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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

厚労省策定「労働時間適正把握ガイドライン」ポイント
                            H29年3月

120日に公表

近年、労働時間削減は多くの企業において喫緊の課題となっており、政府の「働き方改革実現会議」でも長時間労働の是正について様々な議論がなされています。

昨年12月には厚生労働省から『「過労死等ゼロ」緊急対策』が公表され、“違法な長時間労働を許さない取組の強化策”として以下の項目が挙げられていました。

(1)新ガイドラインによる労働時間の適正把握の徹底

(2)長時間労働等に係る企業本社に対する指導

(3)是正指導段階での企業名公表制度の強化

(4)36協定未締結事業場に対する監督指導の徹底

このうち上記(1)に対応するものとして、厚生労働省から120日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定・公表されました。

 

本ガイドラインの位置付け

従来、事業場における労働時間の管理方法については、平成13年に発出された通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(いわゆる「46 通達」)が1つの目安となっていましたが、今回のガイドラインはこの通達を修正するかたちで策定されました。

 

本ガイドラインで注目すべき点

従来の通達と今回のガイドラインを比較してみると、「労働時間の考え方」という項目が新たに追加されました。

この項目では、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと」であり、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は「労働時間に当たる」とされ、業務の準備や後始末の時間、手待時間、研修等の時間であっても労働時間に該当する例も示されています。

また、「使用者が講ずべき措置」の内容が従来の通達よりもかなり具体的に示されました。

特に自己申告制により始業・就業時間の確認等を行う場合の措置について、労働時間の管理者に対して「本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと」を使用者に求めており、労働者の自己申告により把握した時間とPCの使用時間の記録等により判明した時間に“著しい乖離”が生じている場合には実態調査を行って労働時間を補正すること等を求めています。

 

その他の注意点

その他、「三六協定の延長」や「賃金台帳の調製」についての注意点も記載されていますので、本ガイドラインに一度目を通しておき、今後の労働時間管理に活用することをお勧めいたします。

 

「くるみん認定」に残業時間規制等の要件を追加へ                                            H29年3月

従来は認定要件に残業時間の規制はなし

厚生労働省は、電通に勤めていた女性社員が自殺し、労災認定された問題を受けて、従業員にとって子育てをしやすい企業を示す「くるみん認定」に、残業時間規制の要件を加えることとしました。

「くるみん」は、企業が一般事業主行動計画を策定し、そこに定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たした場合に「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を受けることができるものです。

この認定を受けると、企業は「くるみんマーク」を商品や名刺、求人広告につけることができ、イメージ向上に活用できますが、従来の認定基準には残業時間の規制がありませんでした。

 

認定基準を見直しへ

昨年秋、違法な長時間労働等が原因で女性社員が自殺した電通が「くるみん認定」を取得していたことが問題になり、同社は昨年11月に認定を辞退し、厚生労働省は認定基準の見直しを発表しました。

その内容は、2017年度からはすべての従業員が1年間の月平均で残業時間が60時間未満であることを要件にし、残業時間は80時間未満としていた「プラチナくるみん」の残業時間の基準も60時間に見直すというものです。

 

男性の育休取得率も新たな要件に

また、男性の育休取得率が10%程度であることも新たに要件にします。

従来は男性の育休取得者が1人でもいれば認定を受けられましたが、要件を見直し、男女の別なく子育てのしやすい企業を認定しようという方向です。

 

従来の認定企業も見直しへ

上記の新基準は、2017年度から導入されます。

要件の変更により、これまで認定を受けていた企業の一部は認定を見直さざるを得ない可能性もあります。

厚労大臣認定「社内検定認定制度」概要と活用のしかたH29年3月

「社内検定認定制度」とは?

社内検定認定制度は、事業主等が雇用する労働者等の技能と地位の向上に資することを目的に、労働者が有する職業に必要な知識および技能について、その程度を会社自ら検定する事業(社内検定)のうち、一定の基準に適合し技能振興上奨励すべきものを厚生労働大臣が認定するものです。

認定を受けた社内検定は、「厚生労働省認定」の表示をすることができ、また、検定・対象職種・事業主の名称・所在地が同省のホームページに公示されます。

 

認定制度の概要

認定の対象となる社内検定は、労働者の技能の向上を図る観点から実施するものですが、下記のようなものは対象とはなりません

・技能検定と競合する職種についての検定

・一般的教養を対象として実施される検定(英語検定、珠算検定等)

・人事管理のため選別することのみを目的として実施される検定(役職登用試験、国内留学生試験等)

・他の法令に基づき実施される検査、検定、試験、研修と競合するもの

 

認定基準

主な認定基準は下記の通りです。

(1)直接営利を目的とするものでないこと

(2)職業に必要な労働者の技能および知識の評価に係わる客観的かつ公正な基準に基づくものであること

(3)技能振興上奨励すべきものであること

(4)学科試験および実技試験で行われるものであること

(5)原則として、検定がいずれの対象職種についても毎年1回以上実施されること

(6)検定の実施計画を定めていること 等

 

認定数、認定の効果

201641日時点で、47事業主等126職種が認定されています。

認定の効果ですが、認定を受けることにより社内の技能評価に客観性と公正性が担保され、労働者に技能向上および自己啓発の目標を与えることができ、社内検定の構築により社内の職業能力が整理・「見える化」され、経営戦略の再構築の促進や「ブランド化」による企業価値向上のほか、職業能力の向上についてモチベーションを高めることもできます。

また、社内検定の合格を昇級・昇格の一要素としたり、諸手当付与の基準としたり、人事制度での活用も見込めます。

 

労基署の監督指導結果にみる「長時間労働が疑われる事業場」の実態                               H29年3月

10,059事業場が是正・指導の対象に

1月中旬に厚生労働省から、昨年4月~9月に行われた労働基準監督署による監督指導結果(長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果)が公表されました。

今期は、「1カ月当たり80時間を超える残業の疑いがある事業場」や「長時間労働による過労死などに関する労災請求があった事業場」など、10,059事業場が是正・指導の対象となっており、このうち6,659事業場(66.2%)で労働基準法などの法令違反があったとのことです。

なお、前年同期の監督指導件数(法令違反あり/実施事業場)は、次のように変化しています。

・平成27年:3,8234,861

・平成28年:6,65910,059

平成27年度は、「月100時間」を超える残業が疑われる事業場等が対象であるのに対して、平成28年度は「月80時間」に対象が拡大されたという違いはありますが、長時間労働やそれに伴う健康障害などに対しては、より厳しい目が向けられていると理解したほうがよいでしょう。

 

是正勧告、是正指導の状況

是正勧告書が交付された法違反の内容を見ると、違法な時間外労働が4,416事業場、賃金不払残業が637事業場、過重労働による健康障害防止措置の未実施が1,043事業場となっています。

業種別では、違反割合の多い順に、(1)接客娯楽業、(2)運輸交通業、(3)製造業で70%以上、(4)商業、(5)教育・研究業で60%以上、(6)その他の事業、(7)建設業で50%以上となっています。

一方、主な健康障害防止に係る指導票が交付された事業場は、次の通りでした。

・過重労働による健康障害防止のための指導:8,683事業場

・労働時間適正把握基準に関する指導:1,189事業場

ここでは、長時間労働となっている労働者への面接指導等の実施、月80時間以内への残業削減や始業・終業時刻の確認・記録、自己申告制による場合の実態調査などについて指導が行われています。

 

今後の情報にも注意が必要

現在、時間外労働の上限規制について政府が検討を進めるなど、労働時間に関する制度改正が予定されていますので、今後の情報に注意が必要です。

「雇用保険法」「育児・介護休業法」等が改正に!企業への影響は?              H29年3月

通常国会に法案提出

現在開会中の通常国会に「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が提出されました(131日)。

雇用保険法、労働保険徴収法、育児・介護休業法、職業安定法に関わる改正となっていますが、企業に影響のある改正を中心にみていきます。

 

失業等給付に係る保険料率および国庫負担率の時限的引下げ

平成29年度から平成31年度までの各年度における雇用保険料率および国庫負担率が、時限的に引き下げられます。

雇用保険法、労働保険徴収法に関わる改正で、平成2941日の施行予定です。

 

育児休業に係る制度の見直し

現在の育児休業は原則1歳までで、保育所に入れない場合等に限り16カ月まで延長が認められていますが、改正により、さらに6カ月(2歳まで)再延長できるようになります。また、それに合わせて育児休業給付の支給期間も延長となります。

育児・介護休業法、雇用保険法に関わる改正で、平成29101日の施行予定です。

 

職業紹介の機能強化および求人情報等の適正化

(1)ハローワークや職業紹介事業者等のすべての求人を対象に、一定の労働関係法令違反を繰り返すブラック企業の求人は受理されなくなります。現在は、ハローワークにおける新卒者向け求人のみが対象となっていますが、改正が行われれば中途やパートなどすべての求人が対象となります。

他にも、(2)会社が虚偽の求人申込を行った場合、罰則の対象となります。また、(3)採用時の条件があらかじめ示した条件と異なる場合等には、その内容を求職者に明示することが会社に義務付けられます。

いずれも職業安定法に関わる改正で、(1)は公布から3年以内、(2)(3)は平成301月の施行予定です。

 

その他の事項

その他、失業等給付の拡充として、「給付日数の延長」や「雇止めされた有期雇用労働者の所定給付日数の延長」、「専門実践教育訓練給付の給付率の引上げ」等が予定されています。

タクシー運転手の「歩合給」をめぐる注目裁判の動向                     H29年3月

「歩合給だから割増賃金なし」は有効?無効?

タクシー運転手の給与には、一定の基本給と運賃収入に応じて支給される歩合給からなる「歩合給制」が多くの会社で採用されていますが、今月末、この歩合給制をめぐる注目の判決が出される見通しです。

本事件では、タクシー運転手ら14人が、歩合給の計算にあたり残業手当等に相当する額を控除する旨を定める会社の賃金規則は無効であり、控除された残業手当等相当額の支払義務があるとして、未払賃金および遅延損害金等の支払いを求めており、東京地裁は、公序良俗に反するとして未払い賃金の合計約1,500万円の支払いを命じました(国際自動車事件・東京地判平27.1.28)。

 

分かれる裁判所の判断

同事件では、同じ内容を請求する訴訟が次々に提起されており、現在、第4次訴訟まで提起され、原告も200名を超える大きな訴訟となっています。

そのうち第2次訴訟では、割増賃金の算出方法を定める労働基準法37条に違反せず、公序良俗にも反しないとして原告の意見を斥けて(東京地判平28.4.21)おり、裁判所の判断が分かれています。

 

高裁判決も「無効」だが…

1次訴訟の高裁判決(二審)では、地裁判決(一審)が支持され、会社側に未払い賃金の支払いが命じられたことから、会社側が上告し、現在も最高裁で係争中です。

そして、最高裁判決を前に双方の意見を聞く弁論が開かれました(131日)。

この弁論は、一審・二審とは異なる判断がなされる場合に最高裁判決を前に開かれることが多いことから、今月末の最高裁判決では「これまでと結論が異なるのでは?」と注目が集まっています。

 

運転手の残業代計算に大きな影響が

上記の通り、タクシー運転手の給与では「歩合給制」が採用されているケースが多いため、この事件の確定判決が及ぼす影響が少なくないと見られています。

特に、運転手の残業手当の計算方法やその定め方について見直しを迫られるタクシー会社もあることでしょう。

タクシー会社に限らず「歩合給制」を採用されている場合は、一度、自社の賃金規則をチェックしてみてはいかがでしょうか?

人材・人手不足の状況下で「若手社員の定着」にどう取り組むか?             H29年3月

人材不足・人手不足が顕著な業種は?

先日、産業能率大学から、中小企業(従業員数6300 人)の経営者を対象に昨年11月に行ったインターネット調査(2017中小企業の経営施策)の結果が発表されましたが、「現在の従業員数の充足状況」について尋ねたところ、次の通りの回答結果となりました。

・不足している:48.6

・適性である:48.0

・過剰である:3.5

業種別に見ると、建設業(61.6%)、情報通信業(62.8%)、飲食店・宿泊業(61.1%)、医療・福祉(69.0%)において不足感が高いようです。

また、「2017年の経営活動に影響を与えそうな要因」として「人材の不足」(36.0%)がトップとなっており、中小企業における人材不足問題はますます深刻な状況となっているようです。

 

若手社員の定着には何が有効か?

人手不足・人材不足への対応として、政府は女性や高齢者等の活用を推進していますが、まずは「若手社員の定着」に向けた取組みが重要だと言えるでしょう。

経団連が昨年78月に実施した「2016人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」で会員企業の労務担当役員以上(477名)が回答したところによると、若手社員の定着状況の改善に向けた取組みについて「必要であると感じている」企業は73.6%に上っています。

また、定着状況の改善に向けて有効と考える取組み(3つまで回答)の上位5つは以下の結果となりました。

(1)職場での良好な人間関係の構築(60.7%)

(2)能力や適性に合った配置、納得性の高い評価制度の整備・運用(54.4%)

(3)労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進(33.9%)

(4)キャリアパスや企業ビジョン・企業理念の見える化(31.8%)

(5)能力開発の強化(27.9%)

 

採用活動以外にも重要な課題が

人手不足・人材不足に向けた取組みとして、まずは「採用活動」に力を入れるのは当然のことですが、「入社後の社員定着」に向けてどのような施策を行っていくかも重要な課題だと言えるでしょう。

2017年度から年金額等が変わります!
H29年3月

支給額は3年ぶりの減額

2017年度の年金額が「前年度比0.1%引下げ」と発表されました。

総務省が発表した「平成28 年平均の全国消費者物価指数」が前年から0.1%下落したことが年金額に反映されたものであり、3年ぶりの改定です。

なお、「マクロ経済スライド」はデフレ時には見送るという規定があり、2016度に引き続き適用されません。

2017年度の国民年金の支給額は、満額で月64,941円(前年度比67円減)、厚生年金の支給額は、会社員だった夫と専業主婦のモデル世帯(40 年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合)で月221,277円(同227円減)となります。

 

国民年金保険料、在職老齢年金は?

2017年度の国民年金保険料(月額)は16,490円(前年度比230円引上げ)です。

2004年(平成16年)の改正で保険料を毎年280円ずつ引き上げることが定められ、2017年度はその上限(16, 900円)の年度となり、同年度以降は16,900円で固定されるはずですが、前年の物価変動率や実質賃金変動率によって増減されます。

在職老齢年金は、60 歳台前半(60 64 歳)の支給停止調整変更額と60 歳台後半(65 69 歳)と70 歳以降の支給停止調整額については46 万円(前年度比1万円減)に改定となります。

また、60 歳台前半(6064歳)の支給停止調整開始額(28 万円)は前年度と同額です。

 

「年金額の改定ルール」の見直し

昨年12月の臨時国会で成立した「年金制度改革関連法」には、年金支給額を賃金に合わせて引き下げる新しいルールが盛り込まれました。

この新ルールでは、現役世代の負担を重視し、物価が上がった場合でも現役世代の賃金が下がれば年金支給額を減らす仕組みで、2021年度からの実施となります。