導入している」1.4%、「導入を予定または検討している」5.1%、「導入の予定もなく、検討もしていない」92.9%となっており、超過勤務が問題視されているのはかなり限定的と考えられます。

国際比較にみる日本の労働生産性水準                     H30年2 月

1220日に出た調査結果

「労働生産性の国際比較2017年版」(公益財団法人日本生産性本部)が昨年1220日に出されました。

政府が生産性向上に向けた各種の施策を展開している中で、日本の労働生産性が国際的にみてどのあたりに位置しているのかを、調査結果で明らかにしています。

 

そもそも「労働生産性」とは?

労働生産性とは、「労働者1人当たりで生み出す成果、あるいは労働者が1時間で生み出す成果を指標化したもの」です。

労働生産性は、「付加価値額または生産量÷労働投入量(労働者数または労働者数×労働時間)」で表され、労働者の能力向上や経営効率の改善などによって、労働生産性は向上します。

 

日本の時間当たり労働生産性は20

2016年の日本の時間当たり労働生産性は46ドル(4,694円/購買力平価換算)。順位はOECD(経済協力開発機構)加盟35カ国中、昨年と同様の20位となりました。

上位は、1位アイルランド(95.8ドル)、2位ルクセンブルク(95.4ドル)、3位ノルウェー(78.7ドル)と続いています。OECDの平均は51.9ドルです。

日本の労働生産性は、6位の米国(69.6ドル)の3分の2程度の水準で、主要先進7カ国(フランス、米国、ドイツ、イタリア、カナダ、英国、日本)でみると、最下位の状況が続いています。

 

日本の1人当たり労働生産性は21

2016年の日本の就業者1人当たりでみた日本の労働生産性は、81,777ドル(834万円/購買力平価換算)。順位は、OECD加盟35カ国中21位となりました。

上位は、1位アイルランド(168,724ドル)、2位ルクセンブルク(144,273ドル)、3位米国(122,986ドル)となっています。OECDの平均は92,753ドルです。

日本の労働生産性は、就業1時間当たりと同様、就業者1人当たりでみても、主要先進7カ国で最も低い水準となっています。

 

日本の製造業の労働生産性は?

日本の製造業の労働生産性(就業者1人当たり)は95,063ドル(1,066万円/為替レート換算)。日本の順位は14位で、米国(139,686ドル)の7割程度の水準となっています。

今後求められる企業の福利厚生とは?                               H30年2月

1人平均は、2年連続で11万円超

一般社団法人日本経済団体連合会が、会員および会員加盟の企業を対象に実施した「2016年度福利厚生費調査結果」(回答企業数:676社、労務構成:平均年齢41.8歳)によると、企業が負担した福利厚生費(法定福利費と法定外福利費の合計)は、従業員11カ月平均111,844円(前年度比1.1%増)となり、2年連続で11万円を超えたそうです。

福利厚生費のうち法定福利費は、社会保険料の増加等により86,622円(同1.7%増)となり、法定外福利費は、25,222円(同0.9%減)となりました。

 

法定福利費は7年連続で増加

福利厚生費のうち、「法定福利費」は、7年連続増加し、過去最高額となっています。

また、「医療・健康費用」の法定外福利費に占める割合が12.5%と、約50年ぶりの高水準となり、同調査では、法定外福利費の抑制傾向が続く中にあっても、健康経営を重視している姿勢が伺えると指摘しています。

201512月から義務化されたストレスチェックへの対応や健康経営の高まりに伴い、労働安全衛生法に基づく健康診断費や人間ドックに対する補助費である「ヘルスケアサポート」が増加していることも指摘されています。

 

中小企業でも福利厚生費の見直しが必要

同調査は毎年実施されており、福利厚生費の構成内容も時代にあわせて年々変化している様子が読み取れますが、法定福利費の見直しについては、現在の雇用状況下において、中小企業でも必要となっているところです。

現実的に、市場価格を上回る給与を支払うことのできる企業は少数だといえますので、他社と差別化し、人材確保の意味でも、福利厚生を検討することは今後必要なところです。

 

「休暇」を求める人が多い?

ロンドンに本社を置くPage Group PLCの日本支社マイケル・ペイジ・インターナショナル・ジャパン株式会社が、日本で勤務している会社員約300名を対象に「最も求められている福利厚生」について聞いた調査によると、「休暇」が最も望まれているという結果が出たそうです。以下、フレックスタイム」「住宅手当、社員料、社宅」「健康診断」と続いています。

今後は、従業員の実際のニーズを読み取りながら福利厚生を検討していく必要がありそうです。

調査結果にみる「副業」に関する時間と収入の実態                              H30年2 月

「副業・兼業容認」が今後広がる?

昨年1225日に、厚生労働省の「柔軟な働き方に関する検討会」が公表した報告書で、労働者が主体的に自らの働き方を考え、選択できるようにするために、同省が示すモデル就業規則を改定して、「労務提供上の支障や企業秘密の漏洩が生じる場合等以外は副業・兼業を認める内容に改めること」等が必要とされました。

また、副業の希望者数は1992年と2012年で比較すると、100万人以上増えています(103日同検討会資料)。

こうした動きを受け、企業は、自社の副業・兼業の取扱いを考える必要がありそうです。

 

副業・兼業に充てる時間はどれくらい?

従業員が副業・兼業を行う場合の懸念事項の1つに、長時間労働となり業務がおろそかになることが挙げられます。

経済産業省の委託調査の結果では、「労働時間が長くなり本業に専念できない」と回答した人の割合は6%程度でした。具体的な時間数は、回答した2,000人の約半数が「週平均19時間」としています。

 

別の調査結果では10時間未満が約8

また、エン・ジャパン株式会社が2040代の正社員5,584名に対して昨年4月に行った調査の結果によれば、副業時間は週当たり「1時間未満」12%、「13時間未満」23%、「35時間未満」21%、「510時間未満」23%でした。

 

◆副業の形態はアルバイト、収入は月15万円が多い

同調査結果によれば、副業で行ったのは「アルバイト(接客・販売・サービス系)」が61%いる一方、インターネットを活用したものもあり、「ネットオークション・フリマサイト」が14%、「アフィリエイト」と「クラウドソーシング」が各7%でした。

また、月の収入は「13万円」「35万円」が各24%で約半数を占めますが、「1020万円」も19%います。

 

副業・兼業できない会社には人が集まらない?

前出の経済産業省の委託調査では、回答者の約3分の2が「副業を認めない会社(経営者)に魅力を感じない」としています。

今後は、優秀な人材を呼び込む観点からも、副業・兼業に対する柔軟な姿勢が求められるのかもしれません。

年代別に差がなくなってきた「心の病」                    H30年2 月

年代別にみる「心の病」

日本生産性本部が実施している「『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査」(第8回)の結果から、企業のメンタルヘルスに関する動向を見てみましょう。

本調査は上場企業が対象となっていますが、中小企業にとっても参考となる内容です。

 

最も多い年齢層は?

「心の病」の最も多い年齢層を見ると、「40代」「30代」がそれぞれ35.8%、32.6%と3割を上回っています。これに続き「1020代」が27.9%、「50代以上」が3.7%となっています。

2010年までの調査では、「30代」が最も多く、次いで「40代」「1020代」「50代」と続いていましたが、2012年の調査からは、「40代」と「30代」が多く、「1020代」、「50代」と続いています。

今回の調査結果では「1020代」の割合がぐっと上がり、「1040代」まで差がなくなってきたのが特徴です。

 

「心の病」の増減傾向とストレスチェック

「増加傾向」24.4%、「横ばい」59.7%、「減少傾向」10.4%と、以前の調査からは「増加傾向」は減少していますが、それと引き換えに「横ばい」が上昇しています。

ストレスチェック制度については、受検者比率は90%となっており、高ストレス者の比率は10.3%となっています。これらは厚生労働省の公表している資料よりもそれぞれ高い数値となっています。

ストレスチェック制度の課題については、「集団分析結果の活かし方」(1位)、「高ストレス者への面接以外のフォロー」(2位)を挙げる企業が多くなっています。

集団分析結果の活用状況をみると、実施事務局内での共有(86.8%)は行われていますが、職場で実際に改善を行う立場にある所属長への報告が行われている企業は、半数以下(45.8%)にとどまっています。

 

調査結果からわかること

上記のアンケート結果から、求められる仕事の量が増え、仕事の質も高くなり、今までに経験したことのないような課題が増え、職場のストレスが増加している様子がうかがえます。

また、別の調査(マンパワーグループ:職場でのストレス調査)ではストレス原因の第1位として「上司との関係」が挙がっていますので、変化の激しい労働環境に柔軟に対応していくためには、管理職の育成も必要なようです。