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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

コロナ禍で、事業者の健康診断の延期が認められています               R2 年 6 月

対応の概要

・一般健康診断:令和2年6月末までに実施を求められるものについては、実施時期を10月末まで延期することができます。

・特殊健康診断:実施することが義務づけられていますが、十分な感染防止対策を講じることが困難な場合などには、実施時期を10月末まで延期することができます。

・健康診断実施機関の予約が取れない等の事情により、やむを得ず10月末までの実施が困難な場合には、可能な限り早期に実施できるよう計画を立て、それに基づき実施する必要があります。

 

一般健康診断

事業者は、労働安全衛生法第66条第1項の規定により、労働者の雇入れの直前または直後に健康診断を実施することや、1年以内ごとに1回定期に一般健康診断を行うことが義務づけられています。しかし、新型コロナウイルスの拡がりにより、健康診断等の実施会場においても、密閉・密集・密室といった「三密」空間での感染拡大が懸念されるところから、一般健康診断の実施時期については、令和2年6月末までに実施することが求められるものについては、令和2年10月末までのできるだけ早期に実施することとして差し支えないこととされました。

 

特殊健康診断

また、事業者は、労働安全衛生法第66条第2項および第3項、じん肺法の規定に基づき、有害な業務に従事する労働者や有害な業務に従事した後配置転換した労働者に特別の項目についての健康診断を実施することや、一定の有害な業務に従事する労働者に歯科医師による健康診断を実施すること等が義務づけられています(特殊健康診断)。

特殊健康診断については、がんその他の重度の健康障害の早期発見等を目的として行うものであるため、基本的には十分な感染防止対策を講じたうえで法令に基づく頻度で実施するのが望ましいとされていますが、十分な感染防止対策を講じた健康診断実施機関での実施が困難である場合には、一般健康診断と同様、令和2年6月末までに実施することが求められるものについては、令和2年10月末までのできるだけ早期に実施することとして差し支えないこととされました。

 

これらの取扱いは、現時点では新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた令和2年6月末までに限られた対応とされています。詳細は厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」に掲載されていますが、随時更新されていますので、こまめにチェックする必要があります。

【厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」】

https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=2&n=107

妊娠中の女性労働者から新型コロナウイルス感染リスク対策を求められたら?                          R2年6月

妊娠中の女性が新型コロナウイルスに感染すると?

 新型コロナウイルスのワクチンは現在のところ開発されておらず、治療薬レムデシビルは、厚生労働省が発出した通達で妊婦に使用しないよう要請されています。また、アビガンⓇ錠の患者向け資料では「妊娠中に服用することで胎児の奇形や流産・死産を起こす可能性があります」と、注意を促しています。

 つまり、妊娠中の女性が感染した場合、他の人よりも治療方法が限定されてしまう可能性が高いことがわかります。

 

妊娠中の女性労働者の本音は?

 株式会社ベビーカレンダーが4月下旬に公表した妊娠中の女性労働者へのアンケート結果では、約4人に1人が通常どおり出勤していて、在宅勤務中や自宅待機(休業)中と答えた人たちより多くなっています。

 出勤している理由は、「在宅勤務や時差出勤をしたいが、会社で認められていないため(在宅勤務が困難な職種も含む)」が41.1%、「休業または退職したいが、金銭面が不安なため」「休業または退職は考えておらず、産休まで仕事を続けたいため」が同率34.3%でした。

 

5月7日より女性労働者が申し出た場合の措置が義務とされています

 厚生労働省では、指針を改正し、医師等が作成した母性健康管理指導事項連絡カードを、女性労働者が事業主に提出した場合、必要な措置を講じるよう義務付けています。

令和3年1月31日までの時限措置ですが、措置を講じない場合は企業名公表等の罰則が適用されます。

 

母性健康管理指導事項連絡カードとは?

 妊娠初期から産後の回復期までの体調に応じて、休業(入院加療、自宅療養)、勤務時間の短縮、負担の大きい作業・長時間の立作業・同一姿勢を強制される作業の制限または勤務時間の短縮等の措置を、どの程度の期間講じる必要があるか、医師等が指導内容を記載するもので、診断書の代わりとなるものです。

 

対応にあたっては専門家に相談しましょう

 カードを提出されたが具体的にどうすればよいかわからないという場合、産業医や社会保険労務士等の専門家に相談することが有用と考えられます。提出を受けた場合には、個人情報の取扱い等も含めて相談するとよいでしょう。

6月から職場におけるハラスメント防止対策が強化されます                          R2 年 6 月

パワーハラスメント

労働施策総合推進法の改正により、6月1日から、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。なお、中小事業主は、令和4年4月1日から義務化されます(それまでは努力義務です)。

(1) 事業主および労働者の責務

・事業主の責務……①職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないこと等これに起因する問題に対する労働者の関心と理解を深めること、②その雇用する労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう研修を実施する等、必要な配慮を行うこと

・労働者の責務……①ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に注意を払うこと、②事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること

(2) パワーハラスメントの防止のために事業主が講ずべき措置

① 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること

② 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること

④ 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること

⑥ 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと

⑦ 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと

⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること

⑨ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること

⑩ 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

(3) 事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止

事業主は、労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったことや雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすることが、法律上禁止されます。

セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント

これらについては、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法により、雇用管理上の措置を講じることが既に義務付けられていますが、6月1日から以下のとおり、事業所の規模を問わず防止対策が強化されます(①・②の内容はパワーハラスメントと同様です)。

① 事業主および労働者の責務

② 事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止

③ 自社の労働者が他社の労働者にセクシュアルハラスメントを行った場合の協力対応

自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行い、他社が実施する雇用管理上の措置事実確認等への協力を求められた場合、これに応じるよう努めることとされました。

テレワークの実施状況は?~厚労省・LINE株式会社の調査より                                R2 年 5 月

新型コロナウイルスの影響で急速に広まったテレワーク

新型コロナウイルス感染リスク防止の観点から急速に広まったテレワーク。騒動の中で急遽対応に迫られた職場も多いことでしょう。業態やこれまでの対応状況によっては実施が難しいところもありますし、その実施内容は職場によって大きく異なると思いますが、全国的な実施率はどのようになっているのでしょうか。

 

テレワーク実施率は27

厚生労働省は、LINE株式会社と協力して、LINE株式会社の公式アカウントにおいて、サービス登録者に対して「新型コロナ対策のための全国調査」を3回にわたり実施し、その分析結果を発表しています(第1回:3月31日-4月1日、第2回:4月5日-6日、第3回:4月12日-13日実施)。

調査によると、オフィスワーク中心(事務・企画・開発など)の人におけるテレワークの実施率は、第3回調査時点で、全国平均で27%でした。緊急事態宣言前と比べて増加しているものの、政府目標の「オフィス出勤者の最低7割削減」には、この時点ではまだまだ届いていない状況です。

緊急事態宣言が最初に発令された7都府県だけで見ても、最も進んでいる東京都で52%、最も遅れている福岡県で20%と差があります。また、全国的には1割にも届いていない地域が多いようです。

 

テレワークはコロナ対策に限るものではない

本調査は4月中旬までの状況を示したものですので、その後、また状況は変わっていることが予想されます。実際に、これまでは「テレワークなんて無理だ・関係ない」と考えていた企業においても、この騒動の中で、どうにかテレワークを実施できないか、テレワーク下でも滞りなく業務を行えないかと試行錯誤しているところが多いのではないでしょうか。

テレワークはコロナ対策だけに限るものではありません。育児・介護、様々な災害対応の面からも必要になってくるものです。テレワークの実施状況が今後の企業経営にも大きく影響してくることにもなりかねませんので、これを機に自社でも真剣に検討していきたいところです。

【厚生労働省「第1-3回「新型コロナ対策のための全国調査」からわかったことをお知らせします。」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11109.html

 

日本人の就業実態の傾向        R2 年 6 月

日本人の就業実態に関する調査

「第3回日本人の就業実態に関する総合調査(2018年調査)」の結果が、(独)労働政策研究・研修機構から公表されています。この調査は、就業形態の多様化が進む中で、日本人の働き方の実情を体系的、継続的に把握することを目的としたもので、2014年に続けて3回目となります。労働時間、賃金、能力開発、労使関係等、幅広い就業実態の傾向を把握する資料として役立つと思われますので、いくつかの項目を見ていきましょう。

労働時間

雇用者の週実労働時間は平均41.6時間となっており、雇用形態別にみると正規従業員:47.6時間、契約社員:42.2時間、派遣社員:40.0時間、嘱託:36.6時間、アルバイト:26.4時間、パート:26.1時間という順になっています。

しかし、直近では新型コロナ対応のために、在宅勤務や店舗の休業が進んでおり、実労働時間は短くなっているようです。また、主婦層のパート社員の勤務先が休業等を行っていること等もあり、世帯としての収入は減少しているケースが多いと思われます。

新しい働き方

同調査では、非雇用者の状況についても調査が行われました。非雇用者の中には、自営業・自由業、会社役員などが含まれますが、近年注目されているフリーランスや雇用類似的働き方で就業しているとの回答は2.9%となっています。しかし、本人は会社に雇われていると認識している人はこの数に含まれていません。

労働契約や仕事のさせ方等の状況によっては、今後トラブルが増えてくる可能性のある部分だと思われます。また、厚生労働省ではこうした新しい働き方の労働者の保護等に関する政策を検討中ですので、今後の動きに注目しておくべきでしょう。

メンタルヘルス

就業者の中で過去3年間にメンタルヘルスに不調を感じたことが「ある」割合は32.8%、「ない」は64.9%となっています。3人に1人は不調を感じているようです。産業別にみると、特に「医療、福祉」(40.2%)、「教育、学習支援業」(36.9%)、「学術研究、専門・技術サービス業」(36.4%)、「金融業、保険業」(35.8%)で高い傾向にあります。メンタルヘルスには長時間労働が大きく関わりますが、週8089時間労働の群で不調者の割合が高くなっています。不調者のうち、約25%が通院治療を必要としています。

新型コロナウイルスによる影響はまだまだ未知数な部分もありますが、働き方の見直しが加速度的に進む可能性もありますので、こうした全体的な状況を把握しておくことも大切でしょう。

【労働政策研究・研修機構「第3回日本人の就業実態に関する総合調査(2018年調査)」結果PDF】

https://www.jil.go.jp/press/documents/20200422.pdf

 

多発シーズン到来! 今年は特に「熱中症」への注意が必要です!                         R2 年 6 月

新型コロナウイルス対策と熱中症

消防庁によると、昨年の5月から9月に熱中症で病院に搬送された人の数は、全国で71,317人。熱中症の多発シーズンが到来しました。備えはできていますか?

特に今年は、全国的に気温が高くなることが見込まれる中、新型コロナウイルス対策に関連して、注意が必要です。具体的には、①マスクを着けていると体内に熱がこもりやすく、またのどの渇きも感じにくくなるため、知らないうちに脱水が進む、②外出自粛で暑熱馴化(体の機能が暑さに慣れて、汗をかいて体温を下げるなどの対処ができること)ができていない、といったことにより熱中症リスクが高まっているとされています。

 

在宅勤務時の注意点

東京都内の企業のテレワーク導入率が62.7%となるなど、在宅で勤務する人も増えています。社屋や屋外での熱中症対策に取り組む企業は多いですが、実は熱中症の発症場所で一番多いのは「住宅」のため(2019年は熱中症搬送者の38.6%)、注意を要します。

 医療や福祉の専門家でつくる「教えて!『かくれ脱水』委員会」では、コロナ対策も踏まえて、熱中症予防のため、次の対策をとることを提言しています。

① 適切な水分補給と、必要に応じて水分や塩分の補給ができる準備をする。マスクをしているとのどの渇きに気づきにくくなるため、例年以上に、意識して水分補給をすることが大切。

② 人混みを避けた散歩や室内での軽い運動で、涼しいうちに汗をかく練習をし、暑さに体を慣れさせ、体温調整が機能するようにしておく。

③ 暑さ指数(WBGT)をチェックし、その日の行動方針にする。

 在宅勤務者に対してこのような情報を提供し、対策を意識づけていくことが必要です。

 

熱中症対策は新型コロナウイルス対策にもつながる

 同委員会では、新型コロナウイルスへの対応でキャパシティを超えつつある医療機関に例年どおりの数の熱中症患者が搬送されたら、医療が機能しなくなるリスクがあると指摘しています。新型コロナウイルス対策の一環としても、今年は特に熱中症対策の徹底を心がけましょう。

業務中に新型コロナウイルス感染した場合の労災補償                                            R2 年 6 月

厚生労働省は、各労働局に対し、労働者が業務中に新型コロナウイルスに感染した場合の労災補償に関する通達(以下「通達」という)を出し、相談があった際の対応について方針を示しました。

 

感染経路が特定できない場合は?

通達では、新型コロナウイルス感染症について、従来の業務中の事故や病気の場合の考え方と同様に、業務遂行性と業務起因性が認められた場合に労災保険給付の対象となるとしています。

しかし、この感染症は、感染経路が特定できない場合が多いことが大きな問題となっています。通達では、「患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となること。」とし、医療従事者や介護従事者以外の労働者についても、感染経路が特定できなくても「業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること」と明記しています。

 

感染リスクの高い業務とは?

感染経路が特定できない場合であっても、感染リスクが高いと考えられる以下のような業務に従事していた場合は、「潜伏期間の業務従事状況、一般生活状況等を調査した上で、医学専門家の意見も踏まえて判断すること」としています。

・複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務

…施設利用者等が感染している場合等を想定

・顧客等との近接や接触の機会が多い労働下での業務

…小売業の販売業務、バス・タクシー等の運送業務、育児サービス業務等を想定

また、海外出張者については、出張先国の感染リスクが高いと客観的に認められる場合には、「個々の事案に即して判断すること」としています。

 

判断や対応に迷ったときは相談を!

5月8日時点での新型コロナウイルスに関する労災請求件数は7件ですが、今後、事業主、労働者からの相談は増えると考えられます。また、医療従事者等からは早期の労災認定を求める声も強まっています。従業員が感染した場合の労災補償、請求手続き等については、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士にご相談ください。

【基補発0428第1号「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」PDF】

https://www.mhlw.go.jp/content/000626126.pdf