人事のことなら、大阪市中央区の安達社会保険労務士事務所にお任せください。

開業20年の豊富な知識と経験

安達社会保険労務士事務所

〒540-0008 大阪市中央区大手前1-7-31 OMMビル15階
京阪・地下鉄天満橋駅より徒歩1分

 

06-6966-4737

営業時間

9:00~17:00(土日祝を除く)

ご相談・お問合せはこちらまで

人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

「36協定届」が新しくなります         
                                                     R3 年 2月

 

◆改正の内容

 2021年4月1日より、36協定届の様式が新しくなります。

改正内容は、大きく2点あります。

① 36協定届における押印・署名の廃止

② 36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設

◆36協定届における押印・署名の廃止

 労働基準法施行規則等の改正により、使用者の押印および署名が不要になりました(記名は必要)。

*36協定と36協定届を兼ねる場合の留意事項

 労使で合意したうえで労使双方の合意がなされたことが明らかとなるような方法(記名押印または署名など)により36協定を締結すること

◆36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設

 労働者代表(事業場における過半数労働組合または過半数代表者)についてチェックボックスが新設されています。

*過半数代表者の選任にあたっての留意事項

 ・管理監督者でないこと

 ・36協定を締結する者を選出することを明らかにしたうえで、投票、挙手等の方法で選出すること

 ・使用者の意向に基づいて選出された者でないこと

◆新旧様式の届出の適用

 2021年3月31日以前であれば、4月1日以降の期間を定める協定であっても、原則、旧様式を用いることになります。しかし、新様式を使用することも可能で、その場合は、協定当事者の適格性にかかるチェックボックスにチェックする必要はありませんが、使用者の記名押印または署名が必要になります。

 なお、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえ、3月31日以前であっても、使用者や労働者の押印または署名がなくても提出することができます。

 また、4月1日の施行日以降であっても、当分の間旧様式を用いることもできます。その際の留意点は次のとおりです。

・旧様式の押印欄を取り消し線で削除する

・協定届・決議届については、旧様式に、協定当事者の適格性にかかるチェックボックスの記載を直接追記する、または同チェックボックスの記載を転機した紙を添付する(チェックボックスにチェックがないと、形式上の要件に適合している協定届・決議届と認められませんので、注意が必要です)

※新様式は以下のURLからダウンロードして使用できます。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/index.html

【厚生労働省リーフレット】

https://www.mhlw.go.jp/content/000708408.pdf

 

3月1日から障害者雇用率が引き上げられます                                                               R3年2月

改正の概要

障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」実現の理念のもと、障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)において、事業主には、障害者雇用率以上の割合で対象障害者を雇用する義務が課されています。この法定の障害者雇用率が、令和3年3月1日から0.1%引き上げられることになりました。

改正の経緯としては、平成30年4月1日施行の改正で、法令上は、2.0%から「2.3%」に引き上げられました。ただし、経過措置として、平成30年4月1日から起算して3年を経過する日より前に廃止することして、当分の間は、「2.2%」とすることとしていました。

この経過措置の廃止の期日が、「令和3年3月1日」とされ、結果的に、同日から法令上の「2.3%」が適用されることになりました。

 

障害者雇用率

事業主(国および地方公共団体を除く)は、その雇用する対象障害者(※)である労働者の数が、その雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数(その数に1人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる)以上であるようにしなければなりません(障害者雇用促進法43条1項)。

※対象障害者とは、身体障害者、知的障害者または精神障害者(精神保健および精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているものに限る)をいいます(障害者雇用促進法37条2項)。

この障害者雇用率が、3月1日から以下のとおりとなります(いずれも同日前より0.1%引上げ)。

・一般事業主(一定の特殊法人を除く)………………………100分の2.3

・一定の特殊法人…………………………………………………100分の2.6

・国・地方公共団体(都道府県等の教育委員会を除く)……100分の2.6

・都道府県等の教育委員会………………………………………100分の2.5

 

障害者雇用率の引上げの影響

障害者雇用率の引上げに伴い、対象障害者を1人以上雇用する義務のある一般事業主(一定の特殊法人を除く)は、常時雇用する労働者の数が43.5人以上の事業主となります(1人÷100分の2.343.47843.5人)。

この事業主には対象障害者の雇用義務のほか、次の義務・努力義務が課せられます。

・毎年、6月1日現在における対象障害者である労働者の雇用に関する状況を、翌月15日までに、管轄公共職業安定所長に報告する義務(障害者雇用促進法43条7項)

・障害者雇用推進者を選任する努力義務(障害者雇用促進法78条)

企業の同一労働同一賃金への対応状況は?                                                             R3年 2月

4月から全面施行「同一労働同一賃金」

パートタイム・有期雇用労働法の施行に伴って、企業には正社員と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消等が求められています。2021年4月から中小企業にも全面的に適用されるこの「同一労働同一賃金」。完全施行を前に準備を進めている企業も多いところです。企業の対応状況はどのようになっているのでしょうか。

「同一労働同一賃金」ルール 認知度は6割

独立行政法人 労働政策研究・研修機構が実施した調査(10 月1日現在の状況について調査。有効回答数(有効回答率) 9,027 社(45.1%))によれば、同一労働同一賃金ルールについて「内容を知っている」との回答が6割超となっています(大企業(常用雇用者 301人以上)で93.6%、中小企業(同 300人以下)で63.3%)。「内容はわからないが、同一労働同一賃金という文言は聞いたことがある」は31.4%(大企業5.2%、中小企業32.6%)となっており、適用前の中小企業ではまだ周知が不十分である状況もわかります。

対応完了は約15

同調査によれば、同一労働同一賃金ルールへの対応(雇用管理の見直し)について、「既に必要な見直しを行った(対応完了)」が14.9%(大企業27.5%、中小企業14.1%)、「現在、必要な見直しを行っている(対応中)」が11.5%(大企業23.9%、中小企業10.8%)、「今後の見直しに向けて検討中(対応予定)」が19.5%(大企業 25.7%、中小企業 19.3%)となっています。約半数が「必要な見直しを行った・行っている、または検討中」である一方、「従来通りで見直しの必要なし(対応完了)」が34.1%(大企業16.5%、中小企業35.1%)、「対応方針は、未定・わからない」が19.4%(大企業6.4%、中小企業20.1%)となっており、まだ手をつけていないという企業も多いようです。

不合理な待遇差禁止義務への対応が4割

対応策にも様々ありますが、本調査では(複数回答)、「左記(正社員と職務・人材活用とも同じ)以外のパート・有期社員の待遇の見直し(不合理な待遇差禁止義務への対応)」が4割を超え(42.9%)、「正社員とパート・有期社員の、職務分離や人材活用の違いの明確化」(19.4%)、「正社員と職務・人材活用とも同じパート・有期社員の待遇の見直し(差別的取扱い禁止義務への対応)」(18.8%)、「就業規則や労使協定の改定」(18.6%)、「労働条件(正社員との待遇差の内容・理由を含む)の明示や説明」(17.0%)、「パート・有期社員の正社員化や正社員転換制度の導入・拡充」(12.8%)、「正社員を含めた待遇の整理や人事制度の改定」(10.7%)、「正社員の待遇の見直し(引下げ等)」(6.1%)等が続いています。

これからという企業も、自社の状況をみながら具体的な対応を検討していきたいところです。

【独立行政法人 労働政策研究・研修機構「『パートタイム・有期契約労働者の雇用状況等に関する調査』結果」PDF

https://www.jil.go.jp/press/documents/20201225.pdf

テレワークではモチベーション低下対策を                                                                  R3 年 2月

テレワーク実施前後のモチベーション変化

 昨今急速に普及したテレワークですが、働く人々のモチベーションにはどのような影響があるのでしょうか。株式会社リクルートキャリアは、コロナ禍でテレワークをするようになった就業者2,272名に、仕事に関するアンケートを実施しました。現在もテレワークを実施している人に働くモチベーションについて聞いたところ、テレワーク実施前では「やや低い」「非常に低い」の回答は14.1%であるのに対して、テレワーク実施後の同指標は22.5%(8.4pt増)でした。つまり、テレワークによってモチベーションが低下した人が増えているのです。

 

モチベーションを左右する要素

 社会組織心理学の第一人者であるハックマンは、取り組むべき仕事が次の5つの要素をどの程度満たしているかによって、人々のモチベーションが左右されるとしています。

 ① 求められるスキルの多様性

 ② 仕事の全体感の把握

 ③ 仕事の重要性の実感

 ④ 仕事の進め方の裁量

 ⑤ 上司や同僚からのフィードバック

 この5つのうち、テレワークによって影響を受けたと感じた人が多かったのが、②仕事の全体感の把握(テレワーク実施前後で20pt減)、③仕事の重要性の実感(同13.2pt減)、⑤上司や同僚からのフィードバック(同15.6pt減)でした。

 

普段以上にコミュニケーションを!

 テレワークによるモチベーション低下を防ぐには、上記②③⑤に働きかけることが有効だと考えられます。アンケートのフリーコメントからは、テレワークにより上司や同僚とのコミュニケーションが減少したことによって、これらの度合いが低くなったと感じている様子が読み取れます。つまり、テレワークでは、普段以上に上司や部下、同僚間のコミュニケーションを密に行うこと、職場の全員がそれを心掛けることが必要です。テレワークを“導入して終わり”にするのではなく、コミュニケーションをとりやすくするための施策(オンラインツールの活用、1on1の実施等)を行うことが成功の鍵といえるでしょう。

 

【株式会社リクルートキャリア「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査」】

https://www.recruitcareer.co.jp/news/20201222_02yga8m.pdf

育児休業中の就労について                                                                                           R3 年 2月

育児休業中に就労することはできるか?

育児・介護休業法上の育児休業は、子の養育を行うために、休業期間中の労務提供を消滅させる制度です。よって、休業期間中に就労することは想定されていません。

しかし、労使の話合いにより、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することができます。ただし、恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることになりません。

 

育児休業中の就労にあたっての留意点

事業主の一方的な指示により就労させることはできませんので、労働者が自ら事業主の求めに応じ、合意することが必要です。また、事業主は、育児休業中に就労しなかったことを理由として、人事考課において不利益な評価をするなど、労働者に不利益な取扱いをしてはなりませんし、上司や同僚からのハラスメントが起きないよう、雇用管理上必要な措置(マタハラについての相談体制の整備、相談が発生したときの適切な対応等)を講ずる必要があります。

 

一時的・臨時的に就労した場合、育児休業給付金は支給されるか?

上記のように、一時的・臨時的にその事業主の下で就労した場合、就労が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば、育児休業給付金は支給されます。

 

一時的・臨時的就労に該当するケース

厚生労働省が公表している「育児休業中の就労について」というリーフレット(令和2年12月)において、一時的・臨時的に就労と該当する例と該当しない例が示されています。

① 労働者の育児休業期間中に、限られた少数の社員にしか情報が共有されていない機密性の高い事項に関わるトラブルが発生したため、当該事項の詳細や経緯を知っている当該労働者に、一時的なトラブル対応を事業主が依頼し、当該労働者が合意した場合。

② 労働者は育児休業の開始当初は全日を休業していたが、一定期間の療養が必要な感染症がまん延したことにより生じた従業員の大幅な欠員状態が短期的に発生し、一時的に当該労働者が得意とする業務を遂行できる者がいなくなったため、テレワークによる一時的な就労を事業主が依頼し、当該労働者が合意した場合など。

 

これらの事例はあくまで一例であり、これらの事例に合致しないケースが一律に一時的・臨時的な就労に該当しないことにはなりません。

また、一時的・臨時的就労と判断されない例として、③労働者が育児休業開始当初より、あらかじめ決められた1日4時間で月20日間勤務する場合や、毎週特定の曜日または時間に勤務する場合、を挙げています。

令和2年「高齢者の雇用状況」~厚生労働省調査より~                                R3 年2月

 

ほぼ100%の企業が「高年齢者雇用確保措置」を講じる

厚生労働省は、高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計した「令和2年「高年齢者の雇用状況」」(6月1日現在)を公表しました。

同調査は、従業員31人以上の企業164,033社の状況をまとめたもので、これによると「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)のある企業は164,033社、99.9%(前年同比0.1ポイント増)でした。

 

定年の引上げ、65歳定年企業が増加

 「高年齢者雇用確保措置」の実施の内訳は以下のとおりです。

・「定年制の廃止」……4,468社、2.7%(変動なし)

・「定年の引上げ」……34,213社、20.9%(同1.5ポ イント増)

・「継続雇用制度の導入」……125,352社、76.4% (同1.5ポイント減)

 定年制度により雇用確保措置を講じるよりも、継続雇用制度の導入によって雇用確保措置を講じている企業が多いのがわかります。また、65歳定年企業は30,250社、18.4%(同1.2ポイント増)となっており、大企業、中小企業ともに増加しています。

 

4月から70歳までの就業機会確保が努力義務に

 同調査では、66歳以上働ける制度のある企業は、54,802社、33.4%(同2.6ポイント増)、また、70歳以上働ける制度のある企業も、51,633社、31.5%(同2.6ポイント増加)となっています。

4月1日からは高年齢者雇用安定法の改正により、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となります。また、2025年4月には、全企業に65歳までの雇用確保が義務付けられます。今後は、66歳以上の従業員が安心して働くことができるよう社内制度を整備し、高齢者雇用にも取り組んでいくことが必要となるでしょう。

【厚生労働省「令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11703000/000715048.pdf