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変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。
R7年5月 マイナ保険証の有効期限をご存知ですか?
R7年5月 業種別カスタマーハラスメント対策が公表されました
R7年5月 職業情報提供サイト(job tag)がリニューアル
R7年5月 厚生労働大臣が定める現物給与の価額が改正されました
R7年5月 厚生労働省が不妊治療と仕事との両立に関する資料を公開
R7年5月 派遣事業報告書は今からチェック
R7年5月 令和7年度の地方労働行政運営方針
R7年5月 育児介護休業法と次世代育成支援対策推進法公表制度改正
◆マイナンバーカードと有効期限
マイナ免許証の交付開始時に、現行システム上の注意点としてマイナンバーカードと運転免許証の更新の順番によっては免許情報の再度の紐付けをしないと免許不携帯になるおそれがあるとの注意喚起がされましたが、マイナ保険証でも有効期限に注意が必要です。
マイナンバーカードの有効期限は、18歳以上が発行の日から10回目の誕生日まで、18歳未満は5回目の誕生日までですが、マイナ保険証利用時等に利用する電子証明書(数字4桁)の有効期限は、全年齢で5回目の誕生日までとされているからです。
つまり、マイナンバーカードは有効期限内であってもマイナ保険証は期限切れ、ということが起こり得るのです。
◆有効期限が切れてしまったら?
マイナンバーカードおよび電子証明書は、有効期限の2~3カ月前を目途に有効期限通知書が送付されてくるので、市区町村窓口で手続きをすれば更新できます。
期限内に手続きができなかった場合、期限切れから3カ月間は引き続きマイナ保険証で受診できます(保険資格情報の提供のみ)。3カ月を過ぎるとマイナ保険証では受診できなくなり、再発行の手続きをしなかった場合、3カ月以内に資格確認書が交付されます。
◆どんな手続きが必要?
マイナンバーカードおよび電子証明書は、上記のとおり、有効期限が近づくと有効期限通知書が送付されてきます。
通知書に交付申請用QRコードがある場合は、スマートフォンで申請の上、市区町村窓口で新しいマイナンバーカードと交換できます。QRコードがない場合は、有効期限通知書に記載された必要書類を持って市区町村窓口で手続きをします。
【マイナンバーカード総合サイト】
https://www.kojinbango-card.go.jp/faq_expiration5/
https://www.kojinbango-card.go.jp/220401_2/
【厚生労働省「マイナ保険証利用時には電子証明書の有効期限をご確認ください!」】
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001459040.pdf
◆カスタマーハラスメントの現状
近年、顧客や取引先からの悪質なクレーム等の著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント。以下、「カスハラ」という)が増加しています。厚生労働省の調査では、カスハラは、セクハラ・マタハラ・パワハラ等の他のハラスメントと比べ、過去3年間で相談のあった企業の件数が最も多く、社会的な問題ととらえられています。
こうした背景を踏まえ、厚生労働省は、令和4年に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を策定し、カスハラ対策に関心を持つ業界団体に向け、対応方針を策定してきました。令和6年度事業では、スーパーマーケット業界について実施し、今年3月に「スーパーマーケット編」の企業マニュアル(以下、「本マニュアル」という)を公表しました。
◆本マニュアルの内容と活用
本マニュアルでは、以下の内容がまとめられています。
・カスハラ対策に取り組む意義
・カスハラの定義・判断基準
・スーパーマーケット業での実態(発生状況、対応状況)
・業界におけるカスハラに対する共通方針(対応方法)
・具体的対策(基本方針、相談対応体制の整備、対応手順、社内教育・研修、従業員への配慮措置、再発防止への取組み 等)
カスハラ対策を企業に義務付ける労働施策総合推進法の改正が閣議決定され、成立は目前です。しかし、他のハラスメントに比べ歴史が浅く、裁判例等の蓄積も十分ではないため、実務のノウハウが未発達です。
企業にとっては、これからの情報収集や具体的な実務対策への取組みが急務となるでしょう。
【厚生労働省「業種別カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル(スーパーマーケット業編)」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11910000/001454169.pdf
◆今年も花粉症シーズンが到来
3月に入ってスギ花粉の飛散がピークを迎えるなど、花粉症シーズン真っただ中です。スギ花粉は2月~4月頃に飛散し、2025年の飛散量は2024年より増える見込みとなっています。社内でも、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった花粉症の症状に悩まされている社員は多いのではないでしょうか。
◆国による取組み
環境省・厚生労働省が作成しているパンフレットでは、花粉を避けるために、顔にフィットするマスク、メガネの装着、花粉飛散の多い時間帯(昼前後と夕方)の外出を避けること、外出を避けるためのテレワークの活用検討を呼びかけています。
政府は、労働生産性の低下にも影響する花粉症予防のための対策として、花粉曝露を軽減する柔軟な働き方等、企業等による従業員の花粉曝露対策を推進する仕組みの整備に取り組んでおり、国民病ともいわれる花粉症への対策は企業としても関心を持ちたいテーマとなっています。
◆企業ができること
経済産業省「健康投資ワーキンググループ」の資料で示された令和5年度の健康経営度調査回答結果によれば、職場における花粉症対策への支援として、「空気清浄機の設置」、「対症療法(服薬など)に対する補助・支援(通院や薬の購入への補助等)」、「花粉症に関するセミナー等教育の実施(薬の飲み方、副作用への理解等)」、「花粉症に合わせた柔軟な働き方(花粉飛散量が多い日の在宅勤務を推奨する等)」が挙がっています。
大規模法人で実施されている例が多いですが、自社において実施可能な対策を検討していくことで社員満足度の向上にもつながることが期待されます。
【環境省・厚生労働省パンフレット「花粉症対策 スギ花粉症について日常生活でできること」】
https://www.env.go.jp/content/000194676.pdf
日本年金機構は、令和7年度から適用となる全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)を公開しました。物価高の影響を踏まえ、食事として支給される現物給与の評価額が引き上げられました。
◆現物給与について
厚生年金保険および健康保険の被保険者が、勤務する事業所より労働の対償として現物で支給されるものがある場合は、その現物を通貨に換算し報酬に合算のうえ、保険料額算定の基礎となる標準報酬月額を求めることになります。現物で支給されるものが、食事や住宅である場合は、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(厚生労働省告示)に定められた額に基づいて通貨に換算します。また、自社製品等その他のもので支給される場合は、原則として時価に換算します。
なお、本社管理(本社と支店等が合わせて1つの適用事業所になっていること)の適用事業所における支店等に勤務する被保険者の現物給与は、平成25年4月1日以降、支店等が所在する都道府県の価額を適用しています。
◆食事で支払われる全国現物給与価額一覧表の抜粋(都道府県により異なる)
・1人1月当たりの食事の額:22,800円~25,200(900円程度増)
・1人1日当たりの食事の額:760円~840円(40円程度増)
・1人1日当たりの朝食のみの額:190円~210円(10円程度増)
・1人1日当たりの昼食のみの額:270円~290円(10円程度増)
・1人1日当たりの夕食のみの額:310円~340円(20円程度増)
改正された現物給与の価額は、標準報酬月額の算定における「固定的賃金の変動」に該当します。「被保険者報酬月額変更届」が必要になる場合がありますのでご注意ください。
【日本年金機構「現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)」】
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150511.html
◆不妊治療をめぐる現状
日本全体の出生数は下がっているなか、不妊の検査や治療を受けるカップルは増加傾向にあり、令和3年(2021年)に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の数は「約4.4組に1組」となっています(厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」)。不妊治療にあたっては女性に大きな負担がかかり、キャリア継続に支障をきたすことは珍しくありません。経営者はじめ社会全体で理解を深め、対策を講じていくことが重要です。
そうしたなか、厚生労働省から、不妊治療と仕事との両立に関する新しい資料として、「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」および「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」の2つが公開されています。
◆「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」
本マニュアルは、以下の構成となっています。
第1章 不妊治療について
第2章 企業における不妊治療と仕事の両立支援に取り組む意義
第3章 不妊治療と仕事との両立支援導入ステップ
第4章 不妊治療と仕事との両立に取り組んでいる企業の事例
第5章 不妊治療と仕事との両立を支援する上でのポイント
第6章 参考情報
不妊についての基礎知識・保険の仕組みや各種データ、企業が対策に取り組む意義および具体的な方法、企業の好事例集などがまとめられています。
◆「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」
本ハンドブックでは、不妊治療に関するデータや職場での配慮のポイント、お役立ち情報などがコンパクトにまとめられています。
上記ハンドブックでは、不妊治療の全体像や企業ができるサポートの概要を知ることができます。その上で、より詳しい情報や具体的な取組みの進め方を知りたい場合、マニュアルを通じて理解を深めることができます。
女性のキャリア中断を防止することは労働者・企業双方にとって重要です。上記資料等は経営者・担当者にとってのヒントになると思われます。また、実際に取り組みを始めたい場合、助成金など各種制度、企業内の制度設計や環境整備、従業員への説明やプライバシーの確保など、悩ましい点も多々出てくるかと思うので、その際はぜひ当事務所にご相談ください。
【厚生労働省「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」】
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30k.pdf
【厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」】
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30l.pdf
派遣事業報告書は、労働者派遣法に基づき派遣元事業主が年1回、提出を義務付けられている法定報告書です。派遣労働者の契約状況・安全衛生管理・キャリアアップ措置の実施状況などを記載します。提出期限は、例年6月末となっていますが、正確な内容で期限内に提出できるよう事前にチェックしておきましょう。
◆提出不備は事業継続にマイナス影響
未提出の場合、罰金や、派遣許可取消・業務停止命令の対象となります。虚偽報告が発覚した場合の信用失墜は取引先離れを招きますし、派遣労働者の方々の生活も脅かします。許可取消処分を受けた事業者の多くが報告書不備を要因としています。
◆事業報告書のポイント
◎2024年様式変更への対応
新様式では欄の配置変更が行われており、旧様式使用は受理されません。都道府県労働局のホームページから最新の様式をダウンロードして使用しましょう。
◎「収支決算書」「関係派遣先割合報告書」にも注意
事業報告書と同時に、3月決算の会社では、労働者派遣事業収支決算書と関係派遣先派遣割合報告書も、同じタイミングで提出期限がきますので注意しましょう。
◎電子申請でも原本保存が必要
電子申請(e-Gov)の場合も原本保存義務が発生するため、データの保存体制の構築が求められます。法令遵守が事業存続の前提条件となっている現代において、報告書管理は経営リスク管理の要です。
なお、2020年改正派遣法施行後は、同一労働同一賃金の実施状況を確認する労使協定の添付が必須(労使協定方式を選択している場合)となり、待遇改善の進捗管理ツールとしての側面も強まっていますが、これに関して、派遣事業報告書に“36協定”を添付して提出してしまう勘違いがよくあるそうです。「労使協定」と聞くと、最初に思い浮かぶのが36協定なのでしょうけれども、注意が必要です。
厚生労働省は4月1日、「令和7年度地方労働行政運営方針」を策定しました。各都道府県労働局においては、この運営方針を踏まえた行政運営方針を策定し、計画的な行政運営を図ることとしています。運営方針には、重点的に取り組むべき施策として、「最低賃金・賃金の引上げに向けた支援、非正規雇用労働者への支援」「リ・スキリング、ジョブ型人事(職務給)の導入、労働移動の円滑化」「人手不足対策」「多様な人材の活躍促進と職場環境改善に向けた取組」が挙げられています。
以下、「多様な人材の活躍促進と職場環境改善に向けた取組」の中にある「フリーランス等の就業環境の整備」について紹介します。
◆現状の課題
フリーランスが安心して働ける環境を整備するため、令和6年11月に施行された特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(「フリーランス法」)の履行確保を図る必要があるとしています。同法は、発注事業者に、①取引条件の明示等を義務付け、報酬の減額などを禁止するとともに、②フリーランスの育児介護等に対する配慮やハラスメント行為に係る相談体制の整備等を義務付けるものです。
また、自らの働き方が労働者に該当する可能性があると考えるフリーランスからの相談にも丁寧に対応する必要があるとしています。
◆取組事項
フリーランスから本法の就業環境の整備違反に関する申出があった場合に、速やかに申出内容を聴取し、発注事業者に対する調査、是正指導等を行うなど、本法の着実な履行確保を図るとするものです。また、フリーランスから委託事業者等との取引上のトラブルについての相談があった際には、引き続き「フリーランス・トラブル110番」(弁護士に無料で相談できる)を紹介するなど適切に対応するとしています。
さらに、全国の監督署に設置されている「労働者性に疑義がある方の労働基準法相談窓口」に申告がなされた場合には、特段の事情がない限り、原則として労働者性の有無を判断し、必要な指導を行うとします。また、被用者保険の更なる適用促進を図るため、監督署において労働基準法上の労働者と判断した事案については、日本年金機構年金事務所および労働局労働保険適用徴収部門への情報提供を徹底するとしています。
【厚生労働省「令和7年度地方労働行政運営方針」の策定について】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56672.html
2024年の通常国会で成立した「育児・介護休業法」と「次世代育成支援対策推進法」の改正法は、2025年4月1日から段階的に施行されています。内容は多岐にわたりますが、ここでは4月1日に施行された企業の公表義務に関する改正をご紹介します。
◆育児・介護休業法―育児休業取得状況の公表義務が300人超の企業に拡大
従来は、従業員数1,000人超の企業に育児休業等の取得状況を公表することが義務付けられていましたが、4月1日から、従業員数300人超の企業に公表が義務付けられることとなりました。
公表内容は、公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度(公表前事業年度)における男性の「育児休業等の取得割合」または「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」のいずれかの割合を指します。
育児休業等とは、育児・介護休業法に規定する以下の休業のことです。
・育児休業(産後パパ育休を含む)
・法第23条第2項(3歳未満の子を育てる労働者について所定労働時間の短縮措置を講じない場合の代替措置義務)または第24条第1項(小学校就学前の子を育てる労働者に関する努力義務)の規定に基づく措置として育児休業に関する制度に準ずる措置を講じた場合は、その措置に基づく休業
◆次世代育成支援対策推進法―行動計画策定・変更時に育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定の義務付け
従業員数100人超の企業が4月1日以降に行動計画を策定または変更する場合には、次のことが義務付けられます(従業員数100人以下の企業は、努力義務の対象です)。
・計画策定時の育児休業取得状況(男性労働者の「育児休業等取得率」または男性労働者の「育児休業等および育児目的休暇の取得率」)や労働時間の状況(フルタイム労働者1人当たりの各月ごとの法定時間外労働および法定休日労働の合計時間等の労働時間(高度プロフェッショナル制度の適用を受ける労働者にあたっては、健康管理時間))の把握等(PDCAサイクルの実施)
・育児休業取得状況や労働時間の状況に関する数値目標の設定
【厚生労働省「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法の2024(令和6)年改正ポイント」】
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/point02.html