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変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。
R6年9月 就活中の学生88%「企業のSNSで入社意欲増した」回答
R6年9月 令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況
R6年9月 仕事より余暇を重視する割合が年々増加
R6年9月 最低賃金をめぐる動向等
R6年9月 解雇等無効判決後、職場復帰する労働者はどのくらい?
R6年9月 賃金不払が疑われる事業場へ監督指導結果(令和5年)
R6年9月 令和7年4月施行「65歳まで雇用確保義務化」認知度は?
R6年9月 男性育休初の30%超え~「令和5年度雇用均等基本調査」より
SNS採用マーケティング「エアリク」を運営する、株式会社リソースクリエイションは、2025年卒業予定の就職活動中の学生575名を対象に、「SNS就活についての実態調査」を実施しました。その概要を紹介します。
◆選考に進む上で最も重要視することは「会社の雰囲気」
「選考に進むうえで、何を最重要視するか」という質問に対し、63.3%が「会社の雰囲気」と回答しています。「企業理念」(11.0%)や「給与」(6.8%)と圧倒的な差がつきました。
◆企業のSNSアカウントは必要
「企業のSNSアカウントは必要だと思うか」という質問に対しては、89%が「必要」と回答しています。その理由として、
・ホームページや文などでは伝わらない会社の雰囲気を知ることができるため
・SNSはより手軽に欲しい情報を入手することができるため
・社風が強く出るものであると考えているから
・企業理解が深まったり、オープンにしていることから、信頼感が周りに比べて高くなると感じるため
などがあげられています。
◆企業のSNSを見て入社意欲が増した学生は88%
「就職活動中、企業アカウントを見て入社意欲はどのように変化したか」という質問に対し、88%が「増した」と回答しています。企業のありのままの雰囲気が伝わると親近感がわき、入社意欲が高まる効果が期待できそうです。
◆就活生の約半数がSNSきっかけで企業選考を受けたことがある
「SNSがきっかけで企業の選考を受けたことがあるか」という質問に対しては、約半数(49%)が「ある」と回答しました。
学生にとって身近なSNSは、就職活動という場面でも当たり前に使用するものとなっています。企業が学生のアカウントを確認するように、企業もしっかり見られているのです。企業もSNS発信には本格的に力を入れる必要があるでしょう。
【株式会社リソースクリエイション「SNS就活についての実態調査」】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000087010.html
厚生労働省が7月12日、「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主間における労働条件や職場環境に関するトラブルを未然に防止し、迅速に解決を図るための制度で、「総合労働相談」(都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など379カ所(令和6年4月1日現在)に総合労働相談コーナーを設置し、専門の相談員が対応)、都道府県労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。
◆総合労働相談件数は4年連続で120万件超
公表内容によれば、総合労働相談件数は121万400件で、4年連続で120万件を超え、高止まりの状況です。内訳としては、「法制度の問い合わせ」が83万4,816件、「労働基準法等の違反の疑いがあるもの」が19万2,972件、「民事上の個別労働関係紛争相談」が26万6,160件となっています。
また、助言・指導申出は8,346件(前年度比4.5%増)、あっせん申請は3,687件(同5.6%増)となっています。
◆いじめ・嫌がらせの相談が最多
相談内容等の内訳を見ると、民事上の個別労働関係紛争相談では「いじめ・嫌がらせ」が12年連続最多で60,113件となっており、「自己都合退職」(42,472件)、「解雇」(32,943件)と続いています。パワハラ防止法の全面施行に伴い、この数に同法に規定するパワハラに関する相談は含まれていませんが(「総合労働相談」のうち「法制度の問い合わせ」や「労働基準法等の違反の疑いがあるもの」として計上されるため)、パワハラに限らず、「いじめ・嫌がらせ」については企業の労使紛争のリスクにおいて大きい課題であることがわかります。企業として対策と対応を検討していきたいところです。
【厚生労働省「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します】
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001275308.pdf
◆「仕事より余暇を重視」する傾向
日本生産性本部が「レジャー白書2024」(速報版)を公表しました。これは、余暇活動に関する個人の意識や参加実態に関するアンケート調査の結果をまとめたものです。この調査により、仕事よりも余暇を重視する人々の割合が年々増加していることが明らかになりました。特に「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」と回答した人の割合が2021年以降増加しており、2023年には回答者の34.1%がこのように答えています。
この傾向は、働き方やライフスタイルの変化を反映しています。コロナ禍を経て、多くの人々が自分の時間を大切にし、家族や友人との時間、趣味やリラクゼーションの時間をより重視するようになったといえるでしょう。
◆企業に求められる対応
企業には、上記のような働く人の意識の変化に対応することが求められます。すなわち、従業員のワークライフバランスを尊重し、柔軟な働き方を推進することで、従業員の満足度や生産性の向上が期待できます。具体的には、以下のような取組みが考えられます。
① フレックスタイム制度の導入:従業員が自分のライフスタイルに合わせて働く時間を選べるようにする。
② リモートワークの推進:通勤時間を削減し、より効率的に仕事を進めることができる環境を整える。
③ 有給休暇や特別休暇の取得促進:従業員が積極的に休暇を取得できるような文化を醸成する。
このほかにも、余暇活動として人気の高い国内観光旅行に行きやすくなるような福利厚生の導入なども考えられます。制度の導入をご検討の際には、ぜひ弊所にご相談ください。
【公益財団法人日本生産性本部「レジャー白書2024(速報版)」】
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/app_2024_leisure_pre.pdf
◆「最低賃金」制度の概要
最低賃金は、最低賃金法に基づき国が定めるもので、使用者は、労働者にその金額以上の賃金を支払わなければなりません。都道府県別に最低賃金が定められ、この地域別最低賃金以上の賃金を支払わない場合、罰則が科せられます。なお、最低賃金制度には例外があり、「最低賃金の減額の特例許可制度」において、身体や精神の障害によって一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの特定の労働者について、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることにより個別に最低賃金の減額の特例が認められます。また、例えばシルバーワーカーなどとの契約は、請負・委任契約に当たるため、最低賃金法ほか労働関係の法律は適用されません。
◆なお昨今の賃金事情と乖離
2024年度の最低賃金について、厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月25日、目安額を全国平均で時給1,054円とする答申を行いました。引上額は50円となり、1,000円の大台に乗った2023年度の額を超え、4年連続で過去最大となりました。
この答申を参考として、各地方最低賃金審査会で調査審議のうえ、答申を行い、各都道府県労働局長によって地域別最低賃金額が決定されます。例えば、東京都の最低賃金については、8月5日に東京地方最低賃金審議会が東京労働局長に対し時給1,163円に改正することが適当であるとの答申を行いました。例年、10月上旬~中旬に各都道府県の地域別最低賃金が発効します。
なお、このように最低賃金は引き上げられますが、すでに社会的な人手不足等により、各業界におけるパートタイム労働者等の時給は上昇しているのが現状です。例えば、厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年6月分結果速報」によると、パートタイム労働者の時給は平均1,338円で、前年同月比4.9%増となっています。
各企業においては、今一度自社の賃金の確認を行いましょう。なお、給与制度や給与規程等を変更する際には手続き・届出が必要になります。ご検討の際には、弊所にご相談ください。
【厚生労働省「最低賃金に関する特設サイト」】
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/
労働問題を専門とする日本労働弁護団、経営法曹会議ほか、労働問題に詳しい弁護士を対象に行われた調査の結果、次のようなことが明らかになったそうです。
◆解雇等無効判決後の復職割合
解雇・雇止め訴訟の判決において解雇等が無効とされた場合の復職割合は次のようになっています。
・復職した 37.4%(うち復職後継続就業 30.3%、復職後不本意退職 7.1%)
・復職せず 54.5%
・不明 8.1%
復職しなかった理由としては、復職後の人間関係に懸念があるとした人の割合が38.9%と最多でした。また、復職後に不本意退職となった労働者の退職理由では、「使用者からの嫌がらせ」(16.2%)が最多でした。
◆多くのケースで和解案拒絶
一方、判決で終局した事案で、判決までの過程で裁判所から示された和解案を拒絶したのは86.5%に上っており、その内訳は次のようになっています。
・労働者側が拒絶 45.0%
・使用者側が拒絶 21.3%
・労使双方が拒絶 33.8%
労働者側の拒絶理由は、「合意退職の和解案だったが、労働者が復職を希望」(34.7%)、「合意退職の和解案だったが、解決金額が低かった」(30.6%)、「合意退職の和解案だったが、解雇無効を確信」(22.3%)となっています。
また、使用者側の拒絶理由は、「合意退職の和解案だったが、使用者が金銭支払を希望せず」(19.4%)、「地位確認の和解案だったが、使用者が復職を希望せず」(15.3%)、「合意退職の和解案だったが、解決金額が高かった」(13.9%)となっています。
現在、厚生労働省の労働政策審議会では解雇無効時の金銭救済制度に関する議論が以前から行われていますが、少し停滞気味のようです。解雇・雇止めには金銭的な問題だけではないという一面もあり、なかなか結論は出ないようですが、今後の行方が気になるところですね。
【労働政策研究・研修機構「解雇等無効判決後における復職状況等に関する調査」】
https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/244.html
◆監督指導結果のポイント
1 令和5年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数、対象労働者数及び金額は以下のとおり。
(1) 件 数 21,349件(前年比818件増)
(2) 対象労働者数 181,903人(同2,260人増)
(3) 金 額 101億9,353万円(同19億2,963万円減)
2 労働基準監督署が取り扱った賃金不払事案(上記1)のうち、令和5年中に、労働基準監督署の指導により使用者が賃金を支払い、解決されたものの状況は以下のとおり。
(1) 件 数 20,845件(97.6%)
(2) 対象労働者数 174,809人(96.1%)
(3) 金 額 92億7,506万円(91.0%)
◆賃金不払いと監督指導の事例(業種:飲食業)
1 事案の概要
・労働時間は、勤怠システムにより管理を行っているが、当該システムに搭載された端数処理機能を用いて、日ごとの始業・終業時刻のうち15分未満は切り捨て、休憩時間のうち15分未満は15分に切り上げる処理が行われていた。
・また、着用が義務付けられている制服への着替えの時間を、労働時間としていなかった。
2 労働基準監督署の指導
・労働時間を適正に把握するための具体的方策を検討・実施すること。
・過去に遡って、労働時間の状況について労働者に事実関係の聞き取りを行うなど、実態調査を行い、実際の支払額との差額の割増賃金の支払いが必要になる場合は、追加で支払うこと。
3 その後の事業場の対応
・労働者へのヒアリングを行って、正しい労働時間数を把握し、再計算の上、差額の割増賃金を支払った。
・勤怠システムに搭載された端数処理機能の設定を見直し、始業・終業時刻の切り捨て、休憩時間の切り上げ処理をやめ、1分単位で労働時間を管理することとした。
・制服への着替えの時間を、労働時間とすることとした。
【厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)を公表します」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41907.html
高年齢者雇用安定法による65歳までの雇用確保義務の経過措置は、2025年3月に終了します。2025年4月からは、65歳までの「定年引上げ」「継続雇用制度の導入」「定年廃止」のいずれかの雇用確保措置が全企業の義務になります。エン・ジャパン株式会社は、運営するミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』で35歳以上のユーザーを対象に「65歳までの雇用確保の義務化」についてアンケートを実施し、結果を公表しました。
◆「65歳までの雇用確保の義務化」認知度は約6割。「70歳までの努力義務化」は約5割
「2025年4月から、継続雇用を希望する「65歳までの雇用確保」が、全企業に「義務化」されることをご存知ですか?」の質問に、59%が「知っている」と回答しています(よく知っている:14%、概要だけ知っている:45%)。また、70歳までの雇用確保が企業の努力義務化することを知っているかと質問すると、47%が「知っている」と回答しました(よく知っている:11%、概要だけ知っている:36%)。
◆「65歳・70歳までの雇用確保」に賛成、「61歳以降も働きたい」は約9割
「「65歳・70歳までの雇用確保」のほか、働く意欲がある高年齢者が働きやすい環境整備を国が進めていますが、そのことに関して賛成しますか?反対しますか?」の質問には、88%が「賛成」と回答しています(賛成:48%、どちらかといえば賛成:40%)。
「61歳以降も働きたい」と回答したのは88%で、「あなた自身は、何歳まで働きたいと思いますか?」の質問には、「66歳~70歳まで」が35%で最多でした。長く働きたい理由の上位は「健康・体力維持のため」「年金だけでは生活できないから」で、いずれも15%でした。
◆半数以上が、「高年齢者雇用確保」の措置が転職先選びに影響すると回答
「転職先の企業を決める上で、企業の「高年齢者雇用確保」措置は、影響しますか?」と質問したところ、54%が「影響する」と回答しています。年代別に見ると、30代は34%に対し、60代はほぼ倍の66%で、年代が上がるごとに影響度合いが高まることがわかりました。どの「高年齢者雇用確保」の措置を講じている企業に転職したいかの質問には、「定年の引上げ」が34%で最多となっています。
【エン・ジャパン株式会社「ミドル世代3000人に聞いた「65歳までの雇用確保の義務化」意識調査―『ミドルの転職』ユーザーアンケート」】
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2024/38103.html
厚生労働省は、「令和5年度雇用均等基本調査」の結果(従業員5人以上の3,495事業所から回答)を公表しました。この中から、男性の育児休業の取得状況についてご紹介します。
◆法改正により取得率が上昇
昨年度の男性の育児休業取得率(産後パパ育休を含む)は30.1%で、令和3年度より13ポイント増えて過去最高を更新しました(女性は、84.1%(令和3年度より3.9ポイント増))。同省は、取得率が30%に達した理由として、令和4年の育児介護休業法の改正により取得意向の確認が義務付けられたことや、中小企業に様々な政策を打ち出し、制度が周知されたことなどを挙げています。
育児休業の取得期間は、「1か月~3か月未満」が28.0%(令和3年度24.5%)と最も高く、「5日~2週間未満」が22.0%(同26.5%)、「2週間~1か月未満」が20.4%(同 13.2%)となっており、2週間以上取得する割合が上昇しています。
事業所の規模別では、「従業員500人以上」が34.2%で最も多く、100人以上の事業所では30%を超えているのに対し、「5~26人」の事業所は26.2%でした。
◆従業員300人以上の企業は取得率公表が義務化
政府は、男性の育児休業取得率を令和7(2025)年までに50%に上げることを目標に掲げています。取得率を向上させる施策として、来年4月からの育児介護休業法の改正により、従業員が300人超1,000人以下の企業にも取得率の公表が義務付けられるようになります。また、従業員数100人超の事業主に対して、行動計画策定時に育児休業の取得状況等に係る状況把握および数値目標の設定が新たに義務付けられるようになります。
【厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r05.html