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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

従業員が「iDeCo」に加入する際に事業主が行わなければならない事務手続とは?            H29年10月

改正を契機に加入者数が増加

今年1月からの改正確定拠出年金法の施行により、個人型確定拠出年金(通称:iDeCo)は、基本的に20歳以上60歳未満のすべての方が任意で加入できるようになりました。

この改正により、今年に入ってから加入者が大幅に増加しており、平成296月時点における加入者数は549,943人(前年同期比203.8%)となっています。

 

iDeCoの仕組み

iDeCoは、公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金の1つであり、加入者の老後の所得確保の一助となる制度です。

加入者が自ら定めた掛金額を拠出・運用し、原則60歳以降に、掛金とその運用益の合計額をもとに給付額が決定し、給付を受ける仕組みとなっています。

 

事業主が行わなければならない事務手続は?

企業で働く従業員がiDeCoに加入する際、事業主が行わなければならない事務手続が発生しますが、そのポイントは以下(1)(5)の通りです。

厚生労働省では、従業員がiDeCoへの加入を希望した場合に速やかに加入できるよう、事業主への協力を呼びかけています。

(1) 事業所登録

加入者となる従業員(2号被保険者)を使用する事業所は、国民年金基金連合会(国基連)に事業所登録を行います。

(2) 事業主証明書の記入

加入を希望する従業員から提出される事業主証明書に必要事項を記入します。

(3) 事業主証明(年1回)

年に1回、国基連が加入申出時に得た情報をもとに、加入者の勤務先に資格の有無の確認を行いますが、その際に事業主の証明が必要となります。

(4) 事業主払込の場合の掛金納付

加入者が事業主払込を希望する場合、事業主から国基連に掛金を納付します。

(5) 年末調整

所得控除があるため、加入者が個人払込を選択した場合は年末調整を行います。

 年金受給開始を70歳以後まで選択可能に~政府有識者会議が提言                              H29年10月

年内に「高齢社会対策大綱」策定

内閣府の「高齢社会対策の基本的考え方等に関する検討会」は、公的年金の受給開始年齢を70歳以降まで繰り下げることを可能とする仕組みづくりなどを盛り込んだ報告書の骨子案をまとめました。

政府はこの骨子案をもとに、年内に中長期的な高齢者施策の指針となる「高齢社会対策大綱」の改定案を閣議決定する予定です。

 

「エイジレス社会」実現へ

年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、現行法では6070歳の間で開始年齢について、「繰上げ」もしくは「繰下げ」ができます。

開始年齢を早めれば65歳から受給するのに比べて受給額が最大で30%減り、遅くすれば最大42%増えます。

骨子案では、「基本的考え方」として、「すべての高齢者が意欲・能力を活かして活躍できるエイジレス社会を目指す」とし「年齢区分で人々のライフステージを画一化することを見直すことが必要」だとしました。

そのうえで、「意欲ある高齢者が働き続けられ、また、就業できる仕組みを構築していくことが基本」とし、あわせて「高齢期の低所得を防止する視点も望まれる」としています。

 

高齢者のコミュニティづくりや資産活用も提言

骨子案ではこのほか、地域社会における高齢期の生活基盤を安定させるためのコミュニティづくりや、高齢者の資産を豊かな老後と日本の経済成長につなげる効率的な運用ができるよう環境整備が必要との報告も盛り込まれました。

 

導入の是非をめぐって議論本格化か

年金の受給開始年齢引上げをめぐっては、2014年に当時の田村憲久厚生労働大臣が「75歳程度まで引き上げることを検討する」と発言しましたが、その後具体的な議論とはなっていませんでした。

ただ、少子高齢化で労働力人口が減るなか、政府は多くの高齢者に働き続けてもらいたい考えで、自民党の「一億総活躍推進本部」が5月にまとめた提言にも年齢引上げが盛り込まれています。

今回は議論が本格化する可能性があり、導入の是非をめぐっては議論となりそうです。

監督指導による賃金不払い残業の是正結果                       (平成28年度)
H29年10月

監督指導結果の発表

厚生労働省は、時間外労働等に対する割増賃金を支払っていない企業に対して労働基準法違反で是正指導した結果(平成28年度分)を取りまとめ、公表しました。

全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成284月から平成293月までの間に不払いだった割増賃金が支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめています。

 

平成28年度の是正結果のポイント

(1) 是正企業数:1,349企業(前年度比1企業増)

…うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、184企業

(2) 支払われた割増賃金合計額:1272,327万円(同272,904万円増)

(3)対象労働者数97,978(同5,266人増)

(4)支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり943万円、労働者1人当たり13万円

 

遡及支払金額別の詳細

(1) 100万円以上の割増賃金の遡及支払状況

業種別でみると、「商業」が304件で最も多く、次いで「製造業」の267件が続いています。

業種別の労働者数でみると、「製造業」の19,447人が最も多く、次に「保険衛生業」の17,103人となっています。

(2) 1,000万円以上の割増賃金の遡及支払状況

業種別でみると、「製造業」と「商業」がともに34件、「保険衛生業」が23件で全体の半分を占めており、対象労働者数は、「商業」9,563人、「製造業」7,617人となっています。

 

今後の取組み

今後も、厚生労働省による賃金不払残業の解消に向けての取組みや、労働基準監督署による指導は強化されていきますので、企業としても今まで以上に徹底した労務管理が求められます。

「職場の受動喫煙防止対策」に関する国の助成金&支援策                        H29年10月

東京都が条例制定を検討

東京都では、都民の健康増進の観点から、また、オリンピック・パラリンピックの開催都市として受動喫煙防止対策をより一層推進していくため、「東京都受動喫煙防止条例(仮称)」の制定を検討しています。

その内容は以下の通りであり、罰金刑を科すことも検討しているようです。

(1) 成年者や患者が利用する医療施設・学校などは敷地内禁煙

(2) 不特定多数が利用する官公庁や大学は屋内禁煙

(3) ホテル・旅館・職場など事業所や飲食店、娯楽施設は原則屋内禁煙(喫煙専用室設置可)

このような受動喫煙防止の流れは、今後も進んでいくと思われ、企業としても注視していかなければならないでしょう。

ちなみに、平成276月より、事業者には労働者の受動喫煙を防止するため、事業者および事業場の実情に応じ適切な措置をとるよう努力義務が課されています(労働安全衛生法68条の2)。

 

「受動喫煙防止対策助成金」とは?

厚生労働省では、事業者が受動喫煙防止対策を行う際の費用の一部を支援するため、「受動喫煙防止対策助成金」を設けています。

中小企業事業主であって、事業場内において、喫煙防止措置を講じた区域以外を喫煙とする事業主を対象に、「喫煙室の設置・改修」「屋外喫煙所(閉鎖系)の設置・改修」「換気措置の設置(宿泊業・飲食業を営んでいる事業場のみ)」のいずれかの措置を講じた場合、その措置にかかる工費、設備費、備品費、機械装置費などの2分の1が助成されます(上限200万円)。

申請手続などは、所轄の都道府県労働局へ行います。

 

厚生労働省が実施する支援事業

厚生労働省では、職場の受動喫煙防止対策に取り組む事業者に対する支援を行っています。

例えば、上記助成金の申請書類の書き方や風速の要件の満たし方など助成金申請の際に参考となる助言や、実績報告の際に必要なる測定機器の提供を行っています。

利用はすべて無料で行っているそうですので、利用してみてはいかがでしょうか。

(1) 受動喫煙防止対策の技術的な相談

事業場における喫煙室の設置、浮遊粉じんまたは換気量の要件への対応など技術的な内容について、専門家による電話相談など(必要に応じて実地指導も実施)

(2) 禁煙室などの要件の確認や事業場の実態把握

職場環境の実態把握などを行う際の支援として、測定機器の無料貸出しなど

HRテック」って何?~人事分野におけるIT技術の活用に注目         H29年10月

「生産性の向上」が大きなテーマ

人手不足の現状や国が進めている「働き方改革」の施策により、企業の人事・労務分野に変革が求められている中、企業の「生産性向上」は大きいテーマとなっています。

そのような状況の中、最近、「HR Tech」「HRテック」「HRテクノロジー」という用語を様々なメディアで目にすることが増えてきました(以下では「HRテック」で統一します)。

HRテック」とは、一体何なのでしょうか?

 

HRテック」とは?

HRテック」は、「HR」(Human Resources:人事、人材と「Tech」(Technology)を組み合わせた造語です。

Finance」(金融)と「Technology」を組み合わせた「Fin Tech」という言葉がしばしば使われていますが、最近は様々な分野で、最新のIT技術を組み合わせた手法として「〇〇テック」という言葉が生み出されており、その中でも「HRテック」は、人事関連分野において、クラウドやAI(人工知能)など最新のIT技術を使用するという手法で、アメリカなどでは大きい産業の1つとなっているそうです。

 

国も注目している「HRテック」

HRテック」については、国もその普及に注目しているところで、今年7月には経済産業省等の主催で「HR-Solution Contest ―働き方改革×テクノロジー―」が開催されました。

最新技術により「働き方改革」を推し進めるために、企業が抱える人事・労務上の課題を解決するためのアイデアやソリューションを募集したもので、株式会社ジンズによる集中力の計測を行うという眼鏡型デバイスや、株式会社アトラエのAIを活用したビジネスマッチングアプリ等が受賞しています。

経済産業省のホームページでも、「人事評価や採用、人材育成等へのAIの活用やIoTによる労務管理、ビッグデータを活用した人材運用など企業における人事機能の向上や、ウェアラブル等のデバイスを活用して働き方の進化を実現する、いわゆる「HRテクノロジー」が新たなサービスとして急速に拡大しています」と書かれています。

 

今後の動きに注目

まだまだ日本では人事分野におけるIT技術の活用は遅れていると言われています。

ただ、労働力人口の減少や働き方の変革が進んでくると、ITを活用した業務の見直しが一層求められてくるかもしれませんので、今後の動きにも注目したいところです。

「地域別最低賃金」の引上げに伴う給与計算への影響は?              H29年10月

昨年度より25円高い848

2017年度の地域別最低賃金については、8月中旬に各都道府県労働局に設置される地方最低賃金審議会の答申が出揃い、9月中旬には官報公示も出揃いました。

今年度の全国加重平均額は848円で、昨年度に比べ25円の引上げとなりましたが、これは、昨年度に引き続き、現行制度が始まった2002年度以来最高の引上げ額です。

 

2023年度には1,000円まで引き上げられる!?

最低賃金は、近年引上げの流れが続いています。時給額のみで表示される現行制度が始まった2002年度には663円でしたが、昨年度に初めて800円を超えました。

これは、政府が中期目標として全国加重平均で最低賃金1,000円を掲げ、毎年3%程度引き上げるとしていることによります。

今年度の引上げ幅も3%となっており、このまま3%ずつ引き上げられると2023年度には1,000円に達しますが、中小・小規模事業者にとっては重い負担となります。

 

事業者を支援する助成金制度

最低賃金の引上げにより負担が増す中小・小規模事業者に対し、厚生労働省では、助成金による支援策を設けています。

「業務改善助成金」は、事業場内最低賃金が1,000円未満の事業者を対象に、最低賃金を一定額以上引き上げた場合にかかった費用の一部を助成(上限200万円)する制度です。

 

発効による給与計算への影響

引上げ後の最低賃金は、都道府県労働局長の決定・公示により確定するため、発効日は都道府県によって異なり、今年度は9月末から10月中旬までに順次発効される見通しです。

給与計算においては、発効日以降発生する賃金に引上げ後の最低賃金が適用されるため、賃金計算期間の途中に発効日がある場合は注意を要します。最低賃金での時給を適用している従業員がいる場合、賃金計算期間の途中で時給額が変更となるからです。

この場合、発効日を含む月の賃金計算期間から前倒しで時給を引き上げることもできますし、据置きにして、引上げ後の差額を別途支給することもできます。

建設現場の「週休2日制」を実現へ~建設業の働き方改革                H29年10月

建設業の働き方改革指針

政府は、建設業の働き方改革として、建設現場の「週休2日制」の導入や雨や雪などの悪天候を考慮した「適正な工期」の設定などを盛り込んだ指針を決定しました。

この指針には罰則はありませんが、建設業の長時間労働の是正に向けた取組みとして、これから発注する公共・民間工事を対象に実施するとしています。

 

残業規制の適用に5年間の猶予

今年3月に公表された「働き方改革実行計画」では、原則として全業種で残業時間を年間720時間、繁忙月は100時間未満まで認める上限を設ける方針を決定しましたが、建設業は運送業や医師とともに、施行から5年間の猶予期間が設けられています。

 

建設業界の長時間労働の深刻化

建設業は、近年、人手不足による長時間労働が深刻化しています。

国土交通省の資料によると、国内の建設現場の約65%は「44休(週休1日以下)」で就業しているとされ、年間実労働時間も建設業は2,056時間(2016年度)と全産業平均より約2割長く働いていることになります。

また、週休2日の確保に向けたアンケートでは、技術者・技能労働者問わず半数以上が「完全週休2日」または「48休」が望ましいと考えていますが、実際は15%程度しか取得できていない状況です。

 

休日の確保、生産性向上となるか?

建設関係団体は、政府の指針を受けて、建設労働者が休日を確保できるように工事の発注者と受注者の連携や、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)の技術活用など、生産性を向上させる工夫を検討していき、適正な工期設定等に取り組んでいくとしています。