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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

令和5年度分36協定届提出前にチェックしておきたい最新の変更点                 R5年4月           

電子申請利用率の現状

 労働基準法等に基づく届出のうち、年間10万件超のものについて電子申請の利用促進が進められていますが、利用率は、36協定13.79%、就業規則届23.15%、一年単位の変形労働時間制9.11%となっています(いずれも令和3年実績)。5年前と比較すると伸びてはいるものの、政府の掲げる「デジタル原則」実現にはさらに利用率を上げる必要があります。

 

令和5年2月27日以降の変更点

 そのため、利用者の要望を反映して利便性をアップする複数のシステム改修が行われています。

 1点目として、36協定届ではエラーチェック機能が拡充されるとともに、入力画面で必須入力欄が黄色く明示されるようになっています。

 2点目として、一年単位の変形労働時間制に関する協定届の本社一括届出が、新たにできることとなっています。

3点目として、36協定届、就業規則届、一年単位の変形労働時間制に関する協定届の本社一括届出について、一括届出事業場一覧作成ツールが1種類にまとめられています。

4点目として、受付印のイメージが付いた控えをダウンロードできる届出・申請の種類が拡充されています。

 

令和5年度分の届出は余裕を持って

 これらの変更により、変更前に手続ブックマークを登録していた手続きは利用できなくなっていますので、新たに申請データを作成する必要があります。

 紙での届出と異なり、電子申請では会社のパソコンから手続きを行うことができますが、届出・申請が集中する時期にはつながりにくくなったりすることがありますので、余裕を持って手続きを行いましょう。

【厚生労働省「第178回労働政策審議会労働条件分科会(資料)」】https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27962.html

【労働基準法等の規定に基づく届出等の電子申請について】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184033.html

 

 

ハラスメントの潜在化、防ぐには                                                                            R5年4月

ないように思えても、実際はハラスメントによる退職者が発生しているという可能性を示唆する調査があります(パーソル総合研究所「職場のハラスメントについての定量調査」)。

 

離職理由の潜在化

ハラスメントによる離職は年間約87万人いて(2021年)、そのうち約7割の人が、ハラスメントが離職理由であることを会社に伝えていないそうです。また、ハラスメントのなかで会社が実際に対応を行ったのは17.6%しかないとのことです。

労働力不足が続く状況の中で、あるいは会社が認知しない、あるいは未対応のハラスメントが存在することは、社会にとっても会社の経営にとっても良いことはありません。

 

「回避型マネジメント」

ハラスメントが問題となるようになり、上司がハラスメントを回避しようと、部下を飲み会やランチに誘わない、ミスをしてもあまり厳しく叱咤しないといった「回避型マネジメント」を行うようになり、部下は上司との距離感を感じるようになっているようです。

上司との距離感を感じている部下ほど、成長実感を得られていないため、人材の成長・定着に悪影響があるようです。

 

ハラスメント防止と人材の成長を両立させる「傾聴行動」

一方、ハラスメントを回避しながら部下を成長させている上司もいて、その特徴は、部下の意見や話について「傾聴行動」をとり、マネジメントに公平性があるとの結果が出ています。ハラスメントの防止と部下の成長を両立させるには、抑止策と共に職場での対話的コミュニケーションが重要なようです。

相談窓口や防止規定の整備とあわせて、こうした視点で管理職に対する研修を行うと、自社のハラスメント対策に役立つのではないでしょうか。これらについてお困りのことがあれば、ぜひ弊所にご相談ください。

【パーソル総合研究所「職場のハラスメントについての定量調査」】

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/harassment.html

 

 

リーフレット「賃金のデジタル払いが可能になります!」が公表されました                                   R5年 4月

令和5年4月1日から、労働者が同意した場合には賃金のデジタル払いが認められることになりました。導入の際は以下の点に留意しましょう。

 

今後の流れ

① 2023年4月~……資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請、厚生労働省で審査(数か月かかる見込み)

② 大臣指定後……各事業場で労使協定を締結

③ 労使協定締結後……個々の労働者に説明し、労働者が同意した場合には賃金のデジタル払い開始

 

事前の協定締結が必須です

賃金のデジタル払いを事業所に導入するには、まずは、雇用主と労働者で労使協定の締結が必要です。その上で、雇用主は以下の事項を労働者に説明し、労働者の項別の同意を得る必要があります。

・受け取り額は適切に設定を

指定資金移動業者口座は、「預金」をするためではなく、支払いや送金に用いるためのものであることを理解の上、支払いなどに使う見込みの額を受け取るようにしてください。また、受け取り額は、1日当たりの払出上限額以下の額とする必要があります。

・口座の上限額は100万円

口座の上限額は100万円以下に設定されています。上限額を超えた場合は、あらかじめ労働者が指定した銀行口座などに自動的に出金されます。この際の手数料は労働者の負担となる可能性がありますので、指定資金移動業者にご確認ください。

・口座残高の現金化も可能(月1回は口座からの払い出し手数料なし)

ATMや銀行口座などへの出金により、口座残高を現金化(払出し)することもできます。少なくとも毎月1回は労働者の手数料負担なく指定資金移動業者口座から払い出しができます。払出方法や手数料は指定資金移動業者により異なります。

・口座残高の払戻し期限は少なくとも10年間

口座残高については、最後の入出金日から少なくとも10年間は、申し出などにより払戻してもらうことができます。

【厚生労働省「賃金のデジタル払いが可能になります!」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001065931.pdf

 

 

常態化する企業の人手不足~人手不足に対する企業の動向調査(帝国データバンク)より                    R5年4月

人手不足企業 5か月連続で5割超

採用活動に苦戦する企業が多くみられるなか、人手不足が常態化している企業は少なくありません。株式会社帝国データバンクが実施した「人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)」(調査期間:2023年1月18日~1月31日。調査対象:全国2万7,362社、有効回答企業数:1万1,719社(回答率42.8%))によれば、正社員の人手不足企業の割合は51.7%、非正社員では31.0%の高水準となっています。

 

「旅館・ホテル」「情報サービス」「飲食店」が高水準

業種別にみると、正社員、非正社員いずれも「旅館・ホテル」がトップで、7~8割の高水準となっています。次いで、正社員では、IT人材の不足が深刻な「情報サービス」が73.1%、非正社員では、「飲食店」が80.4%と高くなっています。その他、「人材派遣・紹介」(正社員63.2%、非正社員60.5%)も高く、人材の取り合いとなっている状況がみてとれ、外国人も視野に入れるなどの策を講じる会社もあるようです。

 

人材の確保・定着への対応を迫られる

企業の人手不足の割合は、コロナの影響で一時下がった業界はあるものの確実に上がり続けています。2022年には人手不足による倒産件数が2019年以来増加、なかでも「従業員退職型」が全体の4割を超えるなど、人材確保が切実な課題となってきている実態が各所で確認されています。

人材確保・定着の施策に真剣に取り組まざるを得ない状況が続いていくことが予想されるなか、今後、自社の現況を把握し対応を検討していく必要性はますます高まりそうです。

【帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)」】

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230207.pdf

 

 

マスク着用ルールの見直し          R5年4月          

マスク着用が個人の判断に

 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症対策としてのマスク着用について、令和5年3月13日以降の考え方を示しました。屋内では基本的にマスクの着用を推奨するというこれまでの取扱いを改め、今後は個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本としました。本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、個人の主体的な判断が尊重されるよう配慮を呼びかけています。

 

着用が推奨される場面

 ただし、次の場面ではマスクの着用が推奨されています。

〇医療機関を受診する時、〇高齢者など重症化リスクの高い方が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設などへ訪問する時、〇通勤ラッシュ時など、混雑した電車やバス(概ね全員の着席が可能なものを除く)に乗車する時

 そのほか、○新型コロナウイルス感染症の流行期に重症化リスクの高い方が混雑した場所に行く時については、感染から自身を守るための対策としてマスクの着用が効果的としています。

 

従業員への着用要請は許容

 なお、事業者が感染対策上または事業上の理由等により、利用者や従業員にマスクの着用を求めることは許容されています。次のような例が示されています。

〇感染対策上または事業上の必要がある場合に、従業員に対し、マスクの着用を求めること、〇客層や施設内の環境、感染状況等を踏まえ、顧客に対し、マスクの着用を求めること、〇マスク見直し時期をまたぐ一連の催物において、混乱回避のため従前のマスク着用を求めること

 政府が公表する業種別ガイドラインなども参考にしながら、自社の対応を考えていきましょう。

【厚生労働省「マスクの着用について」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html

 

 

4月から出産育児一時金が増額されます                                                                    R5年4月           

出産育児一時金とは?

出産育児一時金とは、健康保険等の被保険者が出産したとき(妊娠85日以後の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶)、出産に要する経済的負担を軽減するため、一定の金額が支給される制度です。

 

42万円から50万円に増額へ

出産育児一時金の支給額は、公的病院における出産費用等を勘案して定められており、現在は原則42万円(本人支給分40.8万円+産科医療補償制度の掛金分1.2万円)ですが、この4月1日から1児につき50万円が支給されます。

産科医療補償制度とは、医療機関等が加入する制度で、加入医療機関で制度対象となる出産をされ、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性まひとなった場合、子どもとご家族の経済的負担を補償するものです。

 

出産費用の状況等

厚生労働省の令和4年1013日第155回社会保障審議会医療保険部会資料によると、出産費用(正常分娩)は年間平均1%前後で増加しています。

令和3年度における出産費用(公的病院・正常分娩)の状況を都道府県別にみると、一番高いところで東京都の565,092円(平均値)、一番低いところで鳥取県の357,443円(平均値)、全国では454,994円(平均値)です。

出産費用の増加要因や地域差の要因として、医療費水準や物価水準、私的病院の割合、妊婦の年齢等がありますが、最も大きい要因は地域の所得水準となっています。

 

出産育児一時金の支給方法(直接支払制度・受取代理制度)

出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、協会けんぽまたは健保組合から出産育児一時金を医療機関等に直接支払う仕組み(直接支払制度)があります。出産費用としてまとまった額を事前に用意する必要がないので、被保険者の負担は軽減されます。

また、直接支払制度では、事務的負担や資金繰りへの影響が大きいと考えられる施設(年間の分娩件数が100件以下または収入に占める正常分娩にかかる収入の割合が50%以上で、厚生労働省へ届け出た診療所・助産所)については、医療機関等が被保険者に代わって出産育児一時金を受け取る「受取代理」制度を利用することができます。

 

給与水準を引き上げた中小企業、3年ぶりに半数超え ~日本政策金融公庫調査                R5年4月

株式会社日本政策金融公庫は、「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果を発表しました。同公庫の取引先13,266社を対象に調査したもので、202212月中旬に実施し、5,473社から回答を得ています。

 

給与水準を引き上げた中小企業は3年ぶりに半数を上回る

202212月の正社員の給与水準をみると、「上昇」と回答した企業割合は53.1%と、2021年実績(41.1%)から12.0ポイント上昇しました。

業種別にみると、情報通信業(63.8%)、水運業(58.5%)、建設業(55.1%)などで「上昇」の割合が高くなっています。2023年見通しをみると、「上昇」と回答した企業割合は53.3%となっています。

 

給与水準上昇の背景は「自社の業績が改善」

正社員の給与水準上昇の背景についてみると、「自社の業績が改善」と回答した企業割合が27.2%と最も高く、次いで「物価の上昇」(19.4%)、「採用が困難」(18.4%)の順となっています。

業種別にみると、「自社の業績が改善」と回答した企業割合は、不動産業(47.1%)、電気機械(41.0%)などで高く、「物価の上昇」は、窯業・土石(31.0%)、倉庫業(30.0%)などで高くなっています。

 

賃金総額でも「増加」が半数超え

202212月の賃金総額をみると、「増加」と回答した企業割合が59.7%、「ほとんど変わらない」は29.2%、「減少」は11.0%となっています。「増加」の割合は、2021年実績(49.3%)から10.4ポイント上昇しました。2023年見通しをみると、「増加」と回答した企業割合は60.5%となっています。

また、賞与の支給月数をみると、「増加」と回答した企業割合が31.3%、「変わらない」は48.5%、「減少」は14.2%となっています。「増加」の割合は、2021年実績(30.5%)から0.8ポイント上昇しています。

業種別にみると、倉庫業(43.8%)、宿泊・飲食サービス業(37.7%)、卸売業(34.9%)などで「増加」の割合が高くなっています。

【日本政策金融公庫「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果】

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_230227.pdf

 

障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化                                                       R5年 4月

法定雇用率が令和8年に2.7%に

 令和5年度より、「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令(令和5年政令第44号)」などの公布により、障害者の法定雇用率が引き上げられることになりました。

 民間企業の法定雇用率は、令和5年度は現行の2.3%のまま据え置きとなり、令和6年4月に2.5%、令和8年7月に2.7%に段階的に引き上げられることになります。つまり、現在、従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりませんが、令和6年4月からは40人以上、令和8年7月からは37.5人以上に1人の割合で障害者の雇用が義務付けられることになります。

 また、障害者を雇用しなければならない事業主は、毎年6月1日時点での障害者雇用状況をハローワークへ報告、障害者雇用推進者を選任(努力義務)する必要があります。

 

除外率は10%引下げに

 障害者の雇用が一般的に難しい業種について、雇用義務の軽減を認める「除外率制度」は、令和7年4月からはそれぞれ10ポイント引き下げられます。除外率設定業種としては、貨物運送取扱業、道路貨物運送業、道路旅客運送業、警備業、建設業・湾港運送業、医療業、高等教育機関、鉄鋼業、金属鉱業、児童福祉事業、特別支援学校、小学校、幼稚園、幼保連携型認定こども園等があります。

 

障害者の算定方法が変更

 週所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間で働く精神障害者については、当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく、1カウントとして算定できるようになります。また、令和6年4月からは、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者について、雇用率上、0.5カウントとして算定できるようになります。

 

 その他、障害者雇用のための事業主支援の強化のために、雇入れやその雇用継続に関する相談支援、加齢に伴う課題に対応する助成金の新設や、既存の障害者雇用関係の助成金の拡充が予定されています。

【厚生労働省リーフレット「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」】

https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf