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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

「iDeCo+」(イデコプラス)をご存じですか?               H30年 10月

今年5月からスタートした中小事業主掛金納付制度の愛称

iDeCo+」(イデコプラス)とは、厚生労働省が、今年5月からスタートした中小事業主掛金納付制度の愛称で、8月24日に、そのロゴマークとともに公表されました。

 iDeCo+」の概要

iDeCo+」は、企業年金を実施していない中小企業(従業員数100人以下)において、iDeCoに加入している従業員の加入者掛金に対して、事業主が掛金を上乗せ(追加)して拠出することができる制度で、制度の概要は以下の通りです。

(1) 事業主要件

企業型確定拠出年金、確定給付企業年金および厚生年金基金を実施していない事業主で、従業員(第1号厚生年金被保険者。以下同じ。)100人以下の事業主。ただし、同じ事業主が複数の事業所を経営している場合、全事業所の従業員の合計が100人以下であることが必要。

(2) 拠出対象者

iDeCoに加入している従業員のうち、事業主掛金を拠出されることに同意した加入者。

※拠出対象者に一定の資格(職種、勤続年数)を設けることも可能。

(3) 掛金設定

加入者掛金と事業主掛金の合計額は、月額5,000円以上23,000円以下の範囲で、加入者と事業主がそれぞれ1,000円単位で決定できる。加入者掛金を0円とすることはできないが、事業主掛金が加入者掛金を上回ることはできる。また、一定の資格ごとに掛金額を設定することも可能。事業主掛金は、全額が損金に算入される。

(4) 納付方法

加入者掛金と事業主掛金を事業主がまとめて納付する。

(5) 労使合意

事業主掛金の拠出について、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の同意が必要。また、掛金額を変更する際にも同様の同意が必要。

 

 従業員の福利厚生の充実をお考えの中小事業主の方は、この機会に導入を検討されてはいかがでしょうか。

「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正           H30年10月

平成27年改正による「賞与に係る報酬」

厚生労働省の通知「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の中で、報酬と賞与の取扱いが定められています。大まかに言って、年間を通じて支払い回数が3回までのものは「賞与」、4回以上のものは「報酬」とされています。それぞれ「標準賞与額」、「標準報酬月額」として保険料算定の基礎にされます。

しかし、事業者の中には保険料を安くするために、特殊な賞与の支払い方をする例がありました。例えば、年間100万円の賞与を⒉回にわけて支払うと標準賞与額100万円として保険料が算定されますが、100万円を12分割し、6月と12月だけ多く支払い、その他の月は500円支払うとします。そうすると、その賞与は「報酬」になり、かつ「随時改訂」の規定により算定され、年間の保険料は標準賞与額によるものより安くなります。「随時改訂」が3カ月平均で求めることを逆手に取っているわけです。

これを防ぐため、平成27年改正により、1年間を通じ4回以上支払われる賞与は「通常の報酬」ではなく「賞与に係る報酬」として、1年間の支払い合計額の12分の1を報酬額とすることとされました。

今般の改正による「通常の報酬」「賞与に係る報酬」「賞与」の明確化

平成30年7月30日に出された通知によると、上記の通知に下記の2点が加わりました。

① 通知にいう「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」及び「賞与」は、名称の如何にかかわらず、二以上の異なる性質を有するものであることが諸規定又は賃金台帳等から明らかな場合には、同一の性質を有すると認められるものごとに判別するものであること。

② 通知にいう「賞与」について、7月2日以降新たにその支給が諸規定に定められた場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しないものとすること。

厚生労働省の示すQ&Aによると、本通知の趣旨は、従前の通知に示す取扱いをより明確化し徹底を図ることです。具体的には、

①については、諸手当等の名称の如何に関わらず、諸規定又は賃金台帳等から、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するものであること

②については、諸手当等を新設した場合のような支給実績のないときに、翌7月1日までの間は「賞与」として取り扱うものであること

とされています。

本通知は、周知期間を確保するため、発出から半年の周知期間を設けていますが、本通知の適用日以降に受け付けた届書から本通知による取扱いを適用することとされており、適用日前に受け付けた届書の内容を見直すことは要しないとされています。

従業員が特に望む福利厚生とは?~企業における福利厚生施策の実態に関する調査から                           H30年 10月

労働政策研究・研修機構(JILPT)から、「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」の結果が公表されています。会社の福利厚生施策に対する従業員の満足度や、今後会社に望む福利厚生施策を中心に見てみます。

 福利厚生制度・施策の目的

福利厚生制度・施策の目的としては、「従業員の仕事に対する意欲の向上」(60.1%)が最も高く、「従業員の定着」(58.8%)、「人材の確保」(52.6%)と続いています(複数回答)。

 会社が今後充実させたいと考える施策

施策のある・なしに関わらず、今後「充実させたい(施策の新設・拡充含む)」施策として、次のものが上がっています。

「メンタルヘルス相談」(12.4%)、「治療と仕事の両立支援策」(11.5%)、「人間ドッグ受診の補助」(10.7%)、「社内での自己啓発プログラム」(10.7%)、「ノー残業デー等の設置」(10.4%)、「社員旅行の実施・補助」(10.3%)、「社外の自己啓発サービスの提供・経費補助」(10.1%)など。

 会社の福利厚生制度への満足度

従業員が会社の福利厚生制度に満足しているかどうかについては、「どちらともいえない」(49.4%)、「満足+やや満足」(24.4%)、「やや不満足+不満足」(23.9%)と、「どちらともいえない」が半数近くを占めました。男女別では大きな差は見られませんでした。就業形態別では、「パート・アルバイト」および「契約社員」で「どちらともいえない」の割合が高く、「嘱託」で「不満足」の割合が高くなっています。

 従業員にとって必要性が高いと思う制度・施策

従業員が、勤務先での制度・施策のある・なしに関わらず、自分にとって「特に必要性が高いと思うもの」(複数回答)については、次の制度・施策が挙がりました。

「人間ドック受診の補助」(21.8%)、「慶弔休暇制度」(20.0%)、「家賃補助や住宅手当の支給」(18.7%)、「病気休暇制度(有給以外)」(18.5%)、「病気休職制度」(18.5%)、「リフレッシュ休暇制度」(16.1%)、「有給休暇の日数の上乗せ(GW、夏期特別休暇など)」(15.2%)など。主に健康管理や休暇制度に関するものが多くありました。

その他、10%以上の回答があった項目は、「治療と仕事の両立支援策」(14.8%)、「法定を上回る育児休業・短時間制度」(13%)、など「両立支援」「労働時間」に関連するものが多く挙がっています。

70歳雇用時代が来る? 政府が検討開始               
               H30年 10月

今秋から検討開始

政府は、未来投資会議と経済財政諮問会議で高齢者が希望すれば原則70歳まで働ける環境整備に向けた検討を、今秋から始める方針です。

現在は高年齢者雇用安定法で原則65歳までの雇用が義務づけられていますが、同法を改正し、70歳雇用を努力目標とすることを検討するとしています。

 2019年度は補助金拡充

法改正に先駆け、まず高年齢者雇用に積極的な企業への補助金を拡充するとしています。来年度予算案で高齢者の中途採用を初めて実施した企業への補助金を拡充し、「トライアル雇用」から始められるようにすることで企業に高齢者雇用への取組みを促す方針です。

 賃金大幅ダウン避ける仕組みも検討

内閣府の「平成29年版高齢社会白書」によれば、現在仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」と回答しており、「70歳くらいまで」が約22%、「75歳くらいまで」が11.4%、「80歳くらいまで」が4.4%と、全体の8割近い人が高齢期にも高い就業意欲を持っています。

しかし、現在は定年後に継続して働く場合でも高年齢者雇用給付や在職老齢年金との兼合いで大幅に賃金がダウンする仕組みとなっています。

このため、働く意欲や能力のある人が大幅に賃金が下がらないようにするため、評価・報酬体系を官民で見直すとしています。公的年金を70歳以降に受給開始できるようにすることも検討される予定で、70歳超から年金を受け取る場合には受取額を大幅に加算する案も出ています。

 現状は「再雇用」が8割

ただし、企業における現在の高齢者雇用は、定年を65歳まで延長している企業が17%、定年廃止は2.6%で、約8割が「再雇用」です。

政府は、高齢者雇用で成功している企業を参考に、今秋以降、経済界などとも慎重に協議を進めるとしています。

 

10年先の経営を考える!~「事業承継」の検討を始めてみませんか?H30年 10月

事業承継をめぐる現状

中小企業の経営者の高齢化が進んでおり、数十万社の中小企業が事業承継のタイミングを迎えようとしています。

しかし、後継者不在などの問題があり、事業の承継は決して円滑に進んでいるとはいえない状況にあります。経済産業省と中小企業庁の試算によれば、現状を放置すると、中小企業廃業の急増により、2025年頃までの10年間の累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性もあります。

 

事業承継は「国の喫緊の課題」

このような状況を受け、国も、中小企業の事業承継を「喫緊の課題」と位置づけてさまざまな対策を打ち出しています。特に、今後10年程度を「集中実施期間」として、取組みが強化されることとなっています。

例えば、平成30年度税制改正の“目玉”として、事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する特例措置が10年間限定で設けられました(詳細は、中小企業庁のホームページ等で確認することができます)。このように、さまざまな支援策が用意されていますので、積極的に活用することを検討したいものです。

 

円滑な事業承継を行うために

後継者の育成も考えると、事業承継には10年程度の時間を要することも少なくありません。早期に準備を始め、計画的に取り組んでいくことが必要です。

円滑な世代交代が行われれば、事業の活性化も期待できるところです。まずは、事業承継にあたっての自社の課題を把握し、その解決策を検討することから始めてみませんか。

「入国在留管理庁」発足で外国人の受入れはどうなる?                          H30年10月

来年4月に発足へ

法務省は、入国管理局を格上げし「入国在留管理庁」(仮称)を設置する方針を固めました。来年4月の発足に向けて秋の臨時国会で関連法案を提出します。

同省は外国人労働者の受入れ拡大、訪日観光客の増加に対応するため入国審査官を約300人増員し、5,000人超の組織にするとしています。また、「出入国管理部」と「在留管理支援部」(いずれも仮称)を設け、不法就労・不法滞在の取締りを強化するとしています。

 「特定技能」を新設

さらに、来年4月には、建設、農業、宿泊、介護、造船の5分野を対象に外国人の単純労働を認める「特定技能」という在留資格が新設される予定となっています。「特定技能評価試験」(仮称)に合格すれば最長5年間の就労が認められ、技能実習生として最長5年滞在した後に「特定技能」の資格を取得すれば、10年間滞在が可能になります。

政府は、2025年までに5分野で50万人以上の特定技能の外国人を受け入れることを想定しています。そのため、2017年末時点で在留外国人は約256万人と過去最高を更新しましたが、さらに膨らむことになりそうです。

 関係省庁や自治体との連携に期待

入国在留管理庁は、入管業務の強化だけでなく、外国人の受入れ環境の整備について、関係省庁や自治体との連携を担うとしています。例えば、入国後の生活支援や語学のサポート等は文部科学省と連携して行うとしています。

法務省は、入国在留管理庁の発足により、日本での外国人の労務トラブルや犯罪等が減少し、労働者、観光客が増加することに期待を示しています。

 

厚生年金のパート適用、さらなる拡大を検討                                          H30年 10月

要件緩和で加入者200万人増?

厚生労働省が、パートタイマー(短時間労働者)の厚生年金加入の適用拡大にむけ、検討会を設置するとの報道がありました。要件を緩和し、最大200万人の加入者増を見込むとしています。

 パートタイマーの厚生年金適用範囲

厚生年金保険は、直近で201610月に適用拡大が行われました。以降、パートタイマーの適用範囲は下記A・Bのいずれかになっています。

A 所定労働時間および所定労働日数が一般社員の概ね4分の3以上(一般的に所定労働時間「週30時間以上」)。

B 次の①~⑤をすべて満たす人(①所定労働時間「週20時間以上」/②月額賃金「8.8万円以上」/③雇用(見込)期間「1年」以上/④学生でない/⑤勤務企業の従業員規模「501人以上」(※2017年4月より、500人以下も労使合意にて加入可))。

いま検討されているのは、上記②月額賃金を「6.8万円以上」と引き下げることや、⑤企業規模「501人以上」を撤廃すること等です。

 労働時間を延長して厚生年金に加入したいパートタイマー

2016年の適用拡大の際、新規加入者は25万人程度と予想されていましたが、実際には37万人の加入者増となりました(「2018年4月4日 社会保障審議会年金部会」議事録)。

このことについて調査した、労働政策研究・研修機構「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査(略)働き方の変化等に関する調査」によると、2016年の適用拡大に伴い働き方が「変わった」パートタイマーの半数以上が、「厚生年金・健康保険が適用され、かつ手取り収入が増える(維持できる)よう所定労働時間を延長した」と回答しており、「適用されないよう所定労働時間を短縮した」という回答を上回っています。

多くのパートタイマーは、2016年の適用拡大をきっかけとして、より長時間働くワークスタイルへ変化したといえます。

 適用拡大への企業対応

今回の適用拡大はまだ検討中の段階ですが、「(労働時間を延長して)厚生年金加入を希望するパートタイマー」はこれからも増えるのではないでしょうか。

上記調査では、さらなる適用拡大が行われた場合の企業対応として、「基本的には短時間労働者の希望に基づき、出来るだけ加入してもらう」が最多の4割超でした。企業にとっても適用拡大は、パートタイマーを積極的に活用する良いきっかけなのかもしれません