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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

今年度の被扶養者資格再確認における「年収(130万円)の壁」対応                          R5年12月           

「被扶養者資格再確認」とは?

 健康保険の被扶養者は、法令で毎年一定の期日を定め確認することとされています。協会けんぽ加入事業者には、令和5年度分の書類が、令和5年10月下旬から11月上旬にかけて順次発送されます。

 

提出期限までに事業者がすべきことは?

 提出期限は、令和5年12月8日(金)です。期限までに、自社の被保険者に対して、令和5年9月16日現在の被扶養者(4月1日時点で18歳未満の方、4月1日以降に被扶養者になった方、任意継続被保険者の被扶養者は対象外)について、文書等により被扶養者の要件を満たしているかを確認し、被扶養者状況リストに結果を記入します。

別居している被扶養者、海外に在住している被扶養者については厳格な方法による再確認が必要となるため、協会けんぽから送られてくる被扶養者状況リストに同封の被扶養者現況申立書を記入し、確認書類とともに提出します。

 

「年収(130万円)の壁」対応の内容は?

 政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」により、年収が130万円以上であっても人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入増加である場合、その旨の事業主証明を添付することで、迅速な被扶養者認定を可能とする方針が示されました。

 そのため、上記に該当することが確認できた場合は、被扶養者状況リストの「変更なし」にチェックをしたうえで、「一時的な収入変動」に係る事業主証明と併せて提出します。所得証明書等を提出する必要はありません。

 なお、収入増加の理由が人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入増加でない場合は、事業主証明の提出は不要です。

 

【全国健康保険協会「事業主・加入者のみなさまへ「令和5年度被扶養者資格再確認の実施方法等について」(令和5年11月9日更新)」】

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat590/info231023/

 

「人事制度や雇用慣行を変える必要性がある」と感じている企業は61.5~リクルート「企業の人材マネジメントに関する調査 2023 人事制度/人事課題 編」より                     R5年12月

 デジタルテクノロジーの発展や、消費者ニーズの多様化、また予期せぬパンデミックの発生等で、ビジネスを取り巻く環境は、とてつもないスピードで変化しています。株式会社リクルートが人事制度や人材の活用をテーマとしたアンケート調査を人事担当者向けに実施し、その結果が公表されました。従業員規模30人以上の企業に勤める2,761人が集計対象となっています。

 

調査結果のポイント

○「事業戦略やビジネスモデルを変化させる必要性を感じている」…60.0

○「3年前と比較して人事管理や人材活用の難易度が高まったと感じている」…34.6

○「人事制度や雇用慣行を変える必要性を感じている」…61.5

 その理由として、①既存従業員のモチベーションを高めるため(57.7%)、②組織の多様性を高めるため(41.0%)、③採用市場で自社が必要とする人材の確保が難しいため(40.6%)と回答しています。

○「環境変化に応じて人事制度や雇用慣行の適応ができている」…42.8

と回答した企業は、「従業員規模1,000人以上、グローバルでもビジネス展開、設立20年以内」の割合が5割以上でした。

 

現在、人事課題だと感じているもの

 具体的に、企業の人事担当者が「現在、人事課題だと感じているもの」を聞いたところ、「次世代リーダーの育成(37.6%)」、「従業員のモチベーション維持・向上(35.0%)」、「管理職のマネジメントスキル向上(31.0%)」が上位に並びました。

 ほかにも、「中途採用・キャリア採用の強化(26.9%)」、「若手社員の定着率向上(25.2%)」など、人材確保につながる項目が選択されることからも、深刻化する人手不足への課題が見えてきます。

ビジネス環境にも、自社にも合った人事制度の見直し・検討・運用が期待されます。

【株式会社リクルート「企業の人材マネジメントに関する調査 2023~人事制度/人事課題編」】

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20231101_hr_01.pdf

 

 

50人の壁」とメンタルヘルス不調者の増加~帝国データバンクの調査結果から              R5年 12月

50人の壁」とは

50人の壁」とは、社員数が50人を超えると発生する経営課題のことを指しています。マネジメントを行うために社長のほか複数の管理職が必要となり、人事制度も複雑化するので管理レベルも高まるタイミングです。また、社員数が増えることで、情報共有や意思疎通が難しくなるため、組織内のコミュニケーションの質が低下するともされています。

この50人の壁と符合するように、メンタルヘルス不調者の割合が高まってくるようです。

 

メンタルヘルス不調者がいる企業は社員数50人超で大きく増加

帝国データバンクが行った「健康経営への取り組みに対する企業の意識調査」では、過去1年間で「過重労働時間となる労働者」や「メンタルヘルスが不調となる労働者」がいるかどうかを尋ねたところ、次のような結果が出ています。この調査の有効回答企業数は11,039社ですので、わが国での一般的な傾向と考えられます。

<社員数とメンタルヘルス不調者がいる割合(%)>

・5人以下…………… 5.0

・6人~20人…………10.8

21人~ 50人………19.5

51人~ 100……31.6%★

101人~300……45.5

301人~1,00059.0

1,000人超…………62.0

(全体集計では、21.0%[5社に1社]が「いる」と回答)

このように、規模が大きな会社ほど割合が高まっており、50人を超えたところで全体での数値を超えている状況がわかります。

会社が大きく成長するほど、人事労務管理の重要性も高まってきます。メンタルヘルス不調を防止するためには、定期健康診断の確実な実施、職場の喫煙対策、労働時間管理や仕事の進め方の見直しなどによる労働密度の適正化などが重要ですので、今一度、自社の状況を見直してみましょう。

【帝国データバンク「健康経営への取り組みに対する企業の意識調査」】

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p231011.pdf

 

 

 

 退職代行サービスの利用率は2%~『エン転職』アンケートより                                         R5年12月

エン・ジャパン株式会社が運営する総合求人サイト『エン転職』上で、ユーザーを対象に「退職代行」について実施したアンケートの結果が公表されましたので、ご紹介します。

 

認知度

「退職代行」とは、労働者本人に代わって、代行業者や弁護士が会社に退職の意思を伝えるサービスです。「退職代行というサービスを知っていますか?」と伺うと、72%が「知っている」と回答しました。年代別でみると、40代以上の認知度が64%に対し、20代は83%と、19ポイントの差がありました。

 

利用率

「退職代行サービスを利用したことがありますか?」と伺うと、93%が「ない」と回答。利用経験のない方に理由を伺うと「退職意向は自分で会社に言うべきだと思うから」(44%)が最多でした。一方で、「ある」は全体の2%。利用の理由トップは「退職を言い出しにくかったから」(50%)で、特に20代の回答が目立ちました。30代、40代のトップは「すぐに退職したかったから」(30代:52%、40代以上:45%)でした。

 

退職代行を利用しない条件

 退職代行サービスを利用したことがある方に「どのような環境や条件があれば、退職代行を利用しなかったと思いますか?」と伺うと、第1位は「上司が話しやすい」(60%)、次いで「職場の人間関係がよい」(56%)、「退職意向をきちんと認めてくれる風土がある」(42%)が続きました。

 

今後、退職代行を利用するか

 「今後、退職代行を利用したいですか?」と伺うと、「今後、使いたいとは思わない」が31%に対して、「今後、状況によっては使うかもしれない」が42%となりました。

【エン・ジャパン株式会社「7,700人に聞いた「退職代行」実態調査~「エン転職」ユーザーアンケートより】

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/34896.html

 

 

 

新規学卒就職者の離職状況~令和2年3月卒業者への厚労省調査などから              R5年12月          

3年以内の離職率 新規高卒就職者37.0%、新規大卒就職者32.3

人手不足の中、新卒入社の社員など若手の離職率は気になるところです。

厚生労働省は、令和2年3月卒業の新規学卒就職者の離職状況を取りまとめて公表しています。調査によれば、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%(前年度比1.1ポイント上昇)、新規大学卒就職者が32.3%(同0.8ポイント上昇)となっています。

 

事業所規模別、産業別の離職率

また、事業所規模別でみると、1,000人以上で高卒者26.6%、大卒者26.1%と3割を切るのに対し、5人未満で高卒者60.7%、大卒者54.1%、5~29人で高卒者51.3%、大卒者49.6%など、規模別の差が大きいことがわかります。

産業別では、宿泊業、飲食サービス業(大卒51.4%)、生活関連サービス業、娯楽業(同48.0%)、教育、学習支援業(同46.0%)、医療、福祉(同38.8%)、小売業(同38.5%)などで離職率の高さが目立っています。

人材の流出を防ぐために

株式会社リクルートマネジメントソリューションズによる「新人・若手の早期離職に関する実態調査」によれば、入社3年目以下社員の退職理由は、「労働環境・条件がよくない」(25.0%)、「給与水準に満足できない」(18.4%)、「職場の人間関係がよくない、合わない」「上司と合わない」「希望する働き方ができない」(14.5%)が挙がっています。

企業にとってはすぐに対応が難しい課題もありますが、人手不足の中で各社様々な工夫を始めている現状を踏まえ、自社でも人材の流出を防ぐための施策を検討したいところです。

【厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001158687.pdf

【リクルートマネジメントソリューションズ「新人・若手の早期離職に関する実態調査」】

https://www.recruit-ms.co.jp/upd/newsrelease/2311071355_6509.pdf

 

性同一性障害、性別変更要件に違憲判決                                      R5年12月           

最高裁の違憲判断

 性同一性障害の人の性別変更をめぐり、最高裁は1025日、生殖能力をなくす手術を義務付ける性同一性障害特例法の規定について、憲法13条に違反し無効であるとの判断を示しました。

 今回の裁判は、トランスジェンダーの女性が手術なしでの性別変更を認めるよう申し立てたものです。手術は身体的苦痛等が伴うものであり、特例法により「手術をするか、性別を変更するか」という選択を強いられることが、個人の尊重や法の下の平等などを保障した憲法に違反すると訴えていました。

 今回の決定により、2019年に合憲とした最高裁判断は変更され、国は特例法の見直しを迫られることになりました。

 

性同一性障害や多様な家族の在り方への社会的理解

近年、多くの自治体でパートナーシップ制度(婚姻していない2人が生活上のパートナーであることを届け出ることにより、ともに生活をするパートナーであることを証明する制度)が設けられています。当初は同性カップルを念頭に置いた制度でしたが、現在では異性カップルも対象とするのが一般的になり、性同一性障害の人たちの利用も考慮されています。さらには、子または親など近親者を対象に含める事例(ファミリーシップ制度)などもあり、多様な家族の在り方に関する社会的状況は大きく変化しています。

それぞれの職場においても、性同一性障害を含む性的マイノリティの人たちの権利について、理解を深めることが望ましいといえるでしょう。

 

 

「リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドライン」が策定されました            R5年12月

厚生労働省は、1017日、事業者、労働者、産業医、健康診断実施機関および健康診断の実施に関わる医師等に、リスクアセスメント対象物健康診断の趣旨・目的を正しく理解し、その適切な実施が図られるよう、基本的な考え方と留意すべき事項を示した「リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドライン」を策定し、公表しました。

 

「リスクアセスメント対象物健康診断」とは?

事業者による自律的な化学物質管理の一環として、労働安全衛生規則の改正により設けられたものです(令和6年4月1日施行)。この健康診断は、リスクアセスメント対象物を製造し、または取り扱う業務に従事する労働者を対象とする新たな健康診断です。

 

概 要

事業者は、リスクアセスメント対象物による健康障害の防止のため、リスクアセスメントの結果に基づき、関係労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師または歯科医師(医師等)が必要と認める項目について、医師等による健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を講じなければなりません(義務)。

また、事業者は、一定の業務に従事する労働者が、濃度基準値を超えてリスクアセスメント対象物にばく露したおそれがあるときは、速やかに、医師等が必要と認める項目について、医師等による健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を講じなければなりません。

例えば、①漏洩事故等により、濃度基準値がある物質に大量ばく露した場合や、②呼吸域の濃度が、濃度基準値を超えていることから、工学的措置の実施または呼吸用保護具の使用等の対策を講じる必要があるにも関わらず、必要な呼吸用保護具を使用していないことが判明した場合などに該当する状況が生じた場合などで、労働者が濃度基準値を超えてばく露したおそれがあることから、速やかにリスクアセスメント対象物健康診断を実施する必要があるとしています。

 

健康診断の費用負担

リスクアセスメント対象物健康診断は、業務による健康障害発生リスクがある労働者に対して実施するものであることから、その費用は事業者が負担しなければならないとしています。派遣労働者については、派遣先事業者が費用を負担することになります。

【厚生労働省「リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドラインの策定について」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35778.html

 

 

 12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です                                                              R5年12月           

厚生労働省は、毎年12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメントのない職場づくりを推進するため、集中的な広報・啓発活動を実施しています。

 ハラスメントとは、相手の意に反した言動等により相手に不快を与える嫌がらせ行為をいいます。性的な嫌がらせ行為であるセクシュアルハラスメント、職場での優位性をふりかざすパワーハラスメントのほか、妊娠や出産に関するマタニティハラスメント等、様々なハラスメントがあります。

職場のハラスメントは、企業にとっても職場秩序の乱れや貴重な人材の損失、社会的評価にも悪影響を与えるなど大きな問題となりかねません。また、職場内でのハラスメントだけでなく、就職活動中の学生などの求職者やインターンシップ、教育実習生などへのハラスメントなどにも積極的に取り組むことが望まれます。

 

職場のパワーハラスメントとは

令和4年4月から、パワハラ防止措置がすべての企業で義務化されました。

職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素をすべて満たすものをいいます。

 

職場のセクシュアルハラスメントとは

職場におけるセクシュアルハラスメントとは、「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。「職場」とは、労働者が通常働いているところはもちろん、出張先や実質的に職務の延長と考えられるような宴会なども職場に該当します。また、「労働者」とは、正社員だけではなく、契約社員、パートタイム労働者など、契約期間や労働時間にかかわらず、事業主が雇用するすべての労働者をいいます。

12月は忘年会のシーズンでもありますが、飲み会が職場と見なされるケースもあります。

日頃から自らの言動に注意するとともに、上司・管理職の立場の方は、部下の言動にも気を配り、セクシュアルハラスメントの背景となり得る言動についても配慮することが大切です。

職場における各種ハラスメント防止対策の実施や相談窓口の設置など、社内での体制づくりを行い、明るい職場環境づくりに取り組みましょう。

【厚生労働省「あかるい職場応援団」】

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

 

 

 

年次有給休暇の取得が過去最高に ~厚労省「令和5年度就労条件総合調査」                            R5年12月           

年次有給休暇の取得率が初の6割超え

厚生労働省の令和5年「就労条件総合調査」結果によると、令和4年の年次有給休暇の付与日数の平均は17.6日(前年調査17.6日)、実際に取得した日数は10.9日(同10.3日)で、平均取得率は62.1%(前年比3.8ポイント増)と初めて6割を超え、昭和59年以降では過去最高となりました。

産業別にみると、郵便局、農業協同組合等の「複合サービス事業」が74.8%と最も高く、「宿泊業、飲食サービス業」が 49.1%と最も低くなりました。

政府は、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和3年7月30日閣議決定)において、令和7年までに年次有給休暇取得率を70%以上とすることを目標に掲げています。

 

有給休暇の取得率を上げるためには?

厚生労働省は、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」として、年次有給休暇を取得しやすい環境整備を推進するための集中的な広報を行っています。今年は、リーフレットにて「年次有給休暇の計画的付与制度」の導入、年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式の活用方法について紹介しました。

平成31年4月に年次有給休暇の年5日取得義務が施行されて以来、年次有給休暇の取得率は過去最高となりましたが、政府の目標の70%には及ばない状況です。年次有給休暇の取得率を上げるにはどのような取組みが必要なのか、取得のすすまない企業は厚生労働省の年次有給休暇取得促進特設サイト等を参考にしながら検討する必要があるでしょう。

【厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」】

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/index.html

【厚生労働省リーフレット「10月は「年次有給休暇取得促進期間」です。」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11911000/001150923.pdf

【厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト内「年次有給休暇取得促進特設サイト」】

https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/