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人事労務管理最新情報

変化の激しい時代、人事を取り巻く状況も、常に変わっていきます。労働基準法をはじめとする法令はもちろん、労働市場の動向や各種アンケート調査の結果など、経営の視点で人事に関する最新の情報をピックアップしてお届けします。

多くの企業で人の移動や対面の積極機会削減に尽力~帝国データバンク調査         R3 年 3月

2度目の緊急事態宣言を受けた企業への影響を調査

新型コロナウイルスの感染者数の急拡大により、11都府県に対して2度目の緊急事態宣言が発出されたことを受け、帝国データバンクが1月に「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」を実施し、今月1日に結果を発表しました。

調査は今年1月18 日~31 日にかけて行われたもので、調査対象は全国2万3,695 社、有効回答企業数は1万1,441社(回答率48.3%)でした。新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月以降毎月実施されているもので、今回が12回目ということです。

 

8割弱の企業で業績へマイナス影響

まず、新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響について、「マイナスの影響がある」と答えた企業は78.8%で、4カ月連続で8割を下回りました。一方で、「影響はない」とした企業が11.1%、「プラスの影響がある」(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)とした企業は4.3%でした。

多くの企業でマイナスの影響がある一方、コロナ対策関連事業を営む企業ではプラスの影響があると回答しているものとみられます。

 

多くの企業で人の移動や対面の積極機会削減に尽力

次に、緊急事態宣言を受けて、何らかの「対応を講じている」とした企業は89.9%と、9割近くに達しました。一方で、「緊急事態宣言以前と変わらない」とした企業は8.6%ありました。

また、「対応を講じている」企業にその内容を質問したところ、上位の回答は、「都道府県をまたぐ出張や打ち合わせの削減」が 55.6%で最も高く、次いで「対面営業や打ち合わせの削減」(51.8%)、「従業員に不要不急の外出自粛などの呼びかけ」(51.7%)、「非接触の会議や打ち合わせの推奨」(41.2%)、「イベントの開催・参加の中止(展覧会など)」(39.2%)となりました。

なんらかのかたちで人の移動や対面による接触の削減を挙げている企業が多いことがわかります。

「資金繰り対策(金融機関への融資相談など)」は15.6%、「営業時間の短縮」は14.0%という結果でした。

【帝国データバンク「<速報>新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2021 年1月)」】

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210201.html

 

 

緊急事態宣言対象地域における雇用調整助成金の雇用維持要件が緩和されます                  R3年3月

雇用調整助成金の特例措置はいつまで?

現在、東京、千葉、神奈川、埼玉、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡が、3月7日まで緊急事態宣言対象地域とされています。この緊急事態宣言を受け、雇用調整助成金(以下、「雇調金」という)の助成率引上げ等の特例措置は、同宣言が全国で解除された月の翌月末まで延長されることが決定しています(令和3年2月8日厚生労働省令第28号)。

 

緊急事態宣言対象地域における雇調金の雇用維持要件緩和とは?

厚生労働省のプレスリリース(令和3年2月5日)で、雇調金の助成率決定の要件となっている、解雇等を行っていないこと等とする雇用維持要件について、緩和する予定であることが公表されました。

具体的には、現行は令和2年1月24日以降の解雇等の有無により判断されているところ、令和3年1月8日以降緊急事態宣言解除月の翌月末までの休業等については、令和3年1月8日以降の解雇等の有無により、適用する助成率が判断されることとなる見通しです。

 

雇用維持要件を満たした場合の助成率は?

解雇等を行っていない中小企業は1010、大企業は3/4が適用されます。

なお、緊急事態宣言対応特例として、全国の大企業の、(1)営業時間の短縮等に協力する事業主、(2)特に業況が悪い事業主(いずれの事業主要件にも当てはまる場合は(2)として申請)に対して、解雇等を行わなかった場合は1010、解雇等を行った場合は4/5とする措置が講じられています。

上記(1)は、緊急事態宣言対象地域において宣言が解除された月の翌月末までの休業等が、また(2)は、全国で宣言が解除された月の翌月末までの休業等(いずれも短時間休業を含む)が、対象となります。

 

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象も拡大予定

シフト制、日々雇用、登録型派遣などの働き方で、労働契約上、労働日が明確でない人向けの休業支援金・給付金は、中小企業に雇用される人を対象としてきましたが、1月からの緊急事態宣言を受け、大企業に雇用される人も対象とされる予定です。

2月中下旬頃受付開始予定で、申請方法等の詳細は、改めて公表される予定です。

 

国税庁より「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」(源泉所得税関係)               R3年 3月

概要

 テレワークによる働き方が定着するなか、会社以外で業務にあたる際の通信費や光熱費の費用負担に係る税務について、2021年1月、国税庁よりFAQが公表されました。

 FAQでは、手当の支給方法や業務使用部分の精算や計算方法等に係る税務の取扱いを示しています。ここでは、主な内容の項目を取り上げます。

 

企業が従業員に在宅勤務手当を支給した場合、従業員の給与として課税する必要があるか?

・費用の実費相当額を精算する方法で従業員に対して支給する⇒課税する必要なし

・在宅勤務手当として渡切りで支給するもの(必要費用として使用しなかった場合でも返還義務のないもの)⇒課税する必要あり

 

従業員が負担した通信費の計算方法

 ○電話料金

   「通話料」と「基本使用料」について示しており、通話料に関しては明細書等で確認できるため、その部分の企業の負担は非課税扱い。基本使用料については、次のような【算式】で算出したものについては非課税。

 ○インターネット接続にかかる通信料

   「基本使用料」や「データ通信料」などについて、業務で使用した部分を合理的に計算する必要があり、次のような【算式】により算出したものについては非課税。

【算式】

業務のために使用した基本使用料や通信料等

=従業員が負担した1か月の基本使用料や通信料等×その従業員の1か月の在宅勤務日数/該当月の日数×1/2

【例】従業員が9月に在宅勤務を20日行い、1か月の基本使用料や通信料を1万円負担した場合の業務のために使用した部分の計算方法

10,000円×20日(在宅勤務日数)/30日(9月の日数)×1/2

3,334円(1円未満切上げ)

 

 このほか、電話料金に係る行う使用部分の計算方法や、レンタルオフィス等の利用に関する取扱いについても示しています。詳細は、以下をご確認ください。

【国税庁ホームページ】

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf

テレワーク推進のための対応 ~経団連「緊急事態宣言下におけるテレワーク等の実施状況調査」も踏まえて                                           R3 年 3月

二度目の緊急事態宣言

1月に11の都府県に緊急事態宣言が発令され、今なおその多くの地域で期限が延長されています。そのような中、政府は出勤者の7割減を目指して、企業にテレワークの徹底を求めています。

昨年春の緊急事態宣言発令を機に、これまで取組みが進んでいなかった企業でも、広くテレワークが導入されるようになりました。一方で、緊急事態宣言後にテレワークをやめてしまったという企業も多く、テレワークの実施については様々な問題点も指摘されているところです。

 

テレワークの推進のために実施した対応

一般社団法人日本経済団体連合会は、1月15日~22日に緊急事態宣言下におけるテレワーク等の実施状況の調査(回答数 505社(/1,468社))を実施しています。調査によれば、大企業を中心に構成されているということもあり、9割の企業が原則テレワークを実施という結果になっています。

その中で、「昨年4月の緊急事態宣言以降、テレワークの推進のために実施した対応」に関する回答としては、①情報機器や通信環境の整備(95%)、②業務内容やプロセスの見直し(87%)、③人事制度や勤務体系の改定(66%)、④研修の実施(30%)が挙がっています。

その他回答として以下のようなものが挙がっており、参考になります。

社長名での社内通達/オンライン会議の推進/オンライン朝礼の実施による従業員の健康状態等把握/リモートワーク手当の創設/リモートハラスメント研修の実施/賃金保障の上での時短勤務/社外有識者へのヒアリング/採用・研修のオンライン化

 

1つずつ問題点を検討したうえで対策を

テレワークは企業規模が大きいほど導入率が高いという傾向があります。中小企業では様々な理由から、対応に苦慮しているところも多いでしょう。資料が電子化に対応していないこと、情報セキュリティ対策の難しさ、コミュニケーションの取りづらさ、そもそもIT環境が未整備であること(コスト増への対応)など、課題は多く挙げられます。

一方で、今後様々な手続業務について電子化が推進され、多くの企業でオンラインのやり取りが一般的な流れとなっていく中、テレワーク対応も不十分なままでは、今後の企業経営に影響が出ることは容易に想像できるところです。

現在、厚生労働省は、緊急事態宣言の発出を受けて、「テレワーク相談センター」の機能充実を図るため、オンラインでのコンサルティングの案内も行っています。労務管理のオンラインコンサルティングを5回まで無料で受けられるそうです。自社独自の課題に対応するために、専門家の支援も得ながら、具体的な対策を検討していきたいところです。

世代別ハラスメントへの認識ギャップに注意
~ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社の調査より~ 
                                   R3 年 3月

ハラスメントへの世代間での認識ギャップ

 テレワークを行っている会社員を対象に、ハラスメントへの感じ方を調査したアンケート結果が公表されました(ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社)。調査から、テレワーク下での上司の言動をハラスメントと感じるかどうかには、世代間で大きなギャップがあることがわかりました。

 まず、「上司がテレワークの際に、仕事をしているかわからないことを理由に、日報を書いて送ることを義務付けること」がパワーハラスメントに該当すると思うかという質問には、20代の50.0%が「絶対に該当すると思う」「おそらく該当すると思う」と回答しました。他方、50代では31.3%に留まりました。

 また、「上司がテレワークの際に、会議で顔出しすることを強要すること」については、20代の55.0%が「絶対に該当すると思う」「おそらく該当すると思う」と回答し、50代の35.7%と比べ、世代間で19.3ポイントのギャップがありました。

 全体的に、若い世代のほうがハラスメントに対して敏感に感じ取る傾向があることがわかります。

 

ギャップを認識することが重要

 こんなことをハラスメントと感じるのか、と驚かれた方もいるでしょう。重要なのは、実際にこれらがハラスメントに当たるかどうかではなく、世代によって感じ方にギャップがあるということを認識し、対応していくことです。これらの認識の差は、職場にコミュニケーション不和を生じさせ得るものです。かつての当たり前が、これからもそうであるとは限りません。働き手が減少するなかでも若い世代を採用し、企業を発展させていくためには、こういった感じ方の違いを小さくする努力をしつつ、ハラスメント対策をアップデートさせていくことが欠かせないでしょう。

【ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社「世代間におけるハラスメントに対する感じ方/認識の実態調査」】

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000058857.html


勤続年数の長期化を見すえた人事制度を考えるために                                   R3 年3月

人生100年時代

独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「人生 100 年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」には、勤続年数の長期化を見すえた対応を行う際に参考になるポイントが掲載されています。

 

管理職への昇進が見込めなくなった場合の処遇

管理職への昇進が見込めなくなった正社員の処遇については、「昇進・昇格がないまま勤続」との割合が77.9%と最も高くなっています。次いで管理職相当の専門職として処遇する(34.4%)、管理職相当の社員格付けとする(30.5%)と続いています。以上は中小企業での割合ですが、大企業でも同じような傾向です。

 

キャリア形成のための人事制度とその効果

目標管理制度やキャリア面談等の人事制度について、39歳までの若年層では「メンター制度」が特に効果的なようです。

高年齢層では全般的に制度導入効果が低いようで、特に自己申告制度などは若年層と比べて効果が薄いか逆効果になる場合(60歳以上)もあるようですが、「社会貢献参加」の制度については効果がありそうです。

ボランティアなどの「社会貢献参加」活動の人材育成効果は、社会の価値観に触れる機会(69.5%)、社外ネットワークの拡大(48.6%)、新しい視点の獲得(37.0%)などが多くなっています。大企業も中小企業も同様の傾向です。

 

兼業・副業の取扱い

中小企業の44.0%が、就業規則で兼業・副業を禁止しています。一方で、「規定がない」との回答が32.3%となっています。いざというときに慌てないように自社の方針を検討しておきましょう。

 

改正高年齢者雇用安定法の施行

改正高年齢者雇用安定法が41日に施行されます。従業員の70歳までの就業確保を努力義務とする規定が盛り込まれています。努力義務となってはいますが、計画的に対応を準備しておきましょう。

()労働政策研究・研修機構「人生 100 年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」PDF

https://www.jil.go.jp/press/documents/20200529.pdf

 

 

厚生労働省による在籍型出向の支援制度 R3 年3月

在籍型出向の支援制度

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業の一時的な縮小などを行う企業が、従業員の雇用維持を図るために、人手不足などの企業との間で「在籍型出向」(雇用シェア、従業員シェアなどと呼ばれることもあります)を活用する取組みが行われています。

厚生労働省においても、こうしたコロナ禍における雇用維持を目的とした在籍型出向の取組みを支援する策を打ち出していますので、以下で紹介します。

 

在籍型出向とは何か?

いわゆる出向とは、労働者が出向元企業と何らかの関係を保ちながら、出向先企業と新たな雇用契約関係を結び、一定期間継続して勤務することをいい、このうち、在籍型出向は、出向元企業と出向先企業との間の出向契約によって、労働者が出向元企業と出向先企業の両方と雇用契約を結ぶものをいいます。

 

産業雇用安定助成金

厚生労働省による支援策の1つに、出向元事業主・出向先事業主に対する助成制度があります。

「産業雇用安定助成金」がそれで、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、「出向」により労働者の雇用維持を図る場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成するというものです。令和3年2月5日に新設された助成金です。

出向元事業主および出向先事業主が負担する賃金、教育訓練および労務管理に関する調整経費など出向中に要する経費の一部が助成されます(出向運営経費)。また、就業規則や出向契約書の整備費用、出向元事業主が出向に際してあらかじめ行う教育訓練、出向先事業主が出向者を受け入れるための機器や備品の整備などの出向の成立に要する措置を行った場合に助成されます(出向初期経費)。

雇用維持を図るための助成金ですので、出向期間終了後は元の事業所に戻って働くことが前提となる点に留意してください。

 

マッチング制度

その他の支援策として、公益財団法人産業雇用安定センターによるマッチング制度があります。同センターでは、新型コロナウイルスの影響により、一時的に雇用過剰となった企業が従業員の雇用を守るために、人手不足などの企業との間で在籍型出向を活用しようとする場合に、双方の企業に対して出向のマッチングを無料で行っています(全国47都道府県にセンターの事務所があり、企業からの相談に応じています)。

2020年「休廃業・解散企業」の動向~東京商工リサーチ調査           R3 年3月

休廃業・解散企業が最多を更新

東京商工リサーチの調査結果によると、昨年に休廃業・解散(倒産以外で事業活動を停止)した企業は4万9,698件(前年比14.6%増)で、2000年の調査開始以降で最多を更新しました。また、休廃業・解散した企業の従業員は、126,550人(同26.4%増)で、2年ぶりに増加しました。新型コロナウイルスの感染拡大による景気の悪化や、コロナ禍での政府や自治体からの支援があっても先を見通せないことなどにより、事業の継続をあきらめる企業が増えたことが浮き彫りになりました。

一方、昨年の倒産件数は7,333件(同7.2%減)と2年ぶりに減少しました。こちらは国からの支援や金融機関のコロナ対策融資等によって倒産を抑えたことなどが考えられます。

 

業種別では?

 業種別では、外出自粛などの影響を受けた飲食や宿泊を含む「サービス業他」が1万5,624件(前年比17.96%増)と最も多く、全体の31.4%を占めました。次いで、建設業が8,211件(同16.85%増)、小売業が6,168件(同7.29%増)となっています。

 

事業承継も課題

 代表者の年齢別では、70代が最も多く41.7%で、60代以上が全体の84.2%を占めました。代表者の高齢化、後継者難にコロナによる経営不振も重なり、やむなく廃業・解散したケースが多いと考えられ、後継者不足やスムーズな事業承継も引き続き課題となりそうです。

 

引き続きコロナ禍による影響が懸念材料

緊急事態宣言が期間延長となり、今後も事業継続をあきらめ休廃業・解散する企業は増えることが懸念されます。また、コロナ禍がさらに続くと倒産件数の増加も考えられます。政府・自治体によるさらなる事業承継対策や休廃業・解散後の代表者や従業員への支援にも取り組んでいくことが望まれます。