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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

技能実習制度を廃止すべきとの中間報告書のたたき台が示されました                         R5年5月           

技能実習制度・特定技能制度のあり方を検討

 現行の技能実習法等において、施行から一定期間経過後に法律の規定について検討を加えると規定されているのを踏まえ、令和4年12月から有識者会議にて議論が行われてきました。

 4月10日、中間報告書のたたき台がまとめられ、「技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべ・きである」と示されました。

 

新たな制度はどんな制度?

 検討の基本的な考え方として、(1)制度目的と実態を踏まえた制度の在り方(技能実習)、(2)外国人が成長しつつ、中長期に活躍できる制度(キャリアパス)の構築、(3)受入れ見込数の設定等のあり方、(4)転籍のあり方(技能実習)、(5)管理監督や支援体制のあり方、(6)外国人の日本語能力向上に向けた取組み、の6項目が挙げられています。

 

具体的にどう変わる?

 上記6項目のうち、例えば(2)は「外国人がキャリアアップしつつ我が国で修得した技能等をさらにいかすことができる制度とする」、また(4)は「人材育成に由来する転籍制限は、限定的に残しつつも、制度目的に人材確保を位置づけることから、制度趣旨と外国人の保護の観点から、従来より緩和する」とされ、最終報告書までにさらに議論されます。

 

管理監督や支援体制のあり方等も議論の対象

 監理団体や登録支援機関の要件厳格化や悪質な送出機関の排除等に向けた取組み強化のほか、来日前外国人の日本語能力向上(コスト負担の在り方を含む)等も議論の対象となっています。

【出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第5回)」】

https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/03_00063.html

 

令和5年度 労働保険の年度更新の注意点 ~例年の算定方法と異なります                                 R5年5月

労働保険の年度更新とは

労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(保険年度)を単位として計算されることになっており、その額はすべての労働者(雇用保険については、被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定することになっています。

労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算することになっているため、事業主は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。これが「年度更新」の手続きです。

この手続きは、毎年6月1日~7月10日に行わなければなりません。

 

令和5年度の注意点

令和4年度の雇用保険率が年度の途中で変更になったため、令和4年度確定保険料の算定において、一元適用事業および二元適用事業(雇用保険)の場合は、保険料算定基礎額と保険料額を労災保険分と雇用保険分ごとに、前期(令和4年4月1日~同年9月30日)と後期(令和4年10月1日~令和5年3月31日)に分けて算出する必要があります。

これに伴い、令和5年度の年度更新について、年度更新申告書と確定保険料一般拠出金算定基礎賃金集計表の様式が変更されているので、注意が必要です。

 なお、二元適用事業(労災保険)の場合は、令和4年度の確定保険料の算定方法は例年と変更ありません。

 また、一般拠出金および特別加入保険料の算定方法についても例年と変更ありません。

【厚生労働省「労働保険年度更新に係るお知らせ」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html

 

「シフト制勤務」で働く非正規労働者の働き方の実態と課題                                        R5年 5月

「シフト制勤務」で働く非正規労働者の働き方の実態と課題

 シフト制勤務者の雇用管理と働き方の実態を調査

独立行政法人労働政策研究・研修機構が3月31日、「シフト制勤務」で働く非正規労働者の実態等に関する調査結果」を公表しました(実査期間2021年9月10日~16日)。この結果から言えることをご紹介します。

※この調査でいう非正規労働者(日雇いを除く)とは、いわゆるシフト制勤務者とオンコール勤務者を合わせた「シフト制勤務群」、固定した勤務日と勤務時間が決められている固定勤務者、交代制勤務者です。

 

労働条件の通知状況

勤め先で働き始めるにあたっての労働条件の明示状況について、シフト制勤務群については次のようになっています(複数回答)。

・書面での交付…59.5

FAX・メール等での明示…3.7

・口頭での説明…25.4

・一切受けていない…20.6

シフト勤務群については固定勤務者や交代制勤務者の場合に比較して、口頭での説明や一切説明を受けていないという割合が高く、その分、書面での交付割合が少なくなっています(固定:70.2%、交代制:68.4%)。

労働条件をめぐるトラブルを防ぐには、労働条件を書面で明示するほか、法律や就業規則を周知することも重要です。機会をとらえて実施していきましょう。

 

コミュニケーション不足はトラブルのもと

同調査では、シフト制(交代制を含む)という働き方をより良いものにするために改善して欲しいことについても尋ねています。

「特にない」という回答も多い一方、「具体的な勤務日等(シフト等)をある程度の余裕をもって示してほしい」「具体的な勤務日等(シフト等)の決定にあたっては、労働者の希望を十分踏まえてほしい」といった、会社とのコミュニケーション不足がうかがわれる回答が目立っています。

職場のコミュニケーション不足は、職場に対する安心感や信頼感を不足させ、認識の行き違いからハラスメント問題が発生しやすくなるなど、トラブルの温床を作り出すことになります。積極的に労働者の希望を聞くなどの対応が必要でしょう。

【独立行政法人労働政策研究・研修機構「「シフト制勤務」で働く非正規労働者の実態等に関する調査結果」】

https://www.jil.go.jp/institute/research/2023/227.html

 

 

「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」が見直されました                                                      R5年5月

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(厚生労働省サイト)から、「労働者の疲労蓄積度チェックリスト(2023年改正版)労働者用・家族用」の「チェックリスト」、「活用ガイド・調査研究報告書」が公表されました。

労働安全衛生法において規定している医師による面接指導については、労働安全衛生規則において、「休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月あたり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であること」と要件を規定しています。この疲労の蓄積の状況を確認するため、「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」および「家族による労働者の疲労蓄積度チェックリスト」(平成16年6月公表。以下「労働者チェックリスト等」といいます。)が中央労働災害防止協会により作成され、広く活用されています。

しかし、作成から15年以上が経過し、働き方改革の推進など働く人々を取り巻く情勢も大きく変化してきたことから、このたび、中央労働災害防止協会において、有識者による検討によりその内容が見直されました。最新の知見等を踏まえ、労働者チェックリスト等について新たに項目の追加等の見直しが行われ、食欲、睡眠、勤務間インターバルに関する項目を追加する等の改正が行われました。

改正後の労働者チェックリスト等は下記をご参照ください。従業員のメンタルヘルス、労働災害防止のためにご活用をおすすめします。

【中央労働災害防止協会「労働者の疲労蓄積度チェックリスト(2023年改正版)労働者用・家族用」】

https://www.jaish.gr.jp/td_chk/tdchk_menu.html

【同「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)[本人用・家族用]活用ガイド」】

https://www.jisha.or.jp/research/pdf/202304_02.pdf

【同「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストの見直しに関する調査研究 報告書」】

https://www.jisha.or.jp/research/pdf/202304_01.pdf

 

 

企業のリスキリングに関する取組みと人材育成の方向性                                                  R5年5月          

リスキリングに取り組むビジネスパーソンは約7割、企業は3割以下

現在政府は、DX化の推進を目的として「リスキリング」の施策に取り組んでいます。テクノロジーの発展等によりビジネスモデルが変化する中、企業としても社員の人材育成はますます重要なテーマとなっています。

株式会社ビズリーチが、同社が運営する転職サイト「ビズリーチ」の会員と企業の経営層・採用担当者を対象に実施した調査によれば、67.6%のビジネスパーソンがリスキリングに取り組んでいると示されています。その一方で、現在リスキリングに取り組んでいると回答した企業は26.3%となっています。

 

9割以上の人が将来的なリスキリングの必要性を感じている

同調査によれば、9割以上のビジネスパーソンが、将来的に新たなスキルを見つける必要があると回答しています。調査対象については、属性を踏まえると、自分の市場価値を上げたいと考える層が比較的多い傾向にあると思われますが、昨今、リスクキリングやリカレントなど、以前より「自分のスキルを向上させたい、そのために学び直しをしたい」というビジネスパーソンは増加していると考えられます。

 

企業の取組みはこれから

上記の調査からもわかるように、ビジネスパーソンのリスキリングへの意欲に比べて、企業側の取組みはまだ進んでいないようです。

日本商工会議所・東京商工会議所が全国の中小企業6,013社を対象に実施した「最低賃金および中小企業の賃金・雇用に関する調査」(回答率:55.0%)によれば、企業が実施している人材育成・研修としては、業務遂行に必要な人材育成・研修に関する回答が多く、新たな知識・技術の習得に向けた人材育成・研修について取り組んでいる企業はまだ少ないことが示されています。現在のリスキリングや人材育成の取組みが、新技術等への対応を踏まえたものであることを考えると、今後は企業としても、自社の経営環境を踏まえ、人材育成に対する新しい取組みを検討していきたいところです。

【株式会社ビズリーチ プレスリリース 2023年4月4日】

https://www.bizreach.co.jp/pressroom/pressrelease/2023/0404.html

【日本・東京商工会議所「最低賃金および中小企業の賃金・雇用に関する調査」】

https://www.jcci.or.jp/20230328_survey_release.pdf

 

 

 

令和6年4月から労働条件明示ルールが改正されます                                                          R5年5月           

労働条件明示事項が追加に

 労働基準法施行規則等の改正により、令和6年4月から労働条件明示のルールが変わります。具体的には、労働契約の締結・更新のタイミングの労働条件明示事項が追加されます。明示が必要なタイミングごとに、新しく追加される明示事項を見てみましょう。

1 すべての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時

 →明示事項①:就業場所・業務の変更の範囲

2 有期労働契約の締結時と更新時

 →明示事項②:更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内

 容

 ※あわせて、最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ説明することが必要になります。

3 無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時

 →明示事項③:無期転換申込機会、明示事項④:無期転換後の労働条件

 ※あわせて、無期転換後の労働条件を決定するにあたって、就業の実態に応じて、正社員等とのバランスを考慮した事項について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならないこととなります。

 

労働条件通知書を見直しましょう

 上記1については、すべての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、「雇入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、これらの「変更の範囲」についても明示が必要になります。改正に適応した労働条件通知書となるよう、書式を見直しましょう。また、有期契約労働者については、上記2・3に基づき、会社の方針を踏まえしっかりと説明する必要があることに注意しましょう。労働条件通知書の見直しについては、弊所へご相談ください。

【厚生労働省「労働条件明示改正リーフレット」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001080267.pdf

 

健康診断にプラス! 「がん検診」の受診勧奨で従業員を守る!                  R5年5月

ぜひ「がん検診の受診の啓発」を!

 健康診断を実施する企業も多い春先のこの時期、従業員に「がん検診」をあわせて受診するよう勧める取組みを行ってみませんか。

 会社での健康診断は、一般にがんの発見を目的としたものではありません。会社の健康診断の目的は、大きく分けて、業務内容に関連して注意すべき病気の有無をチェックすることと、生活習慣病の予防を行うことです。つまり、会社の健康診断で問題なしとの結果が出たとしても、がんの心配がないわけではないのです。

 がんに罹患する方の3人に1人は、2064歳の働き世代です。医療技術の進歩により、がんの治療をしながら働き続ける方も増えており、企業も積極的に「がん対策」に取り組むことが望まれています。その取組みの1つとして行いたいのが、「がん検診の受診の啓発」です。

 

受診啓発のための取組み

 具体的には、企業が行っている健康診断にがん検診を取り入れたり、健康診断とは別にがん検診を受診するようすすめたり、がん検診の効果についての情報を提供したりして、受診率の向上につなげます。安心してがん検診を受けてもらうためには、精密検査が必要となった場合の受診のフォローについての体制を整備し、周知することも大切です。

 

受診啓発が受診率を高め、従業員を守る

 受診率を高めるため、がん検診の費用を企業が負担するといったところも出てきています。しかし、特に中小企業では、そこまではなかなかやれないというところも多いかもしれません。

この点、先行事例が集積されるなかで、受診率向上のために有効なのは、実は受診勧奨の取組みである、ということがわかってきました。予算がなく、費用の負担までは難しいという企業でも、別の対策で、十分受診率を向上させられる可能性があります。

早期発見・早期治療できれば、がんは決して怖い病気ではありません。従業員の健康を守るため、ぜひがん検診の受診勧奨の取組みを始めましょう。

 

 

「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」が改正されました                       R5年 5月

事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部が改正され、令和5年4月1日から施行となっています。厚生労働省からは、通達「「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部を改正する件」の周知について(令和5年3月31日基発0331第1号)」が公表されています。

 

指針について

この指針は、労働安全衛生法の規定に基づき、事業者が講ずるよう努めるべき労働者の健康の保持増進のための措置が適切かつ有効に実施されるよう、当該措置の原則的な実施方法について定めたものです。

 

改正の理由

①加齢に伴う筋力や認知機能等の低下が転倒等の労働災害リスクにつながること等を踏まえ、労働者の健康状況の継続的な把握等、労働者の高齢化を見据えた取組みについて明確化するため、また、②40歳未満の労働者について、事業者と医療保険者が連携して健康保持増進対策をより効果的に推進できるようにするための改正です。

 

改正の内容

筋力や認知機能等の低下に伴う転倒等の労働災害を防止するため、体力の状況を客観的に把握し、自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、「転倒等のリスクを確認する身体機能セルフチェック」「加齢による心身の衰えを確認するフレイルチェック」、「移動機能を確認するロコモ度テスト」等を実施することが考えられる旨、規定されました。

また、健康保持増進対策の考え方として、事業者は医療保険者と連携したコラボヘルスの推進に積極的に取り組んでいく必要があること、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の結果の記録等を積極的に医療保険者と共有すること、および当該記録等は電磁的な方法で保存および管理させることが適切であることを明確化しました。

【厚生労働省「「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部を改正する件」の周知について(令和5年3月31日基発0331第1号)」】

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230331K0260.pdf