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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

EU一般データ保護規則に対応した個人情報保護法ガイドライン案公表              H30年 6月

EU一般データ保護規則とは?

EU域内からの個人情報の移転について厳格なルールが定められたEU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation=GDPR)の適用が今年5月25日に始まります。GDPRにおいては、プライバシー保護がこれまでのEUデータ保護指令よりも一層強化されており、明確な同意の取得や忘れられる権利の導入、違反に対する厳格な金銭的な制裁がなされます。

GDPRはEU域内に事業所を設置している場合のほか、EU域内の個人に商品やサービスの提供を行っている場合やEU域内の個人情報を取得する場合にも適用され、自社の従業員に関する情報もこれにあたるとされています。

 

個人情報保護法との関係は?

わが国の個人情報保護委員会は、日本とEU間の個人データの移転について、相互の円滑な移転を図る枠組みの構築を視野に、欧州委員会との間で対話を重ね、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(EU域内から十分性認定により移転を受けた個人データの取扱い編)(案)」について審議を行ってきましたが、このほど、EU域内から十分性認定により移転を受けた個人データの取扱いに関するガイドライン案を示しました。

 

今年前半に施行予定

ガイドライン案は、個人情報保護委員会と欧州委員会との対話の結果、①個人情報保護委員会が、個人情報保護法第24条に基づき、個人の権利利益を保護する上でわが国と同等の水準にあると認められる個人情報の保護に関する制度を有している外国としてEUを指定し、これにあわせて、②欧州委員会が、一般データ保護規則(GDPR)第45条に基づき、日本が個人データについて十分な保護水準を確保していると決定することを想定したもので、(1)要配慮個人情報・(2)保有個人データの定義や、(3)利用目的の特定、利用目的による制限、(4)外国にある第三者への提供の制限、(5)匿名加工情報、などの取扱いに関するルールが示されています。

ガイドライン案に対する意見の公募は5月25日に締め切られ、今年前半の施行が予定されています。

【「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」(EU域内から十分性認定により移転を受けた個人データの取扱い編)(案)】

http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000173547

 日商による「専門的・技術的分野の外国人材受け入れに関する意見」                              H30年 6月

中小企業の人手不足の現状と外国人材受け入れのニーズ

日本における労働人口の減少は年々加速し、日本商工会議所(以下、日商)が2018年3月に実施した調査では、「人手不足」と回答した企業の割合が4年連続で上昇し、66.7%に達しています。こうした背景のもと、外国人材に対する期待と関心がこれまでになく高まっています。201710月末現在、外国人労働者を雇用している事業所数は約19万事業所、外国人労働者数は約128万人で、近年、右肩上がりの状況が続いています。

 

現行の出入国管理制度

現行の出入国管理制度は1952年の入管法整備以降、受け入れる外国人材は「専門的・技術的分野の外国人」を原則としていて、限定的な受け入れとなっています。単純労働者とは異なる一定の専門性・技能を有する外国人材であっても、「専門的・技術的分野」の要件に合致しなければ在留資格が付与されず、就労することができません。日商の調査によると、中小企業が求める外国人材は「一定の技術を有した専門職層」や「即戦力となるようなミドル人材」が多く、また、人手不足に苦慮する各業界・企業から、一定の専門性・技能を有する外国人材の受け入れを求める「生の声」が数多く聞かれることがわかりました。

 

日商の提言

そこで日商は、現行の出入国管理制度では認められていない、一定の専門性・技能を有する外国人材を「中間技能人材(仮称)」と定義し、新たな在留資格を創設したうえで、積極的に受け入れていくことを要望する意見書を取りまとめました。以下、簡単にまとめます。

○「中間技能人材」の創設にあたっては、原則、人手不足の業種・分野であることを受け入れの基本的な条件とし、期間は他の在留資格と同様に5年を上限に更新可とすべき

○「中間技能人材」の受け入れ業種・分野を判断する際には、①業種・分野ごとの人手不足の状況に基づき、受け入れの可否および総量を検討する、②業種・分野ごとの人手不足を測る指標には有効求人倍率や失業率等を用いる、③有効求人倍率が1倍を超える期間が続いているなど、人手不足が一過性ではなく一定期間続いており、かつ、将来的に改善する見込みが希薄であること、の3点を基本的な考え方とすべき

○「中間技能人材」は、政府が設定した業種・分野ごとに求められる専門性・技能を有し、かつ専門性・技能を裏付ける要件として、(1)母国における5年程度の実務経験および高卒以上の学歴を有している者、(2)技能実習修了者、(3)わが国の国家資格等取得者のいずれかに該当する者とすべき

その他、在留管理の在り方、外国人材および企業に対する支援体制、「中間技能人材」以外の外国人材の受け入れ等についても提言をまとめています。

【日本商工会議所~「専門的・技術的分野の外国人材受け入れに関する意見」について】

https://www.jcci.or.jp/recommend/2018/0426110527.html

厚労省が過労死等防止対策大綱の改定案を公表                     H30年 6月

平成27年に策定された現行版を改定

厚生労働省は4月24日、過労死等防止対策大綱の改定案を公表しました。大綱では、過労死や過労自殺を防ぐために国が取るべき対策がまとめられています。3年ごとに見直すこの大綱を、政府は今夏にも閣議決定する方針です。今回の改定案では、将来的に過労死をゼロとすることを目指し、労働時間、年次有給休暇の取得、勤務間インターバル制度およびメンタルヘルス対策について、数値目標を設定することが盛り込まれました。

 

労働時間

平成32年までに週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とするとしています。また、長時間労働の是正対策として、労働時間をICカードなどの「客観的な記録」で会社側が確認することを原則とすることが新たに明記されています。

さらに、仕事と子育てや介護を無理なく両立させるためには、長時間労働を是正し、働く人の健康を確保することによって、ワーク・ライフ・バランスを改善し、女性や高齢者が働きやすい社会に変えていくため、原則として、月45時間かつ年360時間とする時間外労働の限度について周知・啓発を行う方針です。

 

年次有給休暇の取得

取得率は5割を切っています。これを平成32年までに70%以上とし、特に、年次有給休暇の取得日数が0日の者の解消に向けた取組みを推進するとしています。

 

勤務間インターバル制度

欧州では1日24時間につき最低連続11時間の休息時間の確保を義務化していることを参考に、導入を促進します。平成29年の調査では、制度の導入割合はわずか1.4%でした。制度を導入していない企業(92.9%)のうち制度を知らなかった企業が40.2%で、この周知が課題となります。今回、新たに数値目標を盛り込むこととしています(数値は未定)。

 

メンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は、長期的には増加しているものの、56.6%と未だ5割台に留まっています。これを平成34年度までに80%以上とするとしています。また、労働者のメンタルヘルスの不調の原因にもなり得るパワーハラスメントへの対策については、その予防・解決のための周知・啓発を進めることが重要であるとして、平成30年3月の検討会での報告を踏まえ、必要な対応を検討していくとしています。

【厚生労働省~第11回過労死等防止対策推進協議会 配布資料】

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204334.html

平成29年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果より                    H30年 6月

重点監督で全体の65.9%が労働基準関係法令違反

厚生労働省が公表した昨年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果によると、実施した7,635事業場のうち5,029事業場(全体の65.9%)で労働基準関係法令違反が確認されたそうです。

今回の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の「使い捨て」が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる事業場に対して集中的に実施されたものです。

 

36.3%で違法な時間外労働

労働基準関係法令違反が確認された事業場のうち、違法な時間外労働があったものが2,848事業場(37.3%)、賃金不払残業があったものが536事業場(7.0%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが77810.2%)となっています。

 

◆製造業、商業、建設業、小規模事業場で多く実施

重点監督実施事業場を業種別でみると、多い業種から製造業(26.4%)、商業(15.1%)、建設業(12.6%)と続いています。また、事業場規模別にみると、多い順に、10~29人規模で34.0%、1~9人規模で21.2%3049人規模で16.3%と小規模事業場に集中していることがわかります。

 

監督指導の実施事業場数は増えている

前年の同期に比べると、監督実施事業場は7,014(平成2811月)から7,635(平成2911月)と1割近く増えており、厚生労働省も長時間労働の是正に向けた取組みを積極的に行っていることがわかります。

企業としても、長時間労働の是正や適切な労働時間管理については積極的に取り組んでいきたいところです。

【厚生労働省~平成29 年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果】

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000204309.html

イデコ窓販解禁で加入希望者が増える?                             H30年 6 月

イデコ(iDeCo)って何だっけ?

「イデコ(iDeCo)」は、20169月の改正確定拠出年金法時に決定された個人型確定拠出年金の愛称です。確定拠出年金には「企業型」と「個人型」があり、どちらも60歳まで掛金を払い、60歳以降に受け取る老後資産の準備手段です。加入者個人が金融機関の用意する商品の中から選び、口座を開設して掛金を払うのが個人型で、厚生年金保険や企業年金、個人年金とは別に加入できます。

 

法改正から2年で加入者が倍増

2016年改正でイデコに加入できる人の範囲が拡大された結果、2016年3月末時点で21.2万人だった加入者数は、2018年3月末時点で43万人に倍増しています。

これは、将来的に公的年金の支給額が下がり、現役時の所得との比較による代替率が50%を下回る計算結果が示されるなど、公的年金だけでは老後の家計を支え切れないと判断した人が多いことを表しているといえます。

 

従業員本人による老後資産形成の必要性

男性では6064歳の7割超、6569歳の5割超など、働く高齢者が増えていますが、上記のとおり公的年金だけで老後の生活を支え切れるかは疑問です。

イデコは、掛金を払っている間の運用益が非課税扱いで、受取金も退職所得控除の対象となるなどの非課税メリットにより、預貯金よりも効率的に資産を形成できるといえます。

 

今後の見通し

厚生労働省は、4月20日の審議会でイデコを銀行窓口でも販売できるよう、今年度中にも関連規則を改正する案を了承しました。

これまで、金融機関の窓口でイデコの商品を扱うことは制限され、別に設けるHPやコールセンターで対応されてきましたが、解禁後は、窓口で申込手続等ができます。

これを機にさらに加入者が増えると、会社も対応を求められる可能性があります。会社員がイデコに加入する際、会社に他の年金制度への加入状況等に関する書類を記載してもらう必要があるからです。詳細はイデコ公式サイトHP等で紹介していますので、確認しながら対応するとよいでしょう。

若年性認知症への会社の対応は準備していますか?                             H30年 6月

若年性認知症に関する調査

65歳未満で発症した認知症を「若年性認知症」と呼びます。有名なアルツハイマー型だけではなく、脳血管の障害や頭部外傷によっても発症したり、その原因は多様です。働き盛りの現役世代が認知症を発症すると、仕事に影響を及ぼし、会社を辞めることになった場合には、経済的困難に直面し、生活設計が崩れるなど大きな影響があります。

若年性認知症について、企業と団体を対象に実施したアンケート調査(認知症介護研究・研修大府センター;2017年)の結果から、次のようなことが明らかになりました。

 

発見の経緯は職場での受診勧奨が最多

会社が若年性認知症の人を把握した経緯として「会社からの受診勧奨」が最も多くなっています(約5割)。その他は、「本人からの相談・申告」が約4割、「家族からの相談・申告」が約1割となっています。企業等に勤めている人では、家庭よりも職場での気づきが重要なようです。

 

会社としての対応状況

会社の対応としては、約6割で「他の業務・作業に変更した」としており、配置転換による就労継続を図っています。次いで、「労働時間の短縮・時間外労働削減」、「管理職業務からの変更」が行われています。報酬・雇用については、「作業能力低下でも報酬を維持した」が最も多く6割以上となっており、本人の会社に対するそれまでの貢献を考慮している会社が多くなっています。一方で、症状の進行状況によっては合意退職も行われているようです。

 

対応の検討が必要

最近では、障害者雇用については認知度が高まっているようですが、それは身体障害に偏っているようです。若年性認知症の人の多くは精神障害者保健福祉手帳を取得していることから、身体以外の障害についても一層の理解が求められるとともに、会社としての適切な対応についても理解を深めることが必要でしょう。

若年性認知症は早期発見・早期治療が重要とされています。貴重な人材に力を発揮し続けてもらうためにも、受診勧奨、休職・復職、職務変更に関する規定の整備や相談先に関する情報提供など、該当する従業員が現れた場合に会社が適切な対応を取れるよう、検討しておく必要があるでしょう。

 クールビズのデメリットへの対応                                             H30年 6 月

今年もクールビズが始まりました!

地球温暖化対策として、夏場をノーネクタイ・ノー上着で過ごすことで職場の消費電力を減らす「クールビズ」。2018年は、51日~930日までの5カ月間が実施期間とされています。

言葉としてすっかり定着した感もありますが、皆さんは、クールビズの正確な定義をご存じですか? クールビズとは、「冷房時の室温が28℃で快適に過ごせるように、軽装で執務する」ことをいいます。以前は「冷房の設定温度が28℃」とされていましたが、これだと実際の室温が28℃に達しないことがあり、執務室の温度を17℃以上28℃以下と定める「労働安全衛生法の事務所衛生基準規則」と「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令」に違反するため、「冷房時の室温が28℃」と変更されました。

 

クールビズにはデメリットも……

環境のためにぜひ実施したいクールビズですが、生産活動を行う上でのデメリットもあります。

少し前のデータになりますが、日本建築学会の研究により、室温28℃で執務する場合、軽装だけでは暑さで仕事の能率が落ち、経済損失につながる場合もあることがわかっています。具体的には、生産性を定量化しやすいコールセンターにおいて電話交換手100人を対象に生産性と室内環境に関する測定を行った調査で、室温が25℃から1℃上がるごとに、作業能率は2%ずつ低下しました。業務の内容によっては、さらに能率が落ちることも考えられます。

 

デメリットへの対応策

クールビズの取組みは、生産活動の場で行うものですので、作業能率を下げない対策を講じることも必要です。

そこで、本格的に暑くなる前に、建物性能や空調設備を確認してみませんか。そして、それに合わせて可能な対策を検討しておきましょう。冷房に換気や送風を組み合わせたり、扇風機を併用したりするだけでも、体感温度が下がり、作業能率の低下を軽減することが可能です。パソコンや照明などの発熱低減も効果があります。

上手に対策しながら、クールビズに取り組みましょう!

若手社員の「飲み会嫌い」は本当か?~平成・昭和生まれ意識調査より        H30年 6 月     

「平成生まれ」と「昭和生まれ」の意識調査

ソニー生命保険株式会社が、平成生まれ(20歳~28歳)と昭和生まれ(52歳~59歳)を対象にアンケートを行い、『平成生まれ・昭和生まれの生活意識調査』として公表しました。同調査から、それぞれの有職者に対して仕事にまつわる質問を取り上げます。

 

「仕事に対する考え方」の傾向

理想的な仕事は「給料が高い仕事」と「やりがいがある仕事」のどちらかという質問に対し、平成生まれは「給料が高い仕事」の方が56.7%と多く、昭和生まれは「やりがいがある仕事」の方が61.8%と多い結果となりました。

また、残業が多い人は「頑張っている人だと思う」か「仕事ができない人だと思う」か、という質問では、「頑張っている人だと思う」が平成生まれで60.1%、昭和生まれで52.5%となりました。同調査は「働き方改革を掲げ、業務効率改善や残業時間削減の方針を打ち出す企業は増加していますが、平成生まれには、“残業が多い=頑張っている”と考える人が多いようです」としています。

 

「飲み会」への考え方

勤務先でのイベントは「積極的に参加したい」か「プライベートを大切にしたい」か、という質問では、平成生まれの61.5%、昭和生まれの71.3%が「プライベートを大切にしたい」と回答しており、昭和生まれのほうがより多い結果となりました。

同調査はこの結果を、若手はいわゆる“飲みニュケーション”に消極的などといわれることがありますが、必ずしもそうではないようだ、と総括しています。

シチズン時計が昨年行った「社会人1年目の仕事と時間意識」でも、「実際にあった飲み会の頻度」が「理想の飲み会の頻度」より少ないという結果となり、同社も「職場のコミュニケーション機会として『もう少し誘って欲しい』と考えている新入社員もいる」と、さきほどの調査と同様の結論となっています。

俗に「5月病・6月病」などともいわれるように、入社・新年度からしばらく経ち、新しい環境に適応できず思い悩んでしまう若手が増える時期です。気になる社員をみかけたら、あまり気負うようなことなく、お酒の席へなどへ誘ってみてはいかがでしょうか。